東京海上日動あんしん生命 長生き支援終身/ 低解約返戻金型終身保険の返戻率・利回り・保険料・保険金・保障を評価 レビュー
- オススメ度:
- 保険会社:
- 東京海上日動あんしん生命
- 名称:
- 長生き支援終身
- 契約年齢:
- 0~55歳
- 返戻率:
- 111.7%
- 利回り:
- 0.39%
- 特徴:
- 万一のときも介護のときも、長生きにもお役に立てる新型終身保険です
東京海上日動あんしん生命 長生き支援終身は一見すると得に見えるが実は?
長生き支援終身は東京海上日動あんしん生命の低解約返戻金型の終身保険で、同社には同じ低解約返戻金型の終身保険の「長割り終身」やスタンダードな終身保険が存在する。以下、長生き支援終身の概要を記載し、他社の低解約返戻金型の終身保険と比較する。
この保険は他社同様に保険料の払込中の解約返戻金が低額で、保険料の払込完了後の解約返戻金には大きく増加する仕組みになっている。他社と異なる点としては、介護保障・健康祝い金・三大疾病特約の3つがある。介護保障は一部の他社にもあるが、介護状態になると死亡保険金が受け取れる保障で、介護状態2以上が条件となる。特に他社より条件が緩いわけではないが、公的介護保険で認定されなくとも(される前でも)東京海上の条件である寝たきりで衣服の着脱・入浴の補助などが認められれば対象となる点で他社よりメリットが無くはない。
また、祝い金は他社では生存給付金という名称となっているものと同一で、この保険の場合は70歳から5年おきに3回か80歳からを選択できる。お得なような気がするが、その分だけ保険料が高く解約返戻金が少額になっており得ではない(詳細は後述)一方で、三大疾病特約はガン・心筋梗塞・脳卒中になれば保険料の支払が免除されるため検討の余地はある。ただ、こちらも保険料払込完了の年齢が60歳だとすると、60歳までに三大疾病に罹患する可能性を考慮すれば特に有益というわけではないが。。。
次に下図では、各社の低解約返戻金型の終身保険を加入できる年齢・保険料の払込完了の年齢・死亡保険金の額と増減・付加できる特約などで比較した。参考までに苦情率(苦情数÷契約数 ※生命保険協会公表)を算出し顧客満足度面も考慮した。さらに30・35・40・50歳で60歳払込完了とし、500万円※一部は1,000万円で契約して、保険料の払い込みの完了直後に解約した場合の解約返戻率(保険料から何%で解約返戻金が戻ってくるか)で比較した。また、定期預金・国債・社債等より得かを計るため、30歳の場合で保険料を何%で運用したかを表す利回りでお得さを比較した。
名称 | 住友生命 バラ色 |
住友生命 バリュー |
メットライフ つづけトク |
アフラック Ways |
アクサ カチッと |
オリックス ライズ |
東京海上 長割り |
東京海上 長生き |
AIG富士 E-終身 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
契約年齢 | 15~68歳 | 15~66歳 | 20~70歳 | 0~65歳 | 20~69歳 | 15~75歳 | 0~55歳 | 0~55歳 | 0~75歳 |
保険料 払込年齢 |
50~70歳 5歳刻み |
60~70歳 | 60~90歳 | 60~70歳 | 15年 55~65歳 |
50~80歳 5歳刻み |
~65歳 1歳刻み |
~65歳 | ? |
保険金 増減 |
一定 | 一定 | 一定 | 一定 | 一定 | 一定 | 一定 | 一定 | 一定 |
特約 | がん リビング |
介護/がん リビング |
年金 | コース | リビング | - | - | 祝い金 三大疾病 |
特定疾病 傷害/介護 |
苦情率 | 0.84% | 0.84% | 0.78% | 1.09% | 0.22% | 0.31% | 0.34% | 0.34% | 0.24% |
解約返戻率 30歳 |
107.4% | 106.6% | 113.3% | 106.3% | 112.7% | 115.9% | 111.7% | 99.8% | - |
解約返戻率 35歳 |
104.0% | 103.8% | 109.0% | 103.3% | 108.8% | 111.3% | 108.3% | 96.6% | 106.6% |
解約返戻率 40歳 |
100.6% | 100.4% | 105.0% | 100.2% | 105.0% | 106.8% | 104.5% | 93.3% | - |
解約返戻率 50歳 |
95.0% | 93.1% | 98.3% | 95.9% | 99.3% | 97.4% | 98.5% | 87.6% | - |
利回り | 0.25% | 0.22% | 0.44% | 0.21% | 0.42% | 0.53% | 0.39% | -0.01% | 0.22%※ |
上図で右から2番目の東京海上日動 長生き終身だが、契約できる年齢幅は0~55歳で他社と比較して下限は緩いが上限は低く厳しい。特約の箇所に祝い金を記述してあるが、正確には祝い金は特約ではなく基本保障に含まれている。三大疾病は任意で付加できる特約で、前述した通り三大疾病だと払込が免除される。他社のガン特約などのように、給付金が受け取れるわけではないが、その分だけ返戻率が落ちることは無いため検討の余地はある。
解約返戻率は他社と比較すると低く、どの年齢帯でも他社に劣る数字だ。そのため解約返戻金目当てにするなら他社の方がお得だ。ただし、この保険には祝い金があり80歳まで生存していれば、死亡保険金の合計30%分が分割して受け取れる点を考慮せねばならない。この保険は30歳で死亡保険金が500万円契約だと、死亡保険金は残り祝金が150万円が受け取れるため、死亡保険金が無くなり100万円程度が増える解約返戻金よりお得に見える。しかし、同じ東京海上の長割り終身と保険料で比較すると理屈が見えてくる。長割り終身の保険料は前述のケースで月額9,845円なのに対して、長生き支援は月額12,955円となっている。その差額の合計は30年で約112万円になる。さらに解約返戻金の差である約12%は、金額にして約41万円になる。これを合算すると約150万円となる意味は何かというと、将来的に受け取る祝い金は自分が多めに支払った保険料と、通常より削られている解約返戻金を受け取っているだけということだ。
結論としては、特にお得ではなくオススメはしない保険だ。幾つか評価に値する面もあるが、ただでさえ保険という商品自体が普通の人には馴染みが薄く分かりにくい点を考慮すれば、むしろ構造(お得か否か?)が分かりにくい分だけオススメしない保険ともいえる。