キュア・レディ・ネクストを比較・評価

- オススメ度:
- 保険会社:
- オリックス生命
- 名称:
- キュア・レディ・ネクスト
- 加入年齢:
- 20~80歳
- 保障期間:
- 終身
- 保障内容:
- 入院・手術で給付金
- 特徴:
- 女性特有の病気・すべてのがんに手厚い
キュア・レディ・ネクストは2022年4月にオリックス生命が募集・販売を開始した保険です。以前のキュア・レディをリニューアルした保険で、三大疾病の範囲の拡大・死亡保障の追加などが実施されました。
また、オリックス生命には女性専用ではないキュア・ネクストもあります。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の女性向けの保険と比較していきます。
保障内容
この保険は入院給付金・手術給付金が主契約で、入院時・手術時に給付金が受け取れます。入院給付金の額は5000円・7500円・10000円から選択でき、女性特有の病気・がんで入院すると入院1日あたり5000円が上乗せされます。女性特有の病気は子宮内膜症等が含まれ、がんは女性特有の卵巣がん等だけではなく胃がん等の一般的ながんも含まれます。
また、入院給付金が受け取れるのは1回の入院あたり60日までですが、七大生活習慣病入院給付特則を付けると60日以上の入院も給付の対象となります。七大生活習慣病入院給付特則(三大疾病無制限型)だと三大疾病は無制限で、糖尿病・肝硬変等の他の生活習慣病は120日まで保障されます。七大疾病無制限型だと七大疾病は支払日数が無制限となります。

手術給付金は入院を伴う手術なら、手術1回あたり入院給付金の20倍の額が受け取れます。入院せず外来での手術だと手術1回あたり入院給付金の5倍の額となります。あくまで主契約の入院給付金の額がベースとなるため、子宮がん等の女性特有のがんでも、上乗せされる前の額の5倍または20倍の額となります。
主契約以外の保障(特約)には、入院一時金特約・先進医療特約・通院治療支援特約・終身保険特約・特定三疾病一時金特約・がん一時金特約・がん通院特約・特定三疾病保険料払込免除特約等があります。入院一時金特約は入院した時、特定三疾病一時金特約は三大疾病で入院・手術した時、がん一時金はがんと診断された時、終身保険特約は死亡した時、通院治療支援特約は退院した時、先進医療特約は先進医療を受けると一時金が受け取れます。
特定三疾病保険料払込免除特約は、三大疾病になると保険料の支払いが免除されます。がんの場合は診断確定された時、心疾患・脳血管疾患は入院または手術をした時に保険料が免除されます。心疾患には急性心筋梗塞以外の狭心症等も含まれ、脳血管疾患には脳卒中の他に高圧性脳症等も含まれます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は年齢・入院給付金日額・保険料払込期間・特約と特則の有無等で変動します。契約時に高齢なほど保険料は高くなり、入院給付金日額は5000円より7500円、7500円より1万円の方が保険料が高いです。また、特約・特則により保障内容を拡充・拡大するほど保険料は高くなります。

上図のベーシック・プランとプレミアムプランの差は特定三疾病一時金特約と入院一時金特約の有無ですが、その2つの特約を付けるだけで保険料は30歳で月額5000円ほどの差があります。また、保険料払込期間が短いほど保険料は高くなり、60歳で保険料を支払い終える60歳払済よりも死亡するまで保険料を支払う終身払いの方が安いです。60歳払済と終身払のどちらが支払う保険料の合計額が安くなるかは、いつ死亡・解約するかで異なります。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の女性向け保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は5000円で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。

この保険の保険料を他社と比較すると平均か少し安い部類に入ります。オリックスと同じような保障の他社の保険の中では、アクサ・SOMPOひまわり生命等よりは明らかに安いです。その一方で、はなさく生命・ライフネット生命よりは数百円の差ですが高いです。保険料は決定的な要素にはならなそうですが、保険料以外でメリットがあるのか続いてメリットを記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは女性入院特約が付いている点が挙げられます。子宮・卵巣・甲状腺の病気の他に帝王切開・子宮外妊娠、さらに妊娠前の不妊治療のための入院も給付金上乗せの対象となっています。さらに女性入院特約にはがんが含まれている点もメリットです。こちらは女性特有か否かは無関係で、胃がん・大腸がん等でも給付金が上乗せされます。
さらに他社よりも特約が充実しているのもメリットでしょう。がん・三大疾病で一時金が受け取れたり、抗がん剤治療等で通院する度に給付金が受け取れる特約(がん通院特約)もあります。終身保険特約が付けられるのもレアケースです。保険金額は最高400万円まで設定でき、終身保険・定期保険に加入しなくても金額的には十分な人も多いでしょう。特約で付ければ別途で保険に加入する手間を省けます。

また、リニューアルにより三大疾病のうち、がんは悪性新生物だけではなく上皮内新生物も対象となりました。心臓については急性心筋梗塞で労働制限60日・手術が条件だったのが、急性心筋梗塞以外の心疾患も保障され、労働制限60日・手術ではなく入院・手術が条件となりました。脳については脳血管疾患も保障され、後遺症60日ではなく入院・手術が条件となりました。
この改定により三大疾病で一時金が受け取れる可能性が非常に高くなりました。さらに三大疾病保険料払込免除特約は、他社では上皮内新生物を含まなかったり、急性心筋梗塞・脳卒中に限る保険が多数あります。三大疾病(もしくは前段階の疾病)になると保険料の支払いが免除される可能性も他社より高いといえます。
デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、まずは女性疾病に関する保障が他社より薄い点が挙げられます。あくまで入院しないと給付金が上乗せされないため、女性疾病(子宮内膜症等)で外来で治療をすると手術でない限り給付金が受け取れません。手術にしても女性疾病での手術でも給付金が上乗せされません。アクサ生命・なないろ生命では、女性疾病での手術は入院給付金の5~100倍の手術給付金が受け取れます。乳がん後の乳房再建術でも40倍~無制限と手厚いです。
不妊治療の保障にしても入院・手術をしない限り給付金は受け取れません。アクサ生命なら体外受精・顕微授精の治療過程での採卵・胚移植で手術給付金が受け取れ、三井住友海上あいおい生命の医療保険Aセレクトなら不妊治療給付金は12回まで受け取れます。さらに無事に出産すれば出産給付金も受け取れ、1人目は5万円、2人目は15万円と増額されます。
また、他社には高齢になった時のための介護保障や認知症保障が特約で付けられる保険もあります。この保険では通院保障はがん限定ですが、他社の保険ならがん以外の病気でも手術後の通院なら保障される保険があります。用意されている特約の数は多いものの、他社と比べて細かい点で保障が見劣りします。
評判・苦情
オリックス生命の2024年の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は20.0万件で前年度の27.6万件から約28%の減少でした。入院保障の保険の保有契約高も前年度から減少しているため、申込数・契約数等からすると評判は良くありません。
しかし、契約数でいうと保険市場の女性保険の申込数ランキング2025(3月版)では、キュア・レディ・ネクストは5位でした。ただ、ネット申込の全年代でのランクインで、資料請求でのランキングや20代・30代・40代の個別の年代ではランクインしていません。やはり全体の契約数が示すように人気が微妙なのかもしれません。

また、生命保険協会の苦情数のデータでは、オリックス生命全体に寄せられた苦情数は1.5万件(2024年度上半期実績)でした。総顧客数の482万件で割った苦情率は0.3%で、契約者1000人のうち3件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は普通です。
さらに調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険代理店チャネル)」では、オリックス生命は17社中12位でした。平均値に近い位置にあり、苦情率同様に普通に近い顧客満足度といえます。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、満足度は平均に近く中の下といった感じです。


さらに「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2025」でもオリックス生命は24社中13位と中間に近い順位でした。評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォロー・受取額と支払スピードですが、加入手続きは10位で商品内容は9位でした。それ以外の項目は10位以下で顧客の満足度は低いといえます。
個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「コールセンターが問い合わせに対応できていない」「保険金・給付金に対して保険料が割高」「給付金を受け取るまでの時間が長い」「立て続けの手術だと医師の診断書が必要」等の意見がありました。給付金を請求・受け取るまで、保険料に関して不満が集まっているようです。
オリコンでのオリックス生命への評判は普通の範疇ですが、キュア・レディ・ネクスト(キュア・ネクスト)自体の専門家からの評価は低いです。30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が調査対象の「FPが選んだオリコン終身型医療保険 ランキング2025」では、この保険はランキング外でした。2024年のランキングには出ていますが、2024年時点でも11社中で10位とほぼ最下位でした。

以上のデータから考えるとオリックス生命の評判は普通そうですが、キュア・レディ・ネクストの評判は良くはなさそうです。オリックス生命の評判については、各種調査で顧客満足度は平均に近いため悪くはないでしょう。その一方でキュア・レディ・ネクスト自体の評判は、契約数が伸びておらず専門家からの評価も低いため、あまり評判が良いとはいえないでしょう。
総合評価・おすすめか?
結論としては、キュア・レディ・ネクストは微妙な保険です。保険料は安めですが、その分なのか保障内容には物足りなさがあります。それも肝心の女性疾病についての保障が明らかに他社よりも見劣りするため、保険料を重視する人以外は他社の女性向けの保険も検討した方が良いでしょう。
この保険以外で他社となると、保険料を重視するならはなさく生命あたりが候補になります。保障も重視するならチューリッヒ生命・なないろ生命あたりの女性向け医療保険も検討すると良いでしょう。