ジェイアイ傷害火災 たびほを比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- ジェイアイ傷害火災保険
- 名称:
- t@biho(たびほ)
- 申込:
- インターネット
- 航空遅延:
- 補償あり
- オリコン:
- 2位 / 10社中
- 特徴:
- 「いま、わたし」の旅の保険
ジェイアイ傷害火災は1989年にJTBとAIGの合弁会社として設立し、2012年からインターネット専用の海外旅行保険「t@biho(たびほ)」の販売を開始しました。2022年12月からは補償内容・サービス内容を拡充した「t@bihoプライム」も販売を開始しました。
プライムは補償を拡充しているだけあって保険料は高く、手頃に海外旅行でのトラブル・事故に備えたいなら従来のたびほの方が適しています。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険は治療救援費用と緊急歯科治療費用は必須で、その他の14の補償項目は自分で付けるか否かを選択します。治療救援費用は自分のケガ・病気の診察費・治療費の他に、3日以上の入院や死亡した場合に家族・親族が現地まで赴く費用が補償されます。緊急歯科治療費用は旅行中の歯痛の治療費の50%が補償されます。
その他の自由選択の補償は14項目もありますが、その中で積極的に検討しておきたいのは個人賠償責任・携行品損害・航空機寄託手荷物遅延・航空機遅延・旅行キャンセル費用です。個人賠償責任は子供やペットがホテルの備品等を壊した場合に、その賠償額が補償されます。子連れ・ペット同伴での海外旅行なら検討の余地があります。
携行品損害補償は旅行中にスーツケース・カメラ・スマホ・PC等が、盗難・事故・トラブルで破損すると1つあたり10万円まで補償されます。海外は日本より盗難・置き引きが多く、国によってはホテルの清掃員(もしくは装った人物)が盗難するケースもあります。ジェイアイ傷害火災の保険事故割合で、持ち物の補償はケガ・病気に次いで2位です。
航空機寄託手荷物遅延補償は航空会社に預けた荷物が6時間以上戻って来ない時に、日用品の購入費として1万円が受け取れます。ロストバゲージの確率で既述の通り荷物は遅れても戻ってくる確率が高いのですが、受け取りが翌日になれば代替の日用品・衣類は必要でしょう。航空機遅延補償は搭乗する飛行機が遅延・欠航・着陸地変更した場合に、宿泊費・食事代等として1万円が補償されます。
旅行キャンセル費用補償は、やむを得ない事情で旅行をキャンセルする場合に5~30万円が補償されます。やむを得ない事情には親族の入院・死亡の他、家が火災・台風で損壊した場合、交通機関の遅れ・運休で出国できなかった場合、妊娠が判明した場合、転居を伴う転勤を命じられた場合等々が挙げられます。さらに日本国内ではなく旅行先の国で大地震・火災が起きていた場合でもキャンセル費用が補償されます。
その他にJiジャパンダイレクトというサービスが自動付帯しています。海外でのトラブルの相談から、医師や病院の紹介・電話による医療通訳・パスポート盗難時の手続き案内がアプリで可能です。提携病院なら治療費の支払いが不要となるキャッシュレス・メディカルサービスもあります。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は被保険者数・年齢・保険期間・プラン・旅行先によって決まります。被保険者数は人数が多いほど保険料は高くなります。年齢は50歳未満が最も安く、50代・60代・70代・80代と年齢が上昇すると保険料は高くなります。保険期間(旅行日数)は長期になるほど高くなり、契約プランは補償が充実したプランは高くなります。
旅行先による保険料の変動は、その国の治安・政情が加味されています。この保険では旅行先が北米・ヨーロッパなら保険料は同額です。それがアジアだと少し安くなり、韓国なら30%ほど安くなります。その逆に中南米・アフリカだと保険料は30%ほど高くなります。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ(ハワイ含む)・ヨーロッパ(イタリア・フランス)・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
ジェイアイ傷害火災 たびほの保険料は、他社と比較すると安い部類に入ります。最安値とはいきませんが、アメリカなら最安値との差は300円、韓国なら最安値との差は100円です。ただ、メキシコ・南アフリカになると最安値との差は900円に広がります。保険料の安さでは上には上がいます。
以上を踏まえると、たびほの保険料は概ね安いものの、中南米・アフリカだと他社の方が安いといえます。従来型の店頭・書類で申し込む海外旅行保険よりは確実に安いのですが、ネット型と比較すると旅行先によっては無視できない保険料の差が出てきます。保険料面以外にメリットがあるのか、続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずはネットで申込・手続きが完結できる点が挙げられます。代理店の店頭に行ったり、書類を記入する手間が不要です。他社の保険だと申込はネットで可能でも、保険金の請求は書類というパターンもあります。この保険では携行品損害・航空機欠航・旅行キャンセルの保険金請求はWeb請求が可能です。
治療・救援費用と緊急歯科治療費用以外は自分で選べるのもメリットです。自分に必要な補償だけを厳選して保険料を節約できます。もしも治療・救援費用と緊急歯科治療費用だけで良いなら、アメリカ5日間なら保険料は970円で1000円も切ります。ある程度の補償を付けても、前述したようにアメリカ・ヨーロッパなら他社と比べて最安値に近い額です。リピーター割引(5%割引)を使えば、最安値のエイチエス損保との差は僅か数十円となります。
また、クレジットカードに海外旅行保険が付帯している人なら、不足している補償や補償額が低い補償を補完するという使い方もあります。クレジットカードの保険で不足しがちな傷害治療・疾病治療の補償額、そもそも付帯していない航空機遅延・旅行キャンセルを上乗せしておけば安心感があります。
キャンセル費用補償については、適用されるキャンセル理由が非常に幅広いのもメリットです。家族親族の死亡や交通機関の乱れの他に、ペットの死亡・婚約破棄・離婚・妊娠の判明・転勤・急な出張命令・解雇(リストラ)・インフルエンザ発症・学校行事の日程と重複・試験日程との重複・・・と多岐に渡ります。
さらに参加予定のイベント中止でもキャンセル理由に該当します。有名なアーティスト・ミュージシャンのライブが中止になったり、スポーツイベント(大会)や何かしらのフェスティバルが中止になっても、中止が出国前に分かって旅行をキャンセルすれば補償されます。
ちなみに、たびほは旅行シーズンにプレゼントキャンペーンをすることがあります。プレゼントは美容器具や夏ならサーティワン等のアイスのデジタルギフトがもらえます。他社では何のキャンペーンも無いことが多いため、キャンペーンがあるだけでも良いといえます。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは前述したように旅行する国次第で保険料が少し高い点が挙げられます。他社のネット系よりも高めなのはアフリカと中南米で、au損保と比べると保険料は1.5倍近く高くなります。よく比較されがちな損保ジャパン・エイチエス損保よりも高いです。
また、補償面では歯科治療費用が50%補償である点に注意が必要です。現地での治療費が5万円なら補償されるのは2.5万円で、かつ10万円が上限となっています。航空機寄託手荷物遅延・航空機遅延の補償額が1万円と極めて小額である点もデメリットです。1万円だと衣服・日用品を購入しても1日分で消えるでしょうし、航空機遅延なら宿泊費だけで消えそうです。
補償項目をカスタマイズできるのはメリットだとしても、その補償内容(上述した補償金額など)も自分で精査して付ける必要があります。せっかく付けた補償が物足りなかったり、逆に付けなかった補償が実は必要だったというケースも出てくるでしょう。クレジットカードの上乗せなら心配は無さそうですが、それでも事故・トラブル時の連絡をクレジットカードにするかジェイアイ傷害にするか迷いそうです。
さらにキャッシュレス・メディカルサービスはメリットではありますが、地域によっては提携病院数が少ないというデメリットがあります。特にアフリカには提携病院が1軒もありません。損保ジャパンならエジプト・エチオピア・モロッコ・南アフリカ等々に提携病院があります。
アフリカ以外だとヨーロッパでも損保ジャパンよりは見劣りします。北欧のデンマーク・フィンランド・スウェーデンには提携病院はありません。北欧も旅行者だと医療費は高く、足の骨折で50~60万円が自己負担となるケースがあります。
評判・苦情
ジェイアイ傷害火災の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の52.9億円から105億円になり98.8%増でした。まだ2019年度の数字には及びませんが、急回復を見せています。その中で海外旅行保険を含む傷害保険も71億円で前年度から155%増でした。他社では横ばいのケースがあるため、契約数・業績からすると評判は良いです。
現に価格.comの新規契約数ランキング2023でも、たびほは9社中2位でエイチエス損保たびともに次ぐ順位です。一括見積もりをする保険料重視の人からすると、旅行先に関わらず概ね安いのが評価されていそうです。カスタマイズによって保険料が削れるのも良い影響が出ているでしょう。
さらに日本損害保険協会の苦情数のデータでは、ジェイアイ傷害火災全体に寄せられた苦情数は58件(2021年度累計)と極めて少ないです。苦情の中身は「手続き中に画面が止まる」「解約・取消手続きが面倒」「保険金請求の説明が不十分・書類が多い」等の不満が見えました。
次にオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)ですが、ジェイアイ傷害火災は10社中2位でした。この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・担当者の対応・サポート体制・支払い手続きと対応の5つです。どの項目もトップ3には入っており、支払手続き・対応は1位と高い評価を受けています。トラブル・事故で気が滅入っていても気持ちよく保険金が受け取れそうです。
順位が最も低いのが3位の加入手続きですが、加入手続きは苦情面でも指摘されていた通りで内容が合致しています。それよりは男女別の部門結果で、男性からの支持が7位と低いのが気がかりです。各手続きが面倒だという印象を男性の方が受けたのかもしれません。
個別のクチコミでは「病気の時に現地での対応が遅かった」「担当者の対応が冷たい」「保険金が受け取れるまで少し長い」等のネガティブな意見がありました。支払手続き・対応は1位といっても、極稀に対応する担当者には良くない人がいるのかもしれません。
以上のデータから考えるとジェイアイ傷害火災の評判は良さそうで、海外旅行保険も良さそうです。たびほプライムもありますが、この評判ならスタンダードなたびほでも十分なサポートが受けられそうです。気がかりだとすれば各手続きぐらいのものです。
総合評価・おすすめか?
結論としては、ジェイアイ傷害火災のたびほは悪くない保険です。保険料が少し高めになる旅行先もありますが、それを差し引いてもメリットが大きく評判も上々だからです。その一方で旅行先が中南米・アフリカなら、損保ジャパン等の他社を選ぶのも手です。
また、とにかく保険料を削減したい人も他社の保険も検討した方が賢明です。保険料の安さならエイチエス損保やau損保が候補になります。この保険と似た保険なら、ソニー損保あたりを検討しても良いかもしれません。ジェイアイ傷害火災と業務提携しているため補償内容はほぼ同一ですが、手続き面は改善される可能性があります。