日新火災 海外旅行保険を比較・評価
- オススメ度：
- 保険会社：
- 日新火災海上保険
- 名称：
- 海外旅行保険
- 申込：
- 店頭・代理店
- 航空遅延：
- 補償あり
- オリコン：
- 対象外 / １０社中
- 特徴：
- 海外旅行中のケガや病気の治療費などを補償
日新火災海上保険は東京海上グループの一角の中堅の損害保険会社です。海外旅行保険は基本的に店舗（代理店）を通じて契約しますが、グループ会社の日新火災インシュアランスサービスを使えばWebで申込み・契約を完結できます。
他の代理店型の保険と異なり申込みまでの手間は大幅に削減できますが、その他にもメリットはあるのでしょうか。以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険とも比較していきます。
補償内容・特約
この保険はケガと病気の補償・他人への賠償に関する補償・持ち物の補償・その他の補償の4つがあります。ケガと病気の補償には死亡保険金・後遺障害保険金に加えて、治療・救援費用の補償があります。旅行中にケガ・病気をして海外で治療を受けた場合に、その治療分を保険金として受け取れます。応急治療・救援費用の特約を付けると、旅行前から患っていた持病が悪化した場合でも補償されます。
他人への賠償に関する補償は、他人に損害を与えて損害賠償された場合に賠償金を保険金として受け取れます。例えば他人をケガさせたり、買い物中に商品を誤って壊したケースが該当します。一見すると不要に思える補償ですが、子供がホテルの備品を壊したり、連れて来たペットが誤って噛むケースも想定されています。持ち物の補償はスマホやカメラを盗まれたり事故で壊れた場合に、1点あたり10万円まで携行品損害保険金が受け取れます。
その他の補償には旅行中の事故による緊急費用・航空機寄託手荷物遅延等費用・航空機遅延等費用・旅行変更費用の補償があります。旅行中の事故による緊急費用は、旅行中に予期せぬ事故で予定外の交通費・宿泊費が発生した場合に5万円が受け取れます。離島に行ったら天候不順で飛行機が飛ばず元の宿泊地に戻れない、パスポートを盗難されて日本領事館がある町まで行った等が想定されています。
航空機寄託手荷物遅延等の補償は、手荷物受取所（手荷物カルーセル）から自分のスーツケースが出てこない場合などに10万円が受け取れます。航空機遅延等費用の補償は、搭乗予定の飛行機が遅延・欠航して代替機に乗れなかった場合に2万円が受け取れます。旅行変更費用保険金は旅行が中止・途中帰国となった場合にで受け取れます。
その他に旅行中の海外総合サポートサービスが自動付帯しています。トラブル時には電話で日本語で24時間相談ができ、ケガ・病気の際には病院の紹介に加えて、治療費の支払いが不要となるキャッシュレスメディカルサービスがあります。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は被保険者数・保険期間・契約プラン・年齢によって決まります。被保険者数は人数が多くなるほど保険料は高くなり、保険期間（旅行日数）は長くなるほど保険料は高くなります。契約プランは各補償の上限額が最高のワイドプランの保険料が最も高いです。それに対して上限額が最低のスリムプランの保険料が最も安く、ベーシックプランは中間となります。
年齢は14歳以下・15～69歳・70歳以上に分かれています。14歳以下は各補償の上限がスリムプランと同じで、保険料は他の年齢層と同額です。それに対して15～69歳と70歳以上を比べると、スリムプランでは保険料は同額ですが、ベーシック・ワイドプランでは70歳以上の方が数百円～数千円ほど安くなっています。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ（ハワイ含む）・ヨーロッパ（イタリア・フランス）・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
日新火災の海外旅行保険の保険料を他社と比較すると、どこが旅行先でも高めです。旅行先が北米だと同じ東京海上グループのマリンパスポートの2倍以上の高さです。その他のネット型の海外旅行保険と比べても同様です。ただ、同じ代理店型の保険の中では少し安く、東京海上・AIG・大同火災・Chubbなどよりは保険料は安いです。
以上を踏まえると、日新火災の海外旅行保険の保険料は他社よりも高いです。ただ、保険料については、考え方次第で相当に削ることができます。その点を含めて続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは保険料が70歳以上なら69歳以下より安くなる点が挙げられます。他社のネット系のリスク細分型の保険では50歳以上から保険料が上昇して、60代で一段と上昇し、70歳以上だと最高値になります。この保険は70歳以上でも保険料は上昇せず、80歳を超えてケガをしやすくなっても逆に保険料は15～69歳より安いです。
さらに定型的なプランではなく、日新火災インシュランスサービスでフリー設計プランにして保険料を削る手があります。フリー設計プランは他社よりも圧倒的にカスタマイズ性が高いのが特徴です。たびほでは治療救援費用だけ必須ですが、それすら不要で航空機遅延費用の補償だけというのも可能です。どうしても携行品損害だけ、もしくは航空機手荷物遅延の補償だけ付けたい人など、ピンポイントの補償には最適です。
補償金額も細かく設定でき、死亡保険金と賠償責任は100万円から、治療救援費用と携行品損害は10万円から設定できます。今までの海外旅行保険の高額事例等を見て、治療救援費用は700～800円に設定して保険料を削ることも可能です。
このカスタマイズ性を利用して、クレジットカード付帯の海外旅行保険を補完するのも手です。例えば三井住友カードに付帯する海外旅行保険は、死亡・治療救援・携行品損害・賠償責任の補償があるだけです。ここにピンポイントで航空機遅延費用・航空機手荷物遅延費用・旅行中の事故による緊急費用の補償を追加すれば、補償が重複しない海外旅行保険が出来上がります。
追加候補となる航空機寄託手荷物保険金・航空機遅延保険金は、それぞれ10万円と2万円で他社の保険と比べても補償額が大きい点も見逃せません。たびほのように航空機寄託手荷物保険金・航空機遅延保険金を各1万円にする保険もある中では手厚い補償です。持病を補償する応急治療救援費用、出国中止を補償する旅行変更費用の補償があるのもメリットでしょう。前述の保険料比較で安かったau損保は航空機遅延保険金・応急治療救援費用はありません。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは申込はネットで可能でも、保険金を請求時には書類が必要となる点が挙げられます。他社の海外旅行保険でも同様のケースはありますが、たびほ・たびとも等ではWeb請求が可能です。必要項目を入力し画像データを送信するだけで完了するため、記入漏れなどがあっても再送する必要はありません。
また、前述したように保険料が高いというデメリットもあります。70歳以上より69歳以下の方が安いとはいえ、それは日新火災の保険の中での話しです。他社と比べると、たびほは4760円で僅かに安く、au損保は74歳未満なら1950円のため日新火災より安いです。
補償をカスタマイズして保険料を抑えるにしても、メリットで既述した「航空機遅延費用・航空機手荷物遅延費用・旅行中の事故による緊急費用」だけのプランは、北米5日で保険料は1020円です。たびほ・たびともに1000円を追加して加入できるため、どうせなら治療救援費用を1000万円以上に拡充した方が安心感があるともいえます。
さらにキャッシュレス・メディカルサービスはメリットではありますが、提携病院が少ないというデメリットがあります。国別で特に少ないのはヨーロッパで、フランス・イギリス・イタリア・スペイン・チェコ・ドイツ・ロシアの7ヶ国にあるだけです。中南米はブラジル・メキシコのみ、アフリカに至っては提携病院はありません。
評判・苦情
日新火災の2022年度（2022年4月～2023年3月）の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の1454億円から1450億円になり0.2％減でした。その中で海外旅行保険を含む傷害保険は70億円で前年度から0.2％減でした。他社では増加しているケースがあるため、契約数・業績からすると評判は少し悪いです。
ただ、日本損害保険協会の苦情数のデータでは、日新火災全体に寄せられた苦情数は2241件（2022年度累計）でした。業績が近いソニー損保・共栄火災よりも苦情数は圧倒的に少ないです。苦情の中身は「保険金お支払い関係」が最多で、担当者からの連絡遅れ・説明不足、保険金の支払い可否について不満が見えます。ただ、数自体が少ないため不安は薄いです。
日新火災では苦情を受けて、2022年度は申込書のレイアウト変更、保険金お支払いの案内表記の改善、連絡手段の充実化（IP電話からもフリーダイヤルに繋がるなど）を実施したようです。数少ない苦情に対しても地道に改善しているのは好感が持てます。
その他にオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020（実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象）でも確認したいところですが、日新火災は調査の対象外でした。契約数が少ないためサンプル数不足で調査の対象外となった可能性があります。
以上のデータから考えると日新火災の評判は普通そうですが、海外旅行保険は少し悪そうです。海外旅行保険は他社がコロナ明けで契約数を伸ばしている中で、横ばいなのは気がかりです。とはいえオリコンの評価が無いため業績だけでの判断となるためデータ不足感は否めません。
総合評価・おすすめか？
結論としては、日新火災の海外旅行保険は人によっては使い道がある保険です。具体的には最小限の補償だけ欲しい人、年齢が70代後半以上の人なら検討の余地がありそうです。これらの人は保険料が抑えられるため、定型プランでの保険料の高さも無関係です。
その一方で、とにかく保険料を削減したい人や総合的に良い保険が保険が欲しい人は、エイチエス損保やau損保が候補になります。総合的な良さならソニー損保やジェイアイ傷害火災保険あたりを検討すべきでしょう。
