Chubb損保 海外旅行保険を比較・評価
- オススメ度：
- 保険会社：
- Chubb損害保険
- 名称：
- 海外旅行保険
- 申込：
- ネット・代理店
- 航空遅延：
- 補償あり
- オリコン：
- 対象外 / １０社中
- 特徴：
- GET CHUBB and HAVE FUN
Chubb損保はスイスのチューリッヒを拠点とするチャブ・リミテッドの日本法人です。Chubbは日本語で監禁等の意味がありますが、社名になっているのは設立者のトーマス・コルデコット・チャブ（Thomas Caldecot Chubb）が由来です。
海外旅行保険は買収される前のエース損保の頃から販売していますが、以前とは補償内容は異なっています。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険とも比較していきます。
補償内容・特約
この保険はケガと病気の補償と、旅行中のトラブルに関する補償があります。ケガと病気の補償には死亡保険金・後遺障害保険金に加えて、治療・救援費用の補償があります。治療・救援費用の補償は旅行中のケガ・病気の治療費が保険金で受け取れます。
旅行中のトラブルに関する補償は、賠償責任・携行品損害・旅行中の事故による緊急費用の補償があります。賠償責任の補償は、例えば買い物中に商品を壊した場合の購入費等が保険金で受け取れるという意味です。携行品損害の補償は、例えばスマホを盗まれた場合に再購入費が保険金で受け取れます。旅行中の事故による緊急費用の補償は、例えばパスポートを盗難されて日本領事館がある町まで行った場合に、移動費・宿泊費等が保険金で受け取れます。
旅行中のトラブルに関する補償については、ロストバゲージが補償される航空機寄託手荷物遅延等の補償、飛行機が遅延・欠航が補償される航空機遅延の補償もあります。しかし、これらの補償は旅行期間が32日間以上の人だけが付けられ、旅行期間が短期間だと付けられません。
その他に旅行中の海外サポートサービスが自動付帯しています。トラブル時には日本語で電話相談できる「日本語サービス」、医療機関の紹介や帰国手段の手配をしてくれる「緊急アシスタンスサービス」、病院で治療費の支払いが不要となる「キャッシュレス医療サービス」、スーツケース修理業者を手配してくれる「スーツケース修理業者紹介サービス」があります。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は保険期間・契約プランによって決まります。保険期間（旅行日数）は長くなるほど保険料は高くなり、最長の3ヶ月になると保険料は最も高くなります。契約プランは各補償の上限額が最高のBJ4タイプにすると保険料が最も高く、上限額が減額されるほど安くなりBJ1タイプの保険料が最も安いです。
年齢により保険料は変動しませんが、年齢により契約タイプに制限はあります。0～14歳・70～80歳・81～85歳は各補償の上限額が低めに設定された契約タイプのみ加入できます。また、旅行先の入力は見積もりする時に必要ですが、旅行先がアジア・北米・ヨーロッパでも、中南米・アフリカでも同額です。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ（ハワイ含む）・ヨーロッパ（イタリア・フランス）・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
Chubb損保の海外旅行保険（BJ1タイプ）の保険料は、他社と比較すると最高額です。旅行先が北米・ヨーロッパだと最安値のau損保の3倍近い高さです。旅行先が中南米・アメリカだと他社の保険料は上がるため、差額は多少は縮まりますが、それでも最高額なのは変わりません。
以上を踏まえると、Chubb損保の海外旅行保険の保険料は他社よりも明らかに高いです。これだけ高い保険料を肯定できるだけのメリット、他社には無いメリットがあるのでしょうか。続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは旅行期間（保険期間）が32日以上の契約も可能な点が挙げられます。クルーズ船での旅行や老後に冬の間は暖かい国に滞在する、といったケースでは大きいポイントです。この保険では32日以上の契約だと航空機遅延と航空機寄託手荷物の補償が付くため一石二鳥です。
その一方で保険期間が3ヶ月ともなると保険料の高さが気になりますが、この保険には補償を限定したAL3タイプがあります。このタイプなら死亡補償はありませんが、3ヶ月で保険料は36860円で済みます。手頃な金額で長期滞在中の病気・ケガの治療費をカバーできます。
年齢も81～85歳まで加入できるのも人によってはメリットです。他社には加入できるのは69歳以下か79歳以下に限定している保険が多いです。この保険なら70歳以上・80歳以上でも加入でき、それこそ老後の長期滞在に向けての保険として適しているといえます。
また、補償が限定されているAL3タイプは、クレジットカード付帯の海外旅行保険の補完にも使えます。例えばJCBゴールドカードは死亡保険金こそ1億円ですが、治療・救援費用の補償は300万円が限度です。アメリカでは無保険だと盲腸で治療費の自己負担がが500万円になるケースもあるため、AL3タイプの補償額1000万円は心強いでしょう。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは申込はネットで可能でも、保険金を請求時には電話・書類が必要となる点が挙げられます。他社の海外旅行保険でも同様のケースはありますが、たびほ・たびとも等ではWeb請求が可能です。必要項目を入力し画像データを送信するだけで完了します。
また、前述したように保険料が高いというデメリットもあります。スタンダードなBJ1タイプで他社よりも高い上に、補償内容に航空機遅延・航空機手荷物遅延等の補償がありません。他社にはChubb損保より保険料が安く、補償が充実した保険があります。
補償をカスタマイズして保険料を抑えるにしても、治療・救援費用の保障以外に後遺障害・個人賠償・携行品損害の補償がある分だけ保険料は高めです。クレジットカード付帯の保険に付けても補償の重複があります。その点、たびほなら治療・救援費用（歯科治療含む）だけ必須で、他の補償は自由に選択できます。日新火災なら航空機遅延だけ付帯することが可能です。
また、32日以上の保険期間のみ航空機遅延費用・航空機手荷物遅延費用の補償が付くのもデメリットです。その逆に31日以下の保険期間のみ旅行中の事故による緊急費用の補償が付きます。トレードオフの関係にあり、両方を満たすことができません。
さらにキャッシュレス医療サービスはメリットではありますが、地域により提携病院が少ないというデメリットがあります。Chubb損保はプレステージ・インターナショナル（プレステージ・グローバルソリューション）と提携し日本語サービス等を提供しています。同社は世界18ヶ国28拠点で合計4800の医療機関と連携しています。
同じくプレステージ社と提携しているチューリッヒでは、アジア・ヨーロッパでは他社に劣らない数の国で提携病院がありますが、中南米はアルゼンチン・ペルー・コロンビア・ブラジルにあるだけです。さらにアフリカには提携病院がありません。
評判・苦情
Chubb損保の2022年度（2022年4月～2023年3月）の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の241億円から261億円になり8％増でした。その中で海外旅行保険を含む傷害保険は78億円で前年度から17％増でした。他社でも増加しているケースがあるため、契約数・業績からすると評判は悪くありません。
また、Chubb損保全体に寄せられた苦情数は255件（2022年度累計）でした。業績が近い他社よりも苦情数は少ないです。苦情の中身は「保険金お支払い関係」が最多で、担当者からの連絡遅れ・説明不足、保険金の支払い可否について不満が見えます。ただ、数自体が少ないため不安は薄いです。
Chubb損保では苦情を受けて、2022年度は手続きに関する書類の改訂、保険金請求字に送付するハガキの変更、新型コロナウイルスと一部の保険で保険金請求ページが新設されたようです。海外旅行保険で他の病気や補償も保険金請求がHPからできるよう常設される可能性もありそうです。
その他にオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020（実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象）でも確認したいところですが、Chubb損保はランキング外でした。調査対象には入っているため契約数・サンプル数不足による結果の可能性もありますが、単純に満足度が著しく低いからランク外となった可能性があります。
以上のデータから考えると、Chubb損保の海外旅行保険の評判は悪くなさそうです。ただし、根拠となるのが業績・苦情数だけで、オリコンの満足度が不明なため不安感があります。特に満足度が低いためにランキング外だった場合には、評判は「悪くなさそう」どころか「悪い」という可能性もあります。
総合評価・おすすめか？
結論としては、Chubb損保の海外旅行保険はイマイチな保険です。唯一、32日以上の海外旅行に行く人だけ検討すべき保険といえます。それでも代理店型の海外旅行保険では、32日以上の契約は問い合わせれば加入できるため、この保険しかないというわけではありません。
また、とにかく保険料を削減したい人や総合的に良い保険が保険が欲しい人は、エイチエス損保やau損保が候補になります。総合的な良さならソニー損保やジェイアイ傷害火災保険あたりを検討すべきでしょう。
