JA共済 定期生命共済を比較・評価

JA共済 定期生命共済
オススメ度:
2
保険会社:
JA共済
名称:
定期生命共済
加入年齢:
15~75歳
保障期間:
一定期間
保障内容:
死亡で保険金
特徴:
万一保障をしっかり準備

JA共済の定期生命共済は保険期間を通じて共済金額が一定の共済と、共済金額が徐々に減額される逓減期間設定型の共済(みちびき)があります。みちびきは2023年3月に新設された共済のため、比較的新しい共済です。

どちらの共済も基本的には死亡・高度障害の保障が一定期間ある共済のため、今回は定期生命共済として一括りにして扱っていきます。それでは以下で保障内容・保険料(掛金)・評判等を解説し、他社の定期保険と比較していきます。

保障内容

スタンダードな定期生命共済は共済期間内に死亡・高度障害となると死亡共済金が受け取れます。共済期間は年満了なら5~15年間で、歳満了なら50~99歳から選べます。年満了にして共済期間が過ぎると80歳まで自動更新となり、更新時には年齢に応じて掛金が上昇します。歳満了にすると設定年齢に達すると更新されず共済が消滅します。死亡共済金は100万円~5000万円まで設定でき、共済期間を通じて金額は一定です。

JA共済の定期生命共済の保障内容(出典:JA共済公式HP「定期生命共済」)

それに対して定期生命共済でも逓減期間設定型(みちびき)だと、同じように死亡・高度障害となると死亡共済金が受け取れますが、死亡共済金の金額が一定期間を過ぎると年々減額されます。死亡共済金が減らない期間が第1共済期間、死亡共済金が減る期間が第2共済期間となります。第1共済期間は1年以上、第2共済期間は9年以上に設定する必要があります

定期生命共済(逓減期間設定型)みちびきの保障内容(出典:JA共済ニュースリリース「定期生命共済(逓減期間設定型)みちびきを新設!」令和5年3月15日)

第2共済期間の最後(共済期間の満了直前)には、死亡共済金の額は契約時の30%分の額になります。それに向かって第2共済期間では死亡共済金が減額していきます。例えば共済期間が25年なら減額する70%分を25年で割った2.8%が毎年変額されます。共済期間が20年なら同様の計算で3.5%ずつ減額し、35年なら2%ずつ減額します。第2共済期間が長い(=逓減開始年齢が早い)ほど、死亡共済金が減るスピードは遅くなります。

どちらの共済も主契約の他に指定代理請求特約と生前給付特約が付けられます。指定代理請求特約を付けると、死亡共済金の受取人が共済金を請求できない状態(認知症など)になった場合に、指定した代理人が強制金の請求手続きができます。生前給付特約を付けると、医師から余命6ヶ月宣告を受けると共済金が生存中でも受け取れます。

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保険料を他社と比較

この共済の掛金は性別・年齢・共済金額等に加えて、共済金が平準型か逓減型かで変動します。女性よりも男性の方が掛金は高く、高齢になるほど掛金は高くなり、共済金額が高額なほど掛金は高くなります。また、同じ共済金額なら平準型よりも逓減型の方が掛金は安くなります。

次に掛金(保険料)は他社より安いのか高いのか、下図で返戻率にして他社の定期保険と一覧表で比較しました。基本的に保険金額は1000万、保険期間・保険料払込期間は65歳で、30歳・40歳・50歳での契約を想定しました。各々のケースで65歳で死亡した場合の返戻率をシミュレーションして比較しました。

定期保険の30歳と40歳と50歳の保険料・返戻率の比較一覧表(アクサ生命・朝日生命・アフラック・SBI生命・オリックス生命・かんぽ生命・ジブラルタ生命・住友生命・ソニー生命・SOMPOひまわり生命・大樹生命・大同生命・太陽生命・チューリッヒ生命・東京海上日動あんしん生命・日本生命・ネオファースト生命・はなさく生命・富国生命・フコクしんらい生命・三井住友海上あいおい生命・明治安田生命・メットライフ生命・メディケア生命・ライフネット生命・楽天生命・JA共済・全労済(こくみん共済Coop)・コープ共済)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この共済の返戻率は他社と比較すると低いため、他社より掛金は高いといえます。ただ、他社の返戻率が高い保険が65歳満了なのに対して、この共済は10年更新のため割り引く必要があります。同じ10年更新の中で比べると無難な数字のため掛金は高いともいえません。ただ、同じ共済のこくみん共済(全労済)よりも返戻率が低いため、共済間では返戻率は低めではあります。

メリット

この共済のメリットは、まずは平準型と逓減型が設定できる点が挙げられます。共済金額が一定額である平準型は、いつ死亡しても受け取れる金額が同じです。JA共済だと共済期間が99歳満了を設定できるため長生きしても共済金が受け取れる可能性が高いです。また、共済期間10年に設定すれば掛金が格段に安く、将来的に共済を見直す前提なら利用価値があります。

逓減型はライフステージに応じた共済金の必要額を設定できます。一般的に結婚・子供の誕生・子供の進学の順に死亡保障の必要額は増加します。その一方で子供が社会人となれば必要額は減少していきます。逓減型であれば逓減開始年齢を機に共済金額が減っていくため、自動的に必要な共済金額になっていきます。

ライフステージ別の死亡保障の必要額・平均額(出典:JA共済ニュースリリース「定期生命共済(逓減期間設定型)みちびきを新設!」令和5年3月15日)

さらに逓減型は同じ共済金額なら共済金額が減っていく分だけ掛金は平準型よりも安いです。30歳男性・65歳満了・共済金額1000万円なら平準型の掛金は月額3680円なのに対して、逓減型なら掛金は月額2536円で済みます。他社では逓減型を選択できるケースが少ない点も見逃せません。

ちなみにJA共済の准組合員になると、加入した地元のJAごとに特典があり野菜等の割引やポイントが貯まるサービスなどがあります。さらに全国8ヶ所にあるJA共済の宿泊保養施設で優待・割引があります。全国各地の旅館で温泉に浸かって地元食材が楽しめます。

JA共済の宿泊保養施設(出典:JA共済公式HP「のんびり宿泊保養施設」)

デメリット・弱点・落とし穴

この共済のデメリットには、まずは返戻率が他社よりも低い点が挙げられます。前述したように、他社には返戻率が1000%を超える保険があります。死亡せず予想以上に長生きした場合に無駄になる掛金も他社よりも大きくなります。その点、この保険は99歳満了が選べますが、その場合には終身保険と返戻率を比べる必要があります。終身保険で最も返戻率が高いオリックス生命RISEよりもJA共済の方が返戻率は低いです。

逓減型にしても適切な逓減開始年齢を設定できるかという疑念があります。結婚・出産の時期に加えて子供の数がズレれば、想定した時期に適正な死亡共済金の額とはなりません。まだ末子の子供が小学生の時期なのに死亡共済金の額が減り始めるという可能性もあります。

ライフステージ別の死亡保障の必要額・平均額(出典:JA共済ニュースリリース「定期生命共済(逓減期間設定型)みちびきを新設!」令和5年3月15日)

保障面については他社の大半の保険にある災害死亡割増特約・傷害特約が無いため、不慮の事故等で死亡・高度障害・身体障害状態になっても共済金が2倍になりません。さらに他社の一部の保険で付けられる保険料払込免除特約も付けられません。そのため三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)になっても掛金の支払いは免除されません。その他に入院・手術が保障される特約や要介護状態が保障される特約も付けられません。

ちなみにJA共済の共済に加入するには公式HPでの資料請求・掛金の見積もりをして、その後に近隣のJAで保障内容を決定して契約の申し込みとなります。契約時には農家組合員以外の人の場合には、JAの准組合員になるために出資金も支払う必要があります。インターネットで加入手続きは完結しないため少なからず手間が発生します。

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評判・苦情

JA共済の2023年度の決算資料によると、共済全体の契約数は166万件で前年度の208万件から20%の大幅減でした。ただ、その中で定期生命共済の新契約数は4.9万件で前年度の3.2万件から50%も増加していました。全体的に減少している中で増加しているため、契約数からすると定期生命共済の評判は悪くありません。

JA共済の新契約高(出典:JA共済ディスクロージャー誌「JA共済連の現状2024(令和5年度決算)」)

また、令和4年度にJA共済全体に寄せられた問い合わせ・相談等は9.4万件で、そのうち苦情数は4469件でした。組合員数の1027万件で割った苦情率は0.04%で、10000人の契約者のうち4人が苦情を出す程度です。万に4つと考えると苦情面でも評判は悪くありません。

問い合わせで特に多いのは契約内容についてで、次いで共済金の請求手続き等の手続きに関する問い合わせでした。苦情では共済金の支払い関するものが多く、共済金を受け取るまでの手続きや経過報告、さらに共済金が受け取れるまでのスピードについて苦情がありそうです。とはいえJA共済には火災共済・自動車共済もあるため、それらの共済に加入している人が多くの苦情を出している可能性もあります。

JA共済に寄せられた問い合わせ・苦情の内訳(出典:JA共済ディスクロージャー誌「JA共済連の現状2024(令和5年度決算)」)

これらのデータは共済側が発表した数字のため客観的なデータが欲しいところです。しかし、J.D.パワーの「2025年 生命保険契約満足度調査」や「オリコン顧客満足度 生命保険ランキング2025」では残念ながら調査の対象外でした。。唯一、経産省・サービス産業生産性協議会の「2024年 JCSI日本版顧客満足度指数調査(第3回)」では調査対象となっています。この調査は10万人が調査対象となっているため信頼が置けます。

この調査では顧客期待・知覚品質・知覚価値・顧客満足・推奨意向・ロイヤリティが評価項目でランキングされています。JA共済もランキング対象ですが、生命保険分野の総合ランキングで6位以下でした。他の共済では都道府県民共済・コープ共済・こくみん共済coopがランクインしているため、共済の中でもJA共済の満足度は低いと考えられます。

コープ共済の顧客満足度ランキングの順位(出典:2024年度JCSI日本版顧客満足度指数調査 第3回調査 詳細資料2024.10.30) コープ共済の顧客満足度ランキングの項目別の点数(出典:2024年度JCSI日本版顧客満足度指数調査 第3回調査 詳細資料2024.10.30)

以上のデータから考えるとJA共済の評判は少し悪そうですが、定期生命共済の評判は悪くなさそうです。JA共済の評判については苦情数は少なめですが、全体の契約数が伸びておらず大規模調査でも結果が悪いため評判は少し悪そうです。その一方で定期生命共済は契約者数が伸びているため評判は悪くなさそうです。ただ、加入者数だけでの判断のためデータ不足感はあります。

総合評価・おすすめか?

結論としては、JA共済の定期生命共済はイマイチな共済です。メリットもあるにはありますが、返戻率・保険料は他社とも如何ともし難い差があります。メリットである逓減型にしても他社にも同型があり、うまくライフステージに合わせて逓減できるかという疑念もあります。これなら返戻率か保障内容に振り切った保険を検討した方が良いでしょう。

この共済以外で他社の保険も検討したい人は、返戻率を重視するならメットライフ・オリックス生命・チューリッヒ・SBI生命等が候補になります。保障も重視するならソニー生命あたりを検討しても良いかもしれません。