はぐくむ子育て保険ボヤージュを比較・評価

アフラック少額短期保険 はぐくむ子育て保険ボヤージュ
オススメ度:
1
保険会社:
アフラック少額短期保険
名称:
はぐくむ子育て保険ボヤージュ
加入年齢:
18~45歳
保障期間:
1年間
保障内容:
妊娠・出産に伴う病気で給付金
特徴:
妊娠中のママの保険です

はぐくむ子育て保険ボヤージュはアフラック少額短期保険が募集・販売している保険です。アフラック少額短期保険は、アフラックの100%子会社だったSUDACHI少額短期保険が2024年4月に社名変更して誕生しました。

同社は基本的に本体であるアフラック生命保険の保険を補完し、ラインナップを充実させる保険を販売しています。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の女性向けの保険と比較していきます。

保障内容

この保険は母子保障プランと子ども保障プランがあり、前者は母と子供に保障があり、後者は子供にのみ保障があります。母子保障プランには「母・入院保障充実コース」「母・入院給付金増額コース」「基本コース」の3つのコースがあり、契約から2年目・3年目には保障内容が変化します。

ボヤージュの1~3年目のコース遷移(出典:アフラック少額短期保険公式HP「アフラック少短のはぐくむ子育て保険 ボヤージュ」)

契約時に入院保障充実コース・入院給付金増額コースを選択した人は、2年目は入院給付金増額コースになり、3年目には子供保障プランの充実コースかシンプルコースを選べます。契約時に基本コースを選択した人は、2年目も基本コースとなり、3年目には子供保障プランの充実コースかシンプルコースを選べます。

契約1年目の入院保障充実コース・入院給付金増額コース・基本コースの保障内容は共通で、母の保障の給付金額が異なるだけです。母向けの給付金は妊娠・出産に伴う病気と出産の後遺症で受け取れます。妊娠・出産後特定疾病入院給付金は10日以上の入院をした場合に、それまでの入院日数分だけ受け取れます。10日未満の入院の場合には妊娠・出産後特定疾病入院一時金が受け取れます。

コース別の妊娠・出産後特定疾病入院給付金と入院一時金の給付金額(出典:アフラック少額短期保険公式HP「アフラック少短のはぐくむ子育て保険 ボヤージュ」)

契約2年目には入院給付金増額コース・基本コースになりますが、こちらも保障内容は同じで母の保障の給付金が異なるだけです。保障内容は出産後の後遺症のみで、5日以上の入院をした場合に日数分の入院給付金が受け取れます。契約3年目には母の保障は消滅し、子供の保障のみとなります。子供の保障はがん保障(診断給付金・入院と通院給付金)と小児慢性特定疾患の保障(治療一時金と入院一時金)があり、これらの保障は2年目から発生しています。

子ども保障プランにすると「充実コース」「シンプルコース」「ケガ保障コース」の3つがあり、基本的に同じコースで2年目・3年目も更新されますが、更新時のみコースの変更が可能です。充実コース・シンプルコースはがん保障(診断給付金・入院と通院給付金)と小児慢性特定疾病の保障(治療一時金と入院一時金)は同一で、ケガの保障があるか否かの違いだけです。

ケガの保障は骨折・脱臼・腱の断裂等をすると受け取れる特定損傷給付金と、不慮の事故で通院すると日数に応じて受け取れる災害通院給付金があります。ケガ保障コースだとがん・小児慢性特定疾患の保障はなく、ケガ・不慮の事故による通院の保障があるだけです。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は年齢・プラン・コースで変動します。年齢が高くなるほど保険料も高くなり、母子保障プランの方が子ども保障プランよりも保険料が高いです。さらにコースは入院保障充実コースが最も高く、次いで乳給付金増額コース、一番安いのは基本コースとなります。

ボヤージュの母子保障プランの保険料一覧表(出典:アフラック少額短期保険公式HP「アフラック少短のはぐくむ子育て保険 ボヤージュ」)

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社の女性向け保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は5000円で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。

女性保険(女性向け医療保険・出産保険など)の20歳と30歳と40歳の保険料の比較一覧表(アクサ生命・メディケア生命・はなさく生命・ニッセイプラス少短・アフラック少短・日本生命・太陽生命・SOMPOひまわり生命・アメリカンホーム保険・楽天生命・チューリッヒ生命・なないろ生命・ライフネット生命・オリックス生命・)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の基本コースの保険料は他社より安い部類に入りますが、他のコースだと他社よりも高い保険料となっています。基本コースは他社より安めとはいえ、この保険は1年契約のため1年毎に年齢に応じて保険料が上昇します。そのため長期での契約を前提とすると保険料は高いともいえます。さらに他社の多くの保険は妊娠・出産ではなく女性疾病による入院・手術に主眼を置いた保険のため、横並びで比較するのはフェアではない感もあります。

メリット

この保険のメリットは、まずは妊娠・出産に伴う病気と産後の後遺症の保障がある点が挙げられます。妊娠・出産に関しては帝王切開の他に、分娩の合併症や妊娠に関する母体障害が保障されます。産後では産褥(妊娠前の体の状態に戻るまでの期間)での精神・行動の障害が追加され、産後うつ等が保障となります。

保障の対象となる妊娠・出産時特定疾病(出典:アフラック少短「特別医療保障保険 普通保険約款・特約条項」2024年3月19日版)

さらに子供の保障では小児がん・小児慢性特定疾患の保障があります。他社には母親側だけ保障がある保険が大半の中で、この保険は子供にも保障があります。子供にはケガ保障コースもあるため、がん等ではなく子供が元気過ぎてケガをした場合の備えにもなります。

ちなみにアフラック少短には子育て関連の各種サービスの特典があります。基本的に保険未加入者でも利用できるものが多いのですが、登録者特典があるサービスがあります。例えば保育園留学サービスでは2000円割引、出張シェフサービスの2500円割引、家事代行サービスの5%割引、フォトリ(プロカメラマンの出張撮影)では無料のお試し撮影会の特典があります。

はぐくむ子育てサービスについて(出典:アフラック少短公式HP「はぐくむ子育てサービス)

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずはコース選択と保障内容が分かりにくい点が挙げられます。この保険のコンセプトが妊娠中・出産・産後の各過程で必要となる保障で構成される点にあるとはいえ、この保障内容を初見で一読しただけで理解するのは困難でしょう。さらに保険期間が1年のため1年ごとの更新時に保険料が上昇します。更新するにも契約可能な年齢が45歳までのため、どれだけ保障を引き伸ばしても満46歳になると保障は終了します。

保障面では妊娠出産後特定疾病入院給付金は10日以上の入院が必須となる点もデメリットです。昨今では入院日数が短期化している傾向にあり、10日以上の入院となるとハードルが高いです。入院1回あたりで受け取れる入院一時金だけになる可能性が高いです。2年目には5日以上の入院が保障されますが、その代わりに入院一時金が消滅します。どうにも保障が渋い感が否めません。

コース別の妊娠・出産後特定疾病入院給付金と入院一時金の給付金額(出典:アフラック少額短期保険公式HP「アフラック少短のはぐくむ子育て保険 ボヤージュ」)

子供の保障はがん・小児慢性特定疾患の保障は共に一時金のため入院日数は関係ありません。ただ、そもそも子供の病気・ケガには補助が出る自治体が多いです。自治体によっては中学生・高校生までは医療費が無料となります。自分が住んでいる自治体の補助を確認して、補助が薄いようなら検討すべき保障といえます。

さらに妊娠・出産・子供の保障を除いて他の病気の保障が無いののもデメリットでしょう。保障が絞られているのは悪いことでありませんが、受け取りにくい1~2万円の給付金のために手間をかけて契約すべき保険なのか少し疑問が残ります。

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評判・苦情

アフラック少短の2024年の決算資料によると、保険会社の売上を示す正味収入保険は9737万円で前年度から1.5倍に増加しました。医療保険も1.5倍に伸びているため着実に契約者は増加しています。とはいえ、そもそもの数字が小さいため抜群に人気があるとは言い難いです。

また、2023年度に同社には31件の苦情が寄せられていました。その中で大半を占めたのが「新規加入がWEB限定である点」でした。この保険を含めて代理店で紹介されたとしても、その場ではなくWEBで別途で加入するといった手間があるのかもしれません。保険金・給付金の支払対象外だったことへの不満、申込サイトの利便性についての不満もあったようです。

2023年度に寄せられた苦情の内訳(出典:アフラック少額短期ディスクロージャー誌「アフラック少額短期保険株式会社の現状2024」)

その他に調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査」や「オリコン顧客満足度 医療保険ランキング2025」も確認したいところですが、少額短期保険のため調査の対象外でした。

以上のデータから考えるとアフラック少短の評判もボヤージュの評判も悪くはなさそうです。とはいえ判断材料となるデータが契約数と苦情だけのためデータ不足感があります。社名変更からの年数も大して経過していないため、今後も経過観察というところでしょうか。

総合評価・おすすめか?

結論としては、アフラック少短のボヤージュはイマイチな保険です。保険料は安く保障内容にはメリットもありますが、それよりはデメリットや注意点の方が多めです。そもそも保障内容を理解して本当に必要なのかも再考した方が賢明でしょう。

この保険以外の他社の保険を検討するなら、保険料を重視する人はオリックス生命・はなさく生命あたりが候補になります。保障も重視する人は、チューリッヒ生命・なないろ生命あたりの女性向け医療保険も検討すると良いでしょう。