ジェイアイ傷害火災 たびほプライムを比較・評価
- オススメ度：
- 保険会社：
- ジェイアイ傷害火災保険
- 名称：
- t@bihoプライム(たびほプライム)
- 申込：
- インターネット
- 航空遅延：
- 補償あり
- オリコン：
- ２位 / １０社中
- 特徴：
- 「わたし」のためのプライムなサポート
ジェイアイ傷害火災は2012年からt@biho（たびほ）の販売を開始し、2022年12月からは補償内容・サービス内容を拡充した「t@bihoプライム」も販売を開始しました。この保険の現地デスクによるサポートと日本語ガイド補償は業界初の補償です。
その他に従来のたびほには無い補償がありますが、その分だけ保険料は高めになっています。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険は治療救援費用と緊急歯科治療費用は必須で、その他の補償項目は自分で付けるか選択します。治療救援費用は自分のケガ・病気の診察費と治療費の他に、3日以上の入院や死亡した場合に家族・親族が現地まで赴く費用が補償されます。緊急歯科治療費用は旅行中の歯痛の治療費が補償されます。同じたびほでもプライムなら治療救援費用の上限が5000万円ではなく無制限にでき、歯痛の治療が50％補償ではなく全額補償になります。
さらにプライムなら治療救援費用に持病の悪化が含まれます。糖尿病・通風・心臓病等が旅行先で悪化した場合でも、300万円まで治療費が補償されます。携行品損害の補償も上限を30万円ではなく50万円に設定でき、プライムなら時価ではなく新価（再購入費用）が補償されます。
他社の海外旅行保険の多くが時価補償のため、保険金額は購入時から時間経過と共に価値が目減り（減価償却）した金額となります。新価だと保険金額は同等の物を新たに購入するのに必要な金額となります。また、他社には自己負担を差し引いた金額が保険金額となることがありますが、プライムなら自己負担はありません。
冒頭で既述したJiデスクによる現地での対面サポート・日本語ガイド費用補償もあります。Jiデスクでは急病時には医療通訳・日本語ガイドの手配から、医師・病院の案内と予約、病院等への支払い補償をしてくれます。提携病院なら自己負担なくキャッシュレスで治療が受けられます。急病時以外でもパスポート紛失・盗難時の手続きの案内、レストラン予約やオプショナルツアーの手配といったサービスも受けられます。
その他に自由選択の補償が数多くありますが、その中で検討しておきたいのは個人賠償責任・航空機寄託手荷物遅延・航空機遅延・旅行キャンセル費用です。個人賠償責任は子供がホテルの備品を壊した場合などに補償されます。航空機寄託手荷物遅延補償は航空会社に預けた荷物が戻って来ない時、航空機遅延補償は飛行機が遅延・欠航した時に1万円が補償されます。旅行キャンセル費用補償は諸事情で旅行をキャンセルする時に5～30万円が補償されます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は被保険者数・年齢・保険期間・プラン・旅行先によって決まります。被保険者数は人数が多いほど保険料は高くなります。年齢は50歳未満が最も安く、50代・60代・70代・80代と年齢が上昇すると保険料は高くなります。保険期間（旅行日数）は長期になるほど高くなり、契約プランは補償が充実したプランは高くなります。
旅行先による保険料の変動は、その国の治安・政情が加味されています。この保険では旅行先が北米・ヨーロッパなら保険料は同額です。それがアジアだと少し安くなり、韓国なら30％ほど安くなります。その逆に中南米・アフリカだと保険料は30％ほど高くなります。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ（ハワイ含む）・ヨーロッパ（イタリア・フランス）・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
たびほプライムの保険料は、死亡後遺障害が1000万円ではなく1億円で、特長である日本語ガイド補償などを付加した金額です。この場合の保険料を他社と比較すると、やはり補償・サービスが多い分だけ他社よりも高いです。ネット系の安い保険と比べると2倍以上の開きがあります。補償を最低限の補償（+携行品・航空遅延・手荷物遅延・日本語ガイド）に絞っても、保険料は400円ほど下がるだけで他社よりも高いのは変わりませんでした。
以上を踏まえると、たびほプライムの保険料は他社よりも高く、補償を削っても他社より高いといえます。ただし、従来型の店頭・書類で申し込む海外旅行保険と比べると少し安いため、そういった保険よりも補償が充実していれば保険料は見かけ以上にお得ともいえます。どのようなメリットがあるのか、続いて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずはネットで申込・手続きが完結できる点が挙げられます。代理店の店頭に行ったり、書類を記入する手間が不要です。他社の保険だと申込はネットでも、保険金の請求は書類というパターンもあります。この保険では携行品損害・航空機欠航・旅行キャンセルの保険金請求はWeb請求が可能です。
治療・救援費用と緊急歯科治療費用以外は自分で選べるのもメリットです。余計な補償を外して保険料を節約したり、クレジットカードの海外旅行保険で不足する補償を追加・上乗せできます。現地での言語だけ不安なら、必須の補償である治療・救援費用と緊急歯科治療費用に、日本語ガイド費用補償だけ付けるのも手です。これでJiデスクでの対面サポートと日本語ガイドが利用でき、持病の悪化による治療も補償されます。
そうなるとJiデスクが旅行先にあるかが問題となりますが、利用可能なJiデスクは世界36都市にあります。アジア・北米・中南米・オセアニア・ヨーロッパの各主要都市にあります。あまり馴染みの無いカンボジアのシェムリアップ、ペルーのリマ、ブラジルのサンパウロにもJiデスクはあります。
海外旅行先で英語が通じればいいのですが、当然ながら英語があまり通じない国もあります。英語が通じてもお互いに片言の英語でコミュニケーションを取り、その結果として誤解を招く可能性もあります。道案内程度なら誤解も笑い飛ばせるかもしれませんが、急病時の治療となれば日本語での案内と通訳があった方が安心感があります。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは前述したように保険料が高い点が挙げられます。補償が手厚いからとはいえ、治療・救援費用の最低額が1億円か無制限の選択制となっているなど、本当に必要なのか少し疑わしい補償も含まれています。
Jiデスクによる対面サポートも、保険に未加入でも利用できるため有難みは薄いです。Jiデスクの正式名称はJTB旅カードデスクで、JTB旅カードの保有者なら同様のサービスが受けられます。JTB旅カードゴールドは年会費が16500円ですが、JALのマイレージも貯まるJTB旅カードJMBなら年会費は2200円です。
また、補償面では航空機遅延費用は2万円と極めて小額である点もデメリットです。スタンダードなたびほと比べて、プライムは携行品損害は50万円まで、航空機寄託手荷物遅延は10万円まで、航空機遅延費用は2万円まで拡充されます。しかし、東京海上などは航空機遅延で宿泊費・食費等で4.5万円が補償される点を考慮すると物足りなさがあります。
さらに自動付帯となるキャッシュレス・メディカルサービスは、地域によっては提携病院数が少ないというデメリットがあります。特にアフリカには提携病院が1軒もありません。Jiデスクがあるペルーのリマにしても、提携病院は1軒あるだけです。
他の地域ではヨーロッパでも損保ジャパンよりは見劣りします。北欧のデンマーク・フィンランド・スウェーデンには提携病院数はありません。北欧も旅行者だと医療費は高く、足の骨折で50～60万円が自己負担となるケースがあります。
評判・苦情
ジェイアイ傷害火災の2022年度（2022年4月～2023年3月）の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の52.9億円から105億円になり98.8増でした。その中で海外旅行保険を含む傷害保険も71億円で前年度から155％増でした。プライムは途中の12月からですが、数字に寄与した可能性があります。とりあえず他社では横ばいのケースがあるため、契約数・業績からすると評判は良いです。
さらに日本損害保険協会の苦情数のデータでは、ジェイアイ傷害火災全体に寄せられた苦情数は58件（2021年度累計）と極めて少ないです。苦情の中身は「手続き中に画面が止まる」「解約・取消手続きが面倒」「保険金請求の説明が不十分・書類が多い」等の不満が見えました。
次にオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020（実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象）ですが、ジェイアイ傷害火災は10社中2位でした。この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・担当者の対応・サポート体制・支払い手続きと対応の5つです。どの項目もトップ3には入っており、支払手続き・対応は1位と高い評価を受けています。トラブル・事故で気が滅入っていても気持ちよく保険金が受け取れそうです。
ただし、2021年と2022年はコロナ禍があり、プライムは2022年12月から販売を開始しておりランキングの要因とはなっていません。プライムだけを考えると、保険料の高さが意識されてランキングを落とす可能性もあります。また、男性からの支持が7位と低く、過剰なサポートは不要という意識がありそうです。
個別のクチコミでは「病気の時に現地での対応が遅かった」「担当者の対応が冷たい」「保険金が受け取れるまで少し長い」等のネガティブな意見がありました。支払手続き・対応は1位といっても、極稀に対応する担当者には良くない人がいるのかもしれません。
以上のデータから考えるとジェイアイ傷害火災の評判は良さそうで、海外旅行保険も良さそうです。とはいえ既述の通りプライムは評価の対象外となっている側面もあるため、額面通りの評判とも受け止めにくい感があります。
総合評価・おすすめか？
結論としては、ジェイアイ傷害火災のたびほプライムはイマイチな保険です。保険料が高めのわりに、それに見合った補償・サービスなのか疑問が残るからです。Jiデスクも既述の通りクレジットカードで対応でき、その年会費の方が保険料よりも安くなるという点も見逃せません。
この保険を検討している人は、スタンダードなたびほか他社の保険も検討した方が賢明です。保険料の安さならエイチエス損保やau損保が候補になります。たびほと似た保険なら、ソニー損保あたりを検討しても良いかもしれません。ジェイアイ傷害火災と業務提携しているため補償内容はほぼ同一ですが、手続き面で改善される可能性があります。
