ドコモワンタイム保険 海外旅行保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- ドコモ(東京海上日動)
- 名称:
- ドコモワンタイム保険
- 申込:
- ネット・アプリ
- 航空遅延:
- 補償あり
- オリコン:
- 対象外 / 10社中
- 特徴:
- dポイントがたまる・つかえる
ドコモワンタイム保険の海外旅行保険は2010年から販売を開始した保険です。ドコモは通信会社のため実際の引受保険会社は東京海上となりますが、東京海上のMARINE PASSPORT(マリンパスポート)とは微妙に補償内容・保険料が異なります。
また、ドコモスマート保険ナビで比較見積りできる東京海上の海外旅行保険とも別物である点に注意が必要です。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険には「おてがるプラン」「おすすめプラン」「しっかりプラン」の3つのプランがあります。おてがるプランは旅行中のケガ・病気の治療費を補償する治療救援費用保険金と、他人の物を壊した場合等に補償される賠償責任保険金のみが付いています。
おすすめプランになると、病気やケガで死亡・後遺障害となった時に保険金が受け取れ、治療救援費用保険金の上限額も上乗せされます。さらに旅行に持って行った物が補償される携行品損害保険金が付いてきます。旅行中にカバンを盗難されたり、事故でスマホが壊れた場合などに1点あたり10万円(合計30万円)まで補償されます。
しっかりプランになると、携行品損害保険金以外の各保険金の上限額が増額され、さらに航空機寄託手荷物保険金が付いてきます。飛行機に搭乗前に航空会社に預けたスーツケースが現地で受け取れなかった場合に、身の回り品の購入費として航空機寄託手荷物保険金が3万円まで受け取れます。最終目的地だけはなく乗り継ぎ地でスーツケースが受け取れなかった場合にも保険金は受け取れます。
その他に東京海上が提供している海外サポートが利用できます。病気・ケガの治療費を東京海上が病院へ直接支払うキャッシュレスメディカルサービス、パスポート紛失・電話での通訳・ホテル航空券の手配をしてくれるトラベルプロテクト、スーツケースの修理をしてくれるスーツケース修理サービスなどがあります。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は被保険者数・保険期間・契約プラン・年齢・旅行先によって決まります。被保険者数は1~10人のうち人数が多いほど高くなり、保険期間(旅行日数)は長くなるほど保険料は高くなります。契約タイプは、しっかりプランが最も高く、おすすめプランが中間、おてがるプランが最も安いです。
年齢は50歳以上になると高くなり、60代・70代で一段と高くなります。旅行先は治安・政情が加味されており、この保険では北米・ヨーロッパ・オセアニアの保険料は同額です。それがアジアだと少し安くなり、中南米・アフリカだと北米の1.3倍の保険料になります。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ(ハワイ含む)・ヨーロッパ(イタリア・フランス)・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
ドコモワンタイム保険(しっかりプラン)の保険料は、他社と比較すると安い部類に入ります。最安値のau損保には届きませんが、安さでは3~4番手には入っています。この保険は旅行先がメキシコ・南アフリカだと保険料が上昇しますが、他社のネット系の保険も同様に上昇するため3~4番手はキープしています。
以上を踏まえると、ドコモワンタイム保険の保険料は安いといえます。最安値に届かないといっても、北米・ヨーロッパなら差額は100円です。100円なら保険料以外でメリットがあれば無視できる金額でしょう。どのようなメリットがあるのか続いて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは申込・手続きがネットで完結できる点が挙げられます。dアカウントがあれば個人情報の入力は不要のため、他社のネット系保険より加入の手間を省けます。保険金の請求も東京海上のWebページから手続きができます。
保険料も他社よりは安めで、さらにdポイントが保険料100円につき1ポイントが付きます。dポイント分を差し引いても最安値には届きませんが、dポイントを貯めている人にはメリットでしょう。さらに保険料の支払い方法はd払い・電話料金と合算・クレジットカード払い・dポイント利用と多岐に渡ります。貯まったdポイントで保険料を支払うことも可能なため、ポイント利用でタダに近い感覚で保険に加入もできます。
おてがるプランを選択できるのも人によってはメリットです。特にクレジットカードに海外旅行保険が付帯している人で、治療救援費用だけ上乗せしたい人に向いています。余計な補償が無い分だけ保険料を抑えて補償を上乗せできます。しっかりプランでも航空機寄託手荷物保険金が3万円で、ジェイアイ傷害たびほの補償額の1万円より大きいのも見逃せません。
前述したように、海外でのサポートは東京海上が担うのもメリットかもしれません。畑違いのドコモや中堅の損害保険会社がサポートするわけではなく、最大手の東京海上のサポートが受けられ安心感があります。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは旅行先によっては保険料が高い点が挙げられます。アメリカ・ヨーロッパでは他社との保険料の差が数百円だったのが、アフリカ・中南米だと差が1000円以上に広がります。他社にはあるリピーター割引などの割引もありません。
各プランにしても微妙に不便さが見え隠れしています。おてがるプランはクレジットカード付帯の保険の上乗せにしては、治療救援費用の額が700万円と少し心もとないです。カード付帯の保険は1000万円であるケースもあるため、700万円だと無意味となるケースもあります。
しっかりプランのみ航空機寄託手荷物保険金が付くのもデメリットです。他社ではたびほのように治療救援費用と緊急歯科治療費用以外は自由に補償を組み合わせられる保険があります。航空機寄託手荷物保険金にしても3万円より高い10万円まで補償する保険もあります。
さらに補償面では他社の多くの保険にある航空機遅延保険金が無いのもデメリットです。これは搭乗予定の飛行機が遅延・欠航となった場合の諸経費が補償される保険金です。飛行機が天候不順で欠航となり1泊延長する場合などに役立ちますが、この保険では飛行機のリスクをカバーできません。
また、キャッシュレス・メディカルサービスはメリットではありますが、東京海上の提携病院が少ないというデメリットがあります。ヨーロッパではスイス・ポルトガル・ギリシャ・オランダ・オーストリアには無く、フィンランド・スウェーデン等の北欧諸国にもありません。中南米ではブラジル・メキシコのみ、アフリカに至っては1つも提携病院はありません。
評判・苦情
NTTドコモの2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料では、保険事業を含むスマートライフ事業の営業収益は1.11兆円から1.12兆円になり微増でした。業績・契約数からすると評判は微妙ですが、スマートライフ事業には保険以外の金融業や映像配信サービスも含まれます。
さらにドコモスマート保険ナビというサービスでは、海外旅行保険以外の自動車保険・火災保険などの代理店業も行っています。そのため、この数字だけでドコモワンタイム保険の契約数が伸びている、ないしは伸び悩んでいるかは断定できません。
また、この保険の引受会社とサービス提供は東京海上のため、東京海上の苦情数も確認します。日本損害保険協会の苦情数のデータ(2022年度累計)では苦情数は約3.6万件でした。業績が下の損保ジャパンとほぼ同数のため、苦情数は相対定期には少ないです。苦情の中身は「保険金お支払い関係」が最多で、担当者からの連絡遅れ・説明不足、保険金の支払い可否について不満が見えます
その一方でオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)では、東京海上は10社中5位と中途半端な順位でした。この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・担当者の対応・サポート体制・支払い手続きと対応ですが、最大手のわりには満足度は普通で悪くいえば平凡です。
個別のクチコミでは「保険金を受けるまで時間がかかった」「スーツケースの修理に時間がかかった」「プランの選択肢が狭い」等のネガティブな意見がありました。東京海上の保険に関してのネガティブな意見ですが、この保険もサポートは東京海上のため参考になるでしょう。
以上のデータから考えるとドコモワンタイム保険の評判は不透明感がありますが、元となっている東京海上の海外旅行保険の評判は少し悪そうです。ドコモが関与するのは加入時(それも公式HPかアプリ上)だけのため、それ以外の面を担う東京海上も評判・満足度が低めなのは気がかりです。
総合評価・おすすめか?
結論としては、ドコモワンタイム保険の海外旅行保険はイマイチな保険です。メリットもあるにはありますが、他社と比べて保険料・補償内容・評判が中途半端です。強いて挙げれば、クレジットカードに保険が付帯していない人は、おてがるプランで安く加入して海外での治療費をカバーするのに使えるぐらいでしょうか。
この保険を検討している人は、他社の保険も検討した方が賢明でしょう。とにかく保険料を削減したいなら、エイチエス損保やau損保が候補になります。総合的な良さならソニー損保やジェイアイ傷害火災保険あたりを検討しても良いかもしれません。