損保ジャパン THEクルマの保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- 損害保険ジャパン
- 名称:
- THEクルマの保険
- 免許の色:
- 割引あり
- 走行距離:
- 割引なし
- オリコン:
- 8位 / 16社中
- 特徴:
- 先進のサービス
損保ジャパンは3メガ損保の1社で、自動車保険の正味収入保険料でも約1兆円を誇ります。トップは東京海上ですが、その差は数百億円で僅差にあります。日本の自動車保険のシェアは4兆円のため、2社で自動車保険の50%のシェアを占めています。事故が起きれば相手方は2社のどちらかであることが多いといえます。
大きなシェアを占めているとはいえ、それだけで良い保険とはいえません。以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し他社の自動車保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険では対人賠償・対物賠償・無保険者傷害・被害者救済費用特約が自動付帯(自動セット)となり、さらに人身傷害保険も自動セットとなります。その他の車両保険・弁護士費用特約・代車費用補償特約などは任意で付加できます。
自動セットとなる人身傷害には、2022年から人身傷害交通乗用具事故特約が付加できるようになりました。以前の人身傷害車外事故特約では、あくまで自動車事故に限られていました。自動車から降りた時に自動車に轢かれた、歩行中に自動車に轢かれたといった具合です。
それが交通乗用具になったことで自転車で転倒してケガしたり、歩行中に自転車に衝突されてケガをした場合も人身傷害保険で補償されます。自転車事故でいえば個人賠償責任補償は加害者となった場合ですが、被害者となった場合に人身傷害でカバーできます。交通乗用具には自転車の他に車椅子・ベビーカー・電車・エスカレーターが含まれ、これらで何かしらケガをした場合に補償されます。
また、損保ジャパンは他社に先駆けてドライブレコーダーの貸与を始めましたが、そのドラレコがバージョンアップしています。従来から変わらず走行データのリアルタイム転送、安全運転力の測定による保険料割引、安全運転サポート機能があります。
さらに、損保ジャパン・ALSOKかけつけサービスへの自動で事故連絡し、事前に登録しておけば保険代理店や家族へも自動で通知されます。事故の映像もドラレコとwifi接続すれば自分のスマホから確認でき、小さい画面で見たり内臓SDカードをどうこうする必要はありません。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は年齢・免許証の色・使用目的で計算されます。年間走行距離は無関係のため、年間走行距離が5000キロの人より10000~15000キロの人の方が保険料にお得感があります。この点についてはメリットの箇所で後述します。
基本情報で算出された保険料に新車割引・ASV割引(自動ブレーキ割引)・走行特性割引等が勘案されます。走行特性割引はドラレコで記録される運転特性スコアが80点以上だと、保険料が5%割引されます。ドラレコを付けると特約保険料で年間9720円(月850円)が必要になります。
それでは具体的に保険料は何円で他社より安いのか否か確認していきます。まず初めて自動車保険に加入するケースですが、保険料はノンフリート等級が6等級で計算されます。6等級からスタートして無事故なら等級が上昇して保険料が下落します。6等級・トヨタのヤリス・人身傷害3000万円・車両保険なし・走行距離9000キロ未満等の同条件で、23歳のみブルー免許で30歳・40歳はゴールド免許でシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
損保ジャパンの自動車保険の年間保険料は、他社と比較して高い部類に入ります。30歳・40歳では最安値圏の保険と比べて2倍以上の保険料です。同じ代理店型の自動車保険の中で比較しても、40歳なら安めですが、23歳・30歳だと東京海上よりも保険料は高くなっています。
次に他社の自動車保険から乗り換える場合ですが、初めて加入する場合と異なり乗り換え前のノンフリート等級が引き継がれます。30歳は23歳の新社会人から無事故だと仮定して13等級、40歳・50歳は最も高い20等級で保険料を比較しました。車種はトヨタヤリスで免許証の色は全てゴールドでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
この場合の損保ジャパンの保険料を他社と比べると、初めて加入する場合と同様に保険料は相対的に高いのが分かります。同じ代理店型の中では30・40・50歳のいずれでも最安ですが、ダイレクト型(通販型)とは比較にならないほどの差額があります。
以上を踏まえると、初めて自動車保険に加入する人にも乗り換えする人にも保険料が高い保険といえます。乗り換えの場合は代理店型の中では安いため、ダイレクト型ではなく代理店型を希望するなら損保ジャパンは検討候補になります。そうでなければ高い保険料に見合うメリット等がないと、保険料面からは厳しい保険といえるでしょう。
メリット
この保険のメリットは走行距離による割引が無く、長距離を走行する人に有利な点が挙げられます。走行距離9000キロで損保ジャパンとソニー損保の保険料の差額は10000円でしたが、走行距離を16000キロ未満にすると差額は2000円に縮まります。また、年間走行距離が予定を超えるか気にする必要もありません。走行距離で割引される自動車保険は、走行距離が予定を超えると手続きや差額の支払いが必要になります。
各補償が充実している点もメリットです。特にドラレコはバージョンアップが繰り返されており、単なる衝突検知・事故連絡・事故映像の録画に留まらず、事故の可視化とAIによるデータ分析が行われます。事故時の位置情報・ハンドル角・ブレーキ操作の有無・速度等々から事故状況を再現されます。さらに走行データから運転特性で80点以上なら保険料が5%割引されます。
ちなみに2022年からは人身傷害で自転車・電車等によるケガが補償される他、いくつか補償の拡大がされています。車両保険で車対車事故限定危険特約を付加しても、当て逃げ・動物との衝突も補償の対象となります。代車費用特約ではレンタカー以外の代替移動手段の費用が自然災害以外(運転が恐怖等)でも認められました。着実に補償が改善されているのもメリットかもしれません。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは保険料が高い点が挙げられます。走行距離が長い人には割安感はありますが、最安値圏にある保険よりは高いです。例えば30歳・初加入・走行距離15000~20000キロでも、アクサダイレクトなら保険料は23000円程度です。損保ジャパンの42000円より2万ほど安い保険になります。
また、補償内容が充実し年々改善もされているとはいえ、それが保険料に見合うっているかは疑問符が付きます。補償を据え置きにすれば保険料は一段と安くなる可能性もあり、毎年のように実施している保険料水準の引き下げ幅も大きくなるともいえます。うがった見方をすれば保険料収入を維持するためとも考えられます。
ドライブレコーダーもバージョンアップしましたが、追加で年9720円の特約保険料が必要です。安全運転すれば保険料が5%割引されますが、5%割引で特約保険料分をカバーするには保険料が19.4万円である必要があります。ドラレコの機能に魅力を感じたとしても、果たして費用に見合うのか考える必要があります。
評判・苦情
損保ジャパンの2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の2.14兆円から2.15兆円に0.8%ほど増加していました。ただ、その中の自動車保険は1.089兆円から1.087兆円に0.2%ほど減少しています。多くの他社が増加しているため、契約状況からすると評判は微妙です。
次に日本損害保険協会の苦情数のデータですが、損保ジャパン全体に寄せられた苦情数は3.4万件(2020年度累計)です。同程度の業績である東京海上の3.8万件より少なめですが、特別に少ない数ではありません。直近の四半期の苦情では、8987件のうち保険金に関する苦情が45%と最も高い比率を占めていました。他社も保険金に関する苦情が多いため苦情面からすると評判は普通です。
次に1.3万人を調査対象としたオリコンの自動車保険 総合ランキング2022ですが、損保ジャパンは16社中8位と中位にあります。8位と微妙な順位ですが、事故対応・調査と認定結果は4位で高評価です。さらに受取額と支払スピード・ロードサービスでは3位と総合順位よりも高くトップ3に入る評価を受けています。
その一方で、加入更新手続きと商品内容への評価は低いです。加入更新手続きは代理店次第の面もありますが、平均点以下のため手続きにストレスが溜まる可能性があります。さらに保険料は10位以下と低評価で、前述の他社との比較でも高かったのと辻褄が合います。
調査会社のJ.D.パワーの「2021年 自動車保険契約満足度調査(代理店系保険会社)」では、損保ジャパンは8社中6位と下位です。ただ、代理店型の平均点は上回っているため一概に顧客満足度は低いとはいえません。現に事故対応満足度調査では12社中2位と非常に高い満足度を得ています。事故対応満足度についてはオリコンと同様のため、信憑性が高まる結果といえるでしょう。
以上のデータから考えると、損保ジャパンの評判は総合的には普通そうです。ただ、事故対応については評判が良く、保険金の受取額・支払スピードも評判は良く安心感があります。さすがに大手だけあって過去の事例から知見があり、事故担当者のスキル上昇にも注力しているのでしょう。その反面、保険料・商品内容についての評判は良いとはいえず、特に保険料が高いのは契約者からも不満が募っているようです。
総合評価・おすすめか?
結論としては、損保ジャパンの自動車保険は悪くない保険です。保険料こそ高いのですが、長距離のドライブをする人や事故対応の良さを求める人には適した保険だからです。最新のドラレコ等の活用が進めば、一段と事故対応等に磨きがかかる可能性もありそうです。
その一方で保険料が高いのも事実です。そのため保険料の安さを突き詰めるならチューリッヒ・セコム損保が候補になります。保険料は高いものの顧客満足度の高いソニー損保、保険料は安めでバランスの良いセゾン自動車火災(おとなの自動車保険)も検討しても良いかもしれません。