FWD医療を比較・評価

FWD生命 FWD医療
オススメ度:
3
保険会社:
FWD生命
名称:
FWD医療
加入年齢:
0~85歳
保障期間:
終身
保障内容:
入院・手術等で給付金
特徴:
病気やケガに備える保障

FWD医療はFWD生命が2022年1月から募集・販売している保険です。それまで販売していた医療ベストゴールドから大幅にリニューアルされ、2022年12月には2つの特約(保障内容は後述)が新設されました。

それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の医療保険と比較していきます。

保障内容

この保険は入院給付金・手術給付金が主契約となり、他の保障は特約で付加することになります。入院給付金は日帰り入院から保障され、入院日数に応じて受け取れます。金額は自分で設定でき、給付の対象となる入院日数の上限も30日・60日・120日から設定できます。特定3大疾病入院無制限特則か特定8大疾病入院無制限特則を付けると、3大疾病か8大疾病での入院は給付日数を無制限にできます。

手術給付金は手術の他に、放射線治療・骨髄移植術・臓器移植術・骨髄幹細胞の採取術をしても受け取れます。主契約ではありますが、手術給付金1型を選択すると手術保障給付金を無しにできます。2型・3型は手術の種別によって給付金の額が異なり、3型が最も手厚くなっています。

FWD医療の主契約の保障内容(出典:FWD生命 FWD医療商品パンフレット2022年12月改訂版)

特約には入院一時金特約・先進医療特約・通院特約・女性特約・特定3大疾病特約・がん特約・抗がん剤特約・自由診療特約・生活支援特約・メンタル障害支援特約・特定3大疾病保険料払込免除特約等があります。入院一時金特約は入院した時に一時金が受け取れ、先進医療特約は先進医療を受けた時に技術料分の給付金が受け取れます。通院特約は通院した時、女性特約は女性特有の病気で入院・手術した時に給付金が受け取れます。

特定3大疾病特約は三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)で入院・手術をすると給付金が受け取れます。がんは再発した2回目以降は通院治療でも給付金が受け取れますが、1年に1回のため1年以内に再発すると給付金は受け取れません。がん特約は三大疾病ではなくがんだけが対象となります。抗がん剤特約はホルモン剤を含む抗がん剤を投与するために入院・通院すると給付金が受け取れます。

FWD医療の特約の保障内容(出典:FWD生命 FWD医療商品パンフレット2022年12月改訂版)

自由診療特約・特定3大疾病保険料払込免除特約は2022年12月に新設された特約です。自由診療特約は公的保険・先進医療の対象とならない抗がん剤(適応外・未承認薬)で治療をした時に3000万円まで保障されます。特定3大疾病保険料払込免除特約は1と2があり、2にすると心疾患・脳血管疾患でも1日以上の入院をすれば以後の保険料が免除されます。

生活支援特約は障害状態や要介護状態になった時に給付金が毎月受け取れます。メンタル障害支援特約も付けると、精神障害で3級に認定されると一時金が受け取れ、1~2級に認定されると給付金が24回(2年間)受け取れます。その他にもケガ・死亡を保障する特約もあります。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は性別・年齢・入院給付金額・特約の有無・優良体か標準体かで変動します。基本的に男性より女性の方が保険料が安く、年齢は若いほど安くなります。入院給付金額を高くするほど保険料は高くなり、特約を付けるほどに保険料は高くなります。

さらに一定条件を満たして優良体になると保険料は安くなり、条件を満たせないと標準体となり保険料が優良体より高くなります。優良体になるには4つの条件(25歳以上・過去15ヶ月に健康診断受診済み・血圧が最高140未満で最低90未満・肝機能のASTの数値が36U/L未満)を満たす必要があります。優良体にならないと保険料は1.4~1.5倍程度は高くなります。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の医療保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら10万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。

終身医療保険の20歳と30歳と40歳の保険料の比較一覧表(アクサ生命・JA共済・メットライフ・ソニー損保・大同生命・チューリッヒ・ネオファースト・第一生命・楽天生命・フコクしんらい生命・SBI生命・メディケア・損保ジャパン・イオンアリアンツ・アフラック・アクサのネット完結・オリックス生命・なないろ生命・FWD生命・マニュライフ生命・はなさく生命・明治安田生命・au・ライフネット生命・日本生命・富国生命・東京海上日動あんしん生命・太陽生命・全労済(こくみん共済Cop)・SOMPOひまわり生命・コープ共済・三井住友海上あいおい生命・大樹生命・住友生命・ニッセイウェルス生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料を他社と比較すると、平均か少し安めになっています。他社の高めの保険と比較すると半額に近いですが、この保険よりも月額で1000円以上安い保険もあります。外資系のアクサ・メットライフ、さらにネット系のネオファースト・メディケアあたりが最安値圏の保険です。この保険には保険料の差を埋めるだけのメリットがあるのか、以下でメリットを記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは最小限の保障内容にすれば保険料は相当に抑えられる点が挙げられます。他社の保険では必須の手術給付金を無しにして、入院給付金の限度日数も他社より短い30日(他社の多くは60日)にできます。30歳男性・入院日額5000円・30日型にすれば保険料は月額1319円となり、保障の薄さはさておき前述の保険料比較でも最安値圏に入り込めます。

その一方で特約のラインナップが充実しているため、自分好みの特約をつけた保険にもできます。多くの特約は他社にもあるため珍しくはありませんが、抗がん剤特約・自由診療抗がん剤特約は優先的に検討すべきでしょう。抗がん剤治療をする度に給付金が受け取れる抗がん剤特約は、がん保険では特に珍しい特約ではありません。しかし、医療保険で付加できるケースは多くはありません。

さらに全額自己負担となる抗がん剤に備えられる自由診療抗がん剤特約は、他社の医療保険ではカバーできない自由診療までカバーできます。他社の多くの医療保険は患者申出療養なら2000万円まで保障されますが、自由診療だと保障されません。この保険なら自由診療となる適応外薬・未承認薬でも保障されます。

自由診療抗がん剤特約の保障内容(出典:FWD生命 FWD医療商品パンフレット2022年12月改訂版)

生活支援特約・メンタル障害支援特約も検討の余地があります。生活支援特約は障害状態だけではなく要介護状態まで保障されるのがポイントです。年金が受け取れる条件は要介護1以上で、他社の要介護2~3よりも条件が緩めです。メンタル障害支援特約は年金を受け取るには精神保健福祉法の1~2級の認定が必要ですが、他社を見渡しても数少ない精神障害を保障する特約です。

その他に健康給付金特則も一応は検討しても良いかもしれません。この特約を付けて5年間のうちに10日以上の入院をしないと、入院給付金の10倍の健康給付金が受け取れます。30歳男性・入院日額5000円・30日型・手術2型だと保険料は1734円で、そのうち健康給付金特則の特約保険料は月額809円です。5年間で支払う特約保険料は48540円ですが、健康なら5万円が受け取れるため損はしません。

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずは保険料が最安値圏では無い点が挙げられます。前述した保険料比較でも最安値の保険とは月額1000円近い差があり、入院日額を他社の半額の5000円にしても最安値には及びません。そのためベースとなる保険料が他社よりも高めといえます。

保障面については多くの特約の保険期間は終身ですが、生活支援特約・メンタル特約の保険期間が長くても70歳で終了し、特定損傷特約も80歳で終了します。生活支援特約は70代になり要介護状態になるのが心配になる頃に保障が終了するため、あまり保険として意味を成さない可能性があります。

生活支援特約・メンタル特約の保障内容と保険期間(出典:FWD生命 FWD医療商品パンフレット2022年12月改訂版)

メリットで既述した自由診療抗がん剤治療特約は、保険期間5年で自動更新で99歳まで更新できます。更新する度に年齢に応じて特約分の保険料は値上がりしますが、30歳で特約保険料は360円、70歳でも390円、80歳でも420円のため負担感はありません。

ちなみに女性特約もありますが、保障内容は女性特有の疾病で入院・手術給付金が上乗せと乳房再建・外見ケアで給付金が受け取れるだけです。三井住友海上あいおい生命の女性特約だと、これらに加えて出産や出産前の不妊治療でも給付金が受け取れるため保障が手厚いです。

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評判・苦情

FWD生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は21.4万件で前年度の23.5万件から約9%の減少でした。ただ、その中でFWD医療が含まれる入院保障の保険の保有契約高は前年度から50%近く増加しており、契約数も堅調なことが伺えませす。そのため申込数・契約数等からすると評判は悪くありません。

契約数でいうと保険市場の医療保険の申込数ランキング2024でも、FWD医療は25の保険の中で11位と中間の順位にあります。さらに価格.comの医療保険の資料請求ランキングでも27の保険の中で14位とほぼ中間の順位です。一括見積もりをするような保険料を抑えたい人からの人気は普通そうです。

その一方で、生命保険協会の苦情数のデータでは、FWD生命全体に寄せられた苦情数は7647件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の96万件で割った苦情率は0.7%で、契約者1000人のうち7件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は悪いです。

さらに調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険代理店チャネル)」では、FWD生命は17社中14位でした。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、どの項目でも満足度は低いと言わざるを得ません。

JDパワー 2024年生命保険契約満足度調査 保険代理店チャネル(出典:JDパワー公式HP)

さらに「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2024」では、FWD生命は24社中22位と最下位近辺でした。評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額と支払スピードですが、どの個別項目でも10位以下で満足度は低いです。特に受取額と支払スピードは平均値との差が大きく出ていました。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「保険金の支払いまで時間がかかり過ぎ」「給付金を申請してから給付まで遅い」「いざという時の連作先が分かりにくい」「保険の対象となる手術が分かりにくい」等の意見がありました。全体の数値でも受取額とスピードの評価は低かったのですが、特にスピードに不満が集まっているようです。

ただし、30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が調査対象の「FPが選んだオリコン終身型医療保険 ランキング2024」では、この保険は11つある保険の中で4位でした。12位以下の保険も相当にあるため、トップ3には入っていないものの評価が高いです。

終身型医療保険 総合ランキング(出典:オリコン公式HP「FPが選んだオリコン終身型医療保険 ランキング2024」)

以上のデータから考えるとFWD生命の評判は悪そうですが、FWD医療の評判は良さそうです。FWD生命の評判については苦情面もすることながら、各社の顧客満足度調査で下位にあるため評判が良いとはいえません。その一方でFWD医療については契約数も堅調で専門家からの評価も高めのため評判は良さそうです。保険自体は良いものの、契約後の保険会社の対応にはストレスが生まれる可能性がありそうです。

総合評価・おすすめか?

結論としては、FWD医療は悪くない保険です。一部の特約には注意点がありますが、他社には無い特約もあり保険料も優秀な部類のため総合的には悪くない保険です。ただ、評判面では保険自体は良いものの保険会社への風当たりは強いため、このあたりを許容できるかが契約するかの焦点になりそうです。

この保険以外で総合的に保障が充実した保険が欲しいなら、アフラック・チューリッヒ・メットライフあたりの医療保険を検討すべきでしょう。手厚い保障よりも保険料を重視するなら、アクサ生命・ネオファースト生命あたりの医療保険も候補になります。