チューリッヒ ネット専用自動車保険を比較・評価

チューリッヒ保険
オススメ度:
1
保険会社:
チューリッヒ保険
名称:
ネット専用自動車保険
免許の色:
割引あり
走行距離:
割引あり
オリコン:
7位 / 16社中
特徴:
保険料で選ぶなら

チューリッヒにはスーパー自動車保険とネット専用自動車保険があります。ネット専用自動車保険は保険料を極限まで安くしており、契約時の手続きはインターネットのみです。よくある自動車保険の一括見積サイトで出てくる保険料が安いチューリッヒの自動車保険はネット専用です。

選べる補償内容も保険料を削るために細分化されており、ロードサービスを付けるか否かも選択できます。例えばJAFに加入しているなら自動車保険のロードサービスは削れるといった具合です。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し他社の自動車保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険では対人賠償・対物賠償・人身傷害補償・他車運転特約・無保険車傷害特約が自動セットとなります。2022年1月の改定により人身傷害補償も車内のみ補償・車内外補償が選択できるようになりました。人身傷害補償は事故で自分や同乗者がケガをすると補償されますが、車内のみ補償にすると車内でケガをした場合に限るため保険料を抑えられます。車内外にすると歩行中等も補償されますが、その分だけ保険料が上がります。

チューリッヒ ネット専用自動車保険の補償内容(出典:チューリッヒ保険 公式HP「ネット専用自動車保険の補償内容」)

自動セット以外の補償は付加するか自分で選べます。個人賠償責任特約・弁護士費用等補償特約・原付特約は他社と同様に任意で付加できます。既述したようにロードサービスも特約となっており、付加しなければ年間保険料が数千円安くなります。

チューリッヒのネット専用自動車保険で特徴的なのは、保険料重視のため選べる特約も最低限のラインナップである点です。他社ではバイクも補償するバイク特約、日常生活で家族がケガをした場合のファミリー傷害特約、車内の身の回り品を補償する車内携行品特約等々がありますが、こういった特約は用意されていません。

ちなみに2022年の改定により、新たに自家用普通貨物車・特殊用途自動車でも契約できるようになりました。以前から自家用軽四輪貨物車(いわゆる軽トラ)でも加入できましたが、それに加えて特殊用途自動車でも加入できるため、キャンピングカーを補償対象にして加入できます。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は年齢・免許証の色・年間走行距離・居住地・使用目的で計算され、さらに新車割引・自動車ブレーキ割引があります。新車割引は2021年以前は軽自動車は対象外でしたが、2022年からは軽自動車でも新車割引が適用されるようになりました。

それでは具体的に保険料は何円で他社より安いのか否か確認していきます。まず初めて自動車保険に加入するケースですが、保険料はノンフリート等級が6等級で計算されます。6等級からスタートして無事故なら等級が上昇して保険料が下落します。6等級・トヨタのヤリス・人身傷害3000万円・車両保険なし・走行距離9000キロ未満等の同条件で、23歳のみブルー免許で30歳・40歳はゴールド免許でシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。

6等級で初めて加入する人の23歳・30歳・40歳の保険料の比較一覧表(ソニー損保・アクサダイレクト・三井ダイレクト・チューリッヒ・イーデザイン損保・セゾン自動車火災・SBI損保・東京海上日動火災・損保ジャパン・三井住友海上・共栄火災海上・セコム損保・JA共済・全労済・楽天損保・あいおいニッセイ同和・au損保)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

チューリッヒ(ネット専用)の年間保険料を他社と比較すると、30歳・40歳では保険料は最安値でした。2番手の保険のアクサダイレクトと比較しても4000円ほど安く、保険料の安さでは文句の付けようがありません。ただ、23歳(ブルー免許)だと保険料は最安値ではなく、SBI損保・アクサダイレクトに次ぐ3番手となります。

次に他社の自動車保険から乗り換える場合ですが、初めて加入する場合と異なり乗り換え前のノンフリート等級が引き継がれます。30歳は23歳の新社会人から無事故だと仮定して13等級、40歳・50歳は最も高い20等級で保険料を比較しました。車種はトヨタヤリスで免許証の色は全てゴールドでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。

13等級か20等級で他社からの乗り換えで加入する人の30歳・40歳・50歳の保険料の比較一覧表(ソニー損保・アクサダイレクト・三井ダイレクト・チューリッヒ・イーデザイン損保・セゾン自動車火災・SBI損保・東京海上日動火災・損保ジャパン・三井住友海上・共栄火災海上・セコム損保・JA共済・全労済・楽天損保・あいおいニッセイ同和・au損保)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この場合のチューリッヒ(ネット専用)の保険料を他社と比べると、30歳では保険料は最安値でした。他社よりも最低2000円以上は安く、大手の代理店系の自動車保険と比べると半額以下です。他方で40歳・50歳だとセコム損保よりも保険料は高い2番手です。

以上を踏まえると、年齢等の条件によっては最安値とならないケースもあるものの、保険料が安いのは間違いありません。23歳で初契約だと他社との差額は3000円のため差額は小さくありませんが、40歳・50歳で乗り換えなら差額は1000円以内のため後述するメリット・デメリット・評判次第ではチューリッヒにしても良いでしょう。

メリット

この保険のメリットは、まずは30歳・40歳で初めて自動車保険に加入する人だと特に保険料が安い点が挙げられます。30歳近辺で結婚後に子供が生まれた人も多いのですが、昨今では40歳近辺で子供が生まれた人も多くなっています。子供が生まれると外出時に電車等で子供の泣き声が気になったり、子供の送迎が必要になったりします。

現に都市部の30〜40代のうち1人暮らしの人の自動車保有率が24%なのに対して、3人暮らし(夫婦+子供)だと自動車保有率は49%に跳ね上がります。子供が生まれると今後の支出も気になる中で、保険料が安いという点は大きなメリットだといえるでしょう。

自動車所有台数 世帯人数比較(出典:PIAZZA株式会社「都市部30〜40代ファミリー層の自動車の所有やニーズに関する調査(回答数1,088名))

東京海上等の代理店型の自動車保険だと40歳車両保険なしで2.5万円のため、車両保険以外の特約を付けても同額程度に収まります。前述したファミリー傷害特約・新車特約の他に、事故の示談等を弁護士に任せられる弁護士費用補償特約や事故で身の回り品(キャンプ道具・サーフボード・ゴルフクラブ等)が壊れた場合に補償される身の回り品補償特約も付けられます。

地味ですが、補償の箇所でも既述した特殊用途自動車(キャンピングカー等)でも加入できるのもメリットです。他社では依然として自家用5車種か6車種に限定したり、車両保険だけは付加できないケースがあります。また、運転者を限定する設定で本人・配偶者が選択できますが、チューリッヒでは2022年1月から配偶者に同姓パートナーも含まれます。保険金は請求できませんが、同姓で2人とも運転するなら保険料は安くなります。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは自分の年齢・等級等によっては保険料が最安値ではない点が挙げられます。補償内容・事故対応等よりも1円でも安い自動車保険を求める人は、アクサダイレクト・SBI損保・セコム損保も検討する必要があります。

その逆に充実した補償を求める人には用意されている特約に不足感を感じるでしょう。保険料が安い分だけ特約を付加しようと考えても、付加したい特約が無い可能性があります。搭乗者傷害保険を初め、ファミリー傷害特約・自転車賠償特約・新車特約等がありません。

また、細かい点ではロードサービスにレッカー移動等はありますが、無料のガス欠給油がありません。他社では10Lまで保険期間中1回だけガス欠時にガソリンを運んでくれます。保険会社によっては無料で持って来てくれるだけではなく、ガソリン代も無料だったりします。

評判・苦情

チューリッヒ保険の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の421億円から447億円に6%ほど増加していました。自動車保険も188億円から198億円に5%ほど増加し堅調です。他社も5~6%ほど伸びているケースが多いため、契約数からすると評判は悪くありません。

次に1.3万人を調査対象としたオリコンの自動車保険 総合ランキング2022ですが、チューリッヒは16社中で7位と中位にあります。この調査では加入更新手続き・商品内容・保険料等が評価項目にありますが、商品内容の充実度・保険料以外の項目は平均点をクリアしていません。

評価が高い商品内容・保険料も6位・5位でトップではなく、その他の項目は当然ながら10位以下のランキング外です。既述の通り保険料は安いのは間違いありませんが、商品内容が充実しているとは言い難いです。そのため商品内容はネット専用ではないスーパー自動車保険の評価だと考えられます。

チューリッヒ保険のオリコン自動車保険総合ランキング2022の順位と各項目の評判(出典:オリコン公式HP「チューリッヒ保険 自動車保険の評判・口コミ」)

その一方で第三者機関で調査会社のJ.D.パワーの「2021年 自動車保険契約満足度調査(ダイレクト系保険会社)」では、チューリッヒは8社中で8位で最下位で顧客満足度は最悪です。事故対応満足度調査では12社中で7位で少し順位を上げますが、業界平均以下のため満足度は低いと言わざるを得ません。

JDパワー 2021年 自動車保険契約満足度調査ダイレクト系保険会社(出典:JDパワー公式HP) JDパワー 2021年 自動車保険事故対応満足度調査(出典:JDパワー公式HP)

以上のデータから考えると、チューリッヒ保険の評判は良くはありません。評判が唯一良いとすれば保険料についてだけでしょう。特に気がかりなのはJDパワーの調査で顧客満足度が最下位だった点です。かつてはチューリッヒの自動車保険のシェアは通販型の自動車保険の中で3~4位でしたが、今では6位まで落ちてSBI損保にも抜かれています。その背景の1つに顧客満足度の低さがあるのかもしれません。

総合評価・おすすめか?

結論としては、チューリッヒの自動車保険は総合的にはイマイチな保険です。ただ、保険料の安さを追求したい人にはオススメです。条件次第で他社の方が安いケースもありますが、ロードサービスも省けば安さで負けません。40歳・50歳で乗り換えの場合だとセコム損保より高かったのですが、ロードサービス無しなら40歳で保険料は8760円でセコム損保より安くなります。

その一方で保険料以外に補償内容・事故対応・評判等も気にするなら他社の自動車保険も検討した方が賢明です。保険料は少し高いものの顧客満足度の高いソニー損保、ソニー損保よりは保険料は安くバランスの良いセゾン自動車火災(おとなの自動車保険)が候補になります。保険料度外視なら最大手で顧客満足度も高めの東京海上のトータルアシストも候補に入るでしょう。