三井住友海上 海外旅行保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 三井住友海上
- 名称:
- 海外旅行保険
- 申込:
- 店頭・代理店
- 航空遅延:
- 補償あり
- オリコン:
- 4位 / 10社中
- 特徴:
- 旅行中のケガや病気になどに備えたい人に
三井住友海上にはインターネットから申込めるネットde保険@トラベルの他に、店頭・書類で申込む海外旅行保険があります。ネットde保険の方が保険料は圧倒的に安いのですが、従来の海外旅行保険にはネットde保険には無い補償があります。
そういった違いは保険料に見合うだけのメリットになるのでしょうか。以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険とも比較していきます。
補償内容・特約
この保険の基本補償は自分のケガ・病気の補償の他に、旅行中の事故・トラブル関する補償があります。ケガ・病気の補償は旅行中に死亡・後遺障害となると保険金が受け取れ、さらに入院した場合の治療費や親族が駆けつけた場合の交通費・宿泊費も補償されます。入院しなくても緊急の歯科治療でも治療費が補償されます。
旅行中の事故・トラブルについては、ホテルの備品を壊す等の他人への賠償が補償される「賠償責任保険」、旅行中にバッグ等が盗まれた場合に補償される「携行品損害補償」、予期せぬ交通事故・盗難等で交通費・宿泊費が必要となった場合に補償される「旅行中事故緊急費用」があります。旅行中事故緊急費用は、海外で日帰りで離島に行ったらケガで離島で2~3泊することになった、といったケースでも補償されます。
旅行中でも航空機に関するトラブルは3つの補償があります。飛行機の欠航・遅延による交通費・宿泊費の補償は、テロが原因での欠航ならテロ等対応費用で補償され、天候不順・ストライキ等での欠航・遅延なら航空機遅延費用で補償されます。飛行機に預けた荷物が届かない(ロストバゲージ)なら、代わりのスーツケース・衣類等の購入費は航空機寄託手荷物遅延等費用で補償されます。
自分で選べるオプション補償(特約)は、自動車運転者損害賠償責任・旅行変更費用・緊急一時帰国費用・ペット預入延長費用があります。旅先でレンタカーを運転するなら自動車運転者損害賠償責任、長期旅行なら旅行変更費用と緊急一時帰国費用、ペットがいるならペット預入延長費用を検討しても良いかもしれません。
その他にキャッシュレス・メディカルサービスとスーツケース修理回収サービスも付いています。前者は旅行中の病気・ケガを提携病院で治療すれば、治療費の支払いが不要となるサービスです。後者は旅行中に破損したスーツケースの回収・修理・修理代金の支払い・お届けを保険会社が代行してくれるサービスです。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は被保険者数・保険期間・契約タイプによって決まります。被保険者数は1人なら個人プラン、複数ならファミリープランとなります。ファミリープランは人数が増えるほど保険料は高くなります。保険期間(旅行日数)は長くなるほど保険料は高くなりますが、1日と2日で保険料が2倍とはならず、日数が5日増える度に約2倍になるペースです。
契約タイプは死亡補償があるベーシックプランと、死亡補償が無い疾病死亡なしプランがあります。さらに各補償の保険金額が異なるプランがあり、保険金額を高くすると保険料が上昇します。ただし、どのプランにしても応急治療救援費用・テロ等対応費用・旅行中事故緊急費用等は一律の保険金額となります。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ(ハワイ含む)・ヨーロッパ(イタリア・フランス)・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
三井住友海上の海外旅行保険の保険料を他社と比較すると、どのケースでも高めになっています。同社のネットde保険と比べても、旅行先がアメリカだと2倍以上の高さです。旅行先が南アフリカだとネットde保険との差は縮まりますが、それでもau損保や損保ジャパンとは2倍以上の差があります。
その一方で、この保険の保険料を同じ代理店型の保険と比べると、平均か少し安い部類に入ります。この保険より高い保険は東京海上・大同火災・日新火災等があります。これらと比べると保険料は良心的な金額ともいえそうです。
以上を踏まえると、三井住友海上の海外旅行保険の保険料は他社よりも高いです。代理店型と比べると安い方だとしても、ネット型とは大きな差があるからです。これだけ高い保険料に見合ったメリットがあるのか、続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは保険料が旅行先に関わらず同一な点が挙げられます。外務省から渡航中止勧告や退避勧告が出ている国は置いておいて、治安が多少悪いか不安な国でも保険料は上昇しません。それでもネット型よりも保険料は高いのですが、その分は補償が手厚い分とも考えられます。
同じ三井住友海上のネットde保険には無い救援費用補償・航空機遅延費用補償・旅行中事故緊急費用補償が、この保険にはあります。特約も自動車運転者損害賠償責任・旅行変更費用・緊急一時帰国費用を付けられます。治安やサービスに不安がある国では、航空機の遅延や事件に巻き込まれての緊急帰国の可能性もあるだけに、これらの補償は大きな安心感があります。
また、これらの補償が無い海外旅行保険も他社にはあります。オプションで付けられれるケースもありますが、そもそも補償が用意されてない保険もあります。例えば前述の保険料比較で安かったau損保では、どのコースを選んでも航空機遅延費用補償はありません。
三井住友海上ラインによる4つのサービスもメリットです。特に治療費の支払いが不要となるキャッシュレス・メディカルサービスは心強いでしょう。海外ではクレジットカードで治療費が支払えることもありますが、限度額を超える治療費になる可能性もあります。国・地域によっては現金のみの病院もあるため、旅行を継続する上でも助かるでしょう。また、海外でもLINEで事故連絡ができ、最寄の病院や日本語の通じる病院を教えてもらえるのも便利です。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは申込が店頭・書類である点があります。書類を記入する手間があり、誤字脱字があれば再送が必要となります。一応、空港に設置してある自動販売機(自動引受機)でも加入できますが、そうなると出発直前での加入となります。渋滞・電車の遅延により空港に到着するのが出発ギリギリだと、加入できない可能性があります。
また、前述したように保険料が高いというデメリットもあります。ネットから申し込める保険よりも保険料は2倍近く高いです。その分だけ補償が手厚いとはいえ、1週間程度の旅行なら過剰な補償ともいえます。そう考えると利用価値がありそうなのは航空機遅延費用と航空機寄託手荷物遅延等費用ですが、前者は1回の遅延につき2万円、後者は1回につき10万円が限度です。
この金額を物足りないと考えるか、それとも十分と考えるかは人それぞれでしょう。ただし、東京海上の海外旅行保険では航空機遅延費用は合計4.5万円(宿泊費3万円・交通費1万円・食事代5000円)が受け取れる点を考慮すると、物足りなさがあります。
さらにキャッシュレス・メディカルサービスはメリットではありますが、いかんせん提携病院数が少ないというデメリットがあります。特にアメリカ本土では、カリフォルニア州のアーバインに1軒あるだけです。損保ジャパンだとカリフォルニア州ならアーバイン以外に、ロス・サンディエゴ・アナハイム・サンタモニカ等に提携病院があります。その他にニューヨーク州・マサチューセッツ州・ニュージャージー州等々にもあります。
アメリカ以外だとヨーロッパでも提携病院数は少なく、イギリス・フランス・イタリア・ドイツにあるだけです。他社ならスペイン・スイス・オーストリア・ベルギー等にもあります。また、三井住友海上だと中南米・アフリカには提携病院は1つもありません。
評判・苦情
三井住友海上の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の1.57兆円から1.62兆円になり3.2%増でした。その中で海外旅行保険を含む傷害保険は1518億円で前年度から2.1%増でした。他社では横ばいのケースがあるため、契約数・業績からすると評判は悪くありません。
さらに日本損害保険協会の苦情数のデータでは、三井住友海上全体に寄せられた苦情数は約1.7万件(2022年度累計)です。東京海上・損保ジャパン・あいおいニッセイより苦情数は少ないです。苦情の中身は「保険金お支払い関係」が52.2%と最多で、保険金に関する手続きの誤り・遅延・支払額への不満が見えます。
次にオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)ですが、三井住友海上は10社中4位でした。この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・担当者の対応・サポート体制・支払い手続きと対応の5つです。
総合順位こそ4位ですが、個別の項目ではトップ3に入る項目もあります。その中でもトップに入ったのが「担当者の対応」です。海外で事故・トラブル時に連絡した際の担当者の対応、ないしは帰国後の対応が良いことになります。さらに大手だけあってサポート体制・支払い手続きが3位なのも安心感があります。
個別のクチコミでは「必要書類の送付後に連絡が無かった」「ロンドンで紹介してもらった病院の電話番号が間違っていた」「担当者と連絡が付かなかった」等のネガティブな意見がありました。対応が良いとはいっても、人為的なミス等はあるようです。
以上のデータから考えると三井住友海上の評判は良さそうで、担当者の対応には期待が持てそうです。さすがに担当者も人のため全てが完璧ではありませんが、それでも頼りにはできそうです。その一方でオリコンで4位だった加入手続き・保険プランへの不満は、デメリットの箇所で既述した内容と合致するため妥当でしょう。
総合評価・おすすめか?
結論としては、三井住友海上の海外旅行保険は微妙な保険です。担当者の対応が良いとしても保険料が高く、補償内容も見合ってない感があるからです。担当者の対応が良い保険を選びたい人は、同じ三井住友海上のネットde保険@トラベルにすれば保険料が大幅に削減できます。
また、とにかく保険料を削減したい人や総合的に良い保険が保険が欲しい人は、他社の保険も検討した方が賢明です。保険料の安さならエイチエス損保やau損保が候補になります。総合的な良さならソニー損保やジェイアイ傷害火災保険あたりを検討しても良いかもしれません。