ソニー損保 安全運転キャッシュバックを比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- ソニー損害保険
- 名称:
- 安全運転でキャッシュバックプラン
- 免許の色:
- 割引あり
- 走行距離:
- 割引あり
- オリコン:
- 1位 / 16社中
- 特徴:
- 安心を、もっと安く
ソニー損保は従来型の自動車保険に加えて、安全運転でキャッシュバックプランも募集・販売しています。GOOD DRIVEという名称で2020年3月から販売を開始したプランですが、現在は分かりやすいように安全運転でキャッシュバックプランという名称になりました。
現在はGOOD DRIVEという名称は、車のソケットに入れて安全運転を計測するGOOD DRIVEデバイスと、スマホのアプリの名称として残っています。それでは以下で安全運転でキャッシュバックプランの補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し他社の自動車保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険では対人賠償・対物賠償・人身傷害等が自動付帯(自動セット)となり、搭乗者傷害・車両保険・弁護士特約・個人賠償特約・おりても特約等は付加するか自分で決めます。基本的には従来型の自動車保険と同じですが、安全運転プランだと「やさしい運転特約」も自動セットとなります。
やさしい運転特約は「やさしい運転計測特約」「対人諸費用特約」「人傷介護追加払特約」をパッケージにした特約です。やさしい運転計測特約は、運転状況を計測して結果に応じて保険料の一部がキャッシュバックされるという内容で、この保険の根幹を成す特約です。
残りの2つはオマケのようなもので、対人諸費用特約は自分が対人事故を起こした場合に相手方へ支払うお見舞い金や弔慰金を補償してくれます。人傷介護追加払特約は事故で要介護状態となった場合に人身傷害保険に加えて介護費用分が追加されます。
同じくソニー損保でしか見ない特約には「おりても特約」があります。この特約を付加すると、車での旅先で車を降りている間のケガと身の回り品が補償されます。落として壊したカメラが補償されたり、キャンプで火起こし中に火傷を負う等の自分の不注意によるケガでも補償されます。
また、人身傷害は車内のみ補償型と車内+車外補償型に分かれ、後者なら車外でのケガ(自分が歩行中での自動車事故)も補償されます。弁護士特約も自動車事故のみと自動車事故+日常事故に分かれ、後者なら保険会社が示談交渉できない「もらい事故」に加えて歩行中の事故で被害者となっても弁護士に依頼できます。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は年齢・免許証の色・使用目的・年間走行距離で計算され、新車割引・ASV割引(自動ブレーキ割引)・無事故割引が適用されれば保険料は下がります。さらに安全運転スコアに応じて保険料が割引されます。運転スコアが60点台なら5%、70点台なら10%、80点台なら20%、90点以上なら30%のキャッシュバックがあります。
注意すべきはキャッシュバック率が適用されるのは保険料のリスクに応じた部分に限られている点です。上図では保険料にキャッシュバック率を掛けると綺麗にキャッシュバック額になりますが、それは基本補償と車両保険だけで契約したケースだからです。特約を付加していくと特約分にはキャッシュバックは適用されないため、綺麗に一致せずズレた金額になります。
それでは具体的に保険料は何円で他社より安いのか否か確認していきます。まず初めて自動車保険に加入するケースですが、保険料はノンフリート等級が6等級で計算されます。6等級からスタートして無事故なら等級が上昇して保険料が下落します。6等級・トヨタのヤリス・人身傷害3000万円・車両保険なし・走行距離9000キロ未満等の同条件で、23歳のみブルー免許で30歳・40歳はゴールド免許でシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
安全運転でキャッシュバックの年間の保険料は、どの年齢層でも他社と比べて中間か少し高い部類に入ります。ただ、23歳のケースだと安全運転スコアで90点以上を取れば約2万円のキャッシュバックがあります。90点以上で2年目を迎えればSBI損保に次いで安い保険料になります。30・40歳でも90点を取ればキャッシュバック額は約1万円のため、トップ5に入る安さになります。
次に他社の自動車保険から乗り換える場合ですが、この場合は乗り換え前のノンフリート等級が引き継がれます。30歳は23歳の新社会人から無事故だと仮定して13等級、40歳・50歳は最も高い20等級で保険料を比較しました。車種はトヨタヤリスで免許証の色は全てゴールドでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
この場合のソニー損保の保険料を他社と比べると、基本は他社よりも高めの保険料です。それが30歳で90点以上ならチューリッヒ・SBI・セコムに次いで安い保険料となります。40・50歳だとトップ3に迫る安さにはならず、最安値圏の保険料とは未だ3~4000円ほどの小さくない差があります。
以上を踏まえると、保険料は安全運転スコアで90点を取る前提なら安いといえます。特に初めて加入する23歳(6等級・ブルー)の人は安全運転による恩恵は大きそうです。また、乗り換えを検討している人でも、20等級で大きく保険料が下がる他社の保険に対して、20等級前でもキャッシュバックで保険料が安くなるのは大きなポイントでしょう。
メリット
この保険のメリットは、まずは安全運転で最大30%のキャッシュバックがある点です。他社ではポイント付与(ポイントでコンビニのコーヒー等と引き換え)だったり、保険料が割引されても割引幅はソニー損保より小さいです。同じ安全運転をするならソニー損保の方がメリット大といえます。
さらに「こえても安心サービス」と「くりこし割引」もメリットに挙げられます。他社だと年間走行距離が予定を超過すると手続き・差額の支払いが必要ですが、ソニー損保なら「こえても安心サービス」により2年目以降は超過しても手続き・差額の支払いが不要です。その逆に、くりこし割引は逆に年間走行距離が予定より1000キロ以上短かった場合に割引されます。
補償面では対人諸費用特約・人傷介護追加特約があるのもメリットでしょう。なかなか出番が来るとは考えにくい特約ではありますが、あっても邪魔になる特約ではありません。さらに人身傷害・弁護士特約等で細かい設定が可能で、補償範囲を広くも狭くもできるのもメリットです。
もちろん安全運転プランで貸与される専用デバイスにより、キャッシュバックだけではなく緊急ボタンによるソニー損保への緊急連絡ができるのもメリットです。これによりスムーズな事故対応が期待できます。アクセサリーソケットで充電される他、USBポートでスマホの充電ができるのも地味に良い点です。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、まずは基本は保険料が高い点が挙げられます。あくまで保険料が安くなるのは運転スコアが90点以上の場合で、90点未満なら他社よりも高い保険料となります。スコアを上げるには急ブレーキ・急ハンドル・急アクセル(+運転中のスマホ操作)といった減点操作を減らす必要があります。
しかし、事故を回避するための急ブレーキは不可避です。普段の運転に自信がある人でも、茂みの中から急に動物が飛び出してくれば急ブレーキか急ハンドルは避けられないでしょう。一応、1年間の運転状況によりスコアが決まるようですが、1回の減点操作を何回の加点操作で挽回できるか不透明だと契約する側からすると不安があるでしょう。
さらに2023年1月からノンフリート等級の割引が改定され、等級が5以下の人の保険料が割増となりました。6~16以上の等級の人でも事故ありなら保険料が4~6%ほど割増となりました。2023年1月からは17~20等級の人以外は事故を起こすと、それまでよりも翌年の保険料が上昇します。
ただでさえ高いベースの保険料が事故により一段と上昇し、事故時に急ブレーキ等をしていれば運転スコアも当然ながら下がるでしょう。そうなれば1回の事故により保険料面では2回分のダメージを負うことになります。
また、「こえても安心サービス」は契約2年目こそ差額の支払いが必要になりますが、契約1年目は差額の支払いが必要になります。最も年間走行距離を見誤るとすれば初めて自動車保険に加入する1年目の人と考えると、果たして大きなメリットといえるかは疑問符が付きます。
評判・苦情
ソニー損保の2021年度の決算資料によると、2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の1296億円から1395億円に7%ほど増加していました。その中で自動車保険は1159億円から1239億円に7%ほど増加し好調です。他社は5~6%ほど増加しているため、契約数からすると評判は良いです。
次に日本損害保険協会の苦情数のデータですが、ソニー損保全体に寄せられた苦情数は16544件(2020年度累計)です。アクサ(ソニー損保の半分のシェア)の3.6万件より少ないものの、セゾン自動車火災の1985件よりは多いため苦情の絶対数は多めです。直近の四半期の苦情では、3654件のうち契約・募集に関する苦情が39.9%と最も高い比率を占め、新規契約時に商品内容の分かりにくさ等でストレスがありそうなため苦情面からは評判は微妙です。
次に1.3万人を調査対象としたオリコンの自動車保険 総合ランキング2022ですが、ソニー損保は16社中で1位とトップに輝いています。この調査では加入更新手続き・商品内容・保険料等の評価項目毎の順位もありますが、加入更新手続きと商品内容で1位、事故対応・調査認定・保険金の受取額とスピード・ロードサービスで2位となっています。
保険料こそ3位ですが、SBI損保・セゾン自動車火災に次ぐ3位のため決して悪くはありません。今後、安全運転キャッシュバックプランが従来型よりも契約数を伸ばして、多くの人が運転スコア90点以上を取るようになれば、保険料の順位でもトップになる可能性はあります。
さらに第三者機関で調査会社のJ.D.パワーの「2021年 自動車保険契約満足度調査(ダイレクト系保険会社)」でも、ソニー損保は8社中で1位とトップです。事故対応満足度調査でも12社中で1位とトップで、事故対応では名だたる代理店型の自動車保険を抑えて1位という結果が出ています。
以上のデータから考えると、ソニー損保の評判は良いです。大規模調査の各項目で高い評価を得ており、不安なのは加入時の分かりにくさぐらいです。その加入時の分かりにくさも苦情数からの判断で、オリコンの調査では手続きでトップのため過度な心配は不要です。一点だけ挙げるとすれば、事故対応のIT化により他社に遅れを取る可能性がある点ぐらいでしょうか。他社では専用のドラレコで緊急連絡以外に、事故映像のAI分析・家族への自動連絡等の機能も備えています。さらなる他社の機能拡大により事故対応で1位から陥落することもあるでしょう。
総合評価・おすすめか?
結論としては、ソニー損保の自動車保険はオススメの保険です。ベースの保険料こそ高いものの、補償が手厚く評判・顧客満足度も高いのは大いに評価できるからです。唯一のネックである保険料の高さも安全運転スコア次第では、他社に迫る安さになります。
ただ、運転に自信が無い人や安全運転で保険料を左右されたくない人は、ソニー損保よりは保険料は安くバランスの良いセゾン自動車火災(おとなの自動車保険)を検討しても良いかもしれません。また、補償・評判云々よりも保険料を最重要視するならSBI損保・チューリッヒ・セコム損保あたりが候補になるでしょう。