AIG損保 海外旅行保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- AIG損保
- 名称:
- 海外旅行保険
- 申込:
- ネット・店頭
- 航空遅延:
- 補償あり
- オリコン:
- 8位 / 10社中
- 特徴:
- さまざまなリスクを幅広くカバー
AIG損保の海外旅行保険は公式HPから申込める他、店頭・書類で申込むことも可能です。また、この保険は個人での短期の海外旅行が対象ですが、海外留学・ワーキングホリデー向けの海外留学保険もあります。
AIGは外資系企業のため海外旅行保険で幅広いサポートが受けられそうですが、果たして保険料に見合うだけのメリットがあるのでしょうか。以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険の補償はパッケージとなっており、どのプランを選択しても補償内容は同一で保険金額が異なるだけです。補償内容は自分の健康の補償、荷物のトラブル、航空機のトラブルの3つに大別されます。健康の補償はケガ・病気により死亡・後遺障害となった場合に保険金が受け取れる他、ケガ・病気による治療費も保険金で受け取れます。
ケガ・病気の治療は緊急歯科治療費用・治療救援費用・疾病応急治療救援費用の3つがあります。緊急歯科治療費用は旅行中に歯痛を抑えるための緊急治療をすると、その治療費が補償されます。治療救援費用は歯痛以外の病気・ケガの治療費や、親族が駆けつけた場合の渡航費が補償されます。治療救援費用は持病の悪化は補償外ですが、持病の悪化による治療費は疾病応急治療救援費用で補償されます。
荷物のトラブルには携行品損害補償があり、旅行中にスマホ等が盗まれたり落として壊した場合に補償されます。1つあたり10万円まで補償され、合計で30万円まで補償されます。航空機のトラブルには旅行事故緊急費用があり、スーツケースが飛行機から出てこない、悪天候で飛行機が欠航した場合等に5万円まで補償されます。その他にホテルの備品を壊したり他人をケガさせた場合に補償される賠償責任保険もあります。
その他にアシスタンスサービスとDoctors Meというサービスが自動付帯しています。前者は旅行中の病気・ケガに対して医療機関を紹介したり、治療費の支払いが不要となるキャッシュレスメディカルサービスがあります。後者は海外で処方された薬が安全か確認したい場合や子供の体調が悪い場合などに、スマホから日本語で医師・薬剤師に相談できるサービスです。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は年齢・保険期間・契約タイプによって決まります。年齢は15歳未満が最も安く、次いで15~69歳以下が安いです。70歳以上だと70~80歳・81~85歳・86歳以上と年齢が上昇すると高くなります。保険期間は(旅行日数)は長くなるほど保険料は高くなり、契約タイプは各補償の上限額を高くするほど保険料は高くなります。
注意すべきは保険料の高いタイプにしても、緊急歯科治療費用・個人賠償責任・旅行事故緊急費用の金額は上乗せされない点です。これらの補償ではなく死亡保険金・治療救援費用・携行品損害を上乗せするか否かで、契約タイプを選択することになります。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ(ハワイ含む)・ヨーロッパ(イタリア・フランス)・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
AIG損保の海外旅行保険の保険料を他社と比較すると、どのケースでも高めになっています。最安値の保険と比べると、旅行先がアメリカ・ヨーロッパ・韓国だと3倍近い高さです。旅行先が南アフリカだと他社の保険も保険料が上昇し差は縮まりますが、それでも相対的に高いのは変わりません。
以上を踏まえると、AIG損保の海外旅行保険の保険料は他社よりも高いです。同じ代理店型と比べても高めで、ネット型とは大きな差があります。これだけ高い保険料に見合ったメリットがあるのか、続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは保険料が旅行先に関わらずほぼ同一な点が挙げられます。アメリカ・ヨーロッパと中南米が同じ金額です。他社のように治安が多少悪いか不安な国でも保険料は上昇しません。それでもネット型よりも保険料は高いのですが、その分だけ補償が手厚いとも考えられます。
その1つが持病が補償される疾病応急治療・救援費用です。他社の保険では持病の悪化は補償外だったり、オプションで持病を補償(その分だけ保険料は上昇)となるケースがあります。緊急歯科治療費用もジェイアイ傷害「たびほ」にはありますが、この補償が無い保険も他社にはあります。
また、携行品損害が30万円と高めです。他社のように10万円だとスマホが壊れただけで上限額に到達します。20~30万円ならスマホ・航空券・サイフが入ったバッグごと盗まれても、まるごと補償できる可能性があります。旅行事故緊急費用の5万円も同様で、保険料が安いau損保では航空機遅延の補償を付けられず、それ以外の他社でも1万円だけというケースもあります。5万円あれば飛行機が欠航しても宿泊費と1日分の飲食費にはなります。
自動付帯となるDoctors Meもメリットでしょう。特に相談できるのが保険会社の担当者ではなく専門家という点が大きいです。相談できる専門家は医師・薬剤師の他に、歯科技師・栄養士・カウンセラー・獣医師の6種類あります。医師・薬剤師には不調時の対応の他、持病の薬と旅先で処方された薬を同時に飲んでいいかといった相談ができます。
歯科技師にはインプラントの不調や歯のかぶせ物が取れた場合などが相談できます。獣医師には旅行に連れてきたペットが体調を崩したり、異物を飲み込んだ場合などに相談できます。このサービスは保険に加入後に送られてくるパスワードからログインして、相談したい専門家を6つの中から選択して相談できます。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは前述したように保険料が高い点が挙げられます。保険料は最安値圏の保険の2~3倍の金額です。その分だけ補償が手厚いとはいえ、1週間程度の旅行なら過剰な補償ともいえます。ここまで必要なのか再考する余地はあります。
また、利用回数が多いであろう携行品損害が30万円で頭打ちなのもデメリットです。契約タイプを格上げしても死亡保険金が上乗せされるだけで、持病の補償となる疾病応急治療救援費用も300万円が上限です。旅行事故緊急費用の5万円も一見すると他社より高めですが、航空機遅延・手荷物遅延などを合算して5万円である点に注意が必要です。東京海上では航空機遅延は4.5万円で、それとは別に手荷物遅延で3万円があります。
さらにキャッシュレス・メディカルサービスはメリットではありますが、提携病院数が少なめというデメリットがあります。ヨーロッパではイギリス・フランス・イタリア等には提携病院がありますが、ポルトガル・オーストリア・ベルギーにはありません。北欧のフィンランド・スウェーデン等にもありません。
アジアではミャンマー・カンボジア・ラオス・トルコにはありません。中南米はメキシコのみで、アフリカに至っては1つもありません。治安に不安がある国でも保険料が高くならないといっても、提携病院が無いようではサポートに不安が残ります。
評判・苦情
AIG損保の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の1524億円から1515億円になり0.6%減でした。その中で海外旅行保険を含む傷害保険は264億円で前年度から0.3%増でした。他社では増加・急回復のケースがあるため、契約数・業績からすると評判は良くありません。
さらに日本損害保険協会の苦情数のデータでは、AIG損保全体に寄せられた苦情数は約1.2万件(2022年度累計)でした。東京海上・損保ジャパン・あいおいニッセイより苦情数は少ないです。苦情の中身は保険金に関する手続きの誤り・遅延が多く、解約手続きの遅れ、継続案内の遅れ等にも不満が見えます。
次にオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)ですが、AIG損保は10社中8位と下位でした。この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・担当者の対応・サポート体制・支払い手続きと対応の5つです。
個別の項目の順位も総合順位と大差はなく、いずれも平均点も下回っています。ただし、年代別部門結果では60代から4位と高い評価を得ています。6種類の専門家に相談できるDoctors Meなどが、健康に気を使い始めた60代以上に良い影響を与えたのかもしれません。
個別のクチコミではポジティブな意見がある一方で、「盗難された物の値段の説明に時間を要した」「紹介された病院に連絡済みのはずが、そうではなかった」「新品のスーツケースだったが補償額が少額だった」等のネガティブな意見がありました。
以上のデータから考えるとAIG損保の評判は良くなさそうです。苦情面にあった解約・継続手続きは海外旅行保険なら自動で消滅するため問題ありませんが、保険金への苦情やオリコンの個別項目で低評価なのが不安です。外資系企業ではありますが、海外での対応にも不安が残る結果でした。
総合評価・おすすめか?
結論としては、AIG損保の海外旅行保険はイマイチな保険です。保険料が高いのに補償内容が見合っておらず、さらにサポート・サービス・評判面でも良い点があまり無いからです。保険料にしても補償内容にしても中途半端ともいえるかもしれません。
この保険を検討している人は、他社の保険も検討した方が賢明でしょう。保険料の安さならエイチエス損保やau損保が候補になります。総合的な良さならソニー損保やジェイアイ傷害火災保険あたりを検討しても良いかもしれません。