はなさくがん保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- はなさく生命
- 名称:
- はなさくがん保険
- 加入年齢:
- 0~85歳
- 保障期間:
- 終身
- 保障内容:
- がん診断等で給付金
- 特徴:
- まとまった一時金と月ごとの給付金
はなさくがん保険は、はなさく生命が2023年10月から募集・販売しているがん保険です。はなさく生命は2019年に営業を開始した比較的新しい保険会社で、日本生命の100%出資子会社です。
はなさくがん保険の保障内容は昨今の時流に乗った内容で、女性がん早期発見サポート特約をウリにしています。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社のがん保険と比較していきます。
保障内容
この保険にはお手頃プラン・標準プラン・保障充実プランの3つがあり、プランによって保障内容が異なります。最も保険料が抑えられるお手頃プランだと、がん保障一時金だけが付いてきます。がん保障一時金は初めてがんと診断された時に50~200万円が受け取れます。がんと再び診断されても2回目以降は受け取れません。
標準プランだとがん保障一時金に加えて、がん治療給付金と保険料払込免除が付いていきます。がん治療給付金はがんの手術・放射線治療・抗がん剤治療・ホルモン剤治療のために入院・通院すると、その月には5~15万円が受け取れます。保険料払込免除は初めてがんと診断されると、それ以後の保険料の支払いが不要となります。保障充実プランにすると、がん保障一時金が2回目以降の診断でも1年に1回を限度に受け取れるようになります。
プランとは別に自分で選択するオプション(特約)として、女性がん早期発見サポート特約・がん先進医療特約が用意されています。女性がん早期発見サポート特約を付けると、女性特有のがんである子宮がん・卵巣がん等になると、通常の一時金とは別に50万円の一時金が受け取れます。さらに乳がん検診または子宮頚がん検診で異常指摘が無ければ、2年に1回を限度に1万円が受け取れます。
がん先進医療特約はがんで先進医療を受けた場合に、その技術料と同額を2000万円まで受け取れます。重粒子線治療・陽子線治療であれば医療機関に直接はなさく生命から技術料と同額の給付金が支払われ、保険加入者の手間を省いてくれます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は性別・年齢・プラン・給付金の額・特約の有無によって変動します。保障充実型で一時金を50万円・治療給付金を10万円・がん先進医療ありにすると、30歳男性の保険料は月額2365円となります。40歳男性は月額2760円、50歳は月額4190円です。プラン変更・一時金・給付金の額を下げると保険料は下がります。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社のがん保険と一覧表で比較しました。基本的に治療給付金は月10万円(診断一時金のみなら100万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。
この保険の保険料を他社と比較すると、前述の保障充実プランでは平均額より安い額です。30歳では平均額より数百円安いだけですが、40歳だと保険料は平均額より1000円以上安く、50歳だと2000円以上安くなります。そのため年齢が高くなるほど保険料面でメリットがあるといえます。
とはいえ他社を見渡せば、30歳男性で保険料が月額1000円を切る保険があります。特にコープ団体保険のがん保険などはデメリットもありますが、この保険の保険料の4分の1の額になります。この保険の保険料は十分に安いとはいえ最安値の保険ではありません。
メリット
この保険のメリットは、まずは全ての保障に上皮内新生物が含まれている点が挙げられます。他社ではSOMPOひまわりの吸わんトクのように、診断一時金も治療給付金も上皮内新生物は対象外とする保険があります。さらに保険料免除特約に上皮内新生物が含まれていない保険も複数あります。この保険は全ての保障で上皮内新生物が対象となり保障範囲が広く、かつ加入者からしても分かりやすいです。
がん保障一時金については回数制限が1年に1回と他社よりも短いのもメリットです。アフラックやチューリッヒの診断給付金は2年に1回が限度ですが、それよりも短い期間に設定されています。1年後に再発するケースに加えて1年後も治療が継続している(入院・通院している)ケースでも受け取れるのがポイントです。
また、保障充実プランでも保険料は十分に安いのですが、がんに複数回ならないと考えるなら標準プランにして保険料を一段と下げることも可能です。前述の保険料比較の条件で標準プランにすれば、30歳男性で1715円まで下がります。ちなみにコープ団体保険や太陽生命のがん保険は保険期間が5年・10年で終了し、契約時に安い保険料でも更新時に年齢に応じて上昇します。その点、この保険は契約時から保険料は同額で死亡するか解約するまで同額です。
特約では女性がん早期発見サポート特約があるのもメリットです。この特約も上皮内新生物が保障の対象となり、女性特有のがんになると50万円の一時金が受け取れます。さらに、2年に1回の乳がん健診・子宮頚がん検診で以上が無ければ1万円が受け取れます。給付金を受け取れる上に健康も確認できて一石二鳥です。
デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、まずはお手頃プラン・標準プランでは一時金が1回だけという点が挙げられます。他社の大半の保険では、一時金が複数回受け取れます。お手頃プランのように一時金を受け取ると契約が消滅するプランなら妥当かもしれませんが、標準プランで2回目の診断が除外されるのは頂けません。
さらに昨今の主流である患者申出診療や自由診療の保障が無いのも大きなデメリットです。これらの治療は新薬・未承認薬等を用いた治療のため、公的医療保険により窓口での自己負担が3割となりません。下図のように1ヶ月の治療費が100万円を超えるケースも80%近くあります。
他社では通常の治療給付金が自由診療・患者申出診療なら2倍にした保険や、患者申出診療と先進医療をセットにして2000万円まで保障する保険があります。東京海上あんしん生命の保険に至っては自由診療は通算1億円まで保障される仕組みになっています。
また、女性早期発見サポート特約には標準プラン・保障充実プランにのみ付けられ、一時金が受け取れるのは50万円が1回限りであるのも見逃せません。一時金を受け取ると女性がん検診支援給付金も消滅し、それ以後の健診で異常なしでも1万円は受け取れません。再発予防をして給付金を受け取れた方が健全ですが、残念ながら特約は消滅します。乳がんでの再建術や抗がん剤による抜け毛等の外見をケアする保障が無いのも物足りません。
評判・苦情
はなさく生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の全体の新契約数は17万件で前年度の12万件から37%増と好調でした。前年度も前々年度から59%増だったため、契約数減少の反動ではなく契約が好調だといえます。この保険が含まれるであろう入院保障の保険の保有契約高も大幅増で、契約数等からすると評判は良さそうです。
契約数でいうと価格.comのがん保険の申込数ランキング2024では、はなさくがん保険は27の保険の中で3位とトップ3に入っていました。既述の通り、プランの選択や特約次第で保険料は大幅に抑えられるため、保険料を可能な限り削りたい人達の中では人気な保険のようです。
ただ、生命保険協会の苦情数のデータでは、はなさく生命全体に寄せられた苦情数は1880件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の46万件で割った苦情率は0.4%で、契約者1000人のうち4件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多い中では苦情数は多めで、苦情面で考えると評判は少し悪いです。
その一方で、調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険代理店チャネル)」では、はなさく生命は17社中6位と上位に位置しています。手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、とりあえず平均よりは上の評価だったと考えられます。この調査は数千人の利用者を対象にした調査のため数件の口コミより信頼できます。
その一方で「オリコン顧客満足度 生命保険ランキング2024」では、はなさく生命は28社中13位と中間の順位でした。評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローですが、個別項目では加入手続きで9位に入っている以外はトップ10に入っていません。個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「担当者の説明不足」「加入者へのサービスが乏しい」「手続きに時間がかかった」等の意見がありました。
はなさく生命への評判は今のところ普通か少し悪い程度ですが、はなさくがん保険自体への評価は低めです。「FPが選んだオリコン終身型がん保険 ランキング2024」では、はなさくがん保険はランキング外です。この調査は30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が回答した調査のため、専門家からの評価は低いことになります。
以上のデータから考えると、はなさく生命の評判は普通か少し悪そうで、はなさくがん保険の評判は良いとは言い切れません。はなさく生命の評判は各種調査で中間の順位のため普通ともいえますが、契約者からの苦情数が他社よりも多いのが気がかりです。保険料の安さで惹きつけて加入後は・・・というパターンも考えられます。はなさくがん保険も同様で、契約数こそ伸びているもののFPからの評価が低いため不安があります。
総合評価・おすすめか?
結論としては、はなさくがん保険はイマイチな保険です。ある程度の保障を付けても保険料が安く、保障を削れば保険料は破格の安さになります。それは評判面からも伺い知れますが、いかんせんデメリット・落とし穴が大きく注意が必要な保険となっています。
この保険を検討している他社の保険も検討した方が無難です。保障が充実した保険だと、アフラック・チューリッヒ・メットライフあたりが候補になります。どうせなら、この保険よりも保険料を抑えたいならコープの団体がん保険あたりを検討する必要があります。