終身保険パイオニアEを比較・評価

明治安田生命 終身保険パイオニアE
オススメ度:
1
保険会社:
明治安田生命
名称:
終身保険パイオニアE
加入年齢:
50~80歳
保障期間:
終身
保障内容:
死亡で保険金
特徴:
一生涯にわたる保障をご準備

終身保険パイオニアEは明治安田生命が募集・販売をしている保険です。50~80歳が対象の保険で49歳以下を被保険者にできない点に注意が必要です。

また、同社には祝金付シニアプランという終身保険もありますが、保険料・保障内容が異なります。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社の終身保険と比較していきます。

保障内容

この保険は死亡・高度障害となると保険金が受け取れます。保険金は一括で一時金として受け取れる他、年金形式で保険金を分割して受け取ることも可能です。すぐに保険金を受け取らずに据置期間を設けることもできます。据置期間は10年以内で、据置期間中は明治安田生命の利率で運用され増額されます。

パイオニアEの保障内容(出典:明治安田生命パイオニアEご契約のしおり定款・約款2025年1月版)

死亡・高度障害になる前に解約すると解約返戻金が受け取れます。解約返戻金は保険料払込期間中から増加し始め、保険料を支払い終えた後も増加します。契約してから数年は解約返戻金の返戻率は50%程度ですが、すぐに70%程度に上昇し最終的には100%(支払った保険料の総額とほぼ同額)まで上昇します。

主契約以外にオプションとして、重度がん保険金前払特約・リビングニーズ特約・保険契約者代理特約等があります。重度がん保険金前払特約を付けると、がんと診断確定されて治療を受けたが効果がなかった場合に保険金の一部か全部が受け取れるようになります。

リビングニーズ特約を付けると、がん以外の病気でも余命6ヶ月宣告を受けると生存中でも死亡保険金が受け取れます。保険契約者代理特約を付けると、保険契約者が認知症になった場合等に代理人が代わりに手続きをできるようになります。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は性別・年齢・保険金額・保険料払込期間・特約の有無で変動します。女性よりも男性の方が保険料は高く、年齢が高くなったり保険金額が高額になるほど保険料は上昇します。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で返戻率にして他社の終身保険と一覧表で比較しました。基本的に保険金額は1000万、保険料払込期間は65歳で30歳・40歳・50歳で契約した場合の返戻率を比較しました。

終身保険の30歳と40歳と50歳の保険料の比較一覧表(アクサ生命・アフラック・オリックス生命・かんぽ生命・ジブラルタ生命・住友生命・ソニー生命・SOMPOひまわり生命・大同生命・太陽生命・チューリッヒ生命・東京海上あんしん生命・日本生命・フコクしんらい生命・マニュライフ生命・三井住友海上あいおい生命・明治安田生命・メットライフ生命・楽天生命・JA共済・全労済(こくみん共済Coop)・コープ共済)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険は50歳以上のみ契約できるため、50歳だけでの返戻率の比較となります。その50歳で契約した場合の返戻率は93.8%で、100%を下回り他社よりも低いです。50歳の平均の返戻率は98.3%のため平均値も下回る返戻率となっています。

他社を見渡せばオリックス生命なら50歳で契約しても122%の返戻率、住友生命でも112%の返戻率で100%を上回っています。そのため、この保険としては返戻率・保険料以外でメリットが欲しいところです。続いてメリットを記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは死亡保険金を年金形式で受け取れる点が挙げられます。年金形式なら計画的に保険金を使うことができます。また、前述した通り返戻率は100%を下回りますが、据置期間を設ければ100%を超える可能性はゼロではありません。さらに保険の目的が相続税対策であった場合、死亡保険金は500万円×法定相続人の数だけ非課税となります。相続目的なら返戻率度外視でメリットがあるかもしれません。

保障面では重度がん保険金前払特約があるのも見逃せません。他社でもリビングニーズ特約はありますが、余命6ヶ月の宣告が必要となります。昨今ではがんになって完治の見込みはないものの、その後の生存期間が数年に及ぶケースもあります。そういった場合に余生を充実させるために保険金の一部または全部を利用できます。

ちなみに明治安田生命には保険契約者向けに「みんなの健活サービス」という特典があります。その中には健康促進のためのアプリ・サービスの他に、受診・治療のサービスもあります。その中にはオンライン診療サービスと症状検索エンジン「ユビー」があります。これらは他社では利用できないサービスとなっています。

みんなの健活サービスの受診・治療サービス(出典:明治安田生命公式HP「ご加入者専用サービス」)

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずは返戻率が他社よりも低い点が挙げられます。前述したように50歳契約でも返戻率は100%を下回り、他社とも最大で20%ほど返戻率に差があります。死亡保険金を受け取った返戻率が低いため、解約返戻金の解約返戻率も大した期待はできません。

保障面については、他社の終身保険のように医療保障や介護保障が付けられない点で物足りなさを感じます。これらの保障を終身保険に付けられれば、死亡時だけではなく生存中のリスクをカバーする保障を1回の契約で済ませられ手間を省けるからです。他社にはある三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)になった時に、それ以後の保険料の支払いが免除される特約が無いのもデメリットです。

ちなみに明治安田生命の保険は基本的に対面販売となっています。この保険もご多分に漏れず資料請求(希望プラン請求)から資料確認、担当者と面談による説明を受けて申込み手続きへと進みます。インターネットで申込・加入手続きを進めて完結しないため、どうしても対面の時間調整・書類記入などの手間が発生してしまいます

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評判・苦情

明治安田生命の決算資料によると、2023年度末の個人向け保険の新契約数は12.7万件で前年度の16.1万件から20%以上の減少でした。この保険を含む終身保険の新契約数に至っては僅か892件のため、申込数・契約数等からすると評判は悪いです。

また、生命保険協会の苦情数のデータでは、明治安田生命全体に寄せられた苦情数は1.6万件(2024年度上半期実績)でした。総顧客数の724万件で割った苦情率は0.2%で、契約者1000人のうち2件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため苦情面で考えると評判は普通です。

それに対して、調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険会社営業職員部門)」では、明治安田生命は14社中7位と中位でした。平均を僅かに上回り顧客満足度は低くはありません。それが保険代理店部門だと一段と順位を下げて17社中で最下位に落ちています。営業職員経由ではなく代理店での契約となると一気に満足度は下がるようです。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目です。

JDパワー 2024年生命保険契約満足度調査 保険会社営業職員部門(出典:JDパワー公式HP) JDパワー 2024年生命保険契約満足度調査 保険代理店チャネル(出典:JDパワー公式HP)

さらに「オリコン顧客満足度 死亡保険ランキング2025」だと、明治安田生命は27社中22位と下位に沈んでいました。この調査の評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローですが、個別項目でのランキングでは全ての項目が10位以下で顧客満足度は低いようです。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「担当者が知識不足で疑問が残った」「保険の内容が自分が思ったのと違った」「契約時のタブレットが使いにくい」等の意見がありました。どの項目というよりも満遍なく不満が見受けられました。

さらにオリコンでの終身保険自体の専門家からの評価も低いです。30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が調査対象の「FPが選んだオリコン終身型生命保険 ランキング2025」では、パイオニアEはランク外でした。この保険がランクインしたのは2018年が最後で、その時の順位も18位と低評価でした。

パイオニアEのランキング結果(出典:オリコン公式HP「FPが選んだオリコンおすすめの終身型生命保険商品ランキング2018」)

以上のデータから考えると明治安田生命の評判は少し悪そうで、終身保険の評判も悪そうです。明治安田生命については、苦情数・JDパワーの営業職員の満足度からすると普通そうですが、JDパワーの代理店部門とオリコンの調査の結果が悪く総合すると評判は少し悪そうです。終身保険自体の評判は新契約数が僅かで、専門家からの評価も低いため評判が良いとはいえません。

総合評価・おすすめか?

結論としては、明治安田生命のパイオニアEはイマイチな保険です。返戻率は他社よりも低く保障面でも他社よりも秀でている面はありません。これだと他社を押しのけてまで契約する動機にはならないでしょう。

この保険以外で他社の保険も検討したい人は、返戻率を重視するならオリックス生命や住友生命が候補になります。保障も重視するならソニー生命やSOMPOひまわり生命あたりの終身保険も検討すると良いでしょう。