アクサ生命 スマート・ケアを比較・評価

アクサ生命 スマート・ケア
オススメ度:
2
保険会社:
アクサ生命
名称:
スマート・ケア
加入年齢:
0~80歳
保障期間:
終身
保障内容:
入院・手術等で給付金
特徴:
一生涯保障の医療保険

スマート・ケアは2017年9月にアクサ生命が募集・販売を開始した保険です。販売開始から相当な年数が経過していますが、医療環境の変化に対応するべく特約が新設されてきました。2020年には認知症特約と外来手術に対応した特約を新設し、その後に患者申出療養に対応した特約も新設しました。

この保険の他にアクサ生命にはネット完結終身医療という保険もありますが、そちらとは保障内容等は異なる点に注意が必要です。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の医療保険と比較していきます。

保障内容

この保険は入院治療一時金・集中資料給付金・手術給付金・放射線治療給付金・通院治療給付金が主契約で、他の保障は特約のため自分で取捨選択します。主契約には各給付金の金額が異なるⅠ~Ⅲ型があり、Ⅲ型を選択すると通院治療給付金を無しにできます。

スマート・ケアの主契約の保障内容(出典:アクサ生命 医療治療保険 ご契約のしおり・約款2022年9月版)

入院治療一時金は1日以上の入院をすると受け取れます。金額は自分が設定した基本給付金額の2~10倍の額、基本給付金額1万円で10倍なら10万円となります。集中治療給付金は集中治療室管理を受けた時に受け取れ、金額は基本給付金額の50倍となります。・手術給付金は手術を受けると、手術の種類に応じて5~50倍の金額が受け取れます。放射線治療給付金は放射線治療を受けた時、通院治療給付金は通院時に受け取れます。

特約・特則には3大疾病保険料払込免除特則・3大疾病一時金特約・女性疾病特約・先進医療特約・介護終身保険特約・認知症特約・患者申出療養特約・入院給付特則・重症化予防特約・通院支援特約があります。三大疾病になると三大疾病一時金特約で一時金が受け取れ、3大疾病保険料払込免除特則で以後の保険料が免除されます。

女性疾病特約は女性特有の病気で給付金が上乗せされ、先進医療特約は先進医療を受けると技術料が2000万円まで保障されます。介護終身保険特約は要介護1以上に認定された時、認知症特約は認知症になった時、患者申出療養特約は患者申出療養を受けると給付金・一時金が受け取れます。

入院給付特則を付けると入院日数に応じて入院給付金が受け取れます。60日型にすると1回の入院で60日まで保障され、生活習慣病無制限型にすると生活習慣病なら日数無制限となり、メンタルプラス型だとメンタル疾患による一時金が付いてきます。重症化予防特約は6大疾病になると一時金が受け取れ、通院支援特約は通院や外来での手術をすると給付金が受け取れます。

▲ページの一番上に戻る

保険料を他社と比較

この保険の保険料は性別・年齢・入院給付金額・特約の有無で変動します。20~30代だと女性より男性の方が保険料が安く、40代だと男性の方が保険料が高くなります。入院給付金は5000円から高くするほど保険料が高くなり、特約を付ける数が増加するほど保険料が高くなります。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の医療保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら10万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。

終身医療保険の20歳と30歳と40歳の保険料の比較一覧表(アクサ生命・JA共済・メットライフ・ソニー損保・大同生命・チューリッヒ・ネオファースト・第一生命・楽天生命・フコクしんらい生命・SBI生命・メディケア・損保ジャパン・イオンアリアンツ・アフラック・アクサのネット完結・オリックス生命・なないろ生命・FWD生命・マニュライフ生命・はなさく生命・明治安田生命・au・ライフネット生命・日本生命・富国生命・東京海上日動あんしん生命・太陽生命・全労済(こくみん共済Cop)・SOMPOひまわり生命・コープ共済・三井住友海上あいおい生命・大樹生命・住友生命・ニッセイウェルス生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料は他社と比較して保険料は安いです。ただ、便宜上、この保険の保険料は入院日額5000であり、他社の大半の保険は入院日額1万円です。その分を勘案すると、保険料は安い部類には入るものの最安値ではない可能性が高いです。

ただ、保険料が比較的安いのは間違いなたいめ、何か特約を付けても保険料が大きな経済的な負担にはならなそうです。続いてメリットについて記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは特約が随時新設される点が挙げられます。販売開始から相当な年数が経過していますが、特約が新設されるため保険として陳腐化をしません。ここ数年で新設された特約では、認知症一時金特約と通院支援特約は他社では付加できないケースがあります。

認知症一時金特約は認知症と診断され要介護1以上に認定されると、一時金で50~150万円が受け取れます。他社には要介護2を条件とするケースがあるため1の差ですが有利です。通院支援特約は通常の通院給付金とは別に、退院時と外来での手術で基本給付金の5倍の額が受け取れます。

認知症一時金特約と通院支援特約の保障内容(出典:アクサ生命プレスリリース「認知症一時金特約を新設し、要介護1から保障」2020年9月17日)

さらに入院給付特則と患者申出療養特約も見逃せません。入院給付特則は既述の通り60日型・生活習慣病無制限型・メンタルプラス型がありますが、その中でもメンタルプラス型はメンタル疾患でも一時金が受け取れます。他社でストレス疾病をカバーするのはチューリッヒぐらいのため貴重な保障です。

患者申出療養特約は先進医療と同様に患者申出療養でも合計2000万円まで保障されます。先進医療と同様に患者申出療養も公的医療保険により3割負担とはならず自己負担となる費用があります。それが数百万円になるケースもあるため心強い特約だといえます。

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、保障面が微妙に物足りない点が挙げられます。メリットで既述した認知症一時金特約は、認知症の診断確定だけではなく要介護認定が必要です。他社では認知症の診断確定だけで一時金が受け取れる保険があります。

さらに先進医療特約・患者申出療養特約はありますが、この保険では自由診療が保障外となっています。自由診療となる治療は自己負担が1ヶ月あたり100万円を超えるケースもあります。また、多くの他社の保険は先進医療と患者申出療養の両方で2000万円まで保障しますが、この保険は患者申出療養は1回あたり1000万円(2回で2000万円まで保障)という形になっています。

治療方法別の医療費負担と新薬と費用(出典:ネオdeがんちりょう商品パンフレット2022年9月版及び厚労省「わが国の医療保険について」及び国立がん研究センター「未承認・適応外の医薬品について」)

三大疾病に関する保障も物足りません。一時金特約にしろ保険料払込免除特約にしても、対象となるのはがんは上皮内がんも含みますが、心臓・脳に関しては急性心筋梗塞・脳卒中に限定されています。他社では心疾患・脳血管疾患まで保障を広げているケースが多いです。他社の保険なら心筋梗塞三のなる前に狭心症で入院しても一時金・保険料免除となります。

ちなみに重症化予防特約で対象となるのは悪性新生物・糖尿病・急性心筋梗塞・脳血管疾患・肝硬変・慢性腎臓病の6つです。なぜか七大疾病(この保険に+高血圧性疾患)や八大疾病(この保険に+高血圧性疾患と慢性膵炎)ではありません。

▲ページの一番上に戻る

評判・苦情

アクサ生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は52.4万件で前年度の50.6万件から約3%の増加でした。この保険を含む入院保障の保険の保有契約高も増加しているため、申込数・契約数等からすると評判は悪くはありません。

しかし、契約数でいうと保険市場の医療保険の申込数ランキング2024では、アクサのスマートケアは25の保険の中で23位と下位に沈んでいます。同じアクサのネット完結終身医療が11位である点を考慮すると、契約数の伸びはネット完結型が牽引している可能性があります。

また、生命保険協会の苦情数のデータでは、アクサ生命全体に寄せられた苦情数は8043件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の305万件で割った苦情率は0.2%で、契約者1000人のうち2件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は普通です。

それに対して、調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険会社営業職員部門)」では、アクサ生命は14社中5位と上位でした。保険代理店部門では順位を上げて17社中2位と高い満足度になっています。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、どの項目でも満足度は高いと考えられます。

JDパワー 2024年生命保険契約満足度調査 保険会社営業職員部門(出典:JDパワー公式HP) JDパワー 2024年生命保険契約満足度調査 保険代理店チャネル(出典:JDパワー公式HP)

JDパワーの調査と異なり、「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2024」ではアクサ生命は24社中11位でした。評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額と支払スピードですが、保険料・アフターフォローが9位に入っていました。それ以外の項目は10位以下で、既述したように商品内容(保障内容)が乏しいのに不満な人がいるようです。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「診療明細書ではなく病院発行の証明書が必要で面倒」「給付金の請求がネットでできなかった」「手術給付金が他社より少ない気がする」等の意見がありました。いざ病気になり保険金を請求する際の手間へ不満が集まっているようです。

アクサ生命への評判は普通そうですが、スマートケア自体の専門家からの評価は低いです。30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が調査対象の「FPが選んだオリコン終身型医療保険 ランキング2024」では、この保険はランキング外でした。2020年にランキングに出たのを最後にランキング外が続いています。それも2020年時点でも16位と最下位に近い順位でした。

スマートケアの2020年時のランキング結果(出典:オリコン公式HP「FPが選んだオリコン定期型医療保険 ランキング2020」)

以上のデータから考えるとアクサ生命の評判は普通か少し良さそうですが、スマートケアについては微妙そうです。アクサ生命の評判については苦情面・各社の顧客満足度調査で平均か平均以上で、少なくとも大抵の保険会社よりは評判が良いでしょう。スマートケアの評判については契約数のみでの判断ですが、単体での数字が伸びていない点から特別に悪くはないものの微妙です。

総合評価・おすすめか?

結論としては、スマートケアは微妙な保険です。保険料の安さには期待が持て、保障も一通り揃っていて他社には無い保障もあります。しかし、保障には小さな落とし穴が散見され、保険料だけで判断すると痛い目を見る可能性がありそうです。よくデメリットは確認して契約した方が賢明です。

保険料重視ではなく総合的に保障が充実した保険が欲しいなら、アフラック・チューリッヒあたりの医療保険を検討すべきでしょう。この保険以外で保険料を重視するなら、同じアクサでもネット完結型の保険、他社ならネオファースト生命あたりの医療保険も候補になります。