医療保険キュア・ネクストを比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- オリックス生命
- 名称:
- 医療保険キュアネクスト
- 加入年齢:
- 0~80歳
- 保障期間:
- 終身
- 保障内容:
- 入院・手術等で給付金
- 特徴:
- 入院を一生涯保障
医療保険キュア・ネクストはオリックス生命が2022年4月から募集・販売している保険です。それまでの医療保険新キュアからリニューアルされ、三大疾病の保障範囲の拡大等が行われました。三大疾病による保険料の免除や一時金が急性~ではない心疾患や脳血管疾患でも適用されるようになりました。
また、死亡保障が追加できるようになり死亡保険を別途で加入する手間も省けるようになりました。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の医療保険と比較していきます。
保障内容
この保険は入院給付金・手術給付金が主契約となり、他の保障は特約・特則で付加することになります。入院給付金は入院日数に応じて受け取れます。金額は自分で設定でき、入院日数の上限も60日か120日か設定できます。120日を越える長期の入院が心配な人向けに、七大生活習慣病入院給付特則が用意されています。この特則の三大疾病型を選択すれば三大疾病に限って入院日数の上限が無制限となり、七大疾病型を選択すると七大疾病が無制限となります。
手術給付金は入院の有無に関わらず、約1000種類に該当する手術を受けると受け取れます。ただし、給付金の金額は入院中の手術なら入院給付金の20倍の額、外来なら5倍の額となっています。
特約には入院一時金特約・先進医療特約・通院治療支援特約・終身保険特約・特定三疾病一時金特約・がん一時金特約・がん通院特約・特定三疾病保険料払込免除特約等があります。入院一時金特約は入院した時、特定三疾病一時金特約は三大疾病で入院・手術した時(がんは診断確定時)、がん一時金はがんと診断された時、終身保険特約は死亡した時、通院治療支援特約は退院した時、先進医療特約は先進医療を受けるとに一時金(保険金)が受け取れます。
特定三疾病保険料払込免除特約は、三大疾病になると保険料の支払いが免除されます。がんの場合は診断確定された時、心疾患・脳血管疾患は入院または手術をした時に保険料が免除されます。心疾患でも急性心筋梗塞以外の狭心症等では10日以上の継続入院または手術が条件となります。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は性別・年齢・入院給付金額・特約の有無等で変動します。性別は男性より女性の方が保険料が安く、年齢は若いほど安くなります。保険料払込期間は終身が最も安く、次いで65歳満了が安く、60歳満了が最も高くなります。入院給付金額は高く設定するほど保険料も高くなり、特約は数多く付加するほどに高くなります。
30歳男性で基本プラン(終身払い・三大疾病無制限型・入院日額1万円・先進医療アリ)にすると、保険料は月額2710円となります。がんの保障が手厚いがん充実プランにすると、保険料は月額4790円に上昇します。がんだけではなく三大疾病の保障が手厚い特定三疾病充実プランにすると、保険料は月額5630円になります。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の医療保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら10万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。
この保険の保険料は他社と比較して低めで、他社の高めの保険と比較すると半額に近いです。ただ、月額で数百円の差ですが、この保険よりも安い保険もあります。外資系のアクサ・メットライフ、さらにネット系のネオファースト・メディケアあたりが最安値圏の保険です。この保険には保険料の差を埋めるだけのメリットがあるのか、以下でメリットを記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずはリニューアルされた三大疾病の保障範囲が挙げられます。三大疾病のうちがんは悪性新生物だけではなく上皮内新生物も対象となりました。心臓については急性心筋梗塞で労働制限60日・手術が条件だったのが、急性心筋梗塞以外の心疾患も保障され、労働制限60日・手術ではなく入院・手術が条件となりました。脳については脳血管疾患も保障され、後遺症60日ではなく入院・手術が条件となりました。
さらに三大疾病の特約を付けても保険料が他社よりも安いのもポイントです。他社にも似たような三大疾病を保障する特約がありますが、この保険よりも付加すると保険料は高くなる保険が大半です。三大疾病に比較的お手頃な保険料で備えられるのはメリットでしょう。
その他に地味ですが、終身保険特約・七大生活習慣病入院給付特則が挙げられます。終身保険特約は他の保険に加入する手間を省いて死亡に備えられます。七大生活習慣病入院給付特則は特に珍しい特約ではありませんが、三大疾病だけ入院無制限にする、または七大疾病を入院無制限にすると分けられる選択ができるのが良いです。
デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、まずは保険料が最安値圏では無い点が挙げられます。前述したように他社には月額で数百円ほど安い保険があり、そういった保険でもキュアネクストと同じような保障内容を構成できます。オリジナリティのある保障もなく、その意味では保険料を重視するなら他社の保険の方が良いといえます。
保障面については通院給付金ががんに限定されているのも見逃せません。他社には病気を限定せず通院を保障し、メットライフのように外来手術後の通院(他社には入院後の手術のみ保障するケースがある)も保障する保険があります。
また、先進医療は通算2000万円まで保障されますが、患者申出療養・自由診療だと通常の入院・手術給付金だけのため不安感があります。がんで新薬(未承認薬・適応外薬)を使うとなると、国立がん研究センター「未承認・適応外の医薬品について」によると、未承認薬だと全体の80%が1ヶ月あたりの費用が100万円を超えます。がん一時金で100万円を受け取っても1ヶ月で消えてしまいます。
ちなみに、この保険に女性特約が付いたキュア・レディ・ネクストがありますが、女性特有の疾病で入院・手術給付金が上乗せされるだけで物足りなさがあります。三井住友海上あいおい生命だと、出産や出産前の不妊治療でも給付金が受け取れます。
評判・苦情
オリックス生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は20.0万件で前年度の27.6万件から約28%の減少でした。前年度も前々年度から新契約数は17%減少だったため、減少に歯止めがかかっていません。入院保障の保険の保有契約高も前年度から減少し厳しい状況です。そのため申込数・契約数等からすると評判は良くありません。
契約数でいうと保険市場の医療保険の申込数ランキング2024でも、キュア・ネクストは25の保険の中で11位と苦戦しています。さらに価格.comの医療保険の資料請求ランキングでも7位と微妙な順位です。一括見積もりをするような保険料を抑えたい人からの人気は微妙なようです。
その一方で、生命保険協会の苦情数のデータでは、オリックス生命全体に寄せられた苦情数は1.6万件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の489万件で割った苦情率は0.3%で、契約者1000人のうち3件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は普通です。
さらに調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険代理店チャネル)」では、オリックス生命は17社中12位でした。順位としては下位ですが、部門平均に近い位置でもあります。ダイレクト部門でも平均に近い位置のため悪くはありません。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、満足度は平均に近く中の下といった感じです。
その一方で「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2024」では、オリックス生命は24社中18位と下位でした。評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額と支払スピードですが、どの個別項目でも10位以下で満足度は低いです。
個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「手続きが面倒で完了したのか分かりにくい」「病院への調査で保険金を受け取るのが遅くなった」「診療明細書と別に診断書が必要だった」等の意見がありました。ネットでの手続きは高齢者になると厳しいものがあるのかもしれません。
さらに30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が調査対象の「FPが選んだオリコン終身型医療保険 ランキング2024」でも、この保険は11つある保険の中で10位でした。12位以下の保険も相当にありますが、評価が高くないのは間違いありません。
以上のデータから考えるとオリックス生命の評判は少し悪そうで、キュア・ネクストの評判も少し悪そうです。オリックス生命の評判については中の下という見方もできますが、平均を下回っておりオリコンでの評価も低いため評判が良いとはいえません。キュアネクストについても契約数も振るわず専門家からの評価も低く、同じく評判が良いとはいえません。
総合評価・おすすめか?
結論としては、キュア・ネクストは微妙な保険です。総合的には悪くない保険ですが、保障内容・保険料に物足りなさがあります。評判面でも高い評価を得られていないのも、このあたりが影響していそうです。
この保険以外で総合的に保障が充実した保険が欲しいなら、アフラック・チューリッヒ・メットライフあたりの医療保険を検討すべきでしょう。手厚い保障よりも保険料を重視するなら、アクサ生命・ネオファースト生命あたりの医療保険も候補になります。