ずっとあい終身医療を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- コープ共済
- 名称:
- ずっとあい終身医療
- 加入年齢:
- 0~70歳
- 保障期間:
- 終身
- 保障内容:
- 入院・手術で給付金
- 特徴:
- ずっと続く一生涯の医療保障
ずっとあい終身医療はコープ共済が2011年9月から募集・販売している共済です。販売開始から10年以上が経過しましたが、数年おきに改定して保障内容を改めています。直近では2024年9月に改定され、条件付加入制度に不妊治療(不妊症)が追加され、不妊治療中の人でも加入できるようになりました。
それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の医療保険と比較していきます。
保障内容
この共済の保障は入院給付金と手術給付金のみで非常にシンプルです。入院給付金は入院(日帰り入院を含む)をすると入院日数に応じて受け取れます。1日あたりの金額は60歳以下なら1万円が選択でき、61~70歳なら5000円が選択できます。また、30~70歳だと1日あたり3000円も選択できます。1回の入院あたり180日を限度に給付金が受け取れます。
手術給付金は手術をすると受け取れます。給付金額は入院給付金の5~40倍の幅があり、診療報酬点数に応じて決まります。診療報酬点数が高い手術(大掛かりな手術)になるほど倍率が高くなります。2022年9月までは他社と同じように手術の術式で倍率が決まっていましたが、改定により診療報酬点数連動式になり最低倍率も5倍になりました。
また、掛金(≒保険料)を支払っている最中に重度障害状態になった場合には、それ以後の掛金の支払いは免除されつつ保障は継続します。重度障害状態には両目の失明(障害等級1級)や両下肢を足関節異常で喪失(障害等級2級)等が該当します。
保険料を他社と比較
この共済の掛金は性別・年齢・入院給付金の額で変動します。基本的に女性より男性の方が保険料が高く、契約時の年齢が高齢になるほど掛金は高くなります。入院給付金は10000円コースが最も高く、次いで5000円コースが高く、最も安いのは3000円コースです。
次に掛金は他社より安いのか高いのか、下図で他社の医療保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら10万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。
この共済(入院日額1万円)の掛金は他社と比較して高い部類に入ります。この共済よりも安い保険は他社に無数にあり、その中には半額に近い保険もあります。この共済には後述するように割戻金がありますが、掛金に対して10~20%程度の割戻金では他社を逆転できません。掛金以外でメリットがあるのか、続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この共済のメリットは、まずは保障がシンプルな点が挙げられます。他社の保険では10以上の特約があることが多く、加入する前に1つ1つを吟味する必要があります。この保険は入院日額以外に決める要素は無く、加入までの時間・手間を大きく省けます。
細かい点では、入院給付金の限度日数が180日と長いのもメリットです。他社の多くの保険は60日か、30日・60日・120日の選択制です。この保険は180日まで保障されるため、他社では保障されない120日以上の長期入院になっても入院給付金が受け取れます。手術給付金も診療報酬点数に連動するため、手術の術式がよく分からなくても点数だけで自分が何円受け取れるのか分かります。
掛金は前述したように他社より高めですが、割戻金が7~9月に自分の口座に振り込まれます。割戻金はコープ共済の決算で余剰が出た場合に契約者に戻す剰余金です。決算次第では割り戻し金が必ず毎年あるわけではありませんが、大抵の年度では割戻金が出ています。
デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、保障が少ない点が挙げられます。先進医療特約も無いため同じコープの「たすけあい」か他社の保険と組み合わせる必要があります。ただでさえ高い保険料が、他の保険と組み合わせると一段と高い保険料となってしまいます。
また、入院給付金は未だに入院1日あたり何円のスタイルのままです。他社の保険は昨今の入院日数の短期化により5~10日分の給付金を入院日数1日でも日帰り入院でも受け取れる保険が増えています。メリットで既述した入院給付日数180日も、他社では三大疾病での入院なら無制限、八大疾病での入院なら無制限とする保険が多いです。
その他に通院の保障、三大疾病の保障、八大疾病の保障、女性疾病の保障、介護の保障、ケガの保障等々がありません。シンプルなのは良い点かもしれませんが、三大疾病になると一時金が受け取れたり、抗がん剤治療をすると治療した月には給付金が受け取れる保障ぐらいは欲しいところです。
また、この共済の保険料払込免除の条件が重度の障害状態であり他社よりも明らかに厳しいです。他社では三大疾病になったり、八大疾病で入院すると保険料が免除されます。何らかの病気になり再発に備えるために保障を継続させるには、病気中も回復後も掛金を支払い続ける必要があります。
評判・苦情
コープ共済の2023年度の決算資料によると、共済全体の加入者数は前年度の970万人から今年度は976万人に増加しています。直近5年間で見ても年々増加しており、2020年度の867万件から僅か3年で100万人も増えています。ずっとあい終身医療の加入者数も70万人で前年度から4万人増のため、契約数からすると評判は良いです。
次に苦情数のデータですが、全体に寄せられた苦情数は5971件(2023年度累計)でした。コープ共済への苦情は他の生命保険会社と異なり火災共済等も含むため、5971件が多いか少ないかは判断できません。一応、苦情を受けて、ぜんそくでも加入できるようにする等の改善はしているようです。
これらのデータは共済側が発表した数字のため客観的なデータが欲しいところです。しかし、J.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査」や「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2024」では残念ながら調査の対象外でした。。唯一、経産省・サービス産業生産性協議会の「2024年 JCSI日本版顧客満足度指数調査(第3回)」では調査対象となっています。この調査は10万人が調査対象となっているため信頼が置けます。
この調査では顧客期待・知覚品質・知覚価値・顧客満足・推奨意向・ロイヤリティが評価項目となっています。これらの評価でランキングした中で、コープ共済は生命保険で総合ランキングで2位でした。2021年から3年連続1位でしたが、2024年度は都道府県民共済に1位を譲る結果でした。とはいえ個別評価では顧客期待・知覚品質では依然として1位をキープしています。
以上のデータから考えるとコープ共済の評判も、ずっとあい終身医療の評判も良さそうです。コープ共済については契約数が伸びており、大規模調査でも長らくトップだったため評判は良いと考えられます。ずっとあい終身医療も契約数は伸びており評判は良さそうですが、いかんせん契約数だけでの判断のためデータ不足感はあります。
総合評価・おすすめか?
結論としては、ずっとあい終身医療はイマイチな共済です。メリットも何とか搾り出した感が否めず、それよりもデメリットの方が明らかに目立ちます。他の共済・保険の補完という使い方はありますが、それにしては掛金に負担感があるため難しいです。
他社の保険であれば、総合的に保障が充実した保険が欲しい人なら、アフラック・チューリッヒあたりの医療保険を検討すべきでしょう。保険料を重視するなら、メットライフ生命・ネオファースト生命あたりの医療保険も候補になります。