あいおいニッセイ同和 eとらべるを比較・評価

あいおいニッセイ同和損保 eトラベル
オススメ度:
2
保険会社:
あいおいニッセイ同和損保
名称:
eとらべる
申込:
インターネット
航空遅延:
補償なし
オリコン:
7位 / 10社中
特徴:
ネットで簡単にお手続きできます

あいおいニッセイ同和には代理店を通じて書類で申込む海外旅行保険の他に、インターネットから申し込めるeとらべるという海外旅行保険があります。保険料もeとらべるの方が従来の保険より50~60%ほど安くなり、リピーター割引で2回目移行は5%割引もあります。

ただし、保険料が安い分だけ従来の海外旅行保険にあった補償が削られている等の注意点もあります。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険とも比較していきます。

補償内容・特約

この保険はタイプA・B・C・Kの4つのプランがあります。A・B・Cは各補償の上限額が異なるだけですが、タイプKは補償される内容が3つに絞られています。まずタイプA・B・Cですが、旅行中の死亡・後遺障害の他、ケガ・病気(歯痛含む)の治療費まで補償されます。旅行に持っていった荷物が破損・盗難された場合の携行品損害、航空会社に預けた手荷物が補償される航空機寄託手荷物遅延等費用まで補償されます。

あいおいニッセイ同和損保 eとらべるの補償内容(出典:あいおいニッセイ同和損保公式HP「eとらべる海外旅行保険」)

その他にタイプA・B・Cには、テロにより飛行機が欠航して必要となった交通費・宿泊費等が受け取れるテロ等対応費用の補償ががあります。他人をケガさせたりホテルの備品を壊した場合に補償される賠償責任保険、その逆に自分が被害者となった場合に相談できる弁護士費用の補償もあります。

その一方でタイプKには病気・ケガの治療費が受け取れる治療救援費用の補償と、病気で死亡した際の疾病死亡保険金、弁護士費用の補償だけとなっています。自分のクレジットカードに海外旅行保険が付帯している人向けのプランで、保険料は他のプランの最大で半額となります。

オプション補償には愛犬・愛猫をペット専用施設に預けて旅行する人向けにペット預入延長費用の補償があります。これは諸事情により帰国が遅れた場合に、ペットの宿泊費を日額5千円まで保証されます。オプション分の追加保険料は10円と非常に安いです。

その他に旅行中の海外サポートサービスが自動付帯しています。トラブル時に電話で相談したり病院の紹介をしてくれます。ケガ・病気時に治療費の支払いが不要となるキャッシュレスメディカルサービス(提携病院のみ)、破損したスーツケースの回収・修理・代金支払い・送付をしてくれる携行品リペアサービスもあります。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は被保険者数・保険期間・契約タイプ・旅行先によって決まります。被保険者数は人数が多くなるほど保険料は高くなり、保険期間(旅行日数)は長くなるほど保険料は高くなります。契約タイプは補償が削ったタイプKが最も安くタイプCが最も高くなります。

旅行先はアジア圏が安めで北米・ヨーロッパは少し高めですが、その差は僅か数百円です。中南米・アフリカになると二段階ほど高くなり、北米・ヨーロッパの2倍近い金額になります。

次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ(ハワイ含む)・ヨーロッパ(イタリア・フランス)・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。

被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありの海外旅行保険の保険料の比較一覧表(三井住友海上・ジェイアイ傷害火災・損保ジャパン・エイチエス損保・AIG損保・au損保・東京海上日動火災・SBI損保・共栄火災海上・あいおいニッセイ同和・大同火災・ドコモ保険・ソニー損保・日新火災・楽天損保・Chubb損保・チューリッヒ保険・ソフトバンク保険)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

eとらべる(タイプA)の保険料を他社と比較すると、アメリカ・ヨーロッパ・韓国では概ね他社よりも安いです。ただ、僅かな差で最安値には及びません。さらにメキシコ・南アフリカになると、その差は2000円以上に広がります。同じネット系のリスク細分型の保険の中で比べても高めです。

以上を踏まえると、eとらべるの保険料は旅行先次第で高くも安くもなるといえます。旅行先の治安が良いか普通なら保険料は安めですが、治安に不安があるか悪いと一気に高くなります。保険料面以外でもメリット・デメリットがあるのか、続いてメリットについて記述していきます。

メリット

この保険のメリットは、まずは申込・手続きがネットで完結できる点が挙げられます。従来の海外旅行保険のように店頭に行ったり書類を記入する手間が不要です。入力内容に入力漏れがあれば申込画面で指摘されるため、書類のように再記入・再送といった手間はありません。

保険料も他社よりは安めで、従来のあいおいニッセイの海外旅行保険よりも50~60%ほど安いです。他社と比べても安めで、北米・ヨーロッパなら最安値の保険との差は100円のため無視もできます。タイプKにすれば一段と保険料は安くなるため、クレジットカードの海外旅行保険の補完にも最適です。

保険料が安いわりに航空機寄託手荷物保険金が10万円と高いのもメリットです。他社ではジェイアイ傷害火災たびほは1万円、東京海上マリンパスポートは3万円です。スーツケースが出てこなかったとしても、10万円あれば1週間の旅行でも衣服・日用品に不便はないでしょう。

海外総合サポートデスクもメリットです。緊急医療相談サービス・キャッシュレスメディカルサービス・スーツケース修理サービスは他社にもありますが、キャッシュレスメディカルサービスの提携病院が他社より多く安心感があります。

キャッシュレスメディカルサービスがある国数の比較表(三井住友海上・ジェイアイ傷害火災・損保ジャパン・エイチエス損保・AIG損保・au損保・東京海上日動火災・SBI損保・共栄火災海上・あいおいニッセイ同和・大同火災・ドコモ保険・ソニー損保・日新火災・楽天損保・Chubb損保・チューリッヒ保険・ソフトバンク保険)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

中南米はベネズエラ・チリ・パナマ・ウルグアイ等々にもあり、ヨーロッパではスイス・ポルトガル・ギリシャ・オランダ・オーストリアにもあります。損保ジャパンも相当な数の提携病院がありますが、こと中南米に限ってはあいおいニッセイの方がカバーしています。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは保険金請求が基本的に電話・書類である点があります。キャッシュレスメディカルサービス・携行品リペアサービスを利用しない限り、書類での手続きが必要となります。申込で手間を省けても、いざとなれば結局は書類が必要です。たびほ・たびとも等ではWeb請求が可能で、必要項目を入力し画像データを送信するだけで事足ります。

eとらべるの保険金請求で必要な書類(出典:あいおいニッセイ同和損保公式HP「eとらべる(特定手続き用海外旅行保険)保険金請求のご案内」)

補償面では、あいおいの従来の海外旅行保険にある航空機遅延費用・旅行中事故緊急費用は、eとらべるにはありません。航空機遅延費用の補償はテロではなく天候不順で飛行機が遅延・欠航して、宿泊費や食費が必要となった場合に補償されます。旅行中事故緊急費用は旅行中にパスポート盗難等により移動ができなくなった場合に、宿泊費等が補償されます。これらの補償が無い分だけ保険料は安いともいえます。

また、契約タイプの選択にしても、最も上限額が高いCプランは航空機手荷物遅延費用・弁護士費用・テロ等対応費用はタイプAから据え置きです。タイプAからBへの上乗せだと、携行品損害も30万円に据え置きです。保険料が上昇するわりに利用頻度が高い補償の上限額が上がりません。

さらに前述したように旅行先によっては保険料が高いというデメリットもあります。中南米はキャッシュレス・メディカルサービスの提携病院数が多い分だけ高いともいえますが、保険料の安いau損保も中南米では同等の提携病院数があります。au損保はKKDI・あいおいニッセイの合弁会社だからこそですが、何にせよ同じ安心感が他社の安い保険で得られます。

評判・苦情

あいおいニッセイ同和損保の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の1.29兆円から1.33兆円になり3.4%増でした。その中で海外旅行保険を含む傷害保険は606億円で前年度から2%増でした。他社では横ばいのケースもあるため、契約数・業績からすると評判は普通か少し良いです。

ただし、価格.comの新規契約数ランキング2023では、eとらべるは9社中9位で最下位となっています。保険料を一括見積もりするような保険料重視の人からは明らかに選ばれていません。前述した通り保険料は最安値には届かず、旅行先によっては他社よりも2倍近く高いのが影響していそうです。

さらに日本損害保険協会の苦情数のデータでは、あいおいニッセイ全体に寄せられた苦情数は約2.6万件(2022年度累計)ありました。同じMS&ADグループの三井住友海上より多いため苦情数は少し多めです。苦情の中身は「保険金お支払い関係」が最多で、担当者からの連絡遅れ・説明不足、保険金の支払い可否について不満が見えます。契約の管理・保全や募集行為も少なくないため、契約時の手続き・契約後の変更手続きにも不満がありそうです。

あいおいニッセイ同和損保の2022年度の苦情の内訳(出典:あいおいニッセイ同和損保ディスクロジャー誌「あいおいニッセイ同和損害保険の現状2023」)

次にオリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)ですが、あいおいニッセイは10社中7位でした。価格.comよりは多少は順位を上げていますが、やはり下位に沈んでいます。この調査の評価項目は加入手続き・保険プラン・担当者の対応・サポート体制・支払い手続きと対応の5つです。

個別項目別のランキングでも多くが6~8位のため、際立って良い点があるとは考えられません。ただ一点あるとすれば、男女別部門結果で男性から3位と高い評価を得ている点でしょうか。明確な理由は分析できませんが、サポート体制か何かが評価された可能性がありそうです。

あいおいニッセイのオリコン海外旅行保険総合ランキング2020の順位と各項目の評判(出典:オリコン公式HP「あいおいニッセイ同和損害保険 海外旅行保険の評判・口コミ」)

個別のクチコミでは「海外現地での対応がイマイチだった」「海外からコレクトコールしたが繋がりにくい」「保険金が入金されるまで時間がかかった」「選べるプランが少ない」等のネガティブな意見がありました。プランに柔軟性が無いのは既述の通りですが、海外現地での対応に一抹の不安があるのは心配です。

以上のデータから考えると、あいおいニッセイの評判は普通そうですが、海外旅行保険は少し悪そうです。価格.comでもオリコンでも低評価で、取り立てて良い点が見当たりません。大幅なリニューアル等が無いと、なかなか評判が覆ることはなさそうです。

総合評価・おすすめか?

結論としては、あいおいニッセイのeとらべるはイマイチな保険です。メリットもありますが、全体的には中途半端な感がします。補償内容・保険料・サービス面・評判、どれかで尖った内容が無いと、他社を押しのけてまで契約すべき保険とはいえません。

この保険を検討している人は、他社の保険も検討した方が良いでしょう。総合的な良さならソニー損保やジェイアイ傷害火災保険あたりが候補になります。また、とにかく保険料を削減したい人や総合的に良い保険が保険が欲しい人は、エイチエス損保やau損保を検討すべきでしょう。