こだわり医療保険 with PRIDEを比較・評価

マニュライフ生命 こだわり医療保険With PRIDE
オススメ度:
1
保険会社:
マニュライフ生命
名称:
こだわり医療保険 with PRIDE
加入年齢:
0~70歳
保障期間:
終身
保障内容:
入院・手術等で給付金
特徴:
心配事に合わせて自在にカスタマイズ

こだわり医療保険 with PRIDE(ウィズ・プライド)は、マニュライフ生命が2016年1月から募集・販売している保険です。長らく販売していた「こだわり医療保険」をバージョンアップした保険で、ベースとなる保障が手厚くなり特約のラインナップも増えました。

とはいえ、バージョンアップしてから10年近くが経過しています。今でも保障が古くなっていないのでしょうか。以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の医療保険と比較していきます。

保障内容

この保険の主契約は入院給付金・手術給付金・放射線治療給付金・骨髄移植給付金(骨髄ドナー給付金)・集中治療給付金で、他の保障は特約・特則のため自分で付加するか選択できます。入院給付金は入院日数に応じて給付金が受け取れ、1回の入院あたり30日か60日か120日を限度に給付金が受け取れます。

手術給付金・放射線治療給付金は手術か放射線治療をした時に受け取れます。手術給付金は入院を伴う手術だと入給付金の20倍、外来での手術だと10倍の額が受け取れます。放射線治療給付金は入院給付金の一律10倍の額です。骨髄移植給付金(骨髄ドナー給付金)は移植術を受けるかドナーになると受け取れ、集中治療給付金は集中治療室で治療を受けると受け取れます。どちらも金額は入院給付金の一律10倍の額です。

こだわり医療保険 with PRIDEの主契約の保障内容(出典:マニュライフ生命 こだわり医療保険 with PRIDE商品パンフレット2024年4月版)

主契約以外に12の特約があり、病気を限定して保障を手厚くする特約、特定の治療方法を保障する特約、その他の特約に分かれます。病気を限定して保障を手厚くする特約は、七大生活習慣病・三大疾病・女性疾病・メンタル疾患の特約があります。七大生活習慣病だと、七大生活習慣病で入院すると入院給付金が上乗せされ、給付金の限度日数が無制限化される七大生活習慣病入院特約と七大生活習慣病無制限特約があります。

三大疾病だと、三大疾病になると保険金が受け取れ、その後も1年間生存する度に継続年金が受け取れる継続年金付三大疾病保障特約があります。三大疾病になると保険料が免除される三大疾病保険料払込免除特約もあります。女性疾病だと女性疾病で入院すると入院給付金が上乗せされる女性疾病入院特約、メンタル疾患だと気分障害等で入院すると給付金の限度日数が365日まで延長されるメンタル疾患延長特約があります。

こだわり医療保険 with PRIDEの三大疾病・七大疾病・女性疾病特約の保障内容(出典:マニュライフ生命 こだわり医療保険 with PRIDE商品パンフレット2024年4月版)

特定の治療方法を保障する特約は先進医療特約と在宅医療特約があります。前者は先進医療をした時に2000万円まで保障され、後者は在宅医療をすると月毎に3万円が受け取れます。その他に、入院時に日数を問わず入院日額5日分の給付金が受け取れる入院見舞給付特約、通院日数に応じて給付金が受け取れる通院特約、5年間生存する度に給付金が受け取れる生存給付特約、死亡すると保険金が受け取れる終身保険特約があります。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は性別・年齢・入院給付金額・特約の有無・喫煙の有無で変動します。契約時の年齢が高いほど保険料は上昇します。さらに入院給付金の額を5000円より高くしたり、特約を数多く付けると保険料は上昇します。非喫煙者だと保険料はノンスモーカー料率となり安くなりますが、割引が適用されない特約(七大疾病無制限特約・保険料免除特約・女性特約・専心医療特約・メンタル特約・在宅医療特約)もあるため注意が必要です。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の医療保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら10万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。

終身医療保険の20歳と30歳と40歳の保険料の比較一覧表(アクサ生命・JA共済・メットライフ・ソニー損保・大同生命・チューリッヒ・ネオファースト・第一生命・楽天生命・フコクしんらい生命・SBI生命・メディケア・損保ジャパン・イオンアリアンツ・アフラック・アクサのネット完結・オリックス生命・なないろ生命・FWD生命・マニュライフ生命・はなさく生命・明治安田生命・au・ライフネット生命・日本生命・富国生命・東京海上日動あんしん生命・太陽生命・全労済(こくみん共済Cop)・SOMPOひまわり生命・コープ共済・三井住友海上あいおい生命・大樹生命・住友生命・ニッセイウェルス生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料は便宜上30歳のみでの比較となりますが、他社と比較して平均か少し安い部類に入ります。少し安いといってもメットライフ・ネオファースト・チューリッヒあたりとは、月額で1000円近くの保険料の差があります。この保険としては保険料面以外でメリットが欲しいとことです。続いてメリットについて記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは特約が充実しており自分好みの保険にできる点が挙げられます。特約の組み合わせ次第で三大疾病に手厚い保険、七大疾病と三大疾病に手厚い保険、女性疾病と精神疾患に手厚い保険等々にすることが可能です。前述したようにベースとなる保険料は安めのため、特約を多少付けても毎月の保険料負担は軽めです。

特約の中でも特徴的なのは継続年金付三大疾病保障特約とメンタル疾患延長特約と在宅医療特約です。継続年金付三大疾病保障特約は三大疾病になった時に一時金が受け取れ、それ以後は生存していると継続年金が4年間(最大4回)受け取れます。一時金を100万円に設定すると継続年金は25%の25万円となり、4年間生存すれば設定した一時金の倍額が受け取れます。

メンタル疾患延長特約はメンタル疾患で入院した時に、入院給付金の給付日数が365日まで延長されます。メンタル疾患には統合失調症・気分障害・神経症性障害・摂食障害等が含まれます。精神疾患の平均入院日数は厚労省の患者調査(令和2年)によると、2020年時点で平均で294日と長いです。この特約があれば精神疾患で長期入院になった場合に備えられます。

メンタル疾患延長特約と在宅医療特約の保障内容(出典:マニュライフ生命 こだわり医療保険 with PRIDE商品パンフレット2024年4月版)

在宅医療特約は在宅で自己注射療法・人工透析療法・酸素療法等の治療をすると、毎月給付金が受け取れます。永久に受け取れるわけではなく60回が限度のため5年で切れますが、それでも在宅医療に関する特約を設けている医療保険は数少ないため貴重な特約といえます。

ちなみに、この保険の契約者はメディカルリリーフプラスというサービスを利用できます。その中でも「plus Baton(プラスバトン)」というサービスは、ヘルスカウンセラーに電話の他にチャットで健康相談が可能です。日々の健康相談から専門医や病院の予約手配までチャットで可能なため気軽に利用できます。

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずは保障選びが面倒という点が挙げられます。12の特約の中で自分に必要なものを絞って確認する必要があります。この保険の保険料は既述の通り安めではあるものの最安値圏ではありません。特約を付けすぎて経済的な負担が大きくなり過ぎないようにする必要があります。

保障面ではメリットで既述したメンタル疾患特約も、万全な保障ではない点に注意が必要です。厚労省の患者調査(令和2年度)では精神疾患の平均在院日数は294日のため、この保険の365日の保障で確かに足ります。しかし、統合失調症・妄想性障害の平均在院日数は570日と365日を大幅に上回ります。

傷病分類別にみた年齢階級別退院患者の平均在院日数(出典:厚生労働省「令和2年患者調査(退院患者の平均在院日数等)」)

さらに、年齢別では65歳以上だと精神疾患の平均在院日数は497日です。精神疾患になる年齢によっては統合失調症等でなくても365日を越えます。65歳以上だと統合失調症だと平均在院日数は1147日となり、不足感ではなく明らかに不足しています。メンタル特約も完全ではないことを忘れずにおきたいところです。

また、先進医療以外の治療が自己負担となる患者申出療養と自由診療が保障外である点も見逃せません。国立がん研究センターの調査によると、これらの治療方法は治療費の自己負担が月額100万円を超えるケースが多いです。この保険の一時金等の保障だけでは不足感があります。

治療方法別の医療費負担と新薬と費用(出典:ネオdeがんちりょう商品パンフレット2022年9月版及び厚労省「わが国の医療保険について」及び国立がん研究センター「未承認・適応外の医薬品について」)

また、七大疾病については入院給付金の上乗せと給付日数無制限化だけで、一時金や治療を受けた月ごとに給付金を受け取れる特約はありません。例えば、SOMPOひまわり生命だと七大疾病になると60歳まで年金が毎月受け取れる特約があります。保険料払込免除特約にしても三大疾病だけで、ネオファースト生命のように八大疾病で保険料は免除されません。

女性疾病特約も入院給付金が受け取れるだけで、明治安田のように健診を受けると給付金、三井住友海上あいおい生命のように不妊治療で給付金が受け取れたりしません。この保険には保障の古さが少し垣間見え、後発の医療保険の方が保障範囲が広かったりオリジナリティのある特約があります。

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評判・苦情

マニュライフ生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は6.2万件で前年度の7.3万件から約15%減と低調でした。この保険を含む入院保障の保険の保有契約高も微減しているため、申込数・契約数等からすると評判は良くありません。

また、生命保険協会の苦情数のデータでは、マニュライフ生命全体に寄せられた苦情数は2723件(2023年度実績)でした。総顧客数の107万件で割った苦情率は0.2%で、契約者1000人のうち2件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は普通です。

マニュライフ生命全体に寄せられた苦情数(出典:マニュライフ生命ディスクロージャー誌「アニュアル・レポート2024」)

苦情の内訳はコールセンターに関するものが最多で、「電話がつながらない」「折り返しの電話が遅い」等の苦情が多いです。次いで加入に関する苦情で「説明が不十分」「希望と保障内容が異なる」といった苦情があったようです。とはいえ件数自体が大幅に減っているのはポジティブです。

その一方で、「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2024」では24位中24位以下でした。評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額と支払スピードですが、どの項目も10位以下で満足度は低めです。個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「アンケートや電話勧誘が面倒」「担当者がいない」「相談しても解決しなかった」等の意見がありました。

以上のデータから考えるとマニュライフ生命の評判は少し悪そうで、こだわり医療保険withPRIDEの評判も少し悪そうです。マニュライフ生命の評判については苦情数が大幅に減ってはいますが、契約数が伸び悩んでおりオリコンでの顧客満足度調査が低いため良いとはいえません。この保険自体の評判は契約数だけでの判断になりますが、微減傾向にある点からすると同じように評判が良いとはいえません。

総合評価・おすすめか?

結論としては、こだわり医療保険withPRIDEはイマイチな保険です。一部の特約はメリットともいえますが、今では他社に追随されている点が多く保障で古さを少し感じさせます。それらを保険料面・評判面で覆せることもないため、この保険を検討している人は他社の保険も検討した方が賢明でしょう。

他社の保険で総合的に保障が充実した保険が欲しいなら、アフラック・チューリッヒあたりの医療保険を検討すべきでしょう。手厚い保障よりも保険料を重視するなら、アクサ生命・ネオファースト生命あたりの医療保険も候補になります。