ソニー生命の米ドル建終身保険を比較・評価

ソニー生命 米ドル建終身保険
オススメ度:
3
保険会社:
ソニー生命
名称:
ソニー生命の米ドル建終身保険
加入年齢:
0~85歳
保障内容:
死亡
通貨:
米ドル
保険料:
一時払い・月払い

ソニー生命の外貨建て終身保険には毎月保険料を支払う月払いタイプと、保険料を一括で支払うタイプがあります。どちらのタイプにしても通貨は米ドルとなり、ソニー生命の窓口・職員の他に保険の窓口等の保険代理店でも契約できます。

それでは以下で保障内容・積立利率・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の外貨建て終身保険と比較していきます。

保障内容

この保険の月払いタイプの場合、毎月の保険料を日本円で支払って米ドルで運用されます。毎月の保険料は米ドルで契約時に決まるため、毎月の為替レートによって支払う額は変動します。毎月の保険料が205.5ドルの場合、1ドル=100円時には20550円ですが、1ドル=150円時には30825円となります。

死亡すると受け取れる死亡保険金は前述の例では10万ドルとなりますが、こちらも為替レートによって実際の金額は異なります。ただし、円換算支払特約を付加すれば米ドルでも受け取ることが可能となります。著しい円高だった場合には米ドルで受け取って円安を待つことが可能です。解約すると受け取れる解約返戻金は保険料の支払いが完了するまで、支払った保険料総額を下回る額となります。円換算支払特約があると解約返戻金も米ドルで受け取れます。

月払いタイプの保障内容と仕組み(出典:ソニー生命「ソニー生命の米ドル建終身保険(無配当)」商品パンフレット2022年4月版)

解約すると受け取れる解約返戻金は保険料の支払いが完了するまで、支払った保険料総額を下回る額となります。保険料の払い込み完了後は予定利率に応じて、外貨換算で増額されていきます。こちらも為替レートの影響をうけますが、円換算支払特約があると解約返戻金も米ドルで受け取れます。

一時払いタイプの場合、一括で支払った保険料が即座に米ドルで運用されます。死亡保険金は契約時には一時払保険料を上回る額が確保されますが、あくまで外貨換算での額となります。死亡保険金は契約時から予定利率に応じて増加していきます。50歳で死亡保険金10万ドルで契約して予定利率2%で15年が経過すると、死亡保険金は約16万ドルまで増加します。

一時払いタイプの保障内容と仕組み(出典:ソニー生命「ソニー生命の米ドル建終身保険(無配当)」商品パンフレット2022年4月版)

解約すると受け取れる解約返戻金は保険関係費用が契約時に差し引かれるため、契約してから数年は一時払保険料を下回る額となります。それが契約から10年も経過すれば一時払保険料を上回る金額となります。予定利率が2%の場合には10年経過時の返戻率は109.5%、予定利率3%なら120.1%になります。

死亡保険金の増加は第一保険期間で増加が終了しますが、解約返戻金は死亡するか解約するまで予定利率に応じて増加します。また、一時払いタイプでは円換算支払特約の付加は必須となります。そのため死亡保険金・解約返戻金の受け取りを米ドルか日本円か選択できます。

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積立利率の推移・他社との比較

この保険の予定利率は2024年現在は3~4%を行き来しています。過去を振り返ると、5~6年前の2018年には2%台だったため現在の利率は高いのは間違いありません。ただ、他社の保険も利率は上昇しているため、この保険だけが有利というわけではありません。

次に予定利率は他社より高いのか低いのか、下図で他社の外貨建て終身保険と一覧表で比較しました。米ドルと豪ドルで比較し、併せて積立利率が固定される期間と固定後についても記載しました。

外貨建て終身保険の積立利率(基準利率・予定利率)の比較一覧表(日本生命・第一フロンティア生命・メットライフ生命・三井住友海上プライマリー生命・ニッセイウェルス生命・大樹生命・明治安田生命・ソニー生命・マニュライフ生命・ジブラルタ生命・プルデンシャル生命・PGF生命・TDフィナンシャル生命・オリックス生命・住友生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の利率は他社と比較して高めで、米ドルで平均の3.7~3.8%を上回っています。ただ、他社の保険を見渡すと4%台後半まで到達している保険もあります。そのため利率は高いとはいえトップクラスの高さというわけではありません。

メリット

この保険の月払いタイプのメリットは、契約時から支払う保険料総額よりも大きい死亡保険金が確保できる点が挙げられます。同じ月払いの保険でも保険料払込が完了するまでは保険金額が抑えられる保険が他社にはあります。この保険は保険料払込期間中に死亡すると、死亡保険金の返戻率は数百%になります。

仮に35歳・月額保険料205ドル(ドル=110円で一定)・保険金額10万ドル・25年払い込みで、契約から5年後に死亡したとします。そうすると5年間で総額1.2万ドルを支払ったのに対して10万円ドルが受け取れるため、返戻率は833%になります。為替が円安なら一段と大きい額になります。他社の死亡保険金が小額にされる保険と異なり、退職前に事故なり病気なりで死亡しても家族に十分な資金を残せます。

月払いタイプの払込保険料累計額と解約返戻金と死亡保険金額(出典:ソニー生命「ソニー生命の米ドル建終身保険(無配当)」商品パンフレット2022年4月版)

円安ではなく円高になる可能性もありますが、保険料が月払いのため為替レートが平均化されるドルコスト平均法が利用できるのもメリットです。円高時にも円安時も保険料を支払うため為替リスクを低減できます。解約返戻金は予定利率分だけ年々大きくなるため、円高でも時間をかければ利益が出ます。保険料払込完了時の返戻率が104%で25年後の予定利率が2%なら、さらに10年後に返戻率は124%になります。20%程度の円高なら逆転できます。

一時払いタイプのメリットは、一時払保険料を上回る死亡保険金を確保できる他、解約返戻金の返戻率が100%を超えるまでの期間を短縮できる点が挙げられます。予定利率が3%の場合で50歳契約で5年も経過すれば、返戻率は105.8%になります。65歳で解約するなら返戻率は134.6%となるため、契約してから約30%の円高(1ドル=140円から100円への円高)だとしても支払った保険料以上の解約返戻金が受け取れます。

一時払いタイプの解約返戻金額と解約返戻率(出典:ソニー生命「米ドル建一時払終身保険(無告知型/無配当)」商品パンフレット2023年4月版)

デメリット・注意点

この保険のデメリットは、どのタイプも死亡保険金が保険料総額を下回る可能性が挙げられます。月払いタイプでドルコスト平均法を使っても為替リスクをゼロにはできません。保険料累計額の平均レートが140円で80円まで円高が進めば、6.1万ドルを支払って10万ドルを受け取っても、854万円を支払って800万円の受け取りです。解約返戻金も円高次第では保険料の払込完了時に円換算では返戻率は100%を超えません。

一時払いタイプだと、解約返戻金も早期解約は契約初期費用がある分だけ厳しくなります。契約初期費用は契約に際して保険会社の諸経費や代理店の利益になる部分で、最高で7%も一時払保険料から差し引かれます。あくまで最高値ですが他社の4~5%よりも高いです。

一時払いタイプの契約初期費用(出典:ソニー生命「米ドル建一時払終身保険(無告知型/無配当)」商品パンフレット2023年4月版)

解約返戻金には解約控除・市場価格調整による減額は無いようですから、その分だけ契約初期費用が高くなっている可能性はあります。とはいえ一時払いタイプだと第一保険期間に死亡すると十分に増加していない死亡保険金となり、かといって解約すると損失は確実という状態です。自分の健康状態の確認と早期解約をしない確実性が求められるといえそうです。

評判・苦情

ソニー生命の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、個人保険全体の新契約件数は68.2万件で前年度から10%ほど増加しました。その中で月払いの米ドル建終身保険の新契約件数は8468件で、前年度の3.2万件から急減しました。その一方で米ドル建終身保険の新契約件数は1.6万件で、前年度の1.0万件から50%増しました。直近では一時払いできる50代以上からの評判が良く、30~40代からの評判は落ちたのかもしれません。

また、生命保険協会の苦情数のデータでは、ソニー生命全体に寄せられた苦情数は11821件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の408万人で割った苦情率は0.26%で、1000人のうち2.6人が苦情を出した計算です。他社では1%が多いため苦情率で考えると評判に不安があります。苦情の内訳では、解約手続き・給付金支払手続き・アフターサービスに関する苦情が多く、職員の態度・口座振替についても苦情が多めです。

その一方で、調査会社のJ.D.パワーの「2023年 生命保険契約満足度調査(保険会社営業職員チャネル)」では、ソニー生命は12社中3位と上位です。手続き・顧客対応・商品提供・保険料の項目で高い評価だったと考えられます。保険金を請求する際の満足度を示す「2023年 生命保険金請求対応満足度調査」でも26社中3位と上位です。

JDパワー 2023年生命保険契約満足度調査 保険会社営業職員チャネル(出典:JDパワー公式HP) JDパワー 2023年生命保険金請求対応満足度調査(出典:JDパワー公式HP)

「オリコン顧客満足度 生命保険ランキング2024」でも、ソニー生命は29社中2位と上位です。調査項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローですが、保険料は4位と順位を下げていますが、苦情が多かったアフターフォローでは1位の評価を得ています。苦情と反する結果のため職員によって差があるのかもしれません。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「プランが少ない」「説明が分かりにくく、勝手に手続きが進む」「保険料が高い」「保障がイマイチ」等の意見がありました。何かに固まっているというより、満遍なくネガティブな意見もあるようです。

さらにオリコンが金融専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)を調査対象にした「外貨建て保険ランキング2021」では、ソニー生命の米ドル建終身保険は12の保険の中で8位と中位でした。2019年にはトップ5に入っていましたが、2022年以降はランキング外となっており存在感が薄い保険となっています。

外貨建て保険ランキング2021(出典:オリコン公式HP「2021年 FPが選んだ オリコン外貨建て保険ランキング」)

以上のデータから考えると、ソニー生命の評判も米ドル建終身保険の評判も良さそうです。ソニー生命の評判は各種の大規模調査から明白ですが、ネガティブな意見が無いわけではなく担当者によって当たりハズレがありそうです。米ドル建終身保険については、月払いの保険の契約数が落ちFPからの評価も低いのが気がかりです。一時期よりは他社の保険に人気が流れているのは間違いないでしょう。

総合評価・おすすめか?

結論としては、ソニー生命の米ドル建終身保険は悪くない保険です。利率面では物足りなさがありますが、評判面でのプラスがあります。メリット・デメリットも外貨建て保険全般に言える内容で、この保険だけにあるデメリットも見受けられません。

その一方で、どうせなら積立利率が最高の保険を求めるならメットライフ・ニッセイウェルスあたりの保険が検討候補となります。保障内容に自由度があり利率も高めを望むなら、第一フロンティア生命の外貨建て終身保険が候補になりそうです。