楽天損保 トラベルアシストを比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 楽天損保
- 名称:
- トラベルアシスト
- 申込:
- インターネット
- 航空遅延:
- 補償なし
- オリコン:
- ランク外 / 10社中
- 特徴:
- 当日加入OK!家族・友人と加入OK!
楽天損保のトラベルアシストは、2019年3月に販売を開始した海外旅行保険です。東京海上との提携商品で、楽天損保が手続き・保険金の支払いを行い、海外でのサポートは東京海上が行います。また、東京海上も自社で海外旅行保険(マリンパスポート)を販売していますが、この保険とは補償内容が異なります。
それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険はスタンダードプラン・ワイドプランの2つのプランがあります。どちらのプランも補償される内容は同じですが、保険金額の上限が異なります。ワイドプランにすると、海外旅行中のケガ・病気の治療費が補償される治療・救援費用の補償が、1000万円から3000万円に拡充されます。さらに旅行中に持ち物が盗難・破損された場合に補償される携行品損害の補償が、10万円から20万円に拡充されます。
その他に両プランで共通する補償として、ケガによる死亡・後遺障害で受け取れる傷害死亡保険金(傷害後遺障害保険金)、病気によって死亡すると受け取れる疾病死亡保険金、他人に損害を与えた場合に補償される賠償責任保険金があります。
賠償責任保険金は、海外旅行中にビーチを自転車で走行中に他人にケガをさせ、その人に治療費を支払う必要が出た場合などが想定されています。海外旅行に連れてきたペットが誤って人を噛んだ、子供が他人の子供にケガをさせた場合も同様です。その他にペット・子供がホテルの備品・店の商品・美術館の美術品を壊して、それを賠償する必要が出てきた場合にも補償されます。アメリカのような訴訟社会(訴訟大国)では心強い補償です。
その他に海外でのトラブル・事故・病気ケガについて電話で相談できる海外サポートがあります。治療費の立て替え(仮払い)が不要となるキャッシュレスメディカルサービス、パスポート盗難・紛失時のサポート、スーツケースの修理費の立て替えが不要となるスーツケース修理サービスもあります。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は被保険者数・保険期間・契約タイプ・旅行先によって決まります。被保険者数は1~10人まで選択でき、人数が多いほど保険料は高くなります。保険期間(旅行日数)は長くなるほど保険料は高くなり、最長31日まで設定できます。契約タイプはスタンダードプランよりワイドプランが高いです。
旅行先の国の治安・政情によって保険料は変動します。この保険では旅行先がアジアだと最も安く、北米・ヨーロッパ・オセアニアだと少し高くなり、中南米・アフリカだと北米・ヨーロッパより10%ほど高い保険料になります。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ(ハワイ含む)・ヨーロッパ(イタリア・フランス)・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
トラベルアシストのスタンダードプランの保険料は、他社と比較すると平均に近い中間の金額です。旅行先が北米・ヨーロッパだと代理店型の保険よりは安いものの、ネット型の保険よりは総じて高いです。旅行先が中南米・アフリカだと北米・ヨーロッパでは負けていたネットde保険やマリンパスポートよりは安くなりますが、それでもau損保や損保ジャパンOFFには及びません。
以上を踏まえると、トラベルアシストの保険料は普通で決定的な安さはありません。支払った保険料の1%分の楽天ポイントが獲得できますが、それでも他社を上回る安さにはなりません。保険料では大きなアドバンテージがありませんが、それ以外の面でメリットがあるのか続いて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは申込・手続きがネットで完結できる点が挙げられます。従来の海外旅行保険のように代理店の店頭に行って書類を記入する手間が不要です。他社のネット型の保険と異なり楽天IDも利用できるため、個人情報を入力する手間すら省けます。
保険料は支払った保険料の1%分の楽天ポイントが貯まるのもメリットです。楽天カードで保険料を支払えば、さらに1%上乗せされ2%分の楽天ポイントが貯まります。それでも他社の最安値の保険料には及びませんが、この保険は楽天ポイントで保険料を支払えるのが大きいです。楽天ポイントを貯めている人なら、ポイントを使って実質タダに近い形で保険に加入できます。
選択できるプランがスタンダード・ワイドの二択になっているのも良い点かもしれません。選択肢が少なく、かつプランの違いは保険金の上限額だけのため、加入時に迷うことは少ないでしょう。他社の選択肢が広いフリープランは自分で補償内容を吟味して取捨選択する手間と時間が必要です。特に出発当日の土壇場で契約するなら、このメリットは意外に大きいかもしれません。
ちなみに海外サポートは東京海上が担うのもメリットかもしれません。楽天損保が海外旅行保険を販売開始したのは2019年で歴史が浅い(前身の朝日火災を含めれば長いですが)ため、海外でのサポートには不安があります。その点、東京海上は海外旅行保険を販売してから歴史が長く海外ネットワークもあり安心感があります。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは70歳以上の人は加入できない点が挙げられます。高齢になるとケガ・病気になりやすいため海外旅行保険の必要性は増しますが、この保険には加入できません。また、加入についてはネットから申込できますが、保険金の請求は書類となります。たびほ・たびとも等の他社の保険はWeb請求が可能となっています。
補償面にしても、他社の多くの保険にある航空機寄託手荷物保険金と航空機遅延保険金が付けられないもデメリットです。ロストバゲージや天候不順による飛行機の遅延・欠航については、この保険では補償されません。他社ではオプションで選択できる旅行変更費用保険金・応急治療救援費用(持病の悪化による治療を補償)もありません。
その分だけスタンダードプランの保険料が安ければ良いのですが、前述したように保険料は平均的な金額です。その上、他社よりも補償の選択に自由度がなく補償を削って保険料の節約もできません。長期旅行のため最小限の補償で加入したい人、クレジットカード付帯の海外旅行保険の補完をしたい人には使いにくい保険です。
さらにキャッシュレス・メディカルサービスはメリットではありますが、提携病院が少ないというデメリットがあります。海外サポートは東京海上の担当のため楽天損保に非はありませんが、一応は留意しておく必要があります。ヨーロッパではスイス・ポルトガル・ギリシャ・オランダ・オーストリアと北欧諸国にはありません。中南米も少なめでアフリカには1つも提携病院がありません。
評判・苦情
楽天損保の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の174億円から219億円になり25.2%増と好調でした。その中で海外旅行保険を含む傷害保険も32億円で前年度から15%増でした。他社では横ばいのケースがあるため、契約数・業績からすると評判は良いです。
さらに直近の2023年1~6月期のトラベルアシストの販売件数は、前年同期比で14倍まで膨らんだようです。これはコロナ禍からの急回復の結果ではありますが、契約数は好調という意味では評判は良いです。
また、日本損害保険協会の苦情数のデータでは、楽天損保全体に寄せられた苦情数は2898件(2022年度累計)ありました。業績が近いセコム損保より苦情数は多めです。苦情の中身は「契約の管理」が最多で、変更手続き・解約手続きの遅れや、手続きが分かりにくいといった不満が見えます。
次にオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)ですが、楽天損保はランキング外でした。調査対象には含まれているため、サンプル数が少なかったという可能性はあります。しかし、契約数が好調で相応の数があるなら満足度は低いからランク外とも考えられます。この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・担当者の対応・サポート体制・支払い手続きと対応で、これらの満足度が低いことになります。
以上のデータから考えると、楽天損保のトラベルアシストの評判は悪くなさそうですが、不安感は拭えません。契約数は伸びているものの、オリコンの満足度ランキングでランク外だからです。苦情数も少なくはなく、サポートする東京海上もオリコンでは5位と微妙な点も見逃せません。
総合評価・おすすめか?
結論としては、トラベルアシストはイマイチな保険です。メリットもあるにはありますが、補償内容のわりには保険料が高い印象です。楽天ポイント目当てだとしても、既述した他社にはある補償が無い点を再確認してから加入した方が良いでしょう。
その一方で楽天ポイントに固執しないなら、他社の保険も検討した方が賢明です。とにかく保険料を削減したいなら、エイチエス損保やau損保が候補になります。総合的な良さならソニー損保やジェイアイ傷害火災保険あたりを検討しても良いかもしれません。