アクサのネット完結終身医療を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- アクサ生命
- 名称:
- ネット完結終身医療
- 加入年齢:
- 0~69歳
- 保障期間:
- 終身
- 保障内容:
- 入院・手術等で給付金
- 特徴:
- 総合的に病気・ケガをカバー
アクサのネット完結保険は2024年4月にアクサダイレクト生命とアクサ生命が合併して誕生しました。ネット完結終身医療(保険)は、それまでアクサダイレクト生命が募集・販売していた終身医療保険を基本的には引き継いでいます。
この保険の他にアクサ生命にはスマートケアという保険もありますが、そちらとは保障内容等は異なる点に注意が必要です。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の医療保険と比較していきます。
保障内容
この保険は入院給付金・手術給付金・死亡給付金が基本保障で、他の保障は特約のため自分で取捨選択します。入院給付金は入院日数に応じて受け取れ、1日あたりの金額は5000~15000円の範囲で自分で設定できます。手術給付金は手術を1回すると受け取れ、入院を伴わない外来での手術でも給付金額は半額になるものの受け取れます。死亡給付金は死亡時に入院給付金の10倍の額が受け取れます。
特約は先進医療特約・3大疾病保険料払込免除特約・長期入院時一時金給付特約・入院時一時金給付特約・通院支援特約・健康祝金特則・女性疾病入院特約があります。先進医療特約は先進医療をすると技術料が2000万円まで保障され、3大疾病保険料払込免除特約は三大疾病になると以後の保険料が免除されます。
長期入院時一時金給付特約は61日以上の入院になった時に一時金が受け取れ、入院時一時金給付特約は入院した時に日数に関係なく一時金が受け取れます。通院支援特約は入院後に通院した時に一時金が受け取れ、女性疾病入院特約は女性特有の病気で入院した時に基本保障の入院給付金とは別に給付金が受け取れます。健康祝金特則は病気・ケガで給付金を受け取っていなければ、3年ごとに健康祝金が受け取れます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は性別・年齢・入院給付金額・特約の有無で変動します。基本的に男性より女性の方が保険料が安く、年齢は若いほど安くなります。基本保障ではありますが、手術給付金は保障から外せるため手術給付金なしにすれば保険料は数百円ほど安くなります。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の医療保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら10万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。
この保険の保険料は他社と比較して保険料は安い部類に入ります。この保険に対抗できるとすればメットライフ・チューリッヒ・ネオファースト・メディケアあたりだけです。これだけ保険料が安ければ、何か特約を付けても経済的な負担感は無さそうです。続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは最小限の保障内容にすれば保険料は相当に抑えられる点が挙げられます。他社の保険では必須の手術給付金を無し(Ⅱ型)にして、入院日額5000円で先進医療特約ありにすると、30歳男性で保険料は月額965円です。「結婚したから保険にでも入るか・・・」といった軽い気持ちの人なら、この保険は経済的な負担感が無い点は非常に魅力的でしょう。
さらに特約の中では長期入院一時金給付特約は他社ではあまり見かけません。この特約を付けると61日を越える入院をすると50万円の一時金が受け取れます。他社にも長期入院を保障する特約はありますが、多くが入院日数に応じて受け取れるタイプです。入院日額1万円で入院が80日になった場合、他社の保険では80万円が受け取れますが、この特約なら110万円(60万円+50万円)が受け取れます。入院日数が110日を越えない限り得です。
また、健康祝金特則も地味にメリットです。この特則を付けると入院・手術の給付金を受け取らなかったら3年ごとに5万円の健康祝金が受け取れます。この特則を30歳男性が付けると保険料は月額1210円上昇しますが、支払う保険料の合計額は3年間で43560円です。健康なら約6500円のキャッシュバックになり悪くありません。
デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、保障面が物足りない点が挙げられます。まず、通院支援特約は一時金で5万円が受け取れるだけです。入院日額と通院日額が同額の他社の保険では5日分の通院給付金だけです。3大疾病保険料払込免除特約は三大疾病で保険料が免除されますが、がんは初期がんである上皮内新生物を除いた悪性新生物のみが対象です。
さらに先進医療特約には、患者申出療養・自由診療が保障外となっています。多くの他社の保険は先進医療と患者申出療養は2000万円まで保障し、いくつかの保険は自由診療も保障しています。患者申出療養・自由診療となる治療は自己負担が1ヶ月あたり100万円を超えるケースもあります。
三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)に関する保障も物足りません。あるのは保険料払込免除特約だけで、三大疾病で一時金が受け取れたり、抗がん剤治療を受けた月ごとに給付金が受け取れたりする特約はありません。また、七大疾病・八大疾病での入院は給付金の給付日数が無制限化される保障もありません。例えば脳梗塞になって長期入院・リハビリ長期化をしても、前述したように110日を超えると他社の保険の方が有利になります。
その他に介護に関する特約、女性特有の疾病に関する特約も見当たりません。他社には独自性のあるストレス性疾病(うつ病等)を保障する特約や、通院だけでなく在宅医療を保障する特約、出産や出産前の不妊治療も保障する特約があります。この保険には本当に最低限の特約だけが揃っているだけです。
評判・苦情
アクサ生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は52.4万件で前年度の50.6万件から約3%の増加でした。この保険を含む入院保障の保険の保有契約高も増加しているため、申込数・契約数等からすると評判は悪くはありません。
契約数でいうと保険市場の医療保険の申込数ランキング2024では、アクサのネット完結終身医療は25の保険の中で11位と中位です。さらに価格.comの医療保険の資料請求ランキングでも、27の保険の中で8位と悪くない順位です。この保険は一括見積もりをする保険料を抑えたい人からは一定の人気がありそうです。
また、生命保険協会の苦情数のデータでは、アクサ生命全体に寄せられた苦情数は8043件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の305万件で割った苦情率は0.2%で、契約者1000人のうち2件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は普通です。
それに対して、調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険会社営業職員部門)」では、アクサ生命は14社中5位と上位でした。保険代理店部門では順位を上げて17社中2位と高い満足度になっています。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、どの項目でも満足度は高いと考えられます。
JDパワーの調査と異なり、「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2024」ではアクサダイレクト生命は24社中4位でした。この保険の引受保険会社は合併後のアクサ生命ですが、保険自体と運用は旧アクサダイレクトが引き継いでいると考えられるため、アクサダイレクトの順位(アクサは11位)を参考にすべきでしょう。
この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額と支払スピードですが、アフターフォローは2位で、保険料でも5位に入っていました。加入手続き・商品内容も7位と悪くない順位で、心配なのは受取額と支払スピードが10位以下である点だけです。
個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「ネット申込なのに結局は紙が郵送されてくる」「給付金が受け取れるのが遅い」「給付金を請求するまで手間が多い」「給付金を請求するまで手続きが分かりにくい」等の意見がありました。いざ病気になり給付金等を請求する際の手間へ不満が集まっているようです。
また、30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が調査対象の「FPが選んだオリコン終身型医療保険 ランキング2023」では、旧アクサダイレクトの名称で9つある保険の中で9位でした。10位以下の保険も相当にありますが、評価が高くないのは間違いありません。
以上のデータから考えるとアクサ生命(アクサダイレクト生命)の評判は普通か少し良さそうで、ネット完結終身医療の評判も悪くはなさそうです。アクサ生命の評判については苦情面・各社の顧客満足度調査で平均か平均以上で、少なくとも大抵の保険会社よりは評判が良いでしょう。ネット完結終身医療の評判については専門家からの評価は高くありませんが、契約数が堅調に伸びていることから考えて特別に悪いことはなさそうです。
総合評価・おすすめか?
結論としては、アクサのネット完結終身医療は微妙な保険です。保障は明らかに不足感があり、保障を重視する人には向いていません。その反面、保障を限界まで削って保険料を安くしたい人には向いています。人によっては良い保険となる可能性があります。
保険料重視ではなく総合的に保障が充実した保険が欲しいなら、アフラック・チューリッヒあたりの医療保険を検討すべきでしょう。この保険以外で保険料を重視するなら、ネオファースト生命あたりの医療保険も候補になります。