ドクターGO Vitalityを比較・評価

住友生命 ドクターGO Vitality
オススメ度:
2
保険会社:
住友生命
名称:
ドクターGO(ジーオー) Vitality
加入年齢:
0~85歳
保障期間:
終身
保障内容:
入院・手術等で給付金
特徴:
リスクを減らしリスクに備える

住友生命のドクターGO Vitalityは2018年7月から募集・販売している保険です。日々の健康増進への取り組みによってポイントが獲得でき、ステータス判定でゴールドを継続すると保険料が最大30%割引されるのが最大の特徴です。

2022年3月末には累計契約数が100万件を突破し、1年間だけでも30~40万件の契約があります。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の医療保険と比較していきます。

保障内容

この保険は入院給付金・手術給付金・放射線治療給付金が主契約となり、他の保障は特約で付加することになります。入院給付金は入院日数に応じて受け取れ、手術給付金は病気(がんか否か)・手術の種別・入院か外来かで金額が異なります。放射線治療給付金は、がんで放射線治療をすると受け取れます。

ドクターGO Vitalityの保障内容(出典:住友生命公式HP「ドクターGO Vitality リスクに備える」)

特約には、入院保障充実特約・傷害損傷特約・特定3疾病継続保障特約・がん薬物治療特約・新先進医療患者申出療養特約等があります。入院保障充実特約は事故でケガをするか病気で1日以上の入院をすると、入院給付金の10倍の一時金が受け取れる特約です。入院給付金が日額1万円なら、一時金として10万円が受け取れます。

傷害損傷特約は骨折や腱・靭帯等の断裂をすると、入院給付金の5倍の額の給付金が受け取れます。顔面への損傷だと入院給付金の50倍の額の給付金が受け取れます。特定3疾病継続保障特約は、がん・心疾患・脳血管疾患と初めて診断されると入院給付金の10倍の保険金が受け取れます。初めて3疾病になってから1年経過後に再発しても受け取れます。

がん薬物治療特約は、がんで抗がん剤治療か疼痛緩和薬を投与されたときに、入院給付金の10倍の給付金が受け取れます。新先進医療患者申出療養特約は先進医療か患者申出療養で治療した場合に、全額自己負担となる技術料が2000万円まで保障されます。さらに技術料の10%が別途で給付金として受け取れます。

ドクターGO Vitalityの特約(出典:住友生命公式HP「ドクターGO Vitality リスクに備える」)

その他に、3疾病以外の生活習慣病(糖尿病など)の保障を手厚くする成人病入院特約・LiVガード特約もあります。女性特有の病気の保障を手厚くする女性疾病入院特約、がんと診断されると以後の保険料の支払いが免除される保険料払込免除特約もあります。

▲ページの一番上に戻る

保険料を他社と比較

この保険の保険料は性別・年齢・入院給付金額・特約の有無に加えて、Vitalityポイントによるステージ判定で変動します。性別は男性より女性の方が保険料が安く、年齢は若いほど安くなります。給付金額は高く設定するほど保険料も高くなり、特約は数多く付加するほどに高くなります。Vitalityプログラムは1年目はポイントに関係なく保険料が15%割引となります。

Vitality健康プログラムのステータス判定と保険料割引率(出典:住友生命公式HP「ドクターGO Vitality リスクを減らす」)

2年目以降はポイントを獲得してゴールドかシルバーステージなら割引率がアップします。ゴールドなら割引率2%アップ、シルバーなら割引率1%アップとなります。ブロンズだと割引率は変動せず、ブルーだと保険料は割引ではなく2%の割増となります。ステージ判定で保険料は最大30%割引まで可能で、その逆にブルーばかりだと、保険料が通常よりも10%高くなります。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の医療保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら10万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。

終身医療保険の20歳と30歳と40歳の保険料の比較一覧表(アクサ生命・JA共済・メットライフ・ソニー損保・大同生命・チューリッヒ・ネオファースト・第一生命・楽天生命・フコクしんらい生命・SBI生命・メディケア・損保ジャパン・イオンアリアンツ・アフラック・アクサのネット完結・オリックス生命・なないろ生命・FWD生命・マニュライフ生命・はなさく生命・明治安田生命・au・ライフネット生命・日本生命・富国生命・東京海上日動あんしん生命・太陽生命・全労済(こくみん共済Cop)・SOMPOひまわり生命・コープ共済・三井住友海上あいおい生命・大樹生命・住友生命・ニッセイウェルス生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の1年目の15%割引の保険料ですが、他社と比較しても高めです。ここからVitalityプログラムで最大30%割引までいっても、他社と比べると高いのは変わりません。他社との差は特定3疾病の保障と薬物治療特約の分とも考えられますが、それでも他社の2~3倍の保険料となるだけの理由にはならないでしょう。

保険料でいえば、外資系のアクサ・メットライフ、さらにネット系のネオファースト・メディケアあたりの方が有利といえそうです。この保険には保険料の差を埋めるだけのメリットがあるのか、以下でメリットを記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは3疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)に手厚い保障がある点が挙げられます。初めて3疾病に罹患した場合に加えて、1年経過後に再発しても一時金が受け取れます。がんについては抗がん剤治療・疼痛緩和(緩和ケア)のための薬物治療・放射線治療でも一時金が受け取れます。

さらに新先進医療特約は、先進医療の技術料が実費で保障されるのに加えて、患者申出療養でも2000万円まで保障されます。公的健康保険により3割負担とならず全額自己負担となる新薬での治療でも保障されます。また、骨折や顔面損でも一時金が受け取れ、高齢になると転倒でも骨折するケースも多くなるため安心感があります。

そして、最大のメリットはVitalityプログラムがある点です。前述したように保険料で最大30%の割引がある他に、提携企業による各種特典があります。その中でも特に使い勝手が良いのは、1週間の目標を達成するとスタバのコーヒーチケットかローソン・ファミマのペットボトル飲料のチケットが獲得できる特典です。目標を毎週クリアできれば、1ヶ月で500~2000円超の節約になります。

Vitality健康プログラムのローソンの特典リワード(出典:住友生命公式HP「ドクターGO Vitality」)

その他に各種スポーツジムやアディダスのスポーツ用品の割引、イオン・オイシックス等の食品の割引もあります。あまり健康には関係ない特典では、エクスペディアの割引特典があります。ゴールドステージなら40%割引(シルバーでも20%割引)のため、海外旅行で利用すれば数万円単位の割引になる可能性があります。

また、ゴールドステージを得るため(保険料を安くするため)に行動することは、健康上でもメリットがあります。住友生命の給付金・一時金の支払実績では、Vitality会員と非会員では死亡率に38%の差がありました。さらに入院率で見ても11%の差があり、健康プログラムに取り組めば病気になる可能性を低減できることが分かっています。

Vitalityプログラムの実績(出典:住友生命ニュースリリース「健康増進型保険"住友生命「Vitality」"累計 100 万件突破!」2022年3月31日)

さらに興味深いのは、上図のデータではゴールドステージでなくても効果が見られる点です。こういったプログラムがあるとゴールドステージを取るのが責務のようになりがちです。しかし、健康のことだけを考えればブロンズでも死亡率は76%下がり、入院率も24%下がります。無理なく続けられそうなのも地味に良い点といえそうです。

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずは保険料が高い点が挙げられます。前述の保険料の比較からも明らかですが、ゴールドステージを継続して30%割引になっても、他社の医療保険よりも保険料は高いです。保険料割引以外の面で、例えばスタバ・ファミマ等の特典を最大限に利用しても、月2000円程度の節約のため他社には及びません。

保障面にしても手術一時金が病気と手術の種別によって異なるのも見逃せません。他社の医療保険でも入院中の手術か外来での手術で差がありますが、この保険ではがん以外の病気だと一時金の額が減り、開頭・開胸・開腹術でなければ金額が減ります。例えば身体への負担を減らすために内視鏡での手術となると、一時金の額は減るわけです。

また、患者申出療養は先進医療と同様に通算2000万円まで保障されますが、自由診療だと通常の一時金だけとなります。がんで新薬(未承認薬・適応外薬)を使うとなると、国立がん研究センター「未承認・適応外の医薬品について」によると、未承認薬だと全体の80%が1ヶ月あたりの費用が100万円を超えます。

治療方法別の医療費負担と新薬と費用(出典:ネオdeがんちりょう商品パンフレット2022年9月版及び厚労省「わが国の医療保険について」及び国立がん研究センター「未承認・適応外の医薬品について」)

さらに目玉であるVitalityプログラムについては、そう簡単にはゴールドステージにならないという落とし穴があります。ゴールドになるには年間24000ポイントが必要となるため、オンラインチェック・健康診断・健診の提出だけでは到達できません。この3つで獲得できるのは年間で最大15000ポイントのため、残りの9000ポイントは他の方法で稼ぐ必要があります。

ウォーキングで1日8000歩では365日で7300ポイントのため、残りの9000ポイントには不足します。1万歩のウォーキングだと14600ポイントのためゴールドになり、平日のみ(年間で240日程度)でもギリギリでクリアできます。1日だけ運動して一気にポイントを稼ぐには、4キロ以上のウォーキング(100ポイント)、5キロ以上のランニング(200ポイント)、2.5キロ以上の水泳(600ポイント)が必要となります。ハードルは非常に高いです。

Vitalityポイントを獲得する方法(出典:住友生命ニュースリリース「新商品"住友生命「Vitality」"の発売等について」2018年7月17日)

そもそもVitality会員になるのに、月額880円が必要となるのも疑問です。利用料が月額440円のライトプラン・家族プランもありますが、その場合には一部の特典を利用できません。こういった場合は生命保険加入者は月額利用料が無料で、運動に自信がある人は利用料を支払って割引・追加の特典を狙う等の差があってもいいものですが。。。

▲ページの一番上に戻る

評判・苦情

住友生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は71.9万件で前年度の67.1万件から7.2%増でした。医療終身保険(ドクターGO)の新契約数も4.6万件から9.7万件に倍増しており好調です。定期タイプと合算すると年間で15万件の新契約があり、冒頭の契約数100万件を超えたニュースにも納得です。そのため申込数・契約数等からすると評判は良いです。

また、生命保険協会の苦情数のデータでは、住友生命全体に寄せられた苦情数は2.5万件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の1093万件で割った苦情率は0.2%で、契約者1000人のうち2件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多い中では苦情数は普通で、苦情面で考えると顧客対応への評判は普通です。

ただ、調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険会社営業職員部門)」では、住友生命は14社中10位と下位で、保険代理店部門でも11位でした。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、顧客満足度は低めだと言わざるを得ません。

JDパワー 2024年生命保険契約満足度調査 保険会社営業職員部門(出典:JDパワー公式HP) JDパワー 2024年生命保険契約満足度調査 保険代理店チャネル(出典:JDパワー公式HP)

さらに「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2024」でも、住友生命は24社中12位でした。先ほどの調査よりは対象企業の数が多い分だけ順位は高いともいえますが、それでも上位ではありません。評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額と支払スピードですが、個別項目の順位でアフターフォローは6位、受取額と支払スピードでは7位と健闘しています。このあたり、さすがは大手の1社といえそうです。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「任意の項目やサインが煩わしい」「担当者が変わってから音信不通」「スマホで保険金を請求できず書類が必要」等の意見がありました。さらに「Vitalityアプリの月額料金が高い」「Vitalityを活用できず保険料が高い」という、この保険への直接的な不満もありました。

住友生命への評判は良くはなさそうですが、ドクターGO Vitality自体の専門家からの評価も低いです。30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が調査対象の「FPが選んだオリコン終身型医療保険 ランキング2024」では、この保険は11つある保険の中で12位以下でした。定期型なら5つある保険の中で5位でしたが、どちらにせよ評価が高いとはいえません。

ドクターGOのランキング結果(出典:オリコン公式HP「FPが選んだオリコン定期型医療保険 ランキング2024」)

以上のデータから考えると住友生命の評判は普通か少し悪そうですが、ドクターGO Vitalityの評判は悪くはありません。住友生命の評判は各調査で最下位近辺ではありませんが、下位ではあるため評判は普通か少し悪いのは妥当でしょう。問題は保険自体についてです。専門家からの評価は低いのですが、契約数は堅調に伸びています。営業職員が頑張ったとも考えられますが、それだけで前年度から件数が倍増するのは難しいです。少なくとも契約する側からのアプローチもあったと推測されるため、保険自体の評判は悪くはないと考えられます。

総合評価・おすすめか?

結論としては、住友生命のドクターGOVitalityは微妙な保険です。保険料は高く保障内容も特別に秀でてはいません。しかし、Vitalityプログラムを最大限に活用すれば保険料は相応に抑えられ、さらにエクスペディア等の特典の活用次第では保険料を補って余りある恩恵があります。さらに健康面でもプラスとなるため、一概にイマイチな保険とは言い難いです。

この保険以外で総合的に保障が充実した保険が欲しいなら、アフラック・チューリッヒ・メットライフあたりの医療保険を検討すべきでしょう。手厚い保障よりも保険料を重視するなら、アクサ生命・ネオファースト生命あたりの医療保険も候補になります。