たびほ海外留学保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- ジェイアイ傷害火災保険
- 名称:
- t@biho(たびほ)海外留学保険
- 申込:
- インターネット
- 航空遅延:
- 補償あり
- オリコン:
- 2位 / 10社中
- 特徴:
- わたしの留学の強い味方
ジェイアイ傷害火災は観光向けのたびほの他に、留学生向けにたびほ海外留学保険も募集・販売しています。観光向けのたびほとは補償内容が微妙に異なり、留学生向けに様々なサポート・サービスが付いています。
観光向けのたびほと同様にプライムタイプもあり、補償の選択肢は広く迷う・悩む要因となっています。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の海外留学保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険は治療・救援費用の補償は必須で、その他の11の補償項目は自分で付けるか否かを選択します。治療・救援費用はケガや病気で病院で治療を受けた場合の診察費と治療費と、3日以上の入院等で家族・親族が現地まで赴く費用を指します。上限額は3000万円と5000万円が選択できますが、プライムタイプだと上限額を1億円・無制限に設定できます。さらに留学前から発症していた持病の悪化による治療も補償されます。
その他の自由選択の補償はケガ・病気による死亡保険金に加えて、個人賠償責任・航空機寄託手荷物遅延・航空機遅延・テロ等対応保険金・弁護士費用等・生活用動産の補償があります。留学生活を考慮すると、飛行機関連の費用の補償よりは生活に密着した補償を優先すべきでしょう。
特に他人の物を壊して弁償したり、他人をケガさせた場合の治療費が補償される個人賠償責任の補償は必須です。友人とスポーツ中にケガをさせた場合などに役立ちます。逆に被害者となることを考えれば、弁護士費用等の補償もあっても良いかもしれません。また、テレビ等の家財やスマホ等の身の回り品を盗難・破損された場合に、その修理費・再購入費が受け取れる生活用動産の補償も検討に値します。
自由選択の補償とは別にオプション補償で、歯科治療費用・緊急一時帰国費用の補償があります。歯科治療費用は留学先で歯が痛くなり治療した場合の治療費を指し、治療費の50%を10万円を限度に受け取れます。アメリカは歯科治療でも10万円を超えるケースもあります。緊急一時帰国費用は親族・家族が危篤や死亡した場合に緊急帰国する費用を指し、交通費・宿泊費等として70万円を限度に受け取れます。
その他にJiジャパンダイレクトというサービスが自動付帯しています。海外でのトラブルの相談から、医師や病院の紹介・電話による医療通訳・パスポート盗難時の手続き案内がアプリで可能です。留学生向けのサービスについては、メリットの箇所で後述します。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は年齢・保険期間・プラン・留学先によって決まります。年齢は0~49歳が最も安く、年齢が上昇すると保険料は高くなります。保険期間(旅行日数)は最長5年まで契約できますが、1年ごとに延長の手続きをする必要があります。プランは補償が多く上限額を高くするほど高くなります。
留学先は韓国・台湾が最も安く、次いでヨーロッパが安いです。その他・アジア・北米は少し高めで、アフリカ・中南米だと最も高いです。オプションの緊急一時帰国費用補償特約の保険料は、アジアは1年で1万円、北米だと17500円、ヨーロッパ・アフリカは25000円です。留学先の治安・政情というよりは、日本までの距離が遠い(航空運賃が高い)ほど高いです。歯科治療費用補償特約の保険料は留学を問わず1年で10530円です。
次に保険料が他社より安いのか否か確認していきます。保険料は死亡保険金1000万円・歯科治療なしのプランで1年契約を条件にしました。留学先は北米(アメリカ・カナダ)・ヨーロッパ・オーストラリア・フィリピンでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。留学保険ではなく長期契約できる海外旅行保険も参考までに記載しました。
たびほ留学保険の保険料は他社と比較して安いです。どこが留学先でも安めですが、特に他社よりも安いのはヨーロッパです。留学先がイギリスのケンブリッジ大やオックスフォード大なら、他社より3~5万円は安いです。その一方で北米(アメリカ・カナダ)だと他に安い保険があり、東京海上との差も小さいです。
以上を踏まえると、たびほ留学保険の保険料は概ね安く特にヨーロッパは安いといえます。とはいえ最安値の大同火災より高いのですが、大同火災は補償内容が心もとなく6ヶ月更新の海外旅行保険です。それを踏まえれば、この保険の保険料は十分に安いといえます。保険料面以外にメリットがあるのか、続いてメリットについて記述していきます。
メリット
この保険のメリットは、まずはネットで申込・手続き・保険金請求が完結できる点が挙げられます。他社の保険だと申込はネットで可能でも、保険金の請求は書類というパターンもあります。この保険では生活用動産・航空機遅延等の保険金請求はWeb請求が可能です。留学先からでもネットで保険金請求ができます。
前述したように保険料は留学先によって他社と大差ないこともありますが、リピーター割引を使えば最安値に近づきます。この保険に過去3年以内に契約していれば利用でき、マイページから契約すれば保険料が3%割引になります。北米1年で199870円の保険料がリピーター割引で193873円になります。留学先に下見で行く際にでも加入しておけば、6000円ほど得になります。
治療・救援費用の補償以外は自分で選べるのもメリットです。とにかく留学先での病気・ケガと他人に迷惑をかけた場合を危惧するなら、治療・救援費用の補償と個人賠償責任だけにするのも良いでしょう。前者を3000万円で後者を1億円にすれば保険料は176080円まで抑えられます。歯科治療費用の補償をつけても186610円です。前述した留学先の下見なら治療・救援費用の補償だけでOKです。
契約期間を5年まで延長できるのもメリットです。海外の大学に1年留学するなら無関係ですが、留学ではなく海外の大学に進学した場合は話は別です。留年して4年で卒業できない場合でも、この保険なら5年まで延長できるため補償を継続できます。ちなみにクレジットカード付帯の海外旅行保険は90日程度で切れる点を考えても、5年まで延長できるのは如何に大きいか分かります。
そして、最大のメリットは留学生サポートサービスが充実している点です。ネット申込ですが、ビザ申請で保険会社のサインが必要なら対応してくれますし、保険会社の様式での付保証明書ならネットで即時発行できます。さらに海外22都市のJiデスクで留学生をサポートしてくれます。留学で滞在するアパート・マンションを探すなら不動産会社を紹介してくれますし、ネットプロバイダの紹介・国際引越し便の案内もしてくれます。
さらに現地での銀行口座の開き方や書類の案内、留学先で日本の食品・書籍が購入できる各種ショップの紹介、学校や滞在先で便利なスポーツジムの紹介までしてくれます。留学生サポートをしてくれるJiデスクは海外22都市にあり、アメリカならホノルル・ロス・サンフランシスコ・ニューヨークにあります、カナダならバンクーバー・トロントにあり、ヨーロッパならロンドン・パリ・フランクフルト・ローマにあります。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは前述したように保険料が最安値ではない点が挙げられます。概ね安いものの大同火災よりは高く、留学先が北米(アメリカ・カナダ)・オーストラリア・フィリピンだとChubb損保のホームステイプランよりも高いです。
補償項目をカスタマイズできるのはメリットだとしても、その補償内容を精査する手間がかかるのもデメリットでしょう。例えば、歯科治療費用の補償は付ければ安心ですが、補償されるのは治療費の50%に過ぎません。残りの50%は自己負担ですし、治療費が20万円を超えると補償上限の10万円を超えるため、超過額は自己負担となります。これなら留学前に歯科検診を徹底した方が経済的です。
さらに頼れるJiデスクは海外22都市だけにあり、留学先に無い可能性もあります。例えばアメリカでもマサチューセッツ州ボストンにはJiデスクはありません。留学先がハーバード大・MIT(マサチューセッツ工科大学)の場合、最寄のJiデスクはニューヨークです。アムトラックに乗って約4時間をかける必要があります。本来はJiデスクは海外36都市にありますが、その中で留学生サポートをしていない場所(グアム・サイパン等)もある点にも注意が必要です。
また、治療費の立て替え(仮払い)が不要となるキャッシュレス・メディカルサービスはメリットではありますが、地域によってはサービスが利用できる提携病院数が少ないです。提携病院でないと治療費を自分で一旦支払って保険金を後日受け取るため、手持ちの現金・クレカの限度額が窮する可能性があります。
この保険ではJiデスクの無いボストンには提携病院はありますが、エイチエス損保だと提携病院があるイリノイ・ミシガンにはありません。留学先がパブリックアイビーにも名を連ねるミシガン大学・イリノイ大学アーバナシャンペーン校だと、提携病院で治療を受けるのは厳しいです。
評判・苦情
ジェイアイ傷害火災の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の52.9億円から105億円になり98.8%増でした。まだ2019年度の数字には及びませんが、急回復を見せています。その中で海外旅行保険を含む傷害保険も71億円で前年度から155%増でした。他社では微増のケースがあるため、契約数・業績からすると評判は良いです。
さらに日本損害保険協会の苦情数のデータでは、ジェイアイ傷害火災全体に寄せられた苦情数は58件(2021年度累計)と極めて少ないです。苦情の中身は「手続き中に画面が止まる」「解約・取消手続きが面倒」「保険金請求の説明が不十分・書類が多い」等の不満が見えました。
その他に価格.comの新規契約数ランキング2023や、オリコンの海外旅行保険 総合ランキング2020(実際に海外旅行保険を適用した3254人が調査対象)で顧客満足度を確認したいのですが、どれも海外旅行保険が対象で海外留学保険ではありません。一応、オリコンでたびほは10社中2位で、1位のソニー損保に留学保険が無いため実質はトップともいえます。
参考までに実際に保険金を請求した人の個別のクチコミを見ると、ポジティブな意見も多い中でネガティブな意見もありました。具体的には「病気の時に現地での対応が遅く情報は不正確」「担当者の対応が冷たい」「保険金請求に診断書が必要」等のネガティブな意見がありました。どこまでいっても対応するのは人のため、担当者によってムラがありそうです。
以上のデータから考えるとジェイアイ傷害火災の評判は良さそうです。ただし、評判の良さを呼んでいるのは観光用たびほが一因であり、海外留学保険の評判そのものではありません。とはいえサポートする担当者は同じと考えれば、相応に良いサポートが受けられるのは間違いないともいえます。
総合評価・おすすめか?
結論としては、たびほ海外留学保険はオススメの保険です。留学先によっては保険料が少し高いかもしれませんが、それを補って余りあるメリットがあります。特に留学生サポートが大きく、留学先にJiデスクとキャッシュレスの提携病院があるなら、この保険で決まりといえます。
その一方で、とにかく保険料を削減したい人は他社の保険も検討した方が賢明です。ハードルは高いものの第一候補は大同火災で、それが無理ならChubb損保が代替候補になります。また、単純に他の保険も検討したいならエイチエス損保やAIGの留学保険を検討すると良いでしょう。