共栄火災 海外旅行保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 共栄火災海上保険
- 名称:
- 海外旅行保険
- 申込:
- 店頭・代理店
- 航空遅延:
- 補償あり
- オリコン:
- ランク外 / 10社中
- 特徴:
- 海外旅行の安心をお届けします
共栄火災海上は農協や中小企業を中心に顧客を持つ保険会社です。JA・農林中金・信金中央金庫が出資している関係もあり、農林水産業の活発な北海道・東北・北陸・九州で高いシェアを占めています。
中堅の損害保険会社のため知名度は高くはありませんが、大手にはないメリットがあるのでしょうか。以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険にはP20~P26まで計7つの契約タイプがあります。P20タイプのみ死亡補償が無く、P21~26タイプは全ての補償が付きます。P21~P26タイプの違いは各補償の上限額にあり、傷害後遺障害保険金・治療救援費用・携行品損害の上限額が上昇します。
その一方で、どのタイプを選んでも傷害死亡保険金・疾病死亡保険金・賠償責任・入院一時金・旅行事故緊急費用・航空機寄託手荷物遅延等費用・航空機遅延費用の上限額は同じです。そのためプラン選びについては、傷害後遺障害保険金・治療救援費用・携行品損害だけを考慮すれば事足ります。
この3つの中で利用頻度が最も高いのは、スマホ等の携行品が盗難・破損した場合に補償される携行品損害の補償でしょう。それほど高価な物を海外に持っていかないとすれば、携行品損害が20万円まで補償されるP21で十分です。もしくは海外での高額なケガ・病気の治療費が補償される治療救援費用を軸にしても良いかもしれません。海外だと骨折の治療費でも数百万円になるケースを考慮すれば、余裕を持って2000万円まで補償されるP22でも良いかもしれません。
その他に他人に自転車でケガをさせた場合やホテルの備品を壊した場合に補償される賠償責任保険、旅行中に余儀なく負担した費用が補償される旅行中事故緊急費用、航空会社に預けた荷物が補償される航空機寄託手荷物遅延等費用、飛行機が遅延・欠航した場合の諸費用が補償される航空機遅延費用もあります。オプション補償には家族の不幸等の諸事情で旅行をキャンセルした場合の費用が補償される旅行変更費用があります。
その他に旅行中の海外サポートサービスが自動付帯しています。トラブル時に電話で相談したり病院の紹介をしてくれる上に、家族が海外まで救援・見舞いに向かう場合には渡航手続き・ホテルの手配までしてくれます。ケガ・病気時に治療費の支払いが不要となるキャッシュレスメディカルサービス(提携病院のみ)もあります。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は被保険者数・保険期間・契約タイプによって決まります。被保険者数は人数が多くなるほど保険料は高くなり、保険期間(旅行日数)は長くなるほど保険料は高くなります。契約タイプは死亡・後遺障害の補償が無いP20タイプが最も保険料が安く、治療救援費用等が最高額のP26が最も保険料が高いです。
オプション補償の旅行変更費用の補償は、保険金額が30万円と50万円が選択できます。その上で保険期間が長いほど少しずつ保険料が上昇します。30万円補償で保険期間5日なら保険料は430円ですが、10日で560円、15日で670円、31日で1000円まで上昇します。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ(ハワイ含む)・ヨーロッパ(イタリア・フランス)・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
共栄火災の海外旅行保険を他社と比較すると、どのケースでも保険料は高いです。特にネット系の保険と比べると2倍以上の高さで、旅行先がメキシコ・南アフリカだと多少マシになる程度です。ただ、同じ代理店型の海外旅行保険と比べると、東京海上・三井住友海上・あいおいニッセイ等よりは安いです。
以上を踏まえると、共栄火災の海外旅行保険の保険料は他社よりも高いです。これだけ保険料が高いとなると、相応の他社には無いメリットが欲しいところです。続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは保険料が旅行先に関わらず同一な点が挙げられます。他社のネット系は旅行先の治安次第で保険料が上昇します。もしも旅行先が複数の国を跨り、その中に治安に不安がある国があると保険料は想定よりも高くなります。その点、この保険は旅行先が無関係で保険料は定額のため安心です。
保険料が高い分だけ補償は手厚く、他社のネット系には無い補償も付いています。例えばeとらべる・au損保には、この保険にはある航空機遅延費用・旅行中事故緊急費用は無く、オプションでも旅行変更費用が付けられません。航空機寄託手荷物保険金・航空機遅延保険金も、この保険の10万円と2万円に対して他社では各1万円のケースもあります。
入院一時金という他社には無い補償もあります。入院一時金は治療救援費用が支払われる場合に、3日の入院ではなく2日の入院で10万円が受け取れます。入院時に必要となる様々な費用(身の回り品など)をカバーすることが可能です。
海外総合サポートデスクもメリットです。特に提携病院なら治療費の支払いが不要となるキャッシュレスメディカルサービスは便利です。共栄火災から病院側に治療費分の保険金が支払われるため、現地で治療費を仮払い(立て替え)する必要がありません。
また、スーツケース修理サービスは専門の業者を保険会社が手配してくれるサービスもあります。業者から送られる伝票でスーツケースを送付すれば、修理して戻ってきます。もちろん修理費用は共栄火災から修理業者に直接支払われます。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは申込が店頭・書類である点があります。代理店に行く手間があり、羽田・成田空港にある自動販売機(自動引受機)でも加入できません。書類を記入する手間もあり、誤字脱字があれば再記入・再送する必要があります。もちろん保険金を請求する際にも書類が必要となり、たびほ・たびとも等のようにWeb請求ができません。
また、前述したように保険料が高いというデメリットもあります。補償内容が手厚いとはいえ、入院一時金・旅行事故緊急費用は30日以内の旅行のみに付いており、31日以上だと付いていません。その代わりに31日以上だと航空機寄託手荷物保険金・航空機遅延保険金が付きますが、代わりに入院一時金などが消えます。他社の代理店型の保険では両方が日数に関わらず付いています。そのあたりが代理店型の中では保険料が安い理由ともいえます。
さらにキャッシュレス・メディカルサービスがあるのはメリットですが、どこの国に提携病院があるのか不明です。共栄火災単独では中堅の会社だけに提携病院数に不安があります。共栄火災は過去に東京海上グループで経緯から、同社のネットワークを使っている可能性はあります。しかし、そうだとしてもヨーロッパ・中南米では提携病院数に不安があります。
評判・苦情
共栄火災の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の1701億円から1728億円になり1.6%増でした。その中で海外旅行保険を含む傷害保険は288億円で前年度から4%減でした。他社では増加しているケースがあるため、契約数・業績からすると評判は少し悪いです。
また、日本損害保険協会の苦情数のデータでは、共栄火災全体に寄せられた苦情数は7942件(2022年度累計)ありました。同程度の業績の日新火災より多いため苦情数は多めといえます。苦情の中身は「保険金のお支払い」が最多で、保険金の説明不足、保険金の支払い可否について不満が見えます。契約の管理・保全も多いため、契約後の変更手続き等にも不満がありそうです。
次にオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)ですが、共栄火災はランキング外でした。調査対象には含まれていながら10社の中に名前が出てきません。この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・担当者の対応・サポート体制・支払い手続きと対応の5つです。これらの項目で他社よりも満足度は低いと考えられます。
以上のデータから考えると、共栄火災自体の評判も海外旅行保険の評判も少し悪そうです。オリコンでの評価も10年前からランキング外だったため、もはや定着した評判といえます。今後、大幅なリニューアルでも無い限りは評判が覆ることはないでしょう。
総合評価・おすすめか?
結論としては、共栄火災の海外旅行保険はイマイチな保険です。メリットもあるにはありますが、デメリットの方が大きいからです。保険料のわりに補償内容が物足りず、評判面でも取り立てて良い面が見えません。この保険を検討している人は他社の保険も検討した方が賢明です。
とにかく保険料を削減したい人や総合的に良い保険が保険が欲しい人は、エイチエス損保やau損保を検討すべきでしょう。総合的な良さならソニー損保やジェイアイ傷害火災保険あたりが候補になります。