ネオdeがんちりょうを比較・評価

ネオファースト生命
オススメ度:
2
保険会社:
ネオファースト生命
名称:
ネオdeがんちりょう
加入年齢:
0~85歳
保障期間:
終身
保障内容:
がん治療等で給付金
特徴:
必要な保障は自由にお選びいただけます

ネオdeがんちりょうはネオファースト生命が2022年9月から募集・販売している保険です。同社には長らくがん保険(特約ではないがん専用の保険)がありませんでしたが、満を持して販売を開始したのがネオdeがんちりょうです。

がん保険としては後発ですが、その分だけ最新の治療実態や増加する自費診療を保障する保障内容となっています。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社のがん保険と比較していきます。

保障内容

この保険には「がん治療給付金」「がん放射線治療・抗がん剤治療給付金」「がん診断給付金」の3つの主契約があり、その中から1つか2つを選びます。全てを主契約にしたり、がん治療給付金とがん放射線・抗がん剤の2つを選択することはできません。がん治療給付金に放射線治療・抗がん剤治療の保障が含まれている(重複する)からです。

ネオdeがんちりょうの保障内容(出典:ネオファースト生命 ネオdeがんちりょう商品パンフレット2022年9月版)

がん治療給付金は手術・放射線治療・抗がん剤治療を受けた月に10万円が受け取れます。がん放射線治療・抗がん剤治療給付金だと手術が対象外となり、放射線治療・抗がん剤治療を受けた月に10万円が受け取れます。どちらの主契約にもがん緩和ケア保障特則と自費診療上乗せ給付特則が付けられます。

がん緩和ケア保障特則を付けると、がんの痛みを和らげる治療で入院・通院・在宅療養をしても、放射線治療等の時と同様に給付金が受け取れるようになります。自費診療上乗せ給付特則を付けると、公的健康保険で自己負担が3割とならない自費診療(自由診療)を受けた際に通常の2倍の給付金が受け取れるようになります。

3つ目の主契約であるがん診断給付金は手術等の治療法は無関係で、がんと診断確定されると10~200万円の給付金が受け取れる仕組みになっています。初めて診断確定された場合に加えて、2回目以降の診断確定でも1回目から1年以上が経過していれば受け取れます。さらに2回目以降は自費診療による治療による通院も給付金の対象となります。

選べる特約(オプション)は先進医療患者申出療養特約・通院特約・女性特定手術乳房再建保障特約・保険料払込免除特約があります。先進医療・患者申出療養特約は先進医療や患者申出療養の治療を行った場合に、診療にかかわる技術料と同額が2000万円まで保障されます。通院特約はがんで通院すると2000~2万円が受け取れる特約で、通院前に入院したかは無関係で受け取れます。

女性特定手術・乳房再建保障特約は女性特有の手術や乳房再建術を受けた時に、10~200万円の給付金がが受け取れる特約です。乳房再建術だと自分が設定した給付金の満額が受け取れますが、それ以外ではがんの種類によって給付金が100~10%まで変動します。保険料払込免除特約は、がんと診断されると以後の保険料の支払いが不要となる特約です。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は性別・年齢・各給付金の額・特約の有無によって変動します。さらに非喫煙者だと先進医療・患者申出療養特約以外の保障分の保険料が割引されます。非喫煙者と喫煙者を比べると、付ける特約の数にもよりますが、保険料は概ね20%ほどの差があります。

非喫煙者で治療給付金10万円・診断給付金100万円・自由診療あり・先進医療あり・保険料免除ありなら、保険料は30歳男性で月額2750円、40歳男性で月額4286円、50歳男性で月額6855円です。その一方で診断給付金100万円を削ると、保険料は30歳男性で960円、40歳男性で1495円、50歳で2415円まで下げられます。

次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社のがん保険と一覧表で比較しました。基本的に治療給付金は月10万円(診断一時金なら100万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。

がん保険の30歳と40歳と50歳の保険料の比較一覧表(アフラック・アクサ生命・アクサのネット完結・FWD生命・オリックス生命・SOMPOひまわり生命・チューリッヒ・東京海上あんしん生命・なないろ生命・ネオファースト生命・はなさく生命・三井住友海上あいおい生命・メットライフ生命・メディケア生命・楽天生命・コープ団体保険・JA共済・共栄火災・SBI損保・セコム損保・明治安田生命・ソニー生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の保険料は治療給付+診断給付のプランなら、他社と比較して中間に近い額です。30歳でいうと平均額の2700円に近く安くも高くもありません。40・50歳だと平均額よりも2~300円ほど高いのですが、それでも中間に近い額といえます。

しかし、前述したように診断給付金が無い治療給付プランにすることで、保険料は大幅に下がります。30歳男性の保険料である960円は平均額を大幅に下回ります。なないろがん治療保険は同じように治療給付金にだけ絞った保険ですが、この保険と同等か僅かに安くなっています。保障内容次第では保険料は最安値圏になります。

メリット

この保険のメリットは、まずは全ての保障に上皮内新生物が含まれている点が挙げられます。他社では東京海上あんしん生命のように、保険料免除特約に上皮内新生物が含まれていない保険があります。その他にも他社には診断給付金は上皮内新生物だと受け取りは1回限りとする保険があります。

診断給付金については回数制限が1年に1回と他社よりも短いのもメリットです。アフラックやチューリッヒの診断給付金は2年に1回が限度ですが、それよりも短い期間に設定されています。このメリットは1年後に再発するというより、1年後も治療が継続している(入院・通院している)ケースで効果を発揮します。治療が長期化した場合に100万円なりが受け取れれば大きな助けになります。

また、がん先進医療と患者申出療養がセットになっているのもメリットです。他社の保険では患者申出療養でも月に数十万円が受け取れる保険があります。しかし、この保険では先進医療と一括りのため限度額が通算2000万円までと高めに設定されています。

ちなみに加入者向けのサービスも人によってはメリットかもしれません。24時間対応の健康相談やセカンドオピニオンサービスは他社にもありますが、ネオファーストにはオーラルケアサポートサービスという歯の健康維持に使える独自のサービスがあります。その中にはオーラルケアスマートコンシェルジュというアプリがあり、歯科医等が解析した口腔画像デーやをAIが解析して、自分の口腔の画像から口腔状況が分かります。

ネオファーストの加入者向けサービスの内容(出典:ネオファースト生命 ネオdeがんちりょう商品パンフレット2022年9月版)

デメリット・弱点・落とし穴

この保険のデメリットには、まずは自由診療では給付金が2倍になるだけという点が挙げられます。高額療養費制度を見越して治療給付金の上限を10万円にすると、自由診療で受け取れるのは20万円だけです。自由診療では新薬・未承認薬などで負担額が1ヶ月に100万円を超えるケースがあり、20万円では不安があります。

治療方法別の医療費負担と新薬と費用(出典:ネオdeがんちりょう商品パンフレット2022年9月版及び厚労省「わが国の医療保険について」及び国立がん研究センター「未承認・適応外の医薬品について」)

上図は治療区分毎の医療費負担ですが、最も負担が大きくなるのは3割負担の箇所が無い自由診療です。抗がん剤等の新薬(未承認薬・適応外薬)は国立がん研究センター「未承認・適応外の医薬品について」によると、未承認薬だと1ヶ月あたりの費用が100万円を超えるのは80%を占めています。これを見ると月額20万円が如何に心細いか分かります。

さらに患者申出療養にしても通算2000万円まで保障されますが、東京海上あんしん生命だと通算1億円まで保障されます。2000万円だと新薬が1ヶ月あたり100万円なら投薬は1年は継続できますが、もしも200万円なら1年は継続できません。治療費を理由に投薬を諦めざるを得ません。

また、細かい点でいうと、先進医療には見舞金がないのも見逃せません。他社では大抵は技術料の5~10%分が見舞金として受け取れ、それを先進医療が受けられる病院への交通費・宿泊費等に充てられます。女性特定手術も、なぜか乳房再建術なら満額の給付金ですが、乳房・子宮・卵巣の摘出術だと30%に減額されます。明らかに不利な内容で、そもそも差を設ける意味が分かりません。

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評判・苦情

ネオファースト生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の全体の新契約数は16.2万件で前年度の17.5万件から7.4%減でした。他社では新契約数が増加しているケースもあるため、申込数・契約数等からすると評判は良くはありません。

ただ、契約数でいうと価格.comのがん保険の申込数ランキング2024では、ネオdeがんちりょうは27の保険の中で5位でした。トップ5に入る申込数で保険料を抑えたい人からは、一定の人気があるのは間違いありません。既述した治療給付に特化したプランが影響していそうです

生命保険協会の苦情数のデータでは、ネオファースト生命全体に寄せられた苦情数は1050件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の85万件で割った苦情率は0.1%で、契約者1000人のうち1件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多い中では苦情数は普通で、苦情面で考えると評判は悪くありません。

調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険代理店チャネル)」でも、ネオファースト生命は17社中8位と中間の順位でした。中間とはいえ平均値は超えているため決して悪くありません。手続き・顧客対応・商品提供・保険料の評価項目で、平均か僅かに平均を超える評価だと分かります。

JDパワー 2024年生命保険契約満足度調査 保険代理店チャネル(出典:JDパワー公式HP)

その一方で「オリコン顧客満足度 がん保険ランキング2024」では、ネオファースト生命は18社中11位以下でした。評価項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローですが、個別項目でもトップ10以下に入っていません。保険会社全体からすると平均以下である可能性があります。個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「加入するまでの説明・確認が面倒」「加入後に連絡がない」「給付金が来るまで時間があった」等の意見がありました。

総じてネオファースト生命への評判は普通か少し悪そうですが、ネオdeがんちりょうに対する専門家からの評価は高いです。30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が調査対象の「FPが選んだオリコン終身型がん保険 ランキング2024」では、ネオdeがんちりょうは10の保険のうち2位でした。保険料や商品内容の個別ランキングでも2位をとっていました。

ネオdeがんちりょうのランキング結果(出典:オリコン公式HP「おすすめのがん保険商品ランキング2024」)

以上のデータから考えるとネオファースト生命の評判は普通か少し悪そうですが、ネオdeがんちりょうの評判は良さそうです。ネオファースト生命の評判は調査によって平均を超える結果もあれば、平均を下回る結果もあります。極端に悪いわけではないものの一抹の不安はあります。ネオdeがんちりょうの評判は契約数・専門家からの評価が高く、保険そのものの評判は悪いとはいえません。

総合評価・おすすめか?

結論としては、ネオdeがんちりょうは微妙な保険です。人によっては保険料が安いため良いかもしれませんが、それにしてもデメリットを把握してから加入した方が賢明です。特に自由診療や女性特約等の内容については注意を払う必要があります。

その一方で総合的に保障が充実した保険が欲しいなら、アフラック・チューリッヒ・メットライフあたりのがん保険を検討すべきでしょう。この保険よりも保険料を抑えるなら、コープの団体がん保険あたりを検討する必要があります。