オリックス生命 ビリーブを比較・評価

オリックス生命 がん保険Believe(ビリーブ)
オススメ度:
1
保険会社:
オリックス生命
名称:
Believe(ビリーブ)
加入年齢:
0~75歳
保障期間:
終身
保障内容:
がん診断等で給付金
特徴:
がんの保障を一生涯、お手頃な保険料で

がん保険Believe(ビリーブ)はオリックス生命が2010年から募集・販売している保険で、この保険の他にウィッシュという保険もあります。ウィッシュは2021年に販売が開始されたため、ビリーブの方が古い保険となります。

ビリーブは相応の年数が経過している中でも、保障は基本的には変更されていません。果たして現在でも古さを感じさせず通用するのでしょうか。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社のがん保険と比較していきます。

保障内容

この保険には10000円コースと5000円コースがあり、5000円コースは50~75歳限定となっています。どちらも各給付金の金額が異なるだけで、基本的な保障内容は同一です。必須となる基本保障はがん初回診断一時金・がん治療給付金・がん入院給付金・がん手術給付金・がん退院一時金です。

ビリーブの保障内容(出典:がん保険ビリーブ通信販売用パンフレット 2024年4月作成版)

がん初回診断一時金は、初めてがん(初期のがんである上皮内新生物含む)と診断されると受け取れます。初回のみで再発しても2回目は受け取れません。その代わりにがんの治療のために入院すると受け取れるがん治療給付金があります。こちらは回数無制限のため初回だけではなく再発した2回目でも受け取れます。がん入院給付金・がん手術給付金・がん退院一時金は、がんで入院・手術・退院(10日以上の入院後)で受け取れます。

特約はがん先進医療特約・がん通院特約があります。がん先進医療特約はがんで先進医療を受けると、その技術料金と同額の給付金を2000万円を限度に受け取れます。また、療養費として技術料の10%分の先進医療給付金を受け取れます。がん通院特約はがん治療のための通院1日につき1万円が受け取れる特約です。がん治療での通院が条件となるため、抗がん剤治療・放射線治療等をするための通院に限られます。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は年齢・コース・特約の有無の選択によって変動します。30歳男性で先進医療・通院保障ありにすると保険料は月額3515円、40歳だと月額4895円、50歳だと月額7045円となります。50歳以上だと5000円コースが選択でき、先進医療・通院保障ありにすると保険料は月額3950円になります。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社のがん保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら100万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。

がん保険の30歳と40歳と50歳の保険料の比較一覧表(アフラック・アクサ生命・アクサのネット完結・FWD生命・オリックス生命・SOMPOひまわり生命・チューリッヒ・東京海上あんしん生命・なないろ生命・ネオファースト生命・はなさく生命・三井住友海上あいおい生命・メットライフ生命・メディケア生命・楽天生命・コープ団体保険・JA共済・共栄火災・SBI損保・セコム損保・明治安田生命・ソニー生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料を他社と比較すると、30歳では平均額の2800円より高く、40歳でも平均額の4200円よりも高いです。50歳だと平均額の7000円よりも安くなりますが、保障が半分になっている点を鑑みると安いのは見かけだけといえます。

この保険よりも保険料が安い保険は複数あり、この保険と似たような保険であるアクサ生命のマイ・セラピーと比較しても保険料は高いです。その他に診断給付金が軸となっている保険の中には保険料が月額1000円を切る保険があります。はなさく生命・コープ団体保険のがん保険はデメリットはありますが、この保険の3分の1程度の保険料で済みます。

メリット

この保険のメリットは、まずは保険料の払い込み期間を60歳や65歳で払い済みにできる点が挙げられます。最近では終身払い(死亡・解約するまで保険料を支払う)のみ取り扱っているケースが増えています。この保険なら定年になり年金生活になる60・65歳で保険料を支払う必要が無くなり、老後の負担が軽減されます。

また、旧来型のがん保険を求めている人には、この保険の存在自体がメリットかもしれません。最近では診断給付金を軸にして、入院給付金・通院給付金が無い保険もあります。通院治療の保障は、抗がん剤治療等を受けた月には10万円が受け取れるという形式が主です。この保険は日数毎に給付金が受け取れる保険が欲しい人には数少ない選択肢となるでしょう

保険加入者向けの5つのサービスも見逃せません。健康医療相談サービス・セカンドオピニオン・糖尿病サポートについて相談できるサービスは他社にもあります。しかし、がん保険だと介護・認知症サポートサービスが無いケースがあります。

保険加入者向けの5つのサービスについて(出典:オリックス生命公式HP)

介護・認知症サポートサービスでは本人だけではなく、自分の両親についての相談も可能です。あたまの健康チェックというオペレーターにようチェックテストを無料で利用でき、軽度認知症障害なのか初期の認知症になっているのかを確認できます。

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずは随所に古い保障がある点が挙げられます。診断一時金は初回のみのため、2回目以降は治療給付金のみとなります。1万円コースの場合、初めてがんになると150万円(初回一時金100万円+治療給付金50万円)となります。2回目のがんでは治療給付金の50万円のみとなるため、受け取れる額は実質3分の1になる計算です。他社では初回も2回目も同額とする保険が主流になってきています。

通院給付金も1日あたり1万円と小額で、昨今の他社の抗がん剤治療・放射線治療等を受けた月には10万円が受け取れる保険よりも不利です。仮に手術後に週1回の抗がん剤治療を受けた場合、通院給付金だと受け取れるのは4万円ないしは5万円ですが、他社の保険では10万円が受け取れます。

また、窓口で3割負担とならない自由診療に関する保障がありません。先進医療には該当しない新薬等が自由診療となる可能性があります。そういったケースでは全額を自分で負担するため、治療費用が数百万円まで膨らむことがあります。自由診療では高額療養費制度も利用できません。

治療別の自己負担割合(出典:アフラック公式HP)

さらに他社には要精密検査の診断やがん遺伝子検査を受けると給付金が受け取れたり、がん罹患後のストレス疾病(うつ病等)を保障する保険もあります。がん治療で地味に必要となる費用や、費用が想像以上に膨らむケースでの保障がありません。がんと診断されると保険料の払い込みが免除される保険料払込免除特約もありません。

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評判・苦情

オリックス生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の全体の新契約数は27.6万件で前年度の33.3万件から17%減でした。この保険が含まれるであろう入院保障の保険の保有契約高は微増でした。明らかに契約数は縮小傾向にあり、契約数等からすると評判は良くありません。

さらに契約数でいうと価格.comのがん保険の申込数ランキング2024では、ビリーブは27の保険の中で13位と中位にありました。これだけ保障内容が古くなっている保険で13位のため健闘しているともいえます。しかし、順位からすれば保険料を可能な限り抑えたい人達からの人気は乏しいようです。

生命保険協会の苦情数のデータでは、オリックス生命全体に寄せられた苦情数は1.6万件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の489万件で割った苦情率は0.3%で、契約者1000人のうち3件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多いため、苦情面で考えると評判は普通です。

調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険代理店チャネル)」では、オリックス生命は17社中12位でした。順位としては下位ですが、部門平均に近い位置でもあります。この調査は手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、満足度は平均に近く中の下といった感じです。

JDパワー 2024年生命保険契約満足度調査 保険代理店チャネル(出典:JDパワー公式HP)

その一方で「オリコン顧客満足度 がん保険ランキング2024」では、オリックス生命は18社中4位でした。評価項目である加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローで、アフターフォロー以外は平均値も上回っていました。その中でも商品内容は3位だったため、意外と保障内容を評価している人がいるようです。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「書類が面倒」「専用の診断書が必要で手間と費用がかさむ」「保険料が高め」「給付金が受け取れるまで長い」等の意見がありました。主に書類関係・給付金関連が多い感があり、苦情で保険金関係の苦情が焼く半数を占めていたのにも合致します。

オリックス生命のがん保険の評判と口コミ(出典:オリコン公式HP「オリックス生命 がん保険の評判・口コミ 」)

オリックス生命への評判は普通か少し良い程度ですが、このビリーブ自体への評価は低めです。「FPが選んだオリコン終身型がん保険 ランキング2024」では、この保険はランキング外です。この調査は30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が回答した調査のため、専門家からの評価は低いのが分かります。

この保険がランキングに顔を出すのは2021年まで遡る必要があります。その時でも順位は最下位の9位だったため、この段階でも専門家からは評価されていない、やはり保障内容が古いと考えられていたのでしょう。

ビリーブの2021年時のランキング結果(出典:オリコン公式HP「おすすめのがん保険商品ランキング2021」)

以上のデータから考えるとオリックス生命の評判は中の上ですが、ビリーブの評判は悪そうです。オリックス生命の評判は突出して良い結果が苦情数や各種調査からは見られませんが、総じて中間の位置にあるため普通か少し良い程度と考えるのが妥当です。ビリーブについては、やはりリニューアルされていないのが影響していそうです。

総合評価・おすすめか?

結論としては、がん保険ビリーブはイマイチな保険です。今でもメリットに挙げられる点もありますが、全体的に見て古さが際立っています。この保険の保障内容だと今では費用が膨らむと認知されているケースで、保険としての役割を果たせない可能性があります。

この保険を検討している人は他社の保険も検討した方が賢明です。充実した保障を追求するなら、アフラック・チューリッヒ・メットライフあたりのがん保険を検討すべきでしょう。保障内容より保険料を抑えるならコープの団体がん保険・なないろ生命あたりを検討する必要があります。