AIG損保 海外留学保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- AIG損保
- 名称:
- 海外留学保険
- 申込:
- ネット・店頭
- 航空遅延:
- 補償あり
- オリコン:
- 8位 / 10社中
- 特徴:
- さまざまなリスクを幅広くカバーしサポート
AIG損保は観光向けの海外旅行保険の他に、留学生向けの海外留学保険(留学・ワーキングホリデー用)も募集・販売しています。この保険も海外旅行保険と同様に、店頭・書類だけではなく公式HPからも申し込めます。
AIGは外資系企業のため海外留学保険で幅広いサポートが受けられそうですが、果たして保険料に見合うだけのメリットがあるのでしょうか。以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外旅行保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険は補償はパッケージとなっており、プランによって補償の上限額と補償されない項目があります。どのプランにも共通しているのは治療・救援費用の上限額が無制限である点と、死亡・後遺障害・個人賠償責任・生活用動産の補償がある点です。個人賠償責任は他人をケガさせた場合に補償され、生活用動産は留学先で住居の物が盗難・破損した場合に補償されます。
この中で最も補償範囲が狭いのが8P1プランで、上述の共通の補償のみが付いています。8P2プランにすると、航空機寄託手荷物遅延と航空機遅延費用の補償が付きます。航空機寄託手荷物遅延の補償は飛行機の搭乗時に預けたスーツケースが現地に届かない場合に、スーツケースの中の物の代替品を購入する費用として10万円まで受け取れます。航空機遅延費用の補償は飛行機が6時間以上遅延したり欠航した場合に、宿泊費・食費として2万円まで受け取れます。
8P2プランから8P3・8P4に格上げすると、死亡・後遺障害の保険金の上限額が上乗せされます。それに対してTプランにすると、保険期間6ヶ月以上の契約なら歯科治療費用の補償が自動セットされます。留学中に歯痛等で歯医者で治療を受けた場合に治療費が50%補償されます。治療費が6万円なら3万円が保険金で受け取れ、残りの3万円は自己負担となります。上限額は10万円のため治療費が20万円を超えた分も自己負担となります。
Tプランで最も補償範囲が狭いのはTP1プランで、全プラン共通の補償と歯科治療費用の補償が付いています。8P1プランに歯科治療費用プランが付いているとも言い換えられます。TP2プランだと航空機遅延・航空機手荷物遅延の補償が追加されます。こちらも8P2プランに歯科治療費用の補償が付いたともいえます。TP3・TP4プランも同様です。
その他にオプションで緊急一時帰国費用の補償、自動セットとなる海外アシスタンスサービスとDoctors Meというサービスがあります。緊急一時帰国費用は親族の不幸で緊急帰国する際の費用が受け取れます。海外アシストは病気・ケガ時に治療費の支払いが不要となる提携病院を紹介してくれます。Doctors Meは海外で処方された薬が安全か確認したい場合などに、スマホから日本語で日本の医師・薬剤師に相談できるサービスです。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は保険期間・契約タイプによって決まります。保険期間は最長1年まで契約でき、1年以上だと更新が必要となります。契約タイプは補償範囲が狭く各保険金の上限額が低い8P1プランが最も安いです。歯科治療が付いたおすすめプラン(TP3)だと、保険料は1年で3万円ほど上昇します。
オプションの緊急一時帰国費用の補償は、保険金額を40万・70万・100万円の3つから選択できます。アメリカ・ヨーロッパ・オセアニアに留学するなら往復で40万円もあれば十分ですが、親族の不幸がハイシーズンである可能性を考慮すると70万円でも良いかもしれません。ただ、保険料は保険期間1年で40万円だと13130円、70万円だと22970円のため安くはありません。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は被保険者1人・死亡後遺障害が1000万円・保険期間5日間・航空機遅延補償ありという条件にしました。旅行先はアメリカ(ハワイ含む)・ヨーロッパ(イタリア・フランス)・韓国・メキシコ・南アフリカでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
AIG損保の海外留学保険(8P1)の保険料は、他社と比較して高めになっています。同じ留学保険のジェイアイ傷害やエイチエス損保と比べて3~5万円の差があります。同じ代理店型の保険(こちらは長期補償の海外旅行保険)と比べても高めです。
以上を踏まえると、AIG損保の海外留学保険の保険料は高く保険料面で優位性はありません。この高い保険料に見合ったメリット、外資ならではのサービスがあるのでしょうか。続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずはネットから申込みが可能である点が挙げられます。他社には代理店に行って契約する留学保険もありますが、この保険はネットで申込みが可能です。保険料が20万円を超えるため代理店で相談してから契約したい人向けに、海外旅行保険代理店もあります。東京・千葉・静岡・愛知・大阪にあります。
補償面では留学生向けに歯科治療費用・生活用動産・賠償責任の補償がありますが、これらに加えて緊急一時帰国費用の補償があるのもメリットです。緊急一時帰国費用は2親等の親族のため、両親だけではなく祖父母が危篤・死亡した場合も補償が受けられます。祖父母が高齢なら検討しても良いかもしれません。ただ、これらはジェイアイ傷害火災・エイチエス損保にもあるため、独自のメリットではありません。
独自のサービス・メリットといえば自動付帯となるDoctors Meでしょう。日本語で無料相談できるのが保険会社の担当者ではなく専門家という点が大きいです。専門家は医師・薬剤師・歯科技師・栄養士・カウンセラー・獣医師の6種類あります。医師・薬剤師には体調不良時の他、アメリカで処方された薬や分量に不安がある時に相談できます。
歯科技師には歯痛時の他に歯の詰め物・被せ物が取れた場合、栄養士にはアメリカでの日常的な食事や栄養管理について相談できます。さらにカウンセラーに相談できるのも大きいです。留学中のホームシックやメンタル不調時に、カウンセラーからメンタルの整え方やアドバイスがもらえます。留学費用を出した両親には心配をかけたくない(相談しにくい)かもしれませんが、カウンセラーなら相談しやすいかもしれません。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは前述したように保険料が高い点が挙げられます。たびほ留学保険より5万円ほど高く、エイチエス損保・Chubb損保より2~3万円ほど高いです。その分だけ補償が手厚いかというと、生活用動産の補償が30万円(もしくは50万円)でエイチエス損保の100万円より小額です。
また、選択するプランは自由度が低く、歯科治療費用の補償が保険期間6ヶ月以上でのみ付けられます。たびほであれば治療・救援費用以外の補償は自由に選択できます。留学中の病気・ケガと外国人とのトラブルだけが心配であれば、治療・救援費用と個人賠償責任の補償だけにできます。この場合の保険料は、北米1年間で176080円まで抑えられます。
また、留学生向けのサービスでも物足りなさがあります。たびほでは留学生向けに不動産会社の紹介・海外の銀行口座の開き方・ネットプロバイダの紹介・国際引越し便の案内もしてくれます。この保険は海外にも店舗を構えているはずですが、このような留学生向けの独自のサービスがありません。従来の海外旅行保険のサービスがあるだけです。
さらに提携病院なら治療費の自己負担が不要となるキャッシュレス・メディカルサービスは、地域によっては提携病院数が無いというデメリットがあります。AIG損保は特にアメリカ本土で少なく、サンフランシスコ・マウンテンビュー・ロス・NY・ブルックリンの5都市にあるだけです。留学先がボストン(ハーバード大など)や、シカゴ・ミシガン・サンディエゴだと提携病院での治療は難しいです。治療費は一旦は自己負担となり保険会社からの振込みを待つことになります。
その一方でカナダはバンクーバー・トロントの他に6都市に提携病院があります。オーストラリアもシドニー・メルボルン・ケアンズ以外の都市に提携病院があり他社と同水準です。留学する地域によって差があり、外資のAIGだからと油断はできません。
評判・苦情
AIG損保の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の1524億円から1515億円になり0.6%減でした。その中で海外旅行保険を含む傷害保険は264億円で前年度から0.3%増でした。他社では増加・急回復のケースがあるため、契約数・業績からすると評判は良くありません。
さらに日本損害保険協会の苦情数のデータでは、AIG損保全体に寄せられた苦情数は約1.2万件(2022年度累計)でした。東京海上・損保ジャパン・あいおいニッセイより苦情数は少ないです。苦情の中身は保険金に関する手続きの誤り・遅延が多く、解約手続きの遅れ、継続案内の遅れ等にも不満が見えます。
その他に価格.comの新規契約数ランキング2023や、オリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)で顧客満足度を確認したいのですが、どれも海外旅行保険が対象で海外留学保険ではありません。一応、オリコンでAIG損保は10社中8位と下位で、たびほ(2位)やエイチエス損保(6位)よりも順位は下でした。
参考までに実際に保険金を請求した人の個別のクチコミを見ると、ポジティブな意見も多い中でネガティブな意見もありました。具体的には「出発便が遅延したため、乗継国での宿泊向けに日用品を購入したら補償外だった」「盗難物の値段等の説明が煩雑」「前回適用された補償が今回は補償外だった」等のネガティブな意見がありました。
以上のデータから考えるとAIG損保の評判は良くなさそうです。ただし、評判の主体は観光用の海外旅行保険であり、海外留学保険そのものの評判ではありません。とはいえ海外現地でサポートする担当者は同社で同じ人物・体制でしょう。その上ではオリコンで担当者対応が8位でサポート体制が7位なのは、あまり海外で懇切丁寧なサポートが受けられない証左ともいえそうです。
総合評価・おすすめか?
結論としては、AIG損保の海外留学保険はイマイチな保険です。最大のネックは保険料の高さで、保険料のわりに担当者対応・サポートの評判が芳しくありません。AIGならではのサービスもDoctors Meだけで、留学生向けにサポートが乏しいのも頂けません。
この保険を検討している人は、他社の保険も検討した方が賢明でしょう。とにかく保険料を削減したい人はハードルは高いものの第一候補は大同火災で、それが無理ならChubb損保が代替候補になります。保険料の安さとサービス面のバランスの良さならたびほを検討すると良いでしょう。