SBI損保 海外旅行保険を比較・評価

SBI損保 海外旅行保険
オススメ度:
2
保険会社:
SBI損保
名称:
SBI損保の海外旅行保険
申込:
インターネット
航空遅延:
補償あり
オリコン:
対象外 / 10社中
特徴:
ネット完結でカンタンお手続き

SBI損保の海外旅行保険は2023年4月から販売を開始しました。ジェイアイ傷害火災との提携商品であり、後述するように海外サポートはジェイアイ傷害火災が担っています。また、補償内容もたびほに酷似しています。とはいえ引受保険会社はSBI損保のため、同社の海外旅行保険であるのは間違いありません。

それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険は治療救援費用と緊急歯科治療費用は必須で、その他の基本補償・オプション補償は自分で選択できます。必須となる治療救援費用はケガ・病気の治療費の他に、重篤な場合に家族・親族が現地まで赴く費用が補償されます。もう1つの緊急歯科治療費用は、旅行中の歯痛の緩和等の治療費が50%補償(10万円が限度)されます。

SBI損保の海外旅行保険の補償内容(出典:SBI損保公式HP)

その他に基本補償には、死亡時の保険金、他人の物を壊した場合の個人賠償責任、訴訟時の弁護士費用、所持品の損壊時の携行品損害、航空会社に預けた手荷物が補償される寄託手荷物遅延、テロにより航空便が遅延した場合のテロ等対応保険金、といった補償があります。

オプション補償には、諸事情で旅行を取りやめた場合の旅行キャンセル費用、旅行中に親族の不幸等で帰国せざるを得ない場合の旅行中断費用、飛行機が遅延・欠航した場合の航空機遅延、トラブルで帰国できない場合のペット預入延長費用の補償があります。これらの基本補償とオプション補償を自由に組み合わせられます。

さらに海外サポート充実タイプも選択できます。このタイプにすると治療救援費用の上限額を無制限にできる他、従来の治療救援費用では補償されなかった持病の悪化も補償の対象となります。携行品の損害の上限額を50万円に設定でき、緊急歯科治療費用も自己負担ゼロ(100%補償)になります。

海外サポート充実タイプとベーシックタイプの違い(出典:SBI損保公式HP)

このタイプで最も大きいのは日本語ガイド等費用補償で、これはベーシックタイプでは付けられません。日本語ガイド等費用補償はケガ・病気で治療救援費用が補償される場合、パスポートや旅券の紛失・盗難で携行品損害が補償される場合に利用できます。日本語ガイドが病院に付き添って病状を説明してくれたり、入院中も医師との通訳もしてくれます。

これらの海外でのサポートは冒頭でも既述した通り、ジェイアイ傷害火災が担っています。海外でのサポートは海外でのトラブル相談から医師や病院の紹介まで電話等でもしてくれます。提携病院なら治療費の支払いが不要となるキャッシュレス・メディカルサービスもあります。

▲ページの一番上に戻る

保険料を他社と比較

この保険の保険料は被保険者数・年齢・保険期間・プラン・旅行先によって決まります。被保険者数は人数が多いほど保険料は高くなり、最大10名までグループで契約できます。年齢は50歳未満が最も安く、50代・60代・70代・80代と年齢が上昇すると保険料は高くなります。保険期間(旅行日数)は長期になるほど高くなり、31日まで選択できます。契約プランは補償項目を増やしたり、保険金の上限額を上げると保険料は高くなります。

旅行先による保険料の変動は、その国の治安・政情が加味されています。この保険では旅行先が北米・ヨーロッパなら保険料は同額です。それがアジアだと少し安くなり、韓国なら30%ほど安くなります。その逆に中南米・アフリカだと保険料は30%ほど高くなります。

次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ(ハワイ含む)・ヨーロッパ(イタリア・フランス)・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。

被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありの海外旅行保険の保険料の比較一覧表(三井住友海上・ジェイアイ傷害火災・損保ジャパン・エイチエス損保・AIG損保・au損保・東京海上日動火災・SBI損保・共栄火災海上・あいおいニッセイ同和・大同火災・ドコモ保険・ソニー損保・日新火災・楽天損保・Chubb損保・チューリッヒ保険・ソフトバンク保険)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

SBI損保の海外旅行保険の保険料は、他社と比較すると安い部類に入ります。ただ、この保険よりも安い保険も7~8個はあり最安値までは遠いです。旅行先がメキシコ・南アフリカになると最安値との差は1000円になります。ちなみにジェイアイ傷害火災より保険料は僅かに高くなっている点も見逃せません。

以上を踏まえると、SBI損保の保険料は概ね安いものの決定的な安さではないといえます。SBI損保は保険料の安さを自動車保険等ではウリにしていますが、海外旅行保険では物足りなさがあります。保険料面以外にメリットがあるのか、続いてメリットについて記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずはネットで申込・手続きが完結できる点が挙げられます。代理店の店頭に行ったり、書類を記入する手間が不要です。保険期間延長などの契約内容変更もネットでできます。保険金の請求も携行品損害・航空機欠航・旅行キャンセルならWeb請求が可能です。

治療・救援費用と緊急歯科治療費用以外は自分で選べるのもメリットです。極論をいえば治療・救援費用と緊急歯科治療費用だけにすることも可能です。クレジットカードに海外旅行保険が付帯している人なら、不足分だけ補完するという使い方もあります。不足しがちな傷害治療・疾病治療の補償額、クレジットカードには付帯していない航空機遅延・旅行キャンセルを上乗せすれば、保険料を節約した効率的な補償を確保できます。

海外サポート充実タイプがあるのもメリットです。特に日本語ガイド費用補償があれば、Jiデスクでの対面サポートと日本語ガイドが利用できます。Jiデスクは世界36都市にあり、ポルトガル語圏のブラジル、フランス語圏のパリなどでも安心感があります。

Jiデスクを利用できる都市一覧(出典:ジェイアイ傷害火災保険公式HP「違いは海外サービス!t@bihoプライム」)

ちなみにジェイアイ傷害火災との提携商品である点も、考え方次第ではメリットかもしれません。SBI損保は保険料が安いわりにサービス・対応面で不安があることが多いのですが、この保険は海外での現地サポートはジェイアイ傷害火災が担当します。ジェイアイ傷害火災はJTBグループのため海外でも相応の対応が期待できます。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは前述したように保険料が最安値ではない点が挙げられます。自動車保険などと同様に保険料の安さを求めてSBI損保を考えていたなら肩透かしを食うでしょう。リピーター割引として3%割引もありますが、それだけでは最安値には届きません。

また、補償面では歯科治療費用が50%補償である点、航空機寄託手荷物遅延・航空機遅延の補償額も1万円と小額な点もデメリットです。海外サポート充実タイプにしても航空機遅延費用は2万円までのため、東京海上の4.5万円には見劣りする上に保険料が1000円以上上昇します。Jiデスクによる対面サポートも、JTB旅カードの加入者なら同様のサービスが受けられるため有難みは薄いです。

さらにキャッシュレス・メディカルサービスはメリットではありますが、国・地域によっては提携病院数が少ないというデメリットがあります。アフリカには提携病院が無く、中南米でもコロンビア・パナマ・チリ等には提携病院はありません。

キャッシュレスメディカルサービスがある国数の比較表(三井住友海上・ジェイアイ傷害火災・損保ジャパン・エイチエス損保・AIG損保・au損保・東京海上日動火災・SBI損保・共栄火災海上・あいおいニッセイ同和・大同火災・ドコモ保険・ソニー損保・日新火災・楽天損保・Chubb損保・チューリッヒ保険・ソフトバンク保険)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

ヨーロッパでは北欧のデンマーク・フィンランド・スウェーデン等に提携病院は無く、アジアだとバングラディッシュ・ラオス等には提携病院はありません。これらの国が旅行先でなければ問題ありませんが、ヨーロッパ周遊といった場合には注意が必要でしょう。

評判・苦情

SBI損保の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の325億円から334億円になり2.7%増でした。他社には急回復をしているケースもあるため、契約数・業績からすると評判は普通です。ただ、海外旅行保険は2023年4月発売のため、この数字には含まれていません。

さらに日本損害保険協会の苦情数のデータでは、SBI損保全体に寄せられた苦情数は11249件(2022年度累計)でした。業績で4倍以上の差があるソニー損保に近い数のため、苦情数は明らかに多いです。苦情の中身は「事故対応」「事務手続き」が多めでした。海外旅行保険でいえば事務手続きで誤りがないか注意が必要でしょう。

SBI損保の苦情の件数と推移と内訳(出典:SBI損保ディスクロージャー誌2023「SBI損害保険の現状」)

海外旅行保険自体でいうと、価格.comの新規契約数ランキング2023で9社中9位と最下位でした。一括見積もりをする保険料重視の人からすると、前述したように保険料の安さが物足りないのでしょう。その他にオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)等でも評判・クチコミを確認したいところですが、2023年4月発売のためデータがありません。

以上のデータから考えるとSBI損保の評判は少し悪そうで、海外旅行保険も良くはありません。ただ、海外旅行保険については発売から間もないため、契約者数の増加や補償内容の改定等と共に評判が良くなる可能性もあります。評判については「現状では」という但し書きがつきます。

総合評価・おすすめか?

結論としては、SBI損保の海外旅行保険はイマイチな保険です。補償内容も保険料も中途半端な感があり評判も取り立てて良くは無いからです。補償内容が良いと感じた人も、補償内容はたびほと似通っているため、保険料が僅かに安いたびほにする方が得です。

また、とにかく保険料を削減したい人も他社の保険も検討した方が賢明です。保険料の安さならエイチエス損保やau損保が候補になります。この保険と似た保険ならソニー損保、補償と保険料のバランスなら損保ジャパンあたりを検討しても良いかもしれません。