あいおいニッセイ同和 海外旅行保険を比較・評価

あいおいニッセイ同和
オススメ度:
1
保険会社:
あいおいニッセイ同和損保
名称:
海外旅行保険
申込:
店頭・代理店
航空遅延:
補償あり
オリコン:
7位 / 10社中
特徴:
海外旅行中のケガや病気などに備えたい方に

あいおいニッセイ同和にはインターネットから申込めるeとらべるの他に、代理店などで書類を通じて申込む海外旅行保険があります。eとらべるの方が便利で保険料も安いのですが、従来の海外旅行保険にはeとらべるには無い補償があります。

それらの補償には保険料に見合うだけのメリットがあるのでしょうか。以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険とも比較していきます。

補償内容・特約

この保険には基本補償とオプション補償があり、基本補償は疾病死亡保険金(病気で死亡すると受け取れる保険金)以外は自動セットとなります。オプション補償は自分が必要だと思えば付けられます。基本補償は疾病死亡保険金の他にケガで死亡時の傷害死亡保険金、ケガ・病気・歯痛の治療費が補償される治療救援費用の補償があります。

あいおいニッセイ同和損保 海外旅行保険の補償内容(出典:あいおいニッセイ同和損保 海外旅行保険パンフレット 2023年10月以降保険始期用)

ケガ・病気の補償の他に航空機トラブルの補償があります。テロ等対応費用は、テロにより飛行機が欠航して必要となった交通費・宿泊費等が10万円まで補償されます。航空機遅延費用等はテロ以外の天候不順等で飛行機が遅延・欠航となると2万円まで補償されます。航空機寄託手荷物等費用は、手荷物受取所(手荷物カルーセル)から自分のスーツケースが出てこない場合などに10万円まで補償されます。

その他に他人に自転車でケガをさせた場合やホテルの備品を壊した場合に補償される賠償責任保険、旅行に携行していたカメラ・スマホが盗難等された場合に補償される携行品損害の補償があります。さらに旅行中事故緊急費用の補償では、旅行中に余儀なく負担した費用が補償されます。例えば離島に日帰りで行くはずが天候不順で離島に宿泊せざるを得ない、パスポートを紛失して次の国に行けず延泊する、といったケースでも補償されます。

オプション補償には自動車運転者損害賠償責任・旅行変更費用・緊急一時帰国費用・ペット預入延長費用があります。自動車運転者損害賠償責任は海外で自動車を運転する場合、旅行変更費用は新婚旅行(旅行前に妻が妊娠してキャンセル)などの場合は検討しても良いかもしれません。

その他に旅行中の海外サポートサービスが自動付帯しています。トラブル時に電話で相談したり病院の紹介をしてくれます。ケガ・病気時に治療費の支払いが不要となるキャッシュレスメディカルサービス(提携病院のみ)もあります。破損したスーツケースの回収・修理・代金支払い・送付をしてくれる携行品リペアサービスもあります。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は被保険者数・保険期間・契約タイプによって決まります。被保険者数は人数が多くなるほど保険料は高くなり、保険期間(旅行日数)は長くなるほど保険料は高くなります。契約タイプは疾病死亡なしプランが最も安く、ベーシックプランで各保険金額の上限額を高いプランほど保険料は高くなります。

あいおいニッセイ 海外旅行保険の保険料一覧表(出典:あいおいニッセイ同和損保 海外旅行保険パンフレット 2023年10月以降保険始期用)

オプション補償は自動車運転者損害賠償責任以外は日数に加えて保険金額で保険料が変わります。旅行変更費用は30万・60万・90万円から選択でき、「出国中止費用対象外あり」にすると保険料(5日・60万円)で1860円から400円まで安くなります。しかし、出国中止費用対象外ありにすると日本から出国を中止した場合は補償の対象外となり、海外から旅行を中断して帰国した場合のみ補償の対象となります。

次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ(ハワイ含む)・ヨーロッパ(イタリア・フランス)・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。

被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありの海外旅行保険の保険料の比較一覧表(三井住友海上・ジェイアイ傷害火災・損保ジャパン・エイチエス損保・AIG損保・au損保・東京海上日動火災・SBI損保・共栄火災海上・あいおいニッセイ同和・大同火災・ドコモ保険・ソニー損保・日新火災・楽天損保・Chubb損保・チューリッヒ保険・ソフトバンク保険)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

あいおいニッセイの海外旅行保険を他社と比較すると、どのケースでも保険料は高いです。同社のeとらべるよりもアメリカ・イタリアだと保険料は2倍以上高いです。メキシコ・南アフリカならeとらべるとの差は数百円になりますが、最安値圏のau損保や損保ジャパンと比べると、やはり保険料は2倍の高さとなっています。

以上を踏まえると、あいおいニッセイの海外旅行保険の保険料は他社よりも高いです。これだけ保険料が高いと、相応の他社には無いメリットがないと厳しいです。続いてメリットについて記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは保険料が旅行先に関わらず同一な点が挙げられます。他社のネット系は治安に不安がある国が旅行先だと保険料が上昇しますが、この保険は無関係です。もしも旅行先が複数の国を跨ったとしても、この保険なら保険料は定額です。

定額とはいえネット型よりは保険料は高いのですが、その分だけ補償は手厚いです。同社のeとらべるには、この保険にはある航空機遅延費用・旅行中事故緊急費用は無く、オプションでも自動車運転者損害賠償責任・旅行変更費用・緊急一時帰国費用が付けられません。前述の保険料比較で安かったau損保でも、航空機遅延保険金やオプションは選択できません。

航空機寄託手荷物保険金・航空機遅延保険金については、付帯している他社の保険と比べても補償額が大きい点も見逃せません。たびほは航空機関連の補償は各1万円ですが、この保険は航空機寄託手荷物保険金は10万円、航空機遅延保険金は2万円まで受け取れます。

海外総合サポートデスクもメリットです。緊急医療相談サービス・キャッシュレスメディカルサービス・スーツケース修理サービスは他社にもありますが、キャッシュレスメディカルサービスの提携病院が他社より多く安心感があります。特に中南米はブラジル・アルゼンチン・ペルー・メキシコの4ヶ国だけの保険会社が多い中、この保険はベネズエラ・チリ・パナマ・ウルグアイ等々にもあります。

キャッシュレスメディカルサービスがある国数の比較表(三井住友海上・ジェイアイ傷害火災・損保ジャパン・エイチエス損保・AIG損保・au損保・東京海上日動火災・SBI損保・共栄火災海上・あいおいニッセイ同和・大同火災・ドコモ保険・ソニー損保・日新火災・楽天損保・Chubb損保・チューリッヒ保険・ソフトバンク保険)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

ヨーロッパではスイス・ポルトガル・ギリシャ・オランダ・オーストリアに加えて北欧諸国にもあります。アジアでもバングラディッシュ・ミャンマー・ラオス等にもあり幅広くカバーしています。アフリカは1ヶ国にも無い保険会社がある中で、エジプト・ケニア・南アフリカは押さえています。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは申込が店頭・書類である点があります。代理店に行ったり書類を記入する手間があり、自宅から郵送でも誤字脱字があれば再記入・再送となり煩雑です。空港にある自動販売機(自動引受機)でも加入できますが、出発直前の加入は忙しないでしょう。

さらに当然ながら保険金を請求する際にも書類が必要となります。あいおいニッセイでは自動車保険・ペット保険ではWeb・アプリ等から事故連絡・保険金請求が可能ですが、海外旅行保険では電話・書類での受付となります。たびほ・たびとも等の他社では、Web請求が可能で必要項目を入力し画像データを送信するだけで事足ります。

また、前述したように保険料が高いというデメリットもあります。補償内容が手厚いとはいえ、他社の2~3倍高い保険料に見合うかは疑問です。航空機寄託手荷物保険金・航空機遅延保険金の額は大き目ですが、ロストバゲージの確率は低く、航空機遅延保険金は2万円(たびほの倍)でしかありません。

オプション補償も絶対に必要とはいえない補償で、よく吟味する必要があるでしょう。旅行変更費用はキャンセル時の強い味方ですが、キャンセル費用は航空会社によります。JALで定価で購入した場合は取消手数料は無く、払い戻し手数料の430円だけで済みます。計画中の旅行に必要かは人によります。

さらにキャッシュレス・メディカルサービスの提携病院数が多いのはメリットではありますが、保険料の安いeとらべるやau損保も中南米では同等の提携病院数があります。同じあいおいニッセイのeとらべるの他、au損保はKKDI・あいおいニッセイの合弁会社のため、あいおいのネットワークを利用しています。何にせよ同じ安心感が安い保険料で得られるなら、そちらを選んだ方が得です。

評判・苦情

あいおいニッセイ同和損保の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の1.29兆円から1.33兆円になり3.4%増でした。その中で海外旅行保険を含む傷害保険は606億円で前年度から2%増でした。他社では横ばいのケースもあるため、契約数・業績からすると評判は普通か少し良いです。

また、日本損害保険協会の苦情数のデータでは、あいおいニッセイ全体に寄せられた苦情数は約2.6万件(2022年度累計)ありました。同じMS&ADの三井住友海上より多いため苦情数は少し多めです。苦情の中身は「保険金お支払い関係」が最多で、担当者からの連絡遅れ・説明不足、保険金の支払い可否について不満が見えます。契約の管理・保全や募集行為も少なくないため、契約時の手続き・契約後の変更手続きにも不満がありそうです。

あいおいニッセイ同和損保の2022年度の苦情の内訳(出典:あいおいニッセイ同和損保ディスクロジャー誌「あいおいニッセイ同和損害保険の現状2023」)

次にオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)ですが、あいおいニッセイは10社中7位と下位でした。この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・担当者の対応・サポート体制・支払い手続きと対応の5つです。

個別項目別のランキングでも多くが6~8位のため、際立って良い点があるとは考えられません。唯一、サポート体制が5位まで順位を上げていますが、あいおいニッセイの上に三井住友海上・損保ジャパン等々があり取り立てて良いとはいえません。

あいおいニッセイのオリコン海外旅行保険総合ランキング2020の順位と各項目の評判(出典:オリコン公式HP「あいおいニッセイ同和損害保険 海外旅行保険の評判・口コミ」)

個別のクチコミでは「海外現地での対応にスピード感がなかった」「海外担当者の日本語がつたない」「電話が繋がらない」「手続きが煩雑だった」等のネガティブな意見がありました。既述の通り手続きには不満があるようで、さらに現地での対応には一抹の不安がありそうです。

以上のデータから考えると、あいおいニッセイの評判は普通そうですが、海外旅行保険は少し悪そうです。海外旅行保険はオリコンでの評価が7位と低めで、個別の項目でも良い点が見当たりません。数年前までは上位だっただけに、他社が追い上げた(改善した)とも考えられます。

総合評価・おすすめか?

結論としては、あいおいニッセイの海外旅行保険はイマイチな保険です。メリットもありますが、他の保険料が安い保険でも代わりになるからです。手厚い補償内容も保険料に見合うだけのものか疑問で、評判面でも特筆すべき点はありません。

この保険を検討している人は、他社の保険も検討した方が良いでしょう。総合的な良さならソニー損保やジェイアイ傷害火災保険あたりが候補になります。また、とにかく保険料を削減したい人や総合的に良い保険が保険が欲しい人は、エイチエス損保やau損保を検討すべきでしょう。