チューリッヒ スーパー自動車保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- チューリッヒ保険
- 名称:
- スーパー自動車保険
- 免許の色:
- 割引あり
- 走行距離:
- 割引あり
- オリコン:
- 7位 / 16社中
- 特徴:
- 業界最高レベルのロードサービス
チューリッヒにはスーパー自動車保険とネット専用自動車保険があります。ネット専用が補償を削り保険料を極限まで安くしているのに対して、スーパー自動車保険は保険料を抑えつつも補償が一通り揃ったオーソドックスな自動車保険となっています。
後述するように20~30%ほど保険料はネット専用よりも高くなりますが、クレジットカードの分割払いを選択できたりネット専用では付加できない補償があったりします。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し他社の自動車保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険では対人賠償・対物賠償・人身傷害・無保険車傷害特約等が自動付帯(自動セット)となります。ネット専用とは異なり人身傷害保険とは別に人身傷害定額払保険も自動セットとなります。人身傷害が治療費等の実費を補償するのに対して、人身傷害定額払保険は契約時に定めた死亡保険金・医療保険金を受け取れます。他の車両保険等の補償・特約は付加するか自分で選べます。
人身傷害定額払保険の他に、ファミリーケア特別見舞金特約・車内身の回り品特約・代車提供特約・傷害特約もネット専用には無くスーパー自動車保険なら付加できます。ファミリーケア特別見舞金特約は人身傷害保険で死亡保険金等が受け取れる場合に、親族に見舞金100万円が支払われます。人身傷害保険を補完する特約と考えて良いでしょう。
車内身の回り品は事故で車内にあったPCやゴルフクラブが壊れた場合に補償を受けられます。盗難も対象のため車上荒らしに遭っても補償が受けられます。代車提供特約は事故で代車が必要となった場合に費用を補償してくれます。傷害特約は日常生活(自動車に乗っていない時)でケガをした場合に入院保険金・手術保険金等が受け取れます。階段から落ちたり、スポーツ中にケガをした場合も補償されます。
ちなみに2022年に人身傷害定額払保険が新設された代わりに、搭乗者傷害保険が廃止されました。事故による入院・通院は人身傷害定額払保険でカバーされます。また、キャンピングカーが対象でも加入できるようになり、同姓パートナーも配偶者に含まれるように改定されました。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は年齢・免許証の色・年間走行距離・使用目的で計算され、さらにインターネット割引や証券不発行割引等があります。特に新車割引は2022年から軽自動車が対象となり、初度登録年月が25ヶ月以内から49ヶ月以内に拡大されました。3~4年前に登録申請した自動車でも新車割引が受けられます。
それでは具体的に保険料は何円で他社より安いのか否か確認していきます。まず初めて自動車保険に加入するケースですが、保険料はノンフリート等級が6等級で計算されます。6等級からスタートして無事故なら等級が上昇して保険料が下落します。6等級・トヨタのヤリス・人身傷害3000万円・車両保険なし・走行距離9000キロ未満等の同条件で、23歳のみブルー免許で30歳・40歳はゴールド免許でシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
チューリッヒのスーパー自動車保険の年間保険料は、30歳・40歳なら他社よりも相対的に安めです。同じチューリッヒのネット専用やアクサダイレクトには及びませんが、他の保険料の安さを主張しているSBI損保等よりも安くなっています。ただ、23歳(ブルー免許)だと状況が異なり、保険料は他社よりも相対的に高いです。特に東京海上・損保ジャパンといった代理店系よりも高い点は見逃せません。
次に他社の自動車保険から乗り換える場合ですが、初めて加入する場合と異なり乗り換え前のノンフリート等級が引き継がれます。30歳は23歳の新社会人から無事故だと仮定して13等級、40歳・50歳は最も高い20等級で保険料を比較しました。車種はトヨタヤリスで免許証の色は全てゴールドでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
この場合のチューリッヒの保険料を他社と比べると、安くも高くもない水準になっていました。SBI損保・三井ダイレクトといった競合よりも3~4000円ほど高めです。とはいえ東京海上等の代理店系の自動車保険よりは、どの年齢層でも安くなりました。
以上を踏まえると、保険料は初めて自動車保険に加入する30~40代の人には安いといえます。その一方で初めて加入する20代、30~50代で乗り換えを検討している人には保険料面ではイマイチです。特に乗り換えを検討中の人はネット専用の方が保険料面で有利な点を感じるでしょう。
メリット
この保険のメリットは、まずは初加入の30~40代だと保険料が他社より安い点が挙げられます。特に30代は子供が生まれて自動車が必要になる人も多く、保険料も可能な限り抑えられるのは大きいでしょう。さらに年間走行距離を3000キロ未満が選択できるため、週末の利用だけか子供の送迎に使う程度なら保険料が一段と安くなります。
また、ネット専用とは異なりクレジットカードでの分割・リボ払い、銀行振替での分割払いも可能です。自動車を購入したばかりで手元資金に不安がある人、新居関連で費用が膨らんでいる(膨らむ可能性がある)人には助かるでしょう。
ロードサービスが充実しているのもメリットです。他社ではオプション(別料金)となるサービスが無料で付帯しています。事故後の帰宅ないしは目的地までの費用を補償する帰宅費用サポート、事故当日のホテル宿泊費を補償するホテル代サポート、ペットホテルの延長費等を補償するペットケアサポート等が挙げられます。
さらに他社には無いことが多いキャンセル費用サポートが付いています。旅行に行く途中で事故に遭遇すると、予定してた宿泊施設をキャンセルすることもあります。当日キャンセルとなり宿泊費は戻ってきませんが、この特約により5万円までは自動車保険で補償されます。
ちなみに補償内容の箇所で既述したキャンピングカーでも契約可、同姓パートナーも配偶者に含まれる点もメリットです。同姓パートナーが配偶者扱いとなれば、自動車保険の一本化が可能となり保険料の節約が可能となります。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは保険料が乗り換えだと大して安くない点が挙げられます。ネット専用より高いのは当然かもしれませんが、チューリッヒより安い保険会社が5社以上あるのは頂けません。ロードサービス分だと考えられますが、後述するようにロードサービスの評判は良くはありません。
さらに23歳(ブルー免許)で保険料が他社より高い点もデメリットです。20代でなくとも事故次第でゴールド免許からブルー免許になります。この保険はブルー免許とゴールド免許との差額が他社よりも大きいため、事故後に保険料が大幅上昇する可能性があります。どの自動車保険でもゴールドからブルーになれば保険料が上昇しますが、他社よりも大きな値幅で保険料が上昇するはずです。
また、いくつかの特約を記述してきましたが、どれもチューリッヒだけにある特約ではありません。一通り揃っているというだけで、「これは!」というものはありません。さらに他社では通報・連絡機能を備えたドライブレコーダーや、衝撃検知センサーとアプリの連動等をしています。この保険ではITによる事故対応のスピード化はされていません。
評判・苦情
チューリッヒ保険の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の421億円から447億円に6%ほど増加していました。自動車保険も188億円から198億円に5%ほど増加し堅調です。他社も5~6%ほど伸びているケースが多いため、契約数からすると評判は悪くありません。
次に1.3万人を調査対象としたオリコンの自動車保険 総合ランキング2022ですが、チューリッヒは16社中で7位と中位にあります。この調査では加入更新手続き・商品内容・保険料等が評価項目にありますが、評価が高めなのは商品内容(6位)と保険料(5位)だけで、その他の項目は平均点以下で10位未満の順位です。
サービス内容が良さそうだったロードサービスも10位以下で低評価です。これは見かけのサービス内容は良さそうでも、実際に故障した場合の現地対応では利用者からは不満が出ている可能性が高いです。事故対応・調査と認定結果・保険金と支払スピードも低評価で、事故時と事故後の諸々の対応に不安があります。
さらに第三者機関で調査会社のJ.D.パワーの「2021年 自動車保険契約満足度調査(ダイレクト系保険会社)」では、チューリッヒは8社中で8位で最下位で顧客満足度は最悪です。事故対応満足度調査では12社中で7位で順位を上げますが、業界平均以下のため満足度は低いと言わざるを得ません。
以上のデータから考えると、チューリッヒ保険の評判は総合的には悪そうです。評判が良いのは保険料だけで、他の点については評判面からは不安が残る結果でした。契約するまでに見えてくる保険料・商品内容は良さげでも、実際の契約後の更新手続き・事故対応・ロードサービスはイマイチなようです。特にJDパワーの調査ではチューリッヒよりも保険料が安いアクサ・SBI損保・セコム損保よりも総合の顧客満足度が低く、これなら保険料が安く評判がチューリッヒよりもマシな方にするという考え方もできます。
総合評価・おすすめか?
結論としては、チューリッヒのスーパー自動車保険はイマイチな保険です。評価できるのは保険料ぐらいで、その保険料も年齢や条件次第でアクサやセコム等に負けるケースがあります。商品内容(補償内容)も評判ほど評価できる中身はありません。
この保険を検討している人は他社の保険も検討した方が賢明です。同じチューリッヒでも保険料の安さを突き詰められるネット専用自動車保険、それを越える安さになるセコム損保もあります。保険料は高いものの顧客満足度の高いソニー損保、保険料は安めでバランスの良いセゾン自動車火災(おとなの自動車保険)もあります。保険料度外視なら最大手で顧客満足度も高めの東京海上のトータルアシストも検討しても良いかもしれません。