ずっとあんしん医療保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 朝日生命
- 名称:
- ずっとあんしん医療保険
- 加入年齢:
- 20~80歳
- 保障期間:
- 終身
- 保障内容:
- 入院・手術等で給付金
- 特徴:
- お手頃な保障で一生涯保障
ずっとあんしん医療保険は朝日生命ネットほけんが募集・販売している保険です。朝日生命ネットほけんは2020年に開始した同社のインターネット申込専用保険です。朝日生命には対面で契約する保険王プラス等もありますが、この保険はネット専用となっています。
それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の医療保険と比較していきます。
保障内容
この保険は入院給付金・手術給付金・放射線治療給付金・医療費充当給付金が主契約で、他の保障は特約・特則として自分で取捨選択します。入院給付金は入院日数に応じて受け取れ、入院が60日に到達するまで給付金が受け取れます。それを入院Ⅰ型にするとがん・生活習慣病での入院なら給付金の受取限度日数が無制限になり、Ⅱ型だとがんに限って限度日数が無制限になります。
手術給付金と放射線治療給付金は、手術か放射線治療を1回する度に受け取れます。手術の種別によって受け取れる金額は入院日額の5~40倍の差があり、外来での手術だと入院日額の5倍の額になります。放射線治療給付金は入院日額の10倍、骨髄移植術も入院日額の10倍の額になります。
医療費充当給付金は入院一時金ともいわれ、入院すると入院日数に関わらず受け取れます。受取額は0~30倍まで選択でき、10倍にすると入院日額の10倍の額が受け取れます。0倍にすると0円になるため、医療費充当給付金は実質なしとなります。
特約は先進医療特約・保険料払込免除特則・通院一時金特約・がん治療特約・女性入院特約があります。先進医療特約は先進医療をすると技術料が2000万円まで保障され、保険料払込免除特則はがんと六大疾病(急性心筋梗塞・脳卒中・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・高血圧性疾患)になると以後の保険料が免除されます。
通院一時金特約は退院後に通院して治療した場合に、通院日数に関わらず1~5万円の一時金が受け取れます。がん治療特約はがんの治療を受けた月に、他の給付金とは別に治療方法に応じて3~10万円の給付金が受け取れます。女性入院特約は女性特有の病気で入院した時に他の入院給付金とは別に、女性入院給付金が受け取れます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は性別・年齢・入院給付金額・特約の有無で変動します。年齢は若いほど保険料が安くなり、その逆に入院給付金額を高くしたり特約を増やすほどに保険料は高くなります。また、主契約の受取限度日数はがん無制限型の方ががん・生活習慣病無制限型よりも200円ほど安くなります。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の医療保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら10万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。
この保険の保険料は他社と比較して平均的な額です。この保険よりも保険料が半額に近い保険もありますが、この保険よりも保険料が倍近い保険もあります。何にせよ保険料面で他社よりも優位性が無いのは間違いないため、この保険としては保険料以外でメリットが欲しいところです。続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは医療費充当給付金が挙げられます。名称が異なるだけで実質は入院一時金のため珍しくもありませんが、給付倍率が調整できる点で他社と少し異なります。他社では入院給付金の10倍程度とすることが多い中で、この保険は20倍や30倍を選択できます。その逆に0倍にもでき、手術給付金を無しにして保険料を削る手もあります。
特約の中では保険料払込免除特約もメリットでしょう。他社の多くの保険では保険料が免除されるのは三大疾病になった時ですが、この保険では三大疾病に加えて糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・高血圧性疾患等で手術をしても保険料が免除されます。保険料が免除されれば以後は無料で保障が一生涯継続します。
また、がん治療特約も見方によってはメリットかもしれません。他社ではがん特約で診断時に一時金、抗がん剤治療特約で月毎に給付金、がんで通院すると通院給付金・・・と分かれています。この保険ではがん治療が始まる入院・手術から抗がん剤治療・放射線治療まで、がん治療特約で給付金が上乗せされて受け取れます。どの特約を付けるか考える手間を省けます。
デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、保障面が物足りない点が挙げられます。まず、先進医療特約には患者申出療養・自由診療が保障外となっています。多くの他社の保険は先進医療と患者申出療養は2000万円まで保障し、いくつかの保険は自由診療も保障しています。患者申出療養・自由診療となる治療は自己負担が1ヶ月あたり100万円を超えるケースもあります。この保険のがん治療特約で数万円の給付金では不足感は否めません。
三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)に関する保障も物足りません。あるのは保険料払込免除特約だけで、三大疾病で一時金が受け取れたり、治療を受けた月ごとに給付金が受け取れる特約はありません。がんは保障を手厚くできますが、それ以外の心疾患・脳血管疾患になると通常の給付金のみとなります。
保険料払込免除特約にしても、がんの上皮内新生物が保障の対象外です。さらに心臓関連では急性心筋梗塞と拡張型心筋症に限られ、脳関連では脳卒中と脳動脈瘤に限られています。他社の多くの保険では心疾患・脳血管疾患が対象のため、他の心臓・脳の病気でも保険料が免除されます。
その代わりに糖尿病や肝硬変でも保険料が免除されるため有利ともいえますが、ネオファースト生命なら膵疾患でも保険料が免除されます。それも適用される条件は1日以上の入院か手術を受けた時で、この保険のように手術が必須ではありません。
さらに他社を見渡せば、介護に関する特約、ストレス性疾病(うつ病等)を保障する特約、通院だけでなく在宅医療を保障する特約、出産や出産前の不妊治療も保障する特約があります。この保険には最低限の特約だけが揃っているだけです。
評判・苦情
朝日生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は63.5万件で前年度の66.8万件から約5%の減少でした。この保険を含む入院保障(疾病入院)の保険の保有契約高も減少しているため、申込数・契約数等からすると評判は少し悪いです。
ただ、生命保険協会の苦情数のデータでは、朝日生命全体に寄せられた苦情数は7807件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の243万件で割った苦情率は0.3%で、契約者1000人のうち3件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は普通です。
それに対して、調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険会社営業職員部門)」では、朝日生命は14社中14位と最下位でした。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、どの項目でも満足度は低いと考えられます。この保険はネットで申込みをするため、そこまで営業職員と関わることが無いのは救いかもしれません。
「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2024」でも朝日生命は24社中24位と最下位でした。調査対象外となってい保険会社もあるにはありますが、それでも2つの調査で最下位というは致命傷ともいえます。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額と支払スピードですが、どの項目でも当然ながら10位以下で満足度は低いです。特に保険料・アフターフォローは平均値との乖離が大きめでした。
個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「保険料が高い」「保障内容が分かりにくい」「書類が多く作成が面倒」「給付金が受け取れるまで長い」等の意見がありました。顧客満足度が低いだけあって、満遍なく不満が散らばっています。
以上のデータから考えると朝日生命の評判は少し悪そうで、ずっとあんしん医療の評判も少し悪そうです。朝日生命の評判については苦情面では普通そうですが、各社の顧客満足度調査で最下位近辺にあるためお世辞にも良いとはいえません。保険自体の評判については契約数のみでの判断ですが、評判が良いといえる根拠は見当たりません。
総合評価・おすすめか?
結論としては、ずっとあんしん医療保険はイマイチな保険です。メリットもあるにはありますが、それ以上にデメリットや落とし穴が見受けられます。その分だけ保険料が他社より圧倒的に安ければ検討の余地がありますが、その点でも他社に劣っています。
他社の保険であれば、総合的に保障が充実した保険が欲しい人なら、アフラック・チューリッヒあたりの医療保険を検討すべきでしょう。保険料を重視するなら、メットライフ生命・ネオファースト生命あたりの医療保険も候補になります。