大同火災 海外旅行保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 大同火災海上保険
- 名称:
- 海外旅行保険
- 申込:
- 店頭・代理店
- 航空遅延:
- 補償なし
- オリコン:
- 対象外 / 10社中
- 特徴:
- いざと言う時のために備えて安心
大同火災海上は「郷土の損害保険」として沖縄県を地盤とする独立系の損保会社です。東京支店以外は本店も支社も全て沖縄県内に構えています。そのため沖縄県民なら十分なサービスが受けられます。
中堅の損害保険会社のため知名度は高くはありませんが、大手にはないメリットがあるのでしょうか。以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険には病気・ケガの補償に加えて、物の補償と旅行変更の補償があります。病気・ケガの補償は病気・ケガで死亡・後遺障害となった場合に保険金が受け取れ、病気・ケガで治療費が発生しても保険金が受け取れます。さらに病気・ケガが重篤な場合に、海外まで家族が駆けつける費用(救援者費用)も保険金として受け取れます。
物の補償は旅行中に自分の持ち物が破損・盗難された場合に保険金が受け取れる他、空港で航空会社に預けたスーツケースが現地に届かなかった場合にも保険金が受け取れます。補償されるのは1点あたり10万円までで、合計の限度額は60万円まで設定できます。ただし、スーツケースについては30万円までが限度となります。
物の補償については被害者ではなく加害者となった場合にも保険金が受け取れます。例えばホテルの備品(壷など)を誤って壊して弁償する必要が出てきた場合に、その賠償額が保険金として受け取れます。ホテルのルームキーの紛失なども補償されます。また、物ではなく人をケガさせた場合に被害者に支払う治療費も保険金として受け取れます。
旅行変更の補償は、諸事情により出国を中止した場合や途中帰国した場合に、キャンセル料・違約金の支払い分が保険金で受け取れます。親族が死亡した場合の他、旅行先が地震・テロ等が起きて出国中止・途中帰国となった場合でも補償されます。出国中止費用補償対象外特約を付けると、途中帰国だけ補償される形にできます。
その他に旅行中の海外サポートサービスが自動付帯しています。病気の時に電話で相談したり病院の紹介をしてくれる他、医療通訳・治療経過管理までしてくれます。ケガ・病気時に治療費の支払いが不要となるキャッシュレスメディカルサービス(提携病院のみ)もあります。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は被保険者数・保険期間・契約タイプによって決まります。被保険者数は人数が多くなるほど保険料は高くなり、保険期間(旅行日数)は長くなるほど保険料は高くなります。契約タイプは死亡・後遺障害の補償が5000万円になるAタイプが最も高く、携行品の補償も60万円まで拡充されます。
その一方で死亡・後遺障害の補償が500万円のEタイプだと保険料は最安になり、携行品の補償も20万円まで縮小します。しかし、Aタイプと比べてEタイプだと保険料を半額まで安くできます。Eタイプでも治療・救援費用は1000万円まで補償されるため、考え方次第ではEタイプでも十分といえます。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ(ハワイ含む)・ヨーロッパ(イタリア・フランス)・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
大同火災の海外旅行保険を他社と比較すると、どのケースでも保険料は高いです。ネット系の保険と比べると2倍以上の高さで、旅行先がメキシコ・南アフリカだと一部のネット系保険に近い額になるだけです。同じ代理店型の海外旅行保険と比べると平凡な金額ですが、東京海上・三井住友海上・あいおいニッセイよりは安いです。
以上を踏まえると、大同火災の海外旅行保険の保険料は他社よりも高いです。これだけ保険料が高いとなると、相応の他社には無いメリットが欲しいところです。続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは沖縄県在住なら支社・支店が豊富なため、相談・加入が容易で加入までのサポートも受けやすい点が挙げられます。沖縄本島の北部・中部・南部から、宮古島や八重山(石垣島)にも支店があります。
保険料が旅行先に関わらず同一な点もメリットで、旅行先が複数国に跨っても保険料は定額です。その点を勘案しても保険料は他社より高めですが、他社のネット系(eとらべる・au損保)には無い旅行変更費用の補償が付いています。スーツケースの補償も他社では1~10万円とする保険が多い中、この保険は携行品損害の括りとなり最安のEタイプでも20万円まで補償されます。
海外総合サポートデスクもメリットです。大同火災は中堅の損害保険会社のため不安を感じるかもしれませんが、大同火災は2022年4月1日から日本エマージェンシーアシスタンスと提携しています。海外でのアシスタンスサービスを同社が担うため不安感はありません。
それ以前はMS&ADグランアシスタンスが担っており、平たく言えば三井住友海上・あいおいニッセイ同和と同じサポートでした。日本エマージェンシーアシスタンスは損保ジャパン・ジェイアイ傷害保険と取引しており、より海外トラブルに強いともいえます。
大同火災の海外サポートは、提携病院なら治療費の支払いが不要となるキャッシュレス医療サービスの他、医療通訳・医療機関/医師の紹介と予約・治療経過管理・救援者(家族のサポート)・緊急移送と帰国搬送手配・遺体搬送・保険金請求手続援助サービスがあります。海外の高額な治療費と言語の壁に役立つサービスが揃っています。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは申込が店頭・書類である点があります。それも支店・支社が沖縄に集中しており、羽田・成田・関空にある自動販売機(自動引受機)でも加入できません。沖縄在住でないと加入は難しく、沖縄在住でもネットで加入できる方が時間・手間の面では良いでしょう。もちろん保険金を請求する際にも書類が必要となり、たびほ・たびとも等のようにWeb請求ができません。
また、前述したように保険料が高いというデメリットもあります。代理店型の中では若干安めとはいえ、ネット型とは2倍以上の開きがあります。その分は補償内容が手厚いとも考えられますが、他社の代理店型(一部のネット型も含む)にはある航空機遅延費用・旅行中事故緊急費用の補償がありません。特に航空機遅延費用の補償は、搭乗予定の飛行機が天候不順等で遅延・欠航した際の費用が受け取れるため、海外旅行には心強い補償です。
さらに携行品損害の補償も地味に自己負担3000円があるのも見逃せません。他社の多くの保険では自己負担はありません。さらに盗難・破損した携行品は時価(同等物の購入費から時間経過による消耗分を差し引いた額)です。他社のように再調達額(新品を再購入する金額)ではありません。
さらにキャッシュレス・メディカルサービスがあるのはメリットですが、どこの国に提携病院があるのか不明です。前述したように日本エマージェンシーアシスタンスがサポートサービスを提供しており、相応のネットワークがあるのは間違いありません。しかし、そうだとしても不透明な以上は提携病院数に不安があります。サポート内容にスーツケース修理サービスが無いのもマイナスポイントです。
評判・苦情
大同火災の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の165億円から166億円になり0.6%増でした。その中で海外旅行保険を含む傷害保険は3.9億円で前年度から6.9%増でした。他社では横ばい・減少しているケースがあるため、契約数・業績からすると評判は悪くありません。
また、日本損害保険協会の苦情数のデータでは、大同火災全体に寄せられた苦情数は224件(2022年度累計)ありました。苦情数自体は他社より少なめです。苦情の中身は「契約の管理・保全・集金」が最多でした。契約内容の変更手続きが煩雑だったり担当者が間違うといった不満が見えます。保険金関係も次いで多めです。
その他にオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)等でも評判を確認したところですが、大同火災は調査対象に含まれていませんでした。調査対象に含まれないのは規模の問題やサンプル数の不足が考えられます。
以上のデータから考えると、大同火災自体の評判も海外旅行保険の評判も普通そうです。業績と苦情による判断のためデータ不足感はありますが、とりあえず取り立てて悪いということは無さそうです。今後、オリコンで調査対象となれば一段と正確な評判が伺い知れますが、7~8年前から大同火災は調査対象外のため期待は薄いです。
総合評価・おすすめか?
結論としては、大同火災の海外旅行保険はイマイチな保険です。メリットもあるにはありますが、デメリットの方が大きいからです。保険料のわりに補償内容も物足りず、不透明な面があるのも頂けません。この保険を検討している人は他社の保険も検討した方が賢明でしょう。
とにかく保険料を削減したい人や総合的に良い保険が保険が欲しい人は、エイチエス損保やau損保が候補になります。総合的な良さならソニー損保やジェイアイ傷害火災保険あたりを検討すべきでしょう。