医療保険「元気パスポート」を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- イオン・アリアンツ生命
- 名称:
- 元気パスポート
- 加入年齢:
- 0~85歳
- 保障期間:
- 終身
- 保障内容:
- 入院・手術等で給付金
- 特徴:
- アプリとの連動で楽しくお得に健康増進
イオン・アリアンツ生命はイオンがドイツのアリアンツ生命の日本事業を買収して、イオンの子会社してスタートしました。元気パスポートは同社が2021年11月から募集・販売している保険で、主にイオン店内の保険ショップやイオン銀行等で主に販売されています。
イオングループのため健康診断の結果を提出するとWAONポイントが獲得できるなど、他社には無い特徴があります。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の医療保険と比較していきます。
保障内容
この保険は入院給付金・手術給付金・放射線治療給付金・健康支援金が主契約となり、他の保障は特約で付加することになります。入院給付金は入院日数に応じて受け取れ、限度日数を60日と120日から選べます。手術給付金は手術をした時に受け取れ、Ⅰ型を選ぶと手術の種別によっては入院給付金の額の40倍の額が受け取れます。Ⅱ型だと手術の種別に関係なく入院給付金の額の10倍の額になります。
放射線治療給付金は放射線治療をした時に受け取れ、健康支援金は健康診断の結果を提出してBMIと血圧が適正範囲内なら受け取れます。その他の保障(特約)には先進医療特約・入院一時給付特約・退院後通院特約・退院一時給付特約・特定損傷特約・女性医療特約・特定疾病一時給付特約・三大疾病保険料払込免除特約があります。
先進医療特約は先進医療をすると、技術料が2000万円まで保障されます。入院一時給付特約は入院した時、退院一時給付特約は入院後に退院した時、特定疾病一時給付特約は三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)になった時、特定損傷特約は骨折・脱臼などをした時に一時金が受け取れます。一時金の額は自分で設定できます。
退院後通院特約は入院した後に通院すると通院日数に応じて給付金が受け取れます。Ⅰ型を選ぶと1回あたりの入院で通院日数は30日までが限度ですが、Ⅱ型を選ぶとがんだと30日の制限が無制限になります。女性医療特約は女性特有の病気で入院すると、入院日数に応じて主契約の給付金とは別に給付金が受け取れます。三大疾病保険料払込免除特約は三大疾病になると以後の保険料の支払いが免除されます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は性別・年齢・入院給付金額・特約の有無・健康支援金等で変動します。男性の方が30歳ぐらいまでは女性より安いのですが、40歳ぐらいから女性の方が安くなります。契約する年齢が高くなるほど保険料も高くなりますが、保険料は契約時から一生涯同じです。また、入院給付金額は高く設定するほど保険料も高くなり、特約は数多く付加するほどに高くなります。
健康支援金は自分が選んだ保障内容によって異なり、保険期間が終身で入院日額5000円の上図のモデルケースでは30歳男性で保険料は月額1255円で、健康支援金は年間850円です。健康支援金を受け取る前提にすると、月額保険料は月額70円割引(850÷12=70)となり月額1185円となります。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の医療保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら10万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。
この保険の保険料は他社と比較して低めで、高めの保険と比較すると半額に近いです。前述した健康支援金は月額にすると微々たる額ですが、それでも保険料の安さが一段と加速する要素ではあります。
ただ、この保険よりメットライフやネオファースト生命の方が保険料は安いです。数百円の差ではありますが、この保険の保険料は最安値ではありません。この保険としては保険料以外にもメリットが欲しいところです。続いてメリットを記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは健康支援金がある点が挙げられます。健康診断の結果を提出してBMIが18.5~25.0の範囲内で、血圧が129以下(収縮期)で84以下(拡張期)なら受け取れます。健康支援金は保険料割引だけではなくWAONポイントでも受け取れます。WAONポイントなら日常の買い物で使えるため、健康支援金を受け取るモチベーションになります。
さらに健康支援金に加えてウェルスパレットというアプリでウェルネスコインを貯めてクーポンと交換できます。ウェルネスコインは1日1回アプリを起動するだけで1コイン獲得でき、その他に毎日4000歩以上のウォーキングや体重・睡眠記録を入力しても獲得できます。
集めたコインはイオンの100~500円OFFのクーポンに交換できる他、イオンシネマの映画鑑賞チケットにも交換できます。イオンで買い物するなら使い勝手は悪くありません。それ以外にウェルシアやスポーツオーソリティの割引クーポンにも交換できます。
保障面では地味ですが、退院一時給付特約もメリットかもしれません。この特約を付けると4日以上の入院をして退院すると1~5万円の給付金が受け取れます。これに退院後通院特約を組み合わせれば通院治療が短期になっても長期になっても備えられます。この特約は他社では付加できないケースがあるため、退院後の通院治療に重きを置きたい人には良いかもしれません。
デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、まずは保険料が最安値ではない点が挙げられます。前述したように健康支援金だけでは他社よりも保険料は高いため、ウェルネスパレットでコインを獲得するのが肝となります。しかし、アプリ起動・ウォーキング・体重記録・睡眠記録・食事記録で1日5コインです。30日で150コイン(150円割引)に利用しても、他社との保険料の差を埋められません。
保障面については、公的医療保険が適用されない治療方法でカバーしているのは先進医療だけという点がデメリットに挙げられます。先進医療以外の患者申出療養・自由診療は通常の給付金だけです。がんで新薬(未承認薬・適応外薬)を使うと、国立がん研究センター「未承認・適応外の医薬品について」によると、未承認薬だと全体の80%が1ヶ月あたりの費用が100万円を超えます。通常の給付金・一時金のみだと不足感は否めません。
また、三大疾病・七大疾病の保障も他社と比べると見劣りします。三大疾病については入院給付金の給付日数の無制限化・一時金・保険料払込免除だけです。他社のように抗がん剤治療をした月毎に給付金が受け取れたり、心疾患・脳血管疾患の治療を受けた月毎に給付金が受け取れる特約はありません。この保険では日数に応じて受け取れる通院給付金があるだけです。
保険料払込免除特約も三大疾病に限定され保障範囲が狭いです。ネオファースト生命なら三大疾病だけではなく八大疾病まで幅広く保険料が免除されます。その他にチューリッヒではストレス性疾病をカバーする特約、SOMPOひまわり生命には七大疾病になると60歳まで年金が受け取れる特約等があります。
評判・苦情
イオン・アリアンツ生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は3000件で前年度の2000件から前年度比179%と好調でした。数字としては好調ですが、いかんせん数字が小さ過ぎて誤差といえなくもありません。しかし、価格.comの医療保険の資料請求ランキングでは26社中9位でトップ10に入っています。保険料の安さが評価された可能性が高く、その意味で申込数・契約数等からすると評判は悪くはありません。
また、契約数が少ないため苦情数も少ないのですが、イオン・アリアンツ生命全体に寄せられた苦情数は41件(2023年度)でした。その中でも各種給付金から翌月の保険料が差し引かれたことへの苦情が多かったようで、その点については改善されたようです。
その他にJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査」や「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2024」で、イオン・アリアンツ生命の評判を確認したいところですが、残念ながら調査の対象外でした。契約数が少な過ぎるためデータ取得の対象企業にも入っていませんでした。
以上のデータから考えるとイオン・アリアンツ生命の評判は未知数ですが、元気パスポートの評判は悪くはなさそうです。イオン・アリアンツ生命の評判については、各種調査で対象外のため何ともいえません。今後に期待というところです。元気パスポート自体の評判は契約数が増加しており、資料請求数も一定数以上あるため評判が悪いとはいえません。ただ、こちらも数字が小さいため今後に期待というレベルに留まります。
総合評価・おすすめか?
結論としては、元気パスポートは微妙な保険です。保険料の安さと保険料が安くなる仕組みは評価できますが、保障面では物足りなさがあります。評判面でも高い評価を得ているとはいえず、保険を探している人や保険業界から特に注目されているわけでもありません。
この保険以外で総合的に保障が充実した保険が欲しいなら、アフラック・メットライフあたりの医療保険を検討すべきでしょう。手厚い保障よりも保険料を重視するなら、アクサ生命・ネオファースト生命あたりの医療保険も候補になります。