終身保険プラチナを比較・評価

チューリッヒ生命 終身保険プラチナ
オススメ度:
1
保険会社:
チューリッヒ生命
名称:
終身保険プラチナ
加入年齢:
0~75歳
保障期間:
終身
保障内容:
死亡で保険金
特徴:
死亡と高度障害の保障が一生涯続く

終身保険プラチナはチューリッヒ生命が2024年7月から募集・販売している保険です。長年、同社には終身保険を販売していなかったため、満を持して販売を開始した感があります。

それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の終身保険と比較していきます。

保障内容

この保険は被保険者が死亡すると死亡保険金、高度障害状態となると高度障害保険金が受け取れる保険です。保険金額は100万円~3億円まで設定でき、15~39歳なら保険金額が5000万円以下(40~49歳は2500万円以下)なら健康診断結果の提出や医師の審査なしで申し込めます。保険料は契約時から変わらず一定額で、一定年齢まで支払う必要があります。

終身保険プラチナの保障内容(出典:チューリッヒ生命プレスリリース「終身保険プラチナの特長と概要」2024年5月21日)

死亡する前に解約すると、死亡保険金が消滅する代わりに解約返戻金が受け取れます。この保険は低解約返戻金型のため、保険料を支払っている最中(保険料払込期間中)に解約すると、解約返戻金の返戻率は支払った保険料総額の最高70%程度に抑えられています。しかし、保険料払込完了後は返戻率は90%以上に上昇します。

また、保険料を支払っている最中に不慮の事故等で身体障害状態になった場合には、それ以後の保険料の支払いが免除されます。例えば片目の視力を永久に失った、両耳の聴力を永久に失った等が該当します。この保険では3大疾病保険料払込免除特約が付けられるため、身体障害以外に三大疾病になっても保険料が免除されます。

三大疾病はがん・脳血管疾患・心疾患で、がんは医師から診断された段階、脳血管疾患・心疾患は入院か手術が条件となります。3大疾病保険料払込免除特約は任意ですが、余命6ヶ月宣告で死亡保険金が受け取れるリビングニーズ特約は自動付帯されています。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は性別・年齢・保険金額・保険料払込期間で変動します。女性よりも男性の方が保険料は高く、契約時の年齢が高齢なほど保険料が高くなります。また、保険金額が高額になるほど保険料は上昇し、保険料払込期間が短くなっても保険料は上昇します。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で返戻率にして他社の終身保険と一覧表で比較しました。基本的に保険金額は1000万、保険料払込期間は65歳で30歳・40歳・50歳で契約した場合の返戻率を比較しました。

終身保険の30歳と40歳と50歳の保険料の比較一覧表(アクサ生命・アフラック・オリックス生命・かんぽ生命・ジブラルタ生命・住友生命・ソニー生命・SOMPOひまわり生命・大同生命・太陽生命・チューリッヒ生命・東京海上あんしん生命・日本生命・フコクしんらい生命・マニュライフ生命・三井住友海上あいおい生命・明治安田生命・メットライフ生命・楽天生命・JA共済・全労済(こくみん共済Coop)・コープ共済)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の返戻率は他社と比較して低く、30歳以下なら返戻率は100%を超えますが、40歳以上となると返戻率は100%を下回っています。30歳の返戻率にしても平均の105%よりも低く、この保険よりも30~40%ほど返戻率が高い保険が他社にはあります。この保険として返戻率以外にもメリットが欲しいところです。続いてメリットについて記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは保険の申込・加入がインターネットで完結できる点が挙げられます。氏名・住所等の情報入力から、告知情報(健康状態・職業)・保険料の支払い情報等がネットで24時間可能です。本人確認書類も画像のアップロードが可能なため書類の郵送・返送の手間がありません。保険の加入前に相談したい場合には電話・対面の他にLINEでも相談が可能です。

チューリッヒ生命のWeb申込の流れ(出典:チューリッヒ生命公式HP「終身保険プラチナ」)

また、保障面では三大疾病になると保険料の支払いが免除される特約があるのもメリットです。この特約は他社では付加できないケースもあるからです。それも三大疾病はがん・心疾患・脳血管疾患が対象のため、急性心筋梗塞・脳卒中に限定している他社の保険よりも条件は緩いです。例えば心疾患で手術をしても保険料の支払いは免除されます。

さらに保険料の支払いが免除されると返戻率が大幅に上昇します。保険料が免除されても保険料を支払い続けているものとして取り扱われるため、死亡保険金・解約返戻金は契約時と変わらない額になります。30歳契約・60歳払込完了・死亡保険金500万円・月額保険料14740円で、50歳で三大疾病になったとします。その場合の死亡保険金の返戻率は141%、解約返戻金の返戻率も132%と非常に高い数字になります。

終身保険プラチナで保険料免除された場合のシミュレーション(出典:チューリッヒ生命 終身保険プラチナ通信販売用パンフレット)

ちなみにチューリッヒ生命の保険契約者には各種特典があります。他社にもある各種施設の優待割引サービスの他に、Doctors Meというサービスがあります。このサービスは医師・薬剤師・栄養士・歯科医師・心理カウンセラーに相談できるサービスです。よく分からない相談相手ではなく専門家に、文字だけではなく患部の写真を添付して相談できます。

チューリッヒ生命のDoctors Meのサービス内容(出典:チューリッヒ生命公式HP「ご契約者様の特典」)

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずは前述したように返戻率が他社よりも低い点が挙げられます。30歳以上で契約すると死亡保険金を受け取っても返戻率は100%を下回ります。そのため保険に加入せず保険料を支払った分を貯金した方が得です。この保険で得をするには保険料を支払い終える前に死亡して保険金を受け取ることが必要です。

また、この保険は解約すれば解約返戻金が受け取れますが、解約返戻率も低いです。30歳契約・60歳払込完了・死亡保険金500万円で、保険料を支払い終えた時点での解約返戻率は94.5%で100%を下回ります。70歳になっても96.7%、80歳になっても98.6%のため、80代後半になって100%を超えるかどうかです。さらに低解約返戻金型のため保険料払込期間中の解約返戻率は一層悪化しています。

終身保険プラチナの解約返戻率のシミュレーション(出典:チューリッヒ生命 終身保険プラチナ通信販売用パンフレット)

保障面については、他社の終身保険のように医療保障や介護保障が付けられない点で物足りなさを感じます。これらの保障を終身保険に付けられれば、生存中の病気・介護の保障を1回の契約で済ませられ手間を省けるからです。他社には入院すると給付金が受け取れる特約を付けたり、介護状態になると保険金が受け取れる保険があります。

三大疾病保険料払込免除特約も悪くはありませんが、太陽生命なら糖尿病・肝硬変等で所定の状態になっても保険料の支払いが免除されます。さらに、この保険は急性心筋梗塞と他の心疾患、脳卒中と他の脳血管疾患で、微妙に条件が異なる点に注意が必要です。急性心筋梗塞・脳卒中は1日以上の入院か手術で保険料が免除されますが、それ以外の脳血管疾患・心疾患は20日以上の入院か手術で保険料が免除されます。

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評判・苦情

チューリッヒ生命の2023年度の決算資料によると、個人向け保険の新契約数は22.4万件で前年度の13.1万件から約71%増と好調でした。死亡保障の保険の保有契約高も20%近い増加をしているため、申込数・契約数等からすると評判は良いです。

契約数でいうと、保険市場の終身保険の申込数ランキング2024でも、終身保険プラチナは10の保険の中で2位とトップ3に入っていました。ただし、価格.comの終身保険の資料請求ランキング2025では、順位が4位まで落ちています。前述したように返戻率は低いため、やはり保険料(返戻率)重視の人からの評価は落ちています。

また、生命保険協会の苦情数のデータでは、チューリッヒ生命全体に寄せられた苦情数は5660件(2024年度上半期実績)でした。総顧客数の134万件で割った苦情率は0.4%で、契約者1000人のうち4件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は少し悪いです。

さらに調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険代理店チャネル)」では、チューリッヒ生命は17社中10位でした。平均値より僅かに高い位置とはいえ顧客満足度が高いとは言えない順位です。さらにダイレクト部門だと下から2番目の順位で、公式HP等の使い勝手・操作性の満足度が低いのも伺えます。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目です。

JDパワー 2024年生命保険契約満足度調査 保険代理店チャネル(出典:JDパワー公式HP) JDパワー 2024年生命保険契約満足度調査 ダイレクト部門(出典:JDパワー公式HP)

その一方で「オリコン顧客満足度 死亡保険ランキング2025」だと、チューリッヒ生命は27社中6位と悪くない順位に位置しています。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローですが、個別項目のランキングでは加入手続きは4位、商品内容は5位、保険料は6位と一定の満足度を得ています。その一方でアフターフォローは10位以下と満足度が低めでした。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「保険を乗り換えたら保険料が高くなった」「ネットで手続きできず郵送での手続きになった」「電話で問い合わせたらスムーズな回答がなかった」等の意見がありました。6位とはいえ契約者からの不満は少なからず見受けられました。

以上のデータから考えるとチューリッヒ生命の評判は普通か少し悪そうですが、終身保険プラチナの評判は悪くはなさそうです。チューリッヒ生命の評判については、オリコンでは良いもののJDパワーの調査では満足度が低いため少し悪いといえます。終身保険プラチナ自体の評判は新契約数は伸びており、保険市場等のWebサイトでの申込数・資料請求数でも上位です。そのため多くの人が選んでいる(=評判は悪くない)と考えられます。

総合評価・おすすめか?

結論としては、チューリッヒ生命の終身保険プラチナはイマイチな保険です。保険料・返戻率は他社に劣り、それ以外の面でも他社と比べて突出した点が無いからです。魅力を強いて挙げれば三大疾病保険料払込免除特約ですが、それも他社でも付けられるため加入する大きな動機にはならないでしょう。

この保険以外で他社の保険も検討したい人は、返戻率を重視するならオリックス生命や住友生命が候補になります。保障も重視するならソニー生命やSOMPOひまわり生命あたりの終身保険も検討すると良いでしょう。