メディカルVを比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 大樹生命
- 名称:
- メディカルV
- 加入年齢:
- 0~85歳
- 保障期間:
- 有期・終身
- 保障内容:
- 入院・手術等で給付金
- 特徴:
- 医療保障を準備したい方に
メディカルVは大樹生命の医療保障の特約を組み合わせたパッケージで、2023年6月に組み合わせる特約がリニューアルされました。リニューアルにより入院を日額保障だけではなく一時金保障が可能となり、がん保障や長期入院の保障も拡充されました。
また、保険料は健康診断を提出して条件を満たすことで割引される仕組みも採用されました。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の医療保険と比較していきます。
保障内容
この保険は、まずは医療一時金サポート特約と医療一時金サポート特約(がん治療α)のどちらかを選択する必要があります。医療一時金サポート特約だと入院日数が1日・30日・60日の各日数に達した時点で、総合入院サポート給付金が受け取れます。1回の最高で3回(保険期間を通じて60回)まで受け取れ、給付金額は最大30万円まで設定できます。
さらに手術時には手術給付金、放射線治療時には放射線治療給付金、骨髄ドナーとして骨髄幹細胞採取術をすると骨髄ドナー給付金が受け取れます。どの給付金も総合入院サポート給付金の20%の額となります。医療一時金サポート特約(がん治療α)を選択すると、これらの保障に加えてがん関連の保障が追加されます。
がん保障は抗がん剤治療給付金・がん疼痛緩和オピオイド給付金・乳房再建術給付金で構成されています。抗がん剤治療給付金は抗がん剤治療を受けた月に受け取れ、金額は総合入院サポート給付金の50%となります。がん疼痛緩和オピオイド給付金も疼痛緩和治療を受けた月に受け取れますが、金額は総合入院サポート給付金の20%となります。乳房再建術給付金を乳房再建術をした時に総合入院サポート給付金の20%が受け取れます。
まいにち医療サポート特約と先進医療特約はオプションで、自分で付加するか選択できます。まいにち医療サポート特約を付けると、がん・糖尿病・心疾患・脳血管疾患で入院すると入院日数に応じて入院給付金が受け取れます。先進医療特約を付けると先進医療をした時に2000万円まで保障されます。また、三大疾病(がんのみ診断確定)で手術するか、要介護2か身体障害1~3級になると保険料の支払いが免除される「楽々名人」という特約もあります。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は性別・年齢・給付金額・特約の有無で変動します。高齢になるほど保険料は高くなり、総合入院サポート給付金の額を上げるほど保険料は高くなります。保険期間が10年で満期を迎えて更新する有期型の方が保険料は安いのですが、有期型だと更新時の年齢に応じて保険料が高くなります。
また、この保険には健康自慢という保険料割引があり、保険料が10~20%ほど安くなります。この割引が適用されるには健康診断の結果を提出し、血圧・BMI(体格)・肝機能検査・尿検査等の数値が大樹生命の適正値の範囲内である必要があります。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の医療保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら10万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。
この保険の保険料は他社と比較して高い部類に入ります。便宜上、給付金額が1ヶ月あたり30万円のためやむを得ない感がありますが、仮に30万円ではなく10万円で保険料が3分の1になっても他社よりも高いです。健康自慢を利用しても割高感は拭えません。この保険としては、保険料面以外の点でメリットが欲しいところです。続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは健康自慢という保険料の割引がある点が挙げられます。かつては多かったのですが、昨今では他社を見渡しても健康状態によって保険料が割引されるケースは減少しています。この保険では血圧・BMI(体格)・肝機能検査・尿検査等の数値で10~20%の保険料割引があります。
保障面では入院すると入院日数に関わらず一時金が受け取れる点が挙げられます。昨今の入院日数短期化(+通院治療)の流れが進んでいます。生命保険文化センター「2022生活保障に関する調査」によると、7日以内の入院が全体の5割、30日以内が9割近くを占めています。この保険なら入院日数が短くてもまとまった一時金が受け取れ、仮に長期入院で30日を越えても30日目・60日目には再び一時金が受け取れます。
さらに、この保険は大樹セレクトの一種のため、上述の保障内容に無い特約を付けることも可能です。例えば「くらしエール」という特約を付けると、精神疾患を含む全ての病気で入院・在宅療養が30日以上継続すると、給付金が毎月受け取れます。受け取れるのは1年間だけですが、復職するまでの生活を収入面で支えられます。
また、地味ですが、死亡時に死亡返還金があるのもメリットです。医療一時金サポートがん治療αで給付金の5分の1の額が死亡返還金となり、まいにち医療サポートで入院5日分の額が死亡返還金となります。
デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、まずは保険料が高い点が挙げられます。健康自慢という保険料割引を利用して10~20%ほど保険料が安くなっても、前述した他社との保険料比較で明らかなように保険料に割高感があります。
保険料が割高でも総合入院サポート給付金で10万円を設定すれば、高額療養費制度の治療費の自己負担の上限である9万円に対応でき悪くないともいえます。しかし、この保険は公的医療保険が適用されない患者申出療養や自由診療が保障の対象外です。患者申出療養等になる適応外薬の自己負担額は月10~100万円、未承認薬なら月100万円以上となるケースが多いです。他社には先進医療と患者申出療養を2000万円まで保障する保険があります。
また、この保険は三大疾病に関する保障も薄いです。がん以外の三大疾病は受け取れるのは総合入院サポート給付金と手術給付金だけで、一時金や治療した月ごとに受け取れる給付金や、通院した日数に応じて受け取れる給付金はありません。
楽々名人(保険料払込免除特約)も三大疾病に限定され保障範囲が狭いです。ネオファースト生命なら三大疾病ではなく八大疾病まで幅広く保険料が免除されます。給付金が受け取れる入院日数の限度が無制限化される特約も、なぜか三大疾病と糖尿病に限定されています。こちらも他社なら七大疾病・八大疾病まで広げている保険があります。
評判・苦情
大樹生命の2023年の決算資料によると個人向け保険の新契約数は14.7万件で前年度の14.2万件から約3%の増加でした。ただ、前年度は前々年度から37%の減少をしており低空飛行が続いているともいえます。この保険を含む無配当保障セレクト保険の新契約件数は6.6万件で前年度から8%の減少しているため、申込数・契約数等からすると評判は良くはありません。
また、生命保険協会の苦情数のデータでは、大樹生命全体に寄せられた苦情数は4839件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の172万件で割った苦情率は0.2%で、契約者1000人のうち2件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は普通です。
その一方で、調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険会社営業職員部門)」では、大樹生命生命は14社中12位と下位に沈んでいました。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、どの項目でも満足度は低いと考えられます。
「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2024」でも大樹生命は24社中21位と下位でした。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額と支払スピードですが、かろうじてアフターフォローでは9位に入っているだけです。その他の項目は10位以下で満足度は低いようです。
個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「特約の組み合わせが分かりにくい」「それぞれの特約のメリット・デメリットの説明が分かりにくい」「保険料が他社よりも高い」「保険を見直したら保険料が大幅に上昇した」「書類の記入が面倒」「担当者と面談する日程が合わない」等の意見がありました。顧客満足度が下位だけあって満遍なく不満が見受けられます。
以上のデータから考えると大樹生命の評判は悪そうで、大樹セレクト(メディカルV含む)の評判も良くなさそうです。大樹生命の評判については苦情面では普通ですが、JDパワー・オリコンの調査の両方で満足度が低いため評判は悪そうです。保険自体の評判については契約数が伸び悩んでおり良いとはいえません。この保険がリリースされたのは2023年6月からのため、今後は増加する可能性はあるものの現段階では評判が良いとはいえません。
総合評価・おすすめか?
結論としては、メディカルVはイマイチな保険です。メリットもあるにはありますが、他社と比べると何とか搾り出した感は否めません。他社よりも明らかに優れた保障内容や無く、そのわりに保険料が安いわけでもありません。他社を押しのけてまで加入する理由はあまり見当たりません。
総合的に保障が充実した保険が欲しい人なら、東京海上あんしん生命・アフラック・チューリッヒあたりの医療保険を検討すべきでしょう。保険料を重視するなら、メットライフ生命・ネオファースト生命あたりの医療保険も候補になります。