ソニー損保 海外旅行保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- ソニー損保
- 名称:
- 海外旅行保険
- 申込:
- インターネット
- 航空遅延:
- 補償あり
- オリコン:
- 1位 / 10社中
- 特徴:
- もしもの時は24時間365日日本語サポート
ソニー損保の海外旅行保険は2018年6月から販売を開始しました。ジェイアイ傷害火災との提携商品であり、たびほに酷似しています。海外サポートもジェイアイ傷害火災が担っていますが、なぜかオリコンの海外旅行保険ランキングでは1位を獲得しています。
それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険は冒頭でも既述した通り、ジェイアイ傷害火災と業務提携して誕生した保険です。申込・契約変更・取消等の手続きと保険金の支払いはソニー損保が行いますが、その他の事故対応・トラブルサポート・保険金請求手続き・問い合わせにはジェイアイ傷害火災が行います。概ねソニー損保は加入時と保険金の支払い、ジェイアイ傷害は旅行中のサポートをするイメージです。
補償内容は治療救援費用と緊急歯科治療費用の選択は必須で、その他の基本補償・オプション補償は自由に選択できます。治療救援費用はケガ・病気の治療費と家族が救援に行く費用を指します。緊急歯科治療費用は旅行中の歯痛の緩和等の治療費を指し、治療費の50%(10万円が限度)が補償されます。その他に基本補償には死亡保険金・個人賠償責任・弁護士費用・携行品損害・寄託手荷物遅延・テロ等対応保険金があります。
オプション補償には、諸事情で旅行を取りやめた場合の旅行キャンセル費用の補償、旅行中に親族の不幸等で帰国せざるを得ない場合の旅行中断費用の補償があります。飛行機が遅延・欠航した場合の航空機遅延の補償、トラブルで帰国できない場合のペット預入延長費用の補償もあります。
これらの補償は「おてがるコース」で自由に選択できますが、一部の補償は「安心充実コース」でのみ提供されています。安心充実コースでは治療救援費用の上限額を無制限に設定でき、責任開始前疾病補償が付いているため持病の悪化も補償の対象となります。旅行中に糖尿病・心臓病等が悪化して病院に行っても治療費が補償されます。
さらに日本語ガイド費用の補償が付けられるため通訳者を雇えます。病院に通訳が同行してくれる上に、入院しても現地の医師と通訳を通して話せます。日本語ガイド費用はパスポートや旅券の紛失・盗難で携行品損害が起き、通訳者を雇った場合でも補償されます。こういったトラブル時に対面で相談できる現地デスクサポートもあります。また、携行品の損害の上限額を50万円に設定でき、緊急歯科治療費用も自己負担ゼロ(100%補償)になります。
これらの海外でのサポートはジェイアイ傷害火災が担っており、おてがる・安心充実コース共に海外でのトラブル相談や医師・病院の紹介もしてくれます。提携病院なら治療費の支払いが不要となるキャッシュレス・メディカルサービスもあります。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は被保険者数・保険期間・年齢・プラン・旅行先によって決まります。被保険者数は人数が多いほど保険料は高くなり、保険期間(旅行日数)は長期になるほど高くなります。年齢は50歳未満の保険料が最も安く、50歳以降は10歳毎に高くなります。契約プランは補償項目を数多く選択したり、安心充実コースを選択すると保険料は高くなります。
旅行先は治安・政情に不安がある国ほど保険料が高くなります。この保険では旅行先がアジアだと安く、北米・ヨーロッパだと少し高くなります。さらに旅行先が中南米・アフリカだと保険料は最も高くなります。アジア(韓国)と中南米(メキシコ)では保険料は約1.7倍の差があります。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ(ハワイ含む)・ヨーロッパ(イタリア・フランス)・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
ソニー損保の海外旅行保険の保険料は他社と比較すると安めです。ただ、安めに見えるのは代理店型の保険があるからで、ネット系の保険の中では7~8番手です。旅行先がメキシコ・南アフリカだと多少は番手はマシになりますが、最安値との金額差は1000円に広がります。ちなみにジェイアイ傷害火災より保険料は僅かに高く、同じくジェイアイ傷害と提携して海外旅行保険を販売しているSBI損保よりも僅かに高いです。
以上を踏まえると、ソニー損保の保険料は安めではあるものの見方によっては少し高いといえます。ソニー損保は業務提携して海外旅行保険を販売している以上は限界があるのでしょうが、何にせよ保険料に絶対的な安さはありません。保険料面以外にメリットがあるのか、続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずはネットで申込・手続きが完結できる点が挙げられます。代理店の店頭に行って書類を記入したり、空港の自動販売機(自動引受機)で契約する手間が不要です。他社では申込はネットで保険金の請求は書類というケースもありますが、この保険は携行品損害・航空機遅延等はWeb請求が可能です。
治療・救援費用と緊急歯科治療費用以外は自分で選べるのもメリットです。治療・救援費用と緊急歯科治療費用だけの最低限の補償にもできます。何の保険も無しで海外旅行に行くのが不安な人は、とりあえず治療救援費用1000万円と緊急歯科治療費用10万円だけにすれば北米5日間で1000円で済みます。30日の長期海外旅行になる人でも、この条件なら9190円で済みます。
クレジットカードに海外旅行保険が付帯している人なら、不足分だけ補完するという使い方もあります。航空機遅延・航空機寄託手荷物の補償の他、不足しがちな治療救援費用の上限額の上乗せが欲しいところです。なぜならカード付帯の保険は治療救援費用が300~500万円のケースがあり、それだと実際には不足する可能性があるからです。アメリカだと虫垂炎(盲腸)で500万円ギリギリか超える事例もあります。
安心充実コースがあるのもメリットです。Jiデスクでの対面サポートと日本語ガイドが利用でき、Jiデスクは世界36都市にあります。北米だけではなくアジア・ヨーロッパ・オセアニア・ミクロネシアに点在しています。こういった充実したサポートは海外に強いJTBグループのジェイアイ傷害火災との提携で実現しています。ソニー損保の海外旅行保険は販売開始から10年も経過していませんが、提携によりサポートに安心感があります。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは前述したように保険料が最安値ではない点が挙げられます。旅行先が北米なら最安値との差は100円程度ですが、中南米・アフリカだと差は700円に広がります。旅行期間が5日より延びれば差は一段と広がります。また、旅行先で複数国を周る場合に保険料が変動する点にも注意が必要です。
補償面では歯科治療費用が50%補償である点、航空機寄託手荷物遅延・航空機遅延の補償額も1万円と小額な点もデメリットです。安心充実コースにしても航空機遅延費用は2万円、航空機寄託手荷物は10万円までです。東京海上だと航空機遅延は4.5万円、携行品損害と寄託手荷物を一括りにした保険だと30万円まで補償されます。Jiデスクによる対面サポートも、JTB旅カードの加入者なら同様のサービスが受けられるため有難みは薄いです。
その逆に最小限の補償でクレカ付帯の保険に上乗せする件も、上乗せする意味があるか微妙です。メリットの箇所にある図では多くのケースで500万円以内で収まっていました。クレジットカードによっては補償額が1000万円であるケースもあります。さらに高額な治療費となったケースは高齢者だと予想されますが、この保険は50代になると保険料が500円上昇し、60代で1000円上昇し負担が増します。
また、キャッシュレス・メディカルサービスはメリットではありますが、国・地域によっては提携病院数が少ないというデメリットがあります。ヨーロッパでは北欧のデンマーク・フィンランド・スウェーデン等、アジアだとバングラディッシュ・ラオス等に提携病院はありません。損保ジャパンと比べると明らかに見劣りします。
評判・苦情
ソニー損保の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の1395億円から1437億円になり3.0%増でした。その中で海外旅行保険を含む傷害保険は94億円で前年度から3.1%増でした。他社では横ばいのケースがあるため、契約数・業績からすると評判は良いです。
ただし、価格.comの新規契約数ランキング2023ではソニー損保は9社中4位で、トップ3には入っていません。保険料の一括見積もりする保険料重視の人からの評価は低いといえます。これは保険料比較で既述した内容と合致しており、多くの人が感じている不満といえます。
また、日本損害保険協会の苦情数のデータでは、ソニー損保全体に寄せられた苦情数は約1.4万件(2022年度累計)ありました。苦情の中身は「契約の管理」が最多で、変更手続き・解約手続きの方法の分かりにくさや手続き完了まで遅いといった不満が見えます。
次にオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)ですが、ソニー損保は10社中1位でトップでした。この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・担当者の対応・サポート体制・支払い手続きと対応の5つです。保険プラン・サポート体制では総合順位と同様に1位を取っています。
その一方で、加入手続き・支払い手続きは2位で、それぞれ損保ジャパンとジェイアイ傷害火災に遅れを取っています。このあたりは苦情面と合致するため信憑性が高まります。さらに担当者の対応では順位が4位まで落ちており、総合順位が1位でも担当者に当たり外れがある点には注意が必要です。
個別のクチコミでは「コールセンターのスタッフと、いまいちコミュニケーションがとりにくい」「連絡が付きにくかった」「支払われた保険金の額が不満」等のネガティブな意見がありました。海外でのサポートはジェイアイ傷害が担うためソニー損保に非はありませんが、やはり担当者・スタッフへの不満が見えます。
以上のデータから考えるとソニー損保の評判は良さそうで、海外旅行保険の評判も悪くなさそうです。ただ、全体的には評判が良いとはいえ、手続き・担当者の対応には一抹の不安が残る結果ではあります。
総合評価・おすすめか?
結論としては、ソニー損保の海外旅行保険は悪くない保険です。デメリットもありますが、それよりはメリットと評判の良さが上回ります。手厚い補償が欲しい人も最小限の補償が欲しい人にも適しており、どんなニーズにも応えられるのも良いです。
その一方で、とにかく保険料を削減したい人は他社の保険も検討した方が賢明です。保険料の安さならエイチエス損保やau損保が候補になります。この保険と似た保険ならジェイアイ傷害火災、補償と保険料のバランスなら損保ジャパンあたりも検討しても良いかもしれません。