なないろメディカル礎を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- なないろ生命
- 名称:
- なないろメディカル礎(いしずえ)
- 加入年齢:
- 0~85歳
- 保障期間:
- 終身
- 保障内容:
- 入院・手術等で給付金
- 特徴:
- 入院も通院も三大疾病も一時金で保障
なないろメディカル礎はなないろ生命が2022年5月から募集・販売している保険です。2021年から販売していた「なないろメディカル」をバージョンアップし、自分で選べるオプション(特約)が一段と充実し、入院給付金の支払限度の拡大や手術給付金の倍率の拡大等も行われました。
さらに契約時の告知で2年以内の健康診断告知が業界で初めて撤廃され、健康に多少の不安があっても契約しやすくなりました。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の医療保険と比較していきます。
保障内容
この保険の基本保障は入院給付金・手術給付金・放射線治療給付金で、他の保障はオプションのため自分で付加するか選択できます。入院給付金は入院日数に応じて給付金が受け取れ、1回の入院あたり60日か120日を限度に給付金が受け取れます。
入院給付金の60日・120日という限度は3大疾病入院延長特則を付けると、3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)で入院した場合には無制限になります。8大疾病入院延長特則を付けると8大疾病(3大疾病+腎疾患・膵疾患・肝疾患・糖尿病・高血圧性疾患)で入院した場合には無制限になります。
手術給付金・放射線治療給付金は手術か放射線治療をした時に受け取れます。給付金額は手術の種別によって入院給付金に掛ける給付倍率が異なります。手術2型にすると入院中の手術は一律で入院給付金の10倍で、外来手術は5倍になります。手術1型にすると三大疾病の手術は入院給付金の20倍、さらに身体への負担が大きい開頭術等の手術だと60倍になります。放射線治療は1型でも2型でも一律で10倍です。
これらの基本保障を補完する代表的な特約として、入院一時金特約と通院一時金特約があります。基本保障だけでは日帰り入院等の短期入院や外来手術(+通院治療)という治療方法になると、受け取れる給付金額が少額になってしまいます。入院一時金特約を付けると日帰り入院を含む1回の入院につき1~20万円の一時金が受け取れ、通院一時金特約を付けると退院後に通院すると1~5万円が受け取れます。
その他に特約は10以上の選択肢があり、大まかに分けると先進医療と患者申出療養の特約・女性疾病の特約・がんと三大疾病の特約・骨折の特約・死亡の特約があります。先進医療と患者申出療養の特約は、これらの公的医療保険が適用されない治療をすると2000万円まで技術料が保障されます。女性疾病の特約は女性特有の病気(子宮頚がん等)になると、入院時には日数に応じた給付金か1回限りの一時金が受け取れ、手術・通院をしても一時金が受け取れます。
がんと三大疾病の特約は、がんの治療を受けた月ごとに給付金が受け取れたり、がんで入院して差額ベッド代が発生した場合に給付金が受け取れる特約があります。がんと診断されると一時金が受け取れる特約、がんを含む三大疾病になると一時金が受け取れる特約、三大疾病になると保険料が免除される特約があります。また、骨折すると給付金が受け取れる骨折診断特約、死亡すると保険金が受け取れる終身死亡特約もあります。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は性別・年齢・入院給付金額・特則と特約の有無で変動します。特に保険料が上昇しやすいのは特約の有無で、当然ながら特約の数を増やす程に保険料は高くなります。特約の中でも特定疾病払込免除特約・がん治療特約・がん診断一時金特約・三大疾病一時金特約は保険料の上がり幅が大きめです。
30歳男性で特定疾病払込免除特約を付けると保険料は月額700円ほど上昇します。がん治療特約は給付金額によりますが、月額5万円で400円、月額20万円で1400円ほど上昇します。がん診断一時金特約も一時金額によりますが、一時金30万円で800円、100万円で2500円ほど上昇します。がんだけではなく三大疾病一時金特約に広げると、一時金30万円で1100円、100万円で3000円ほど上昇します。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の医療保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら10万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。
この保険の保険料は他社と比較して平均か少し安い部類に入ります。他社の保険料が高い保険の半額ですが、最安値圏の保険とは月額500円程度の差があります。この保険よりも保険が安い保険はメットライフ・ネオファースト・チューリッヒと複数あります。
とはいえ保険料は安めのため、多少は特約を付けても経済的な負担感は無さそうです。保険料に特にメリットになるであろう特約、特約以外のメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは特約が充実しており自分好みの保険にできる点が挙げられます。特約の組み合わせ次第では、病気を問わず入院・通院を強化した保険、女性特有の病気とがんに備えた保険、三大疾病に手厚い保険にすることが可能です。複数の特約を組み合わせて、自分の特に心配なことに保障を集中できます。
どの保障に集中させるか迷っている人なら、特約の中で特に優先したいのは先進医療患者申出療養特約・がん治療給付金特約・特定疾病保険料払込免除特約の3つです。他社では含まれないケースがある患者申出療養まで2000万円までカバーする先進医療患者申出療養特約は必須でしょう。この2つ以外に治療費が全額自己負担となる自由診療までカバーできるがん治療給付金特約も欠かせません。
また、あまり他社には無い特約として、がん差額ベッド給付金が挙げられます。差額ベッド代は治療費の負担増の要因として話題にあがることが多く、それを直接保障する特約は話題のわりにはあまり見かけません。さらに特定疾病保険料払込免除特約は三大疾病以外になると保険料が免除されますが、その他に21日以上の継続入院と手術をしても保険料の支払いが免除されます。この条件は病気が限定されていないのがポイントです。
ちなみに女性疾病の特約は名称こそ平凡ですが、子宮・卵巣に関連した女性特有の病気以外に女性に多い病気や妊娠・出産にかかわる病気や症状まで対象となる点で優れています。女性に多い病気では鉄欠乏性貧血・リウマチ・メニエール病等々が含まれています。妊娠・出産にかかわる病気や症状では切迫早産・子宮外妊娠・帝王切開等々が含まれています。
デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、まずは保障選びが面倒という点が挙げられます。基本保障を除くと14の特約があり、男性で女性疾病の特約を除いても10の特約があります。その1つ1つを自分で確認する必要があり、不明点があったり迷いがあれば電話相談か対面相談で手間と時間を使うことになります。
特約については、がん以外は入院給付金か一時金で済まされるケースが多い点も見逃せません。がん以外で通院治療のために通院しても通院日数に応じた給付金は受け取れません。また、がん以外で治療を受けた月ごとに給付金を受け取れる特約はありません。
がん治療特約も治療した月ごとに給付金が受け取れ、自由診療も保障される点で他社より優れています。しかし、がんで新薬(未承認薬・適応外薬)を使うとなると、国立がん研究センター「未承認・適応外の医薬品について」によると1ヶ月あたりの費用が100万円を超えます。この保険で給付金を月額20万円に設定しても、自由診療で2倍になっても40万円で不足感があります。他社では東京海上だと自由診療で1億円まで保障されます。
また、他社を見渡すと、SOMPOひまわり生命なら七大疾病になると60歳まで年金が毎月受け取れる特約、チューリッヒではストレス性疾病をカバーする特約、三井住友海上あいおい生命では出産前の不妊治療でも給付金が受け取れる特約があります。この保険は特約は揃っているものの差額ベッド以外ではオリジナリティが少し薄いともいえます。
評判・苦情
なないろ生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は24.8万件で前年度の20.0万件から約24%の増加でした。堅調ではありますが、前年度が前々年度から3倍になっている点からすると失速感があります。とはいえ、この保険を含む入院保障の保険の保有契約高も増加しているため、申込数・契約数等からすると評判は悪くありません。
ただ、契約数でいうと保険市場の医療保険の申込数ランキング2024では、なないろメディカル礎は25の保険の中で6位と上位です。価格.comの医療保険の資料請求ランキングでは14位まで順位を下げますが、保険料を抑えたい人からは一定の人気があるようです。
また、生命保険協会の苦情数のデータでは、なないろ生命全体に寄せられた苦情数は310件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の51万件で割った苦情率は0.06%で、契約者1000人のうち0.6件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は良いです。
さらに調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険代理店部門)」では、なないろ生命は14社中9位でした。9位というと微妙な順位ですが、平均値は上回っているため普通以上の顧客満足度はあります。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、どの項目でも満足度は一定程度はあると考えられます。
ただ、「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2024」では調査対象企業でありながら、なないろ生命はランキング外でした。評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額と支払スピードですが、どの項目も満足度が低い可能性があります。とはいえサンプル数不足でランキング外となった可能性があります。
それを示すかのように同じオリコンの30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が調査対象の「FPが選んだオリコン終身型医療保険 ランキング2024」では、なないろメディカル礎は11つある保険の中で3位でした。専門家からは非常に高い評価を得ているのが分かります。
以上のデータから考えると、なないろ生命の評判は普通よりも良さそうで、なないろメディカル礎の評判は良さそうです。なないろ生命の評判については新契約数こそ伸び悩んでいますが、苦情数も各社の顧客満足度調査は少なくとも平均以上ではあります。なないろメディカル礎の評判については契約数は伸び悩んでいますが、資料請求数は多めで専門家からの評価は高いため評判は良さそうです。
総合評価・おすすめか?
結論としては、なないろメディカル礎は悪くはない保険です。一部の特約には注意点があり保険料でも物足りなさがありますが、総合的には悪くない保険です。評判面でも特に悪い面が無いため、加入前の不安を消せそうです。
この保険以外で総合的に保障が充実した保険が欲しいなら、アフラック・チューリッヒあたりの医療保険を検討すべきでしょう。手厚い保障よりも保険料を重視するなら、アクサ生命・ネオファースト生命あたりの医療保険も候補になります。