エイチエス損保 留学プランを比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- エイチエス損保
- 名称:
- FIT海外旅行保険留学プラン
- 申込:
- 代理店・ネット
- 航空遅延:
- 補償あり
- オリコン:
- 6位 / 10社中
- 特徴:
- リーズナブルな保険料
エイチエス損保は観光向けのたびともの他に、留学生向けにFIT海外旅行保険 留学プランも募集・販売しています。たびともと異なりFIT海外旅行保険は代理店加入となりますが、代理店ではプランの相談のみで手続きはインターネット上で行います。
また、たびともとは補償内容も留学生向けになっているため注意が必要です。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外留学保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険は歯科治療費用の補償が付いたTプランと、補償が付いていないプランに大別されます。歯科治療費用が付いたプランは保険期間(留学期間)が6ヶ月以上でのみ加入できます。歯科治療費用は留学中に歯痛などで治療を受けた場合の治療費を指し、その治療費の50%分が保険金で受け取れます。10万円が補償の上限額のため、治療費が20万円(50%補償で10万円受け取れる)以上になると残額は自己負担となります。
その他の治療費は治療・救援費用の補償で、治療費の100%分の保険金が受け取れます。限度額は1000万円~無制限まで設定できます。この補償には治療費以外に、病気・ケガが重篤な際に家族が駆けつける救援費用も含まれます。また、死亡・後遺障害時にも保険金(傷害死亡・疾病死亡・傷害後後遺障害保険金)が受け取れます。留学するのが子供であるケースが多いため、死亡保険金が無いプランもあります。
渡航関連では航空機遅延・航空機寄託手荷物遅延の補償も付いています。航空機遅延の補償は搭乗予定の飛行機が遅延・欠航した場合を指し、宿泊費・食費として3万円が受け取れます。航空機寄託手荷物遅延は航空会社に預けたスーツケースが現地に到着しない場合を指し、当面の衣服・日用品の購入費として10万円が受け取れます。
さらに留学生活関連で生活用動産(長期用)と賠償責任(長期用)の補償が付いています。生活用動産は携行品のスマホ等に加えて留学中のアパート・マンションにある家具等が含まれ、これらが盗難されたり事故で破損した場合に修理費・再購入費が100万円まで保険金で受け取れます。賠償責任(長期用)の補償は留学して友人とスポーツ中にケガをさせた場合の治療費、誤って店の展示品を壊して弁償する場合が想定されています。
オプション補償には緊急一時帰国費用・留学継続費用の補償があります。緊急一時帰国費用は親族が危篤・死亡した場合に緊急帰国する費用を指し、往復の航空運賃と宿泊費分の保険金が受け取れます。留学継続費用は両親(扶養者)が死亡した場合の今後の留学費用を指し、留学終了までに必要な費用を保険金で受け取れます。
その他に旅行中の海外サポートが自動付帯しています。海外でのトラブルに日本語で電話・LINE電話で相談でき、医師や病院の紹介・通訳の手配してくれます。治療するのが提携病院ならキャッシュレスとなり、病院の窓口で治療費を支払うことなく治療が受けられます。さらに日本国内にいる家族に回復状況や治療方法について連絡が来ます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は保険期間・契約タイプ・年齢によって決まります。被保険者数は多いほど保険料が高くなり、保険期間(旅行日数)は長期になるほど高くなり、32日以上から最長1年まで設定できます。契約タイプは歯科治療費が付いており治療救援費用が無制限のプランが最も高いです。
年齢は15~69歳が最も安く、0~14歳・70~80歳・81歳以上だと保険料は高くなります。さらに選択できるプランにも制限が加わります。その一方で、どこの国に留学するかは保険料に無関係で、留学先がアメリカでもヨーロッパでもアフリカでも保険料が同額です。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は最もスタンダードなプランで1年契約した場合という条件にしました。留学先は北米(アメリカ・カナダ)・ヨーロッパ・オーストラリア・フィリピンでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。留学保険ではなく長期契約できる海外旅行保険も参考までに記載しました。
この保険の保険料は他社と比較して少し高めです。AIG損保等よりは安いのですが、ジェイアイ傷害火災やChubb損保よりは高めです。ジェイアイ傷害火災とは特にヨーロッパでは保険料の差が大きくなり、イギリス・フランス・ドイツあたりに留学するようだと保険料面では厳しいです。
以上を踏まえると、この保険の保険料は少し高めで保険料面で優位性はありません。年間で3万円の差額は留学が1年間なら無視できなくもありませんが、海外の大学に進学して保険期間が4年間となると12万円になるため無視はできません。保険料面以外にメリットがあるのか、続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずは代理店で相談できる点が挙げられます。代理店で相談するのは大抵は煩わしさがありますが、海外留学保険は保険料が1年間で20万円を超えます。保険料を安くする方法は無いのか、逆に補償が不十分ではないか確認できるのは大きいです。担当者から生の声(過去の事例や自分の体験など)も聞ければ、時間を割くだけの価値はあります。
それもエイチエス損保はHISグループのため、HISの店舗で相談できます。HISの店舗は岐阜・鳥取・島根などの一部の県には店舗がありませんが、他の多くの県に1店舗はあります。代理店で相談しても手続きはネットで行うため、相談後に落ち着いて加入するか判断し、加入手続きも時間がある時にできます。
保険料は少し高めですが、渡航先によって保険料が変動しない点はメリットです。留学だと多くの人の渡航先は北米・ヨーロッパ・オセアニアでしょうが、ワーキングホリデーだとアルゼンチンやチリといったワーホリ協定国に入っています。これらの国は治安・政情の関係で保険料が高くなるケースがありますが、この保険では渡航先は保険料とは無関係です。
補償面では留学生向けに歯科治療費用・生活用動産・賠償責任の補償があるのもメリットですが、これらに加えて緊急一時帰国費用・留学継続費用の補償があります。緊急一時帰国費用の補償は留学生の祖父母が危篤・死亡での帰国費用も対象のため、祖父母が高齢なら検討の余地があります。留学継続費用は祖父母ではなく留学生の両親(扶養者)が高齢なら検討の余地があります。
さらに海外でトラブル・事故時にLINE電話で24時間365日相談できるのもメリットです。LINE電話なら寮・ホームステイ先にWifiがあれば、通話料を気にせず連絡できます。また、帰国後のアフターケアで旅行かばん修理サービスとカメラ・ビデオカメラ等修理サービスがあります。留学終了時の他に一時帰国でスーツケースが破損した場合でも補償されます。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは前述したように保険料が高めである点が挙げられます。その分だけ補償が手厚いのは死亡保険金が2000万円上乗せと、生活用動産の補償が50万円・航空遅延が1万円上乗せ程度です。生活用動産の補償の上乗せは良いですが、たびほで生活用動産を100万円にした方が安いです。補償内容をカスタマイズして不要な補償を自由に取捨選択できません。
また、留学生向けのサービスでも物足りなさがあります。たびほでは留学生向けに留学中のアパート・マンションのための不動産会社の紹介から始まり、現地での銀行口座の開き方や書類の案内・ネットプロバイダの紹介・国際引越し便の案内もしてくれます。さらに海外にあるJiデスクと電話や対面で相談もできます。この保険は従来の海外旅行保険のサービスがあるだけです。
さらに治療費の仮払い(立て替え)が不要となるキャッシュレス診療は、地域によっては提携病院が無いというデメリットがあります。アメリカではシカゴ・シアトル・ボストンに提携病院がありません。名門私立で経済に強いシカゴ大、ワシントン州シアトルにあるワシントン大学、ボストンにあり日本でも知名度の高いハーバードやMITに留学するようだと、移動距離を考えると提携病院を利用するのは難しいです。
さらにカナダではトロントにのみ提携病院があります。たびほならバンクーバー・カルガリー・バンフにもあり、AIGならヴォーン・ブラントン等にもあります。留学するのがトロント大学なら問題ありませんが、ブリティッシュコロンビア大学(バンクーバーにある)やカルガリー大学だと、やはり距離からして提携病院の利用は難しいです。
評判・苦情
エイチエス損保の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の1.8億円から18億円になりました。コロナ禍から10倍の急回復をしていますが、2019年度の44億円には及びません。他社より回復が鈍いともいえるため、契約数・業績からすると評判は普通です。
その一方で日本損害保険協会の苦情数のデータでは、エイチエス損保全体に寄せられた苦情数は僅か30件(2022年度累計)でした。苦情の中身は保険金区分が半数以上のため、保険金支払いの手続きの誤りや遅延に不満が出ています。とはいえ明らかに件数が少ないため過度な心配は不要です。
その他に価格.comの新規契約数ランキング2023や、オリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)で顧客満足度を確認したいのですが、どれも海外旅行保険が対象で海外留学保険ではありません。一応、オリコンでエイチエス損保は10社中6位でした。たびほ(2位)や東京海上(5位)よりも順位は下です。
参考までに実際に保険金を請求した人の個別のクチコミを見ると、ポジティブな意見も多い中でネガティブな意見もありました。具体的には「パンフなどの印刷物が分かりにくい」「保険請求時の書類が多い」「保険適用になるか曖昧で途中連絡もない」等のネガティブな意見がありました。分かりにくいという意見は、他社にはあるスマホのアプリが無いのも影響していそうです。
以上のデータから考えるとエイチエス損保の評判は普通そうです。ただし、評判の主体は観光用たびともの契約者であり、海外留学保険の評判そのものではありません。とはいえ海外現地でサポートする担当者は同社で同じ人物・体制と考えれば、オリコンで担当者対応が7位でサポート体制が8位なのは気がかりです。対応・サポートに過度な期待は持たない方が良さそうです。
総合評価・おすすめか?
結論としては、FIT海外旅行保険留学プランは微妙な保険です。他社にないメリットもありますが、保険料を鑑みると他社の保険の方が補償内容とのバランスが取れている感があります。補償内容の選択の自由度も考慮すれば、ジェイアイ傷害たびほの方が優れています。
また、とにかく保険料を削減したい人は他社の保険も検討した方が賢明です。ハードルは高いものの第一候補は大同火災で、それが無理ならChubb損保が代替候補になります。また、単純に他の保険も検討したいならAIG損保も見ても良いかもしれません。