エイチエス損保 たびともを比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- エイチエス損保
- 名称:
- たびとも
- 申込:
- インターネット
- 航空遅延:
- 補償あり
- オリコン:
- 6位 / 10社中
- 特徴:
- リーズナブルな保険料
エイチエス損保の「たびとも」は、それまでの海外旅行保険をリニューアルして2018年に販売が開始されました。エイチエス損保は旅行会社のHISの子会社のため、HISの企画旅行に自動付帯している海外旅行保険はエイチエス損保の保険だったりします。たびともはネット専用の海外旅行保険で、HISの企画旅行以外でも誰でも加入できます。
補償内容は度々改定されており、2019年には加入時の上限年齢の撤廃やリピーター割引の新設や保険料の改定がされました。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険は3つの契約タイプ(P1・P2・P3)がありますが、どのプランも補償内容は同一です。保険金額の上限が異なり、最も補償が手厚いP3タイプにするとケガ・病気の治療費用の補償が無制限となり、他の補償もP1タイプの3倍になります。ただし、携行品・航空機寄託手荷物遅延・賠償責任の補償額は据え置きとなります。
補償される内容ですが、ケガ・病気による治療費用の補償の他、死亡・後遺障害時にも保険金(傷害死亡・疾病死亡・傷害後後遺障害保険金)が受け取れます。さらにケガ・病気で死亡したり3日以上の入院した場合に、親族が駆けつけるための交通費・宿泊費等も救援者費用として補償されます。
その他に賠償責任・携行品損害・航空機寄託手荷物遅延等費用が付いています。賠償責任は子供やペットがホテルの備品壊したり他人にケガをさせた場合などに、その損害賠償額が1億円まで補償されます。携行品損害補償は旅行中にスーツケース等が破損すると30万円まで補償され、航空機寄託手荷物遅延補償は航空会社に預けた荷物が戻って来ない時に1万円が補償されます。
これらの補償金額をいくらにするかで、P1・P2・P3にするかを決めることになります。同社の2022年6月~2023年5月の契約実績では、62.6%がP1タイプを選択しています。多くの人が最小限の補償で十分だと考えているようです。
また、オプションで航空機遅延と電子機器補償があります。航空機遅延は搭乗予定の飛行機が遅延・欠航した場合に1万円が補償されます。電子機器補償は携行品損害補償で補償対象外となるスマホ・パソコン等の電子機器が、1点につき10万円まで補償されます。
その他に旅行中の海外サポートが自動付帯しています。海外でのトラブルに日本語で電話・LINE電話で相談でき、医師や病院の紹介・通訳の手配してくれます。治療するのが提携病院ならキャッシュレス診療となり、病院の窓口で治療費を支払うことなく治療が受けられます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は被保険者数・保険期間・契約タイプ・旅行先によって決まります。被保険者数は多いほど保険料が高くなり、保険期間(旅行日数)は長期になるほど高くなります。契約タイプはP1が最も安く、P2・P3となると保険料が高くなります。
旅行先による保険料の変動は、その国の治安・政情が加味されています。この保険では韓国などのアジアが最も安く、次いでアメリカなどの北米が安いです。ヨーロッパは僅かに高く、中南米やアフリカは最も高くなります。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ(ハワイ含む)・ヨーロッパ(イタリア・フランス)・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
たびともの保険料を他社と比較すると、ほぼ最安値なのが分かります。アメリカ本土・ハワイでは数十円差で最安値ですが、韓国では数百円の差を開けて最安値となっています。イタリア・フランスでは最安値ではありませんが、au損保とは数十円の僅差です。その一方で中南米・アフリカだと保険料の差は数百円に広がり、au損保の他に損保ジャパンにも負けます。
以上を踏まえるとたびともの保険料は安く、特に旅行先が北米・アジアだと安いといえます。旅行先が中南米・アフリカだと3番手になりますが、それでもたびともより高い保険が大半と考えれば十分に優秀な数字です。保険料面以外にメリットがあるのか、続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずはネットで申込・手続きが完結できる点が挙げられます。代理店の店頭に行ったり、書類を記入する手間が不要です。さらに他社の保険だと申込はネットで可能でも、保険金の請求は書類というパターンもあります。この保険ではWeb保険金請求が可能で、治療費用・携行品損害・航空機寄託手荷物遅延・航空機遅延はWebから請求できます。
保険料も前述したように安く、リピーター割引で保険料は3%割引になります。たかが3%ではありますが、前年・前々年ではなく過去4年内に利用した人なら適用されます。保険料の支払い方法もクレジットカードだけではなく、PayPayやキャリア決済で携帯料金と合算して支払えます。あらかじめ3つのプランがあるため、海外旅行保険に急遽加入する際にも選択に迷いがなく支払いもスムーズにできそうです。
さらに海外でトラブル・事故時にLINE電話で24時間365日相談できるのもメリットです。LINE電話ならホテルにWifiがあれば連絡でき、海外旅行での通信を契約する必要もありません。帰国後のアフターケアでも旅行かばん修理サービスとカメラ・ビデオカメラ等修理サービスがあります。かばん修理は他社にもありますが、カメラ・ビデオカメラの修理サービスは他社ではあまり見かけません。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは旅行先によっては保険料が最安値ではない点が挙げられます。旅行先が中南米・アフリカならau損保か損保ジャパンの方が安いです。他社のように補償内容を自由に選択できないため、補償内容を削って保険料を安くできません。クレジットカードの海外旅行保険を補完する使い方もしにくいです。
また、補償面では携行品の電子機器の補償がオプションである点もデメリットです。損保ジャパンやジェイアイ傷害の海外旅行保険は電子機器も補償対象です。上限額の10万円もプランをP1からP3にしても上乗せされません。携行品・航空機手荷物遅延・賠償責任の保険金額も据え置きです。
さらに他社にはある旅行キャンセル費用(旅行変更費用)の補償がありません。旅行キャンセル費用補償は親族の不幸や事故の他に、飛行機の乗り遅れ・妊娠の判明・解雇(リストラ)等が理由でも補償されます。高額な旅行や新婚旅行等ではあるに越したことがない補償です。
また、キャッシュレス診療はメリットですが、国によっては提携病院がありません。ヨーロッパではデンマーク・フィンランド・スウェーデンといった北欧にありません。アジア・オセアニアではカンボジア・バングラディッシュ・フィジー等にもありません。
中南米に至っては提携病院は1つもありません。損保ジャパンはブラジル・メキシコ・アルゼンチン・ペルーにあり、あいおいニッセイ同和損保だと4ヶ国に加えてベネズエラ・チリ・パナマ等にもあります。HISと資本関係にあるにしては物足りない印象です。
評判・苦情
エイチエス損保の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の1.8億円から18億円になりました。コロナ禍から10倍の急回復をしていますが、2019年度の44億円には及びません。他社より回復が鈍いともいえるため、契約数・業績からすると評判は普通か少し悪いです。
ただし、価格.comの新規契約数ランキング2023ではエイチエス損保たびともは9社中1位とトップです。よく比較されがちな損ジャ・たびほ・ネットde保険@とらべるを抑えての1位です。一括見積もりをする保険料重視の人からは高い評価を得ています。
さらに日本損害保険協会の苦情数のデータでは、エイチエス損保全体に寄せられた苦情数は僅か30件(2022年度累計)でした。苦情の中身は保険金区分が半数以上を占めるため、保険金支払いの手続きの誤りや遅延に不満があるのが分かります。
次にオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)ですが、エイチエス損保は10社中6位でした。この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・担当者の対応・サポート体制・支払い手続きと対応の5つです。
加入手続き・保険プランは総合順位と同じ程度ですが、担当者の対応・サポート体制・支払い手続きは7位と8位で下位に沈んでいます。サポート体制・担当者の対応は提携病院もさることながら、現地でのサポートに不安があることを示しています。
個別のクチコミでは「海外にいる時に連絡先が分からなかった」「HPが分かりにくい」「保険適用になるか曖昧で途中連絡もない」等のネガティブな意見がありました。分かりにくいという意見は、他社にはあるスマホのアプリが無いのも影響していそうです。
以上のデータから考えるとエイチエス損保の評判は普通そうですが、海外旅行保険については普通か少し悪そうです。業績が戻り切らないのはHIS本体の影響もありそうですが、それにしてもオリコンでの評価が良くないです。過去を振替っても順位が6~8位あたりのため、この評判は固まっていそうです。
総合評価・おすすめか?
結論としては、エイチエス損保たびともは保険料重視なら良い保険です。ただし、保険料を重視する人以外の人からすると、補償内容・デメリット・評判を考慮すると総合的にはイマイチな感があります。補償内容をカスタマイズできないのも、この保険の使い道を狭くしています。
総合的な良さを求めるなら、ソニー損保やジェイアイ傷害火災保険あたりを検討しても良いかもしれません。保険料の安さならau損保もありますが、こちらもカスタマイズはできない点に注意が必要です。