スーパー医療保険戻るんですを比較・評価

楽天生命 スーパー医療保険戻るんです
オススメ度:
1
保険会社:
楽天生命
名称:
スーパー医療保険戻るんです
加入年齢:
20~70歳
保障期間:
終身
保障内容:
入院・手術等で給付金
特徴:
使わなかった分の保険料が戻ってくる

スーパー医療保険戻るんですは楽天生命が2019年10月から募集・販売している保険です。所定の年齢(60~85歳)まで生存すると受け取れる健康還付給付金により、保険料が実質無料となる医療保険です。

この保険とは別に楽天生命にはスーパー医療保険という保険もありますが、そちらとは保障内容が異なるため注意が必要です。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の医療保険と比較していきます。

保障内容

この保険には基本プラン・がんプラン・三大疾病プランがありますが、あくまでオススメプラン(モデルプラン)のため必須の保障以外は自由に選択できます。必須となるのは入院日数に応じて入院給付金、手術時の手術給付金、先進医療医療を受けた時の先進医療給付金、放射線治療・骨髄ドナーになった時の給付金です。

スーパー医療保険戻るんですのプラン別の保障内容(出典:楽天生命公式HP「楽天生命スーパー医療保険 戻るんです[特徴]」)

その他の保障は、通院日数に応じて通院給付金が受け取れる通院特約、がんになると一時金が受け取れるがん特約、急性心筋梗塞・脳卒中になると一時金が受け取れる特約があります。さらに8疾病(がん・心疾患・脳血管疾患・糖尿病・高血圧性疾患・肝疾患・腎疾患・膵疾患)になると、入院給付金が受け取れる日数が120日または無制限(三大疾病のみ)に延長される特約もあります。

この保険の最大の特長は、所定の年齢(健康還付給付金支払基準日)まで生存すると支払った保険料の全額が健康還付給付金として戻ってくる点です。所定の年齢は保険を契約する年齢によって異なり、20~40歳で契約すると給付金が受け取れるのは60歳か70歳の選択制、41~50歳で契約すると給付金が受け取れるのは70歳となります。

スーパー医療保険戻るんですの健康還付給付金の仕組み(出典:楽天生命公式HP「楽天生命スーパー医療保険 戻るんです[特徴]」)

健康還付給付金支払基準日までに入院給付金等を受け取ると、健康還付給付金は受け取った給付金を差し引いた額となります。受け取ると健康還付給付金が減額される給付金は、入院給付金・手術給付金・骨髄ドナー給付金・放射線治療給付金です。また、支払った保険料から戻ってくるのは主契約の分で特約分の保険料は戻ってきません。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は性別・年齢・各給付金の額・選択したプラン(選択した保障内容)で変動します。年齢は高齢になるほど保険料は高くなり、各給付金の額を高くすると保険料も高くなります。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の医療保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら10万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。

終身医療保険の20歳と30歳と40歳の保険料の比較一覧表(アクサ生命・JA共済・メットライフ・ソニー損保・大同生命・チューリッヒ・ネオファースト・第一生命・楽天生命・フコクしんらい生命・SBI生命・メディケア・損保ジャパン・イオンアリアンツ・アフラック・アクサのネット完結・オリックス生命・なないろ生命・FWD生命・マニュライフ生命・はなさく生命・明治安田生命・au・ライフネット生命・日本生命・富国生命・東京海上日動あんしん生命・太陽生命・全労済(こくみん共済Cop)・SOMPOひまわり生命・コープ共済・三井住友海上あいおい生命・大樹生命・住友生命・ニッセイウェルス生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料は他社と比較して明らかに高いです。平均額の約2倍、最安値圏の保険料と比べると3倍近い金額となっています。いずれ保険料が戻ってくるにしても、30歳で毎月6550円、40歳で毎月8240円の保険料は結構な負担感があります。

また、この保険は60歳・70歳で健康還付給付金を受け取った後は、保障を継続するには保険料を支払い続ける必要があります。それを含めて考えると、全額戻ってくるというのは本当に得なのでしょうか。メリットを記述した後に、この点についてデメリットの箇所で記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは支払った保険料が戻ってくる(健康還付給付金が受け取れる)点が挙げられます。60歳(ないしは70歳)で健康還付給付金を受け取れば、契約から健康還付給付金を受け取るまでは保険料が実質無料で保障を確保できたことになります。

さらに保険料には楽天ポイントが付きます。保険の申込時に楽天IDと連携すると保険料の1%分にポイントが付き、保険料の支払いを楽天カードにすれば1%のポイントが付いて合計2%のポイントが付きます。保険料の全額が戻ってきて、保険料分の楽天ポイントも受け取れば無料で保障が受けられる上にポイントの分だけ得をすることになります。

楽天生命のポイントプログラム(出典:楽天生命公式HP「楽天生命スーパー医療保険[特徴]」)

また、この保険には解約返戻金があるのも見逃せません。他社のほぼ全ての保険には解約返戻金は無い(掛け捨ての保険)ため、解約すれば保障が消滅するだけです。この保険も解約すれば保障は消滅しますが、解約返戻金が受け取れます。もしも毎月の保険料が負担になって解約するにしても、いくらか支払った保険料は戻ってくるため保険料が完全に無駄とはなりません。

ちなみに楽天カードを現在保有している人、これから楽天カードを申し込んで保険に加入する人は、ゴールド会員ならがん保障を省くのも手かもしれません。楽天カードのゴールド・プラチナ・ダイヤモンド会員は、保険料無料でがんと診断時に5万円が受け取れる楽天ミニ保険に加入できます。5万円の見舞金は少額ではありますが、無料なら利用しない手は無いでしょう。

楽天カード会員だけの特典(出典:楽天生命公式HP「楽天ミニ保険がん保険をプレゼント」)

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずは死亡すると損する点が挙げられます。支払った保険料のうち責任準備金として同額が死亡時に受け取れますが、その額は支払った保険料総額を下回る可能性があります。そもそも定期保険・終身保険なら支払った保険料の数倍の保険金が受け取れるため、その意味でも損をするといえます。

また、メットライフ生命のリターンボーナスつき終身医療保険と異なり、健康還付給付金を受け取った後も保障を継続するには保険料を支払い続ける必要があります。健康還付給付金を受け取った時点で解約すれば保障は実質無料ですが、その後は他社より高い保険料を支払い続けるか他社の保険に加入する必要があります。

スーパー医療保険戻るんですの保険料(出典:楽天生命公式HP「楽天生命スーパー医療保険 戻るんです[特徴]」)

この保険を継続する場合、60歳まで保障が実質無料というメリットも薄れます。この保険に30歳男性が加入すると保険料は月額6550円で、60歳時に234万円の健康還付給付金が受け取れます。しかし、死亡する85歳まで保障を継続するなら60~85歳までの25年間で、196.5万円(6550円×12ヶ月×25年)を支払います。それに対してネオファースト生命で30歳から85歳まで加入すると、125.8万円(1907円×12月×55年)で済みます。

また、保障面が物足りない点もデメリットです。この保険の先進医療特約は患者申出療養・自由診療が保障外で、これらの治療で自己負担が1ヶ月あたり100万円を超えるケースに対応できません。三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)に関する保障も、がんは上皮内新生物だと給付金が半額に減額され、病気も心筋梗塞・急性脳梗塞に限定されます。抗がん剤特約・がん治療特約のように、継続的に治療を受けた月に給付金が受け取れる特約もありません。

保険料払込免除特約もつけられますが、病気・ケガで身体障害状態になるのが免除の条件となっています。他社の保険の中には、三大疾病もしくは八大疾病で入院すると保険料が免除される保険があります。メリットで既述した解約返戻金も、解約時期により支払った保険料の30~70%程度の金額に留まります。やはり健康還付給付金支払基準日まで解約を我慢しないと高い保険料の大半が無駄になります。

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評判・苦情

楽天生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は23.3万件で前年度の32.2万件から約28%減と不調でした。ただ、入院保障の保険の保有契約高は前年度から倍増しているため、申込数・契約数等からすると評判は悪くはありません。

ただし、契約数でいうと保険市場の医療保険の申込数ランキング2024では、スーパー医療保険戻るんですは25の保険の中で23位と最下位近辺です。スタンダードなスーパー医療保険も23位と申込み数は多くありません。価格.comの医療保険の資料請求ランキングでは27の保険のうち19位と似た順位です。保険料が戻るという仕組みに反して、保険料を抑えたい人からは不人気です。

また、生命保険協会の苦情数のデータでは、楽天生命全体に寄せられた苦情数は1515件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の48万件で割った苦情率は0.3%で、契約者1000人のうち3件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は普通です。

その一方で調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(ダイレクト部門)」では、楽天生命は8社中8位と最下位でした。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、どの項目でも満足度は低いと考えられます。7位とのポイント差も相当にあるため、相当に満足度が低いことが分かります。

JDパワー 2024年生命保険契約満足度調査 ダイレクト部門(出典:JDパワー公式HP)

その一方で「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2024」では、楽天生命は24社中4位と上位でした。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額と支払スピードですが、加入手続きは5位、保険料は4位、受取額と支払スピードは6位でした。JDパワーの調査とは正反対の結果のため、どちらが正しいのか判断が難しいです。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「ケガの告知をしたら3年ほど保障の対象外になった」「保険料が保障内容のわりに高い」「保障内容が複雑」「保険会社からの連絡・コミュニケーションが無い」等の意見がありました。ネット上での説明が分かりにくい(+アフターフォローが少ない)のが不満の原因となっていそうです。

以上のデータから考えると楽天生命の評判は少し悪い可能性があり、スーパー医療保険戻るんですの評判も悪い可能性があります。楽天生命の評判については調査で正反対の結果が出ています。良いとも悪いとも考えられますが、片方の調査が明らかに低評価のため少し評判が悪い可能性も考慮すべきです。保険自体の評判については契約数が減少しており、ネット上の問い合わせ数からしても評判が良いとはいえません。

総合評価・おすすめか?

結論としては、スーパー医療保険戻るんですはイマイチな保険です。メリットもありますが、その代償となるデメリットが相応にあります。結局は保険料を実質無料にして保障だけを得るという理屈は、どこかに落とし穴があるということです。

この保険ではなく他社の保険を検討したい人は、総合的に保障が充実した保険が欲しいならアフラック・チューリッヒあたりの医療保険を検討すべきでしょう。手厚い保障よりも保険料を重視するなら、アクサ生命・ネオファースト生命あたりの医療保険も候補になります。