オリックス生命 Brightを比較・評価

オリックス生命 ブライト(Bright)
オススメ度:
3
保険会社:
オリックス生命
名称:
ブライト
加入年齢:
15~64歳
保障内容:
死亡・三大疾病・介護
通貨:
米ドル
保険料:
月払い

Bright(ブライト)はオリックス生命が2023年から販売を開始した外貨建て保険です。以前に販売していたキャンドル・ワイドの充実保障プランをリニューアルした保険のため、完全に新しい保険ではありません。この保険以外にオリックス生命には「Candle(キャンドル)」と「US RISE(ユーエス・ライズ)」もあります。

それでは以下で保障内容・積立利率・メリット・デメリット・評判等を解説し、他社の外貨建て終身保険と比較していきます。

保障内容

この保険は毎月支払った保険料が米ドルで運用され、諸条件に該当すると保険金が受け取れます。毎月の保険料の額は外貨換算では一定ですが、日本円で支払うため円換算では金額は変動します。保険料が140ドルだとすると、1ドル=100円の月は14000円ですが、1ドル=150円の月は21000円となります。

ブライトの保障内容と仕組み(出典:オリックス生命「米ドル建終身保険 ブライト商品パンフレット」2023年11月作成)

保険金を受け取れる条件は主契約部分と特約部分で異なります。主契約では死亡・高度障害で保険金が受け取れ、特約では死亡・高度障害に加えて特定疾病・特定障害・介護状態でも保険金が受け取れます。特定疾病は悪性新生物(がん)・急性心筋梗塞・脳卒中の三大疾病を指します。特定障害は高度障害よりも等級が低い身体障害手帳1~3級を指し、介護状態は要介護2以上を指します。

主契約と特約は各々独立しているため保険金を2回受け取ることもあります。例えば三大疾病になると特約分の保険金が受け取れ特約は消滅しますが、主契約は残ります。三大疾病になって復帰して高齢になってから死亡すると、死亡時に主契約の死亡保険金が受け取れます。保険金が1回となるのは脳卒中になった当日に死亡、逆に三大疾病にも介護状態にもならずに死亡した場合となります。

解約時に受け取れる解約返戻金は、保険料払込期間中は通常よりも小額になります。通常は支払った保険料総額の80~90%が解約返戻金となりますが、この保険では保険料を支払い終えるまで60~80%程度に抑制されます。その代わりに保険料払込期間が終了すると、解約返戻金の金額は一段と増加します。

ブライトの解約返戻率(出典:オリックス生命「米ドル建終身保険 ブライト商品パンフレット」2023年11月作成)

30歳男性が契約して毎月140.55ドルを65歳まで支払うと、合計59031ドルの保険料を支払います。それに対して解約返戻金は68606ドルとなるため解約返戻率は116%(女性は114%)となります。解約返戻金は保険料払込期間後も積立利率に応じて増加するため、75歳時には返戻率134.1%、85歳時には150.7%に上昇します。

以上の基本保障とは別に特定疾病障害介護保険料払込免除特則が付けられます。この特則を付けると三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)か障害状態か要介護状態になると、それ以後の保険料の支払いが免除されます。そのため保険料払込期間中に三大疾病になると、以後の保険料が免除され特約分の保険金も受け取れます。ただし、特約分だけ保険料は割高になります。

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積立利率の推移・他社との比較

この保険の基準利率は2024年現在は3.0%となっています。ただし、現在は運用の主となる米国債の金利が高いため、月によっては3%中盤になる可能性があります。ちなみにオリックス生命が買収した旧ハートフォード生命の保険を、現在も契約したままなら積立利率は2.5~4.8%(積立利率保証期間によって異なる)となっています。

次に予定利率は他社より高いのか低いのか、下図で他社の外貨建て終身保険と一覧表で比較しました。米ドルと豪ドルで比較し、併せて積立利率が固定される期間と固定後についても記載しました。

外貨建て終身保険の積立利率(基準利率・予定利率)の比較一覧表(日本生命・第一フロンティア生命・メットライフ生命・三井住友海上プライマリー生命・ニッセイウェルス生命・大樹生命・明治安田生命・ソニー生命・マニュライフ生命・ジブラルタ生命・プルデンシャル生命・PGF生命・TDフィナンシャル生命・オリックス生命・住友生命)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この保険の利率は他社と比較して低く、米ドルで平均の3.8%を下回っています。もちろん三大疾病や介護保障がある分だけ見劣りするともいえますが、同じような保障がある大樹生命よりも高いもののPGF生命よりも低いです。一概に保障が厚い分だけ利率が低いとはいえません。

メリット

この保険のメリットは、まずは契約時から多額の死亡保険金がある点が挙げられます。保険料払込中は保険金額が低い保険と異なり、保険料払込期間中に死亡すると返戻率は数百%になります。返戻率は外貨換算のため円高なら下がりますが、多少の円高には耐えられます。30歳・保険金額10万ドル・保険料払込期間35年だと、4.6万ドルを支払って10万ドルを受け取れます。保険料の平均値が1ドル=140円で保険金受け取り時が80円でも150万円のプラスです。

低解約返戻金期間があり解約返戻金でも利益が出せる点もメリットです。解約返戻金は子供の学費にも老後の生活資金にも使えます。主契約の死亡保障を残して特約を解約すれば、特約分の解約返戻金だけ受け取れます。30歳・保険金額10万ドル・保険料払込期間15年で契約すると、18年後の特約分の解約返戻金は21679ドル(1ドル=140円なら303万円)になります。残りの5万ドルの死亡保険金は残すか時期を見て解約できます。

保険金受け取りのシミュレーション(出典:オリックス生命「米ドル建終身保険 ブライト商品パンフレット」2023年11月作成)

もちろん特約の三大疾病・障害状態・介護状態で保険金が受け取れる点もメリットです。特に現役世代なら三大疾病の保障は治療費に加えて、年収減になった場合の備えになります。老後の人は三大疾病の保障は治療費や長期入院の備えになり、介護の保障は介護施設の入所費用や月額費用に充てられます。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは解約返戻金が保険料総額を下回る可能性が挙げられます。死亡保険金ほど解約返戻金には円高への耐性がありません。30歳契約(65歳満了)で保険金額10万ドルにすると、支払う保険料総額は4.6万ドルになります。保険料累計額の平均レートが140円で保険料払込完了時が100円だと、4.6万ドルを支払って6.1万ドルの受け取りになります。644万円を支払って610万円の受け取りとなり損失が出る計算です。

その点を考慮すると、この保険の解約返戻金が子供の学費・老後資金に使えるかは疑問符が付きます。子供の学費が目的なら円高でも解約せざるを得ません。老後資金目的なら円安を待つにしても老後計画には修正が必要です。さらに主契約を解約して特約だけ残すことはできないため、三大疾病・介護状態に不安があっても解約返戻金を得るには解約するしかありません。

また、保険料払込が完了する前の解約返戻金は、一段と損失が出る点に注意が必要です。30歳契約(65歳満了)だと15年が経過しても返戻率は66.2%、25年が経過しても返戻率は73.3%です。実際には解約時には諸費用として解約控除が差し引かれるため、一段と低い返戻率になってしまします。

ブライトの解約返戻率(出典:オリックス生命「米ドル建終身保険 ブライト商品パンフレット」2023年11月作成)

特約の保障にも注意が必要です。三大疾病の保障ではがんでも上皮内新生物は対象外で、介護状態は要介護2以上となっています。他社では要介護1以上で介護保険金が受け取れる保険があり、要介護状態ではなく認知症と診断確定されると保険金が受け取れる保険もあります。

評判・苦情

オリックス生命の2022年度(2022年4月~2023年3月)の決算資料によると、個人保険全体の新契約件数は27.6万件で前年度の33.1万件から17%減でした。この保険を含む死亡保障の保険の保有契約高も微減し伸び悩んでいます。他社では新契約件数が増加しているケースがあるため契約数等からすると評判は少し悪そうです。

オリックス生命の契約状況・新契約について(出典:オリックス生命 ディスクロージャー誌「オリックス生命の現状2023」)

さらに生命保険協会の苦情数のデータでは、オリックス生命全体に寄せられた苦情数は16411件(2023年度上半期実績)でした。総顧客数の495万人で割った苦情率は0.3%で、1000人のうち3人が苦情を出した計算です。他社では0.1~0.2%が多いため苦情率で考えても評判は良くありません。苦情の内訳では保険金関係の苦情が全体の46.4%を占め、その中でも入院等給付金に関する苦情が突出して多いです。死亡保険金についても相応の苦情があります。

調査会社のJ.D.パワーの「2023年 生命保険契約満足度調査(ダイレクトチャネル)」でも、オリックス生命は7社中4位で平均値を下回っています。手続き・顧客対応・商品提供・保険料の項目で普通以下の評価だったと考えられます。保険金を請求する際の満足度を示す「2023年 生命保険金請求対応満足度調査」では26社中23位に悪化していました。苦情面でも明らかなように給付金・保険金関係で不安がありそうです。

JDパワー 2023年生命保険契約満足度調査 ダイレクトチャネル(出典:JDパワー公式HP) JDパワー 2023年生命保険金請求対応満足度調査(出典:JDパワー公式HP)

「オリコン顧客満足度 生命保険ランキング2024」でも、オリックス生命は29社中17位と下位です。調査項目は加入手続き・商品内容・保険料・アフターフォローですが、加入手続きだけ9位まで順位を上げていました。それ以外は10位以下で平均値も下回るため満足度は低いようです。

個別の口コミではポジティブな意見がある一方で、「契約者向けの付帯サービスが乏しい」「保険料のわりに保険金が小さい」「保障内容にバリュエーションがない」等の意見がありました。保険そのものへの不満があり、ラインナップにも問題がありそうです。

以上のデータから考えるとオリックス生命の評判は悪そうで、ブライトの評判も良くはなさそうです。オリックス生命自体の評判は、各種調査で顧客満足度が低いため間違いないでしょう。ブライトの評判は契約数からの推測のため、データ不足感があります。販売開始から1年しか経過していないため、これから契約数が伸びていく可能性もあります。

総合評価・おすすめか?

結論としては、ブライトは悪くない保険です。オリックス生命の評判には不安があるものの、この保険自体は死亡保険金を目的とするなら返戻率が高く円高への耐性も相当にあるからです。その一方で解約返戻金を学費・老後資金に充てたい場合は、円高を見越して代替案も用意しておいた方が賢明でしょう。

この保険以外で積立利率を重視するならメットライフ・ニッセイウェルスあたりの保険が検討候補となります。保障内容に自由度があり利率も高めを望むなら、第一フロンティア生命の外貨建て終身保険が候補になりそうです。