なないろがん一時金保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- なないろ生命
- 名称:
- なないろがん一時金保険
- 加入年齢:
- 0~80歳
- 保障期間:
- 終身
- 保障内容:
- がん診断等で給付金
- 特徴:
- シンプルながん保険
なないろがん一時金保険は、なないろ生命が2021年10月から募集・販売しているがん保険です。なないろ生命が営業を開始したのが2021年のため営業開始と同時に販売をスタートした保険です。現在まで販売当時の保障内容のままではなく改定がされています。
また、なないろ生命にはがん治療保険極もありますが、この保険とは保障内容等は異なるため注意が必要です。それでは以下で保障内容・保険料・評判等を解説し、他社のがん保険と比較していきます。
保障内容
この保険は基本保障(主契約)ががん診断一時金で、それ以外の保障はオプション(特約・特則)のため自分で取捨選択できます。がん診断一時金は初めて悪性新生物か上皮内新生物と診断されると受け取れます。1年間の間隔が空いていれば、2回目以降もがんと診断されれば一時金は受け取れます。受け取れる回数は無制限で、金額は30~300万円まで設定できます。
オプションにはがん保険料払込免除特約・がん治療給付金・がん先進医療患者申出療養特約があります。がん保険料払込免除は、初めて上皮内新生物を含むがんと診断されると保険料が免除されます。がん治療給付金は上皮内新生物を含むがんで、抗がん剤治療や放射線治療を受けた月には5万円が受け取れます。抗がん剤が自由診療で自己負担が3割とならない薬剤の場合には倍の10万円が受け取れます。
がん先進医療・患者申出療養特約は給付金と見舞金で構成されています。給付金は先進医療か患者申出療養でかかった技術料と同額を2000万円まで受け取れます。見舞金は技術用の10%相当額が受け取れ、遠方の病院までの交通費や家族の宿泊費等に充てられます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は性別・年齢・一時金の額・特約の有無によって変動します。診断一時金100万円で保険料払込免除あり・がん先進医療患者申出療養あり・がん治療給付金10万円で、30歳男性の保険料は月額2823円となります。40歳男性は月額4256円、50歳は月額7347円です。一時金・給付金の額を下げると保険料は下がります。
次に保険料は他社より安いのか高いのか、下図で他社のがん保険と一覧表で比較しました。基本的に入院給付金は1万円(診断一時金なら100万円)で、保険料は一部の保険を除いて終身払いで比較しました。
この保険の保険料を他社と比較すると、既述の条件では平均額に近く高くも安くもありません。ただ、30歳・40歳は平均額より数百円高いだけですが、50歳だと平均額(6400円)より1000円近く高く割高感があります。
また、この保険以外の他社の保険を見渡すと、30歳男性で保険料が月額1000円を切る保険があります。はなさく生命・コープ団体保険のがん保険などであれば、この保険の保険料の半額になります。その意味では、なないろがん一時金保険の保険料は高めともいえます。
メリット
この保険のメリットは、まずは全ての保障に上皮内新生物が含まれている点が挙げられます。他社では東京海上あんしん生命のように、保険料免除特約に上皮内新生物が含まれていない保険があります。その他にも治療給付金で上皮内新生物での受け取りは1回限り、先進医療でも除外される保険があります。この保険は全ての保障で対象となるため分かりやすいです。
また、コープ団体保険や太陽生命のがん保険は保険期間が5年・10年で終了し、契約時に安い保険料でも更新時に年齢に応じて上昇します。その点、この保険は契約時から保険料は同額で死亡するか解約するまで同額です。そのため前述の保険料の比較ほど保険料は割高ではないともいえます。
がん先進医療と患者申出療養がセットになっているのもメリットです。他社の多くの保険は患者申出療養では、治療給付金が月に数十万円に増額されるだけです。この保険なら技術料と同額の給付金が通算2000万円まで保障され、用途が自由な見舞金で数十万円が受け取れます。
ちなみに人によっては、保障がシンプルな選択肢に限られ、余計な保険加入者向けサービスが無いのもメリットかもしれません。保障の選択肢は3つだけで、他社のように7~8個の選択肢がある保険より迷う余地はありません。保険加入者向けサービスも他社のように利用するか分からないような内容がズラリと並んでいません。
デメリット・弱点・落とし穴
この保険のデメリットには、まずは手術が治療給付金の対象外である点が挙げられます。他社の保険は治療給付金に抗がん剤等と共に手術が含まれています。この保険では手術の治療費や入院に係る費用は一時金から捻出する必要があります。
さらに治療給付金には自由診療の抗がん剤治療が含まれているのも見逃せません。その金額は5~20万円で自由診療をカバーするには心もとない金額です。東京海上あんしん生命のように1億円は無理にしても、せめて4~50万円は欲しいところです。患者申出療養にしても数十万円の給付金よりはマシですが、東京海上あんしん生命の1億円からすると物足りなさがあります。
また、シンプルといえば聞こえは良いですが、選択肢が乏しいという見方もできます。他社には特約で従来の日単位・回数単位で給付金が受け取れる入院/通院給付金・手術給付金が用意されています。乳がんでの再建術や抗がん剤による抜け毛といった外見をケアする特約、がん遺伝子検査やがん罹患後のストレス疾病(うつ病等)を保障する特約もあります。
評判・苦情
なないろ生命の2023年の決算資料によると、個人向け保険の全体の新契約数は20万件で前年度の5.6万件から4倍になり好調でした。この保険が含まれるであろう入院保障の保険の保有契約高も大幅増でした。契約数等からすると評判は良さそうです。
契約数でいうと価格.comのがん保険の申込数ランキング2024では、なないろがん一時金保険は27の保険の中で21位と下位に沈んでいました。なないろがん治療保険極が18位のため、同じなないろ生命でも人気は下のようです。どちらにせよ保険料を可能な限り抑えたい人達の中では、この保険は不人気なようです。
生命保険協会の苦情数のデータでは、なないろ生命全体に寄せられた苦情数は310件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の41万件で割った苦情率は0.07%で、契約者1000人のうち0.7件の苦情が発生している計算です。他社の苦情率は0.1~0.3%台が多い中では苦情数は少なく、苦情面で考えると評判は悪くありません。
また、調査会社のJ.D.パワーの「2024年 生命保険契約満足度調査(保険代理店チャネル)」では、なないろ生命は17社中9位と中位に位置しています。手続き・顧客対応・商品提供・保険料が評価項目ですが、とりあえず平均よりは上の評価だったと考えられます。この調査は数千人の利用者を対象にした調査のため数件の口コミより信頼できます。
なないろ生命への評判は悪くなさそうですが、なないろがん一時金保険自体への評価は低めです。「FPが選んだオリコン終身型がん保険 ランキング2024」では、なないろがん一時金保険はランキング外です。2023年の調査ではランクインしていたものの8社中7位と下位でした。この調査は30人の専門家(ファイナンシャルプランナー)が回答した調査のため、専門家からの評価は低いことになります。
以上のデータから考えるとなないろ生命の評判は普通そうですが、なないろがん一時金保険の評判は良くありません。なないろ生命の評判は苦情数や各種調査で特別に良くも悪くもないため、普通と考えるのが無難でしょう。しかし、がん一時金保険については、価格.comの契約数も多くはなくFPからの評価も低いです。突出した点が無いのが評価の伸び悩みの原因といえそうです。
総合評価・おすすめか?
結論としては、なないろがん一時金保険は微妙な保険です。保障内容にしても保険料にしても他社よりも明確に秀でた点がなく、全て無難に収まっている内容です。明らかなデメリットもあるためバランスが取れた良い保険とも言い難いです。
この保険以外で突出した内容のある保険だと、アフラック・チューリッヒ・メットライフあたりは充実した保障があります。保険料を抑えるならコープの団体がん保険・なないろ生命あたりを検討する必要があります。