アフラックがん保険WINGSを比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- アフラック
- 名称:
- WINGS(ウィングス)
- 加入年齢:
- 0~85歳
- 保障期間:
- 終身
- 保障内容:
- がん治療等で給付金
- 特徴:
- 多様化するがん治療に備えられます
「生きる」を創るがん保険WINGSはアフラックが2022年8月から募集・販売している保険です。それまで販売していたDays1 ALL-inと比べて、治療保障特約と先進医療特約がバージョンアップしました。さらに特定治療保障特約と精密検査保障特約が新設されました。
今現在アフラックの他のがん保険に加入している人は、WINGSプラスを利用して最新の特約を現在のがん保険に中途付加させられます。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社のがん保険と比較していきます。
保障内容
この保険は主契約の保障があり、その他の保障は特約として自由に選択して付けられます。主契約の保障は、がんと診断されると受け取れる診断給付金、入院日数に応じて受け取れる入院給付金、通院日数に応じて受け取れる通院給付金となっています。がん診断給付金は1回限りですが、診断給付金複数回支払特約を付けると再発した2回目以降も給付金が受け取れます。
その他に特約には、がん治療保障特約・特定保険料免除特約・がん先進医療患者申出療養特約・外見ケア特約・がん要精検後精密検査保障特約・がん特定治療保障特約があります。その中でアフラックが推しているのはがん治療保障特約で、この特約を付けると手術・放射線治療・抗がん剤・ホルモン剤・緩和療養を受けた月毎に特約給付金が受け取れます。
特定保険料免除特約を付けると、がんと診断され入院・通院が所定の条件(デメリットで後述)をクリアすると、それ以後の保険料の支払いが不要となります。がん先進医療患者申出療養特約を付けると、がんの診察・治療のために先進医療や患者申出療養を受けると技術料が2000万円まで保障され、諸経費のための15万円も受け取れます。外見ケア特約を付けると、治療中の脱毛等の外見をケアするための費用として10~20万円が受け取れます。
新設されたがん要精検後精密検査保障特約・がん特定治療保障特約のうち、前者はがん検診を受けて要精密検査の判定を受けて入院・通院した場合に給付金が受け取れます。1年に1回を限度に2万円が通算20回まで受け取れます。仮にがん検診で要精密検査となり、精密検査を受けて異常が無かった(もしくは経過観察)となった場合でも受け取れます。
がん特定治療保障特約は公的健康保険の対象外で、かつ先進医療・患者申出療養ではない自由診療・自費診療を受けた場合に、治療を受けた月毎に50万円が受け取れます。自分にあった治療方法を調べるためのがんゲノムプロファイリング検査を受けた月でも、治療を受けた月毎に10万円が受け取れます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は性別・年齢・給付金の額・特約の有無によって変動します。入院/通院給付金1万円・診断給付金100万円・全ての特約ありなら、保険料は30歳男性で月額3949円、40歳男性で月額5766円、50歳男性で月額8730円です。
入院給付金の額を下げても保険料は安くなり、診断給付金を100万円ではなく50万円にしても保険料は安くなります。年齢次第で下げ幅は変わりますが、30~40歳だと月額600~1000円ほど安くなります。保障の中で優先度の低い精密検査特約を外しても200~400円、外見ケア特約を外しても数十円は保険料が安くなります。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社のがん保険と一覧表で比較しました。基本的に治療給付金は月10万円(診断一時金なら100万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。
この保険の保険料は全ての特約ありのプランだと、他社と比較して高い部類に入ります。30歳でいうと平均額の2600円よりも高く、40歳でも平均額の3800円よりも高いです。特約を保険料免除だけに絞ると保険料は30歳で2825円で、40歳で4160円のため平均額に近くなります。
ただ、この保険の特長(後述)は特約にあるため、特約を外すのは強みを失うことにもなります。そのため保険料だけで考えれば他社の方が有利といえます。特に月額の保険料が1000円程度の保険と比べても不利なのは明らかです。この保険としては保険料以外で他社を上回るメリットが欲しいところです。
メリット
この保険のメリットは、まずは最新のがん治療に対応した保険にできる点が挙げられます。アフラックが勧めるがん治療給付特約で受け取れるのは、手術・放射線治療・抗がん剤治療・ホルモン剤治療に加えて緩和療養も入っています。治療の副作用による苦痛を緩和する目的でも給付金が受け取れます。
先進医療患者申出療養特約・特定治療保障特約・要精検後精密検査特約も最近の治療の時流に乗っています。先進医療患者申出療養特約は技術料が自己負担となる先進医療だけではなく、薬剤費等が自己負担となる患者申出療養でも2000万円まで保障されます。
さらに薬によっては患者申出療養とならず自由診療(自費診療)になるケースに備えて、特定治療保障特約があります。がん治療で国内未承認薬や適応外薬での治療となると、特定保険外診療となり治療費が全額自己負担となります。高額療養費制度もつかえず毎月の治療費が数十万円になるケースもありますが、この特約を付ければ治療を受けた月ごとに50万円が受け取れ、高額になる治療費をカバーできます。
この特約にはがんゲノムプロファイリング検査給付金も付いています。がんゲノム検査は自分のがんの遺伝子を検査して、がんに適した治療方法・抗がん剤等を見つける検査です。検査ではありますが、費用が数十万円になるケースもあります。なるべく体に負担が少なく副作用等が少ない治療方法を見つけるために、最近では主流となりつつある検査です。
外見ケア特約も人によってはメリットでしょう。抗がん剤による脱毛や頭部の手術(脳腫瘍)だと髪を剃る等が必要となり、どうしても外見が気になる人もいるでしょう。この特約を付ければウィッグ等を購入するための費用として10~20万円が受け取れます。要精検後精密検査特約と共にアフラック以外ではあまり見かけない特約です。
デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、まずは特長である特約が10年更新という点が挙げられます。前述したように、この保険のメリットは特約にあります。しかし、先進医療患者申出療養特約・特定治療保障特約・要精検後精密検査特約・外見ケア特約の保険期間は10年満期で、10年毎に保険料が上昇します。主契約部分の保険料は契約時から変わりませんが、10年毎に年齢に応じて保険料が上昇します。
上図の保険料表からすると、特約部分だけとは相応の値上がりがあるのが分かります。30~80歳で先進医療は数十円の値上がりですが、外見ケアは300円、要検査特約は800円、診断給付金複数回特約に至っては2000円の値上がりをします。30歳男性で全ての特約あり契約して保険料は月額3949円ですが、80歳で保険料は7000円を超えます。定年退職後に保険料負担が大きくなるのは痛いです。
また、未承認薬や適応外薬での治療で患者申出療養・自由診療となると、治療費の薬剤費が全て自己負担となります。がん剤等の新薬(未承認薬・適応外薬)は国立がん研究センター「未承認・適応外の医薬品について」によると、未承認薬だと全体の80%が1ヶ月あたりの費用が100万円を超えます。この保険では患者申出療養なら2000万円まで保障されますが、自由診療だと月50万円の給付金のため治療費には不足する可能性があります。
さらに細かい点でいうと、上皮内新生物・ホルモン剤治療だと給付金が減額されるのも見逃せません。診断給付金は上皮内新生物だと10分の1の額に減額されます。他社では上皮内新生物でも悪性新生物と同様に満額の給付金が受け取れる保険があります。治療給付金はホルモン剤治療だと半額になり、同様に他社には満額受け取れる保険があります。
なぜか特定保険料払込免除も地味に厳しくなっています。かつてはがんと診断されると保険料の支払いが免除されていましたが、現在はがんと診断され2年内に入院と通院の日数が30日に達した時、または2年経過後に再びがんと診断されるか入院・通院している必要があります。他社にはがんと診断された時点で免除される保険があります。
評判・苦情
アフラックの2023年の決算資料によると、個人向け保険の全体の新契約数は83万件で前年度の80万件から3.4%増でした。その中でがん保険の新契約数は48万件から55万件に増加しており堅調です。しかし、ピークだった2018年から件数は半減し、保有契約件数も年々減少しているのが気がかりです。そのため申込数・契約数等からすると評判は普通か少し悪いです。
契約数でいうと保険市場のがん保険の申込数ランキング2024でも、アフラックのWINGSは27の保険の中で13位でした。一括見積もりをするような保険料を抑えたい人には、あまり人気がありません。かつてはがん保険といえばアフラックというイメージでしたが、現在は異なるようです。
また、生命保険協会の苦情数のデータでは、アフラック全体に寄せられた苦情数は31683件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の1420万件で割った苦情率は0.2%で、契約者1000人のうち2件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多い中では苦情数は普通で、苦情面で考えると顧客対応への評判は普通です。
ただ、調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険代理店チャネル)」では、アフラックは17社中5位とトップ5に入っていました。手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、全体の中で中の上ではあるようです。ダイレクト部門でも平均は上回っていました。
「オリコン顧客満足度 がん保険ランキング2024」だと、アフラックは18社中2位に浮上していました。評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローですが、個別項目の順位でアフターフォロー以外は2位でした。アフターフォローは東京海上あんしん生命とアクサが同率1位でした。とはいえ全体的な満足度が高いのは間違いありません。
個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「保険金を受け取れる条件が分かりにくい」「どんどん保険が新しくなり何が良いか分からない」「コールセンターに繋がりにくい」「給付金が少ない」等の意見がありました。何かしらかが分かりにくい、という不満が満遍なくありました。
アフラックへの評判は普通か少し良さそうですが、がん保険WINGS自体の専門家からの評価は低いです。30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が調査対象の「FPが選んだオリコン終身型がん保険 ランキング2024」では、WINGSは10ある保険のうち9位でした。商品内容・保障の独自性では7位に順位を上げていましたが、保険料は最下位でした。総合的には9位というのも納得の結果でしょう。
以上のデータから考えるとアフラックの評判は普通か少し良さそうで、がん保険WINGSの評判は少し悪そうです。アフラックの評判は各調査で少なくとも上位にはいるため、評判が悪いということはありません。しかし、がん保険WINGSは契約数からも専門家からの評価からしても良いとはいえません。がん保険が年々複雑になっているのが足を引っ張っている印象も受けます。
総合評価・おすすめか?
結論としては、アフラックのがん保険WINGSは微妙な保険です。メリットもありますが、それと同等程度のデメリットもあるからです。最新の治療に則した保障があるのは決して悪くありませんが、それにより契約する側には分かりにくさ・煩雑さが生じている感もあります。
この保険以外で総合的に保障が充実した保険が欲しいなら、チューリッヒ・メットライフあたりのがん保険を検討すべきでしょう。手厚い保障よりも保険料を重視するなら、コープの団体がん保険あたりを検討する必要があります。