医療保険Aセレクトを比較・評価

三井住友あいおい生命 医療保険Aセレクト
オススメ度:
2
保険会社:
三井住友あいおい生命
名称:
医療保険Aセレクト
加入年齢:
0~85歳
保障期間:
終身
保障内容:
入院・手術等で給付金
特徴:
すこやなかな未来をつくる医療保険

医療保険Aセレクトは三井住友海上あいおい生命が2022年11月から募集・販売している保険です。それまでの医療保険Aプレミアには無かった「入院時の一時金」と「上皮内新生物(早期のがん)でも保険料免除」の特約が、この保険では付けられるようになりました。

また、それと同時にMSAケア(みつける・ささえる・あなたをまもる)という契約者向けのサービスも始めました。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の医療保険と比較していきます。

保障内容

この保険は入院給付金・手術給付金・放射線治療給付金・集中治療給付金が主契約となり、他の保障は特約で付加することになります。入院給付金は自分が設定した入院日額を入院日数に応じて受け取れます。初期入院10日給付特則を付けると入院すると10日分の入院給付金が一括で受け取れ、11日目以降は入院日数に応じて給付金が受け取れます。

さらに八大疾病入院無制限給付特則を付けると、八大疾病になると入院給付金が受け取れる限度日数が無制限になり長期入院にも備えられます。八大疾病はがん(上皮内新生物含む)・心疾患・脳血管疾患・高血圧性疾患・糖尿病・肝疾患・腎疾患・膵疾患で、生活習慣病を含めて幅広くカバーできます。

手術給付金は入院中の手術なら入院給付金の10倍の額、外来なら5倍の額が受け取れます。放射線治療給付金は放射線治療を受けると入院給付金の10倍の額が受け取れます。集中治療給付金は集中治療室(ICU)で治療を受けると入院給付金の20倍の額が受け取れます。

医療保険Aセレクトの保障内容(出典:三井住友あいおい生命 医療保険Aセレクト 商品パンフレット2022年11月版)

特約には冒頭で既述した入院一時給付特約・保険料払込免除特約の他に、先進医療特約・通院給付特約・三大疾病入院一時給付特約等があります。先進医療特約は先進医療を受けた時、通院給付特約は退院後に通院した時、三大疾病入院一時給付特約は三大疾病で入院をした時に受け取れます。

その他にがん・女性疾病・介護向けの特約があります。がん向けの特約にはがん診断給付特約・がん治療通院給付特約・抗がん剤治療給付特約があります。これらの特約を付けると、がんと診断されると一時金が受け取れたり、がんで通院すると日数に応じて給付金が受け取れたり、抗がん剤治療を受けると給付金が受け取れたりします。

女性疾病向けの特約には女性疾病給付特約・女性サポート給付金付がん診断給付特約があります。前者は女性特有の病気の他、女性に多い病気やがんで入院・手術・放射線治療をすると、主契約の給付金と別に給付金が受け取れます。後者は子供を出産するか不妊治療を受けると給付金が受け取れ、さらにがんと診断されても給付金が受け取れます。

介護向けの特約には終身介護保障特約・認知症一時金給付特則があります。前者は要介護2以上に認定されると死亡するまでか5年間だけ年金が受け取れます。後者は認知症と診断されると一時金(50~300万円)が受け取れます。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は性別・年齢・保険料払込期間・入院給付金額・特約の有無等で変動します。性別は男性より女性の方が保険料が安く、年齢は若いほど安くなります。保険料払込期間は終身が最も安く、次いで65歳満了が安く、60歳満了が最も高くなります。入院給付金額は高く設定するほど保険料も高くなり、特約は数多く付加するほどに高くなります。

30歳男性で終身払い・入院日額1万円・入院一時金特約と先進医療と保険料免除特約アリにすると、保険料は月額5395円となります。がんへの比重を重くして、がん一時金・抗がん剤特約アリにすると保険料は月額6739円に上昇します。また、30歳女性で前述のプランだと保険料は月額4758円ですが、女性特約を付けると保険料は月額9816円にほぼ倍増します。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の医療保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら10万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。

終身医療保険の20歳と30歳と40歳の保険料の比較一覧表(アクサ生命・JA共済・メットライフ・ソニー損保・大同生命・チューリッヒ・ネオファースト・第一生命・楽天生命・フコクしんらい生命・SBI生命・メディケア・損保ジャパン・イオンアリアンツ・アフラック・アクサのネット完結・オリックス生命・なないろ生命・FWD生命・マニュライフ生命・はなさく生命・明治安田生命・au・ライフネット生命・日本生命・富国生命・東京海上日動あんしん生命・太陽生命・全労済(こくみん共済Cop)・SOMPOひまわり生命・コープ共済・三井住友海上あいおい生命・大樹生命・住友生命・ニッセイウェルス生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料は他社と比較して高めです。先進医療特約や保険料払込免除特約等の特約を全て外しても、保険料は月額3170円のため他社より高いのは変わりません。

保険料でいえば、外資系のアクサ・メットライフ、さらにネット系のネオファースト・メディケアあたりの方が有利といえそうです。この保険には保険料の差を埋めるだけのメリットがあるのか、以下でメリットを記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずはリニューアルで追加された入院一時給付特約・保険料払込免除特約が挙げられます。入院一時給付特約は入院10日給付特則を付ければ不要とも考えられますが、両者を組み合わせれば日帰り入院でも入院日額1万円なら20万円が受け取れます。この額なら治療費に加えて生活費の補填にも充てられます。

さらに女性向けの特約では女性疾病給付特約は他社にもありますが、女性サポート給付金付ガン診断給付特約の保障内容は他社では見かけません。この特約を付加すると出産時には、1回目なら5万円、2回目なら15万円、3回目なら25万円が受け取れます。子供が2~3人は欲しい人には嬉しい内容です。その逆に不妊治療をしている人は1回あたり2.5~5万円が受け取れます。どちらにせよ出産による費用負担が軽減できます。

女性サポート給付金付ガン診断給付特約の保障内容(出典:三井住友あいおい生命 医療保険Aセレクト 商品パンフレット2022年11月版)

さらに、この特約にはがんの保障が付き、特約の保険期間が満了時には満了時給付金が受け取れます。満了時給付金の額は保険期間により50~100万円と差があり、女性サポート給付金を受け取るほどに減ります。特約の保険期間10年だと満了時給付金は50万円ですが、出産1回だけして5万円を受け取ると45.5万円になります。また、不妊治療5回で出産1回だと35.5万円になります。

介護向けの特約も他社には無いケースが多いです。この特約は要介護2に認定されると年金が受け取れ、さらに認知症で一時金が受け取れます。年金も5年確定年金(5年間は生死を問わず確実に年金が受け取れる)か終身年金(死亡するまで年金が受け取れる)かを選択できます。

終身介護保障特約の保障内容(出典:三井住友あいおい生命 医療保険Aセレクト 商品パンフレット2022年11月版)

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずは保険料が高い点が挙げられます。前述したように最小限の保障にしても他社よりも保険料は高いです。メリットである女性特約も付加すると保険料が倍近い額になってしまい、いくぶんかは満了時給付金で戻ってくるとはいえ経済的には負担感があります。他社にあるような健康状態による大幅な割引が無いのも痛いところです。

保障面にしてもがん以外の三大疾病の保障が入院が条件というデメリットがあります。入院なしだと受け取れるのは手術給付金だけとなります。他社には通院で治療した月毎に給付金が受け取れる保険があります。例えば心疾患でも急性心筋梗塞ではなく狭心症等だと、治療は手術までには至らないケースがあります。

また、先進医療は通算2000万円まで保障されますが、患者申出療養・自由診療だと通常の入院・手術給付金だけとなり不安感があります。がんで新薬(未承認薬・適応外薬)を使うとなると、国立がん研究センター「未承認・適応外の医薬品について」によると、未承認薬だと全体の80%が1ヶ月あたりの費用が100万円を超えます。抗がん剤特約で10万円を受け取っても不十分です。

治療方法別の医療費負担と新薬と費用(出典:ネオdeがんちりょう商品パンフレット2022年9月版及び厚労省「わが国の医療保険について」及び国立がん研究センター「未承認・適応外の医薬品について」)

ちなみにメリットに挙げた介護特約ですが、年金の受取条件が要介護2以上の認定が必要です。介護保険では要介護2以前の要介護1で年金が受け取れたり、その手前の要支援1~2の段階で一時金が受け取れます。この特約で介護保障を医療保険に付けられる点はメリットですが、その中身は本家の介護保険よりも優れたものではありません。

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評判・苦情

三井住友海上あいおい生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は20.7万件で前年度の20.9万件からほぼ横ばいでした。ただ、金額ベースでは新契約は10%以上の落ち込んでおり厳しい状況です。

契約数でいうと保険市場の医療保険の申込数ランキング2024でも、医療保険Aセレクトは25の保険の中で18位でした。さらに価格.comの医療保険の資料請求ランキングでも22位と下位です。一括見積もりをするような保険料を抑えたい人には人気が無いようです。

その一方で、生命保険協会の苦情数のデータでは、三井住友海上あいおい生命全体に寄せられた苦情数は1152件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の403万件で割った苦情率は0.02%で、契約者1000人のうち0.2件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多い中では苦情数は極めて少なく、苦情面で考えると顧客対応への評判は良さそうです。

さらに「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2024」でも、三井住友海上あいおい生命は24社中4位と上位でした。評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額と支払スピードですが、受取額と支払スピードの項目ではトップで、加入手続き・商品内容もトップ3に入っています。しかし、前述の保険料比較でも明らかとなったように保険料の項目では6位に順位を下げ、アフターフォローに至っては10位以下のため期待はできません。

三井住友海上あいおい生命の顧客満足度(出典:オリコン公式HP「三井住友海上あいおい生命 医療保険の評判・口コミ」)

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「給付金を受け取るための書類が多く面倒」「保険金請求のための書類が分かりにくい」「保険料が高い」「保障内容が古い」等の意見がありました。未だ書類でのやりとりが多いため煩雑だという意見が多めでした。

また、契約数とは反しますが、医療保険Aセレクト自体の専門家からの評価は悪くはありません。30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が調査対象の「FPが選んだオリコン終身型医療保険 ランキング2024」では、この保険は11つある保険の中で8位でした。下位ではありますが、12位以下の保険も相当にあるため普通の評価ともいえます。

終身型医療保険 総合ランキング(出典:オリコン公式HP「FPが選んだオリコン終身型医療保険 ランキング2024」)

以上のデータから考えると三井住友海上あいおい生命の評判は良さそうで、医療保険Aセレクトの評判も悪くはありません。三井住友海上あいおい生命の評判は全体での契約数からすると不安感がありますが、顧客満足度調査では上位にあり評判は良さそうです。保険自体については契約数が伸びていないのが気がかりですが、専門家からの評価は普通のため決して評判が悪いとは言い難いです。

総合評価・おすすめか?

結論としては、医療保険Aセレクトは微妙な保険です。保障内容には評価できる点がありますが、保険料は高く保障内容にも穴が見えます。女性特約等を魅力に感じて契約しようと考えている人は、デメリットについて把握した上で契約した方が賢明でしょう。

この保険以外で総合的に保障が充実した保険が欲しいなら、アフラック・チューリッヒ・メットライフあたりの医療保険を検討すべきでしょう。手厚い保障よりも保険料を重視するなら、アクサ生命・ネオファースト生命あたりの医療保険も候補になります。