イーデザイン損保 自動車保険を比較・評価
- オススメ度:
- 保険会社:
- イーデザイン損保
- 名称:
- 自動車保険
- 免許の色:
- 割引あり
- 走行距離:
- 割引あり
- オリコン:
- 4位 / 16社中
- 特徴:
- 事故解決のプロフェッショナル
イーデザイン損保には従来の自動車保険とは別に、&e(アンディー)という自動車保険を2021年11月より販売開始しました。基本的には従来の自動車保険から&eへの切り替えを促すようですが、2022年現在では従来の自動車保険にも加入できます。もちろん現在加入中の人は更新も可能です。
新しい保険が気になるところですが、実は同じ条件であれば&eよりも従来の自動車保険の方が安かったりします。さらに&eでは付加できない特約を従来の自動車保険なら付加できることがあり、もしかすると従来の自動車保険の方が合っている人もいるかもしれません。それでは以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し他社の自動車保険と比較していきます。
補償内容・特約
この保険では対人賠償・対物賠償・人身傷害補償・他車運転特約・無保険車傷害特約等が自動付帯(自動セット)となります。さらにもらい事故等で保険会社が示談できない場合に弁護士に依頼できる弁護士費用特約も自動セットとなります。警察庁「平成30年中の交通事故の発生状況」によると、およそ3件に1件がもらい事故である点を鑑みれば無駄とはいえません。
ただ、その弁護士費用特約は&eでは自動付帯ではなく選択制になり、自損事故傷害保険・無保険者事故傷害保険等も自動付帯ではなく人身傷害保険に一本化されました。選択制でも一本化でも必要なら付加すれば良いのですが、対物賠償・人身傷害保険で選択できる補償金額が集約された点は見逃せません。前者は無制限のみ、後者は3000万・5000万・1億の三択となりました。
&eへの切り替えを検討している人は、切り替えにより不都合が生じないか確認する必要があります。例えば、対物賠償の補償額は無制限となるため選択の余地はありませんが、人身傷害を7000万円にしていた人は5000万円に下げるのか、はたまた1億円に上げるのか選択する必要があります。
また、&eでは女性のお顔手術費用特約・育英費用特約が廃止されています。女性のお顔手術費用特約は顔・頭・首にケガをして手術をすると30万円が受け取れます。育英費用特約は事故で死亡して子供が残された場合に育英費用として500万円が受け取れます。どちらも必須の特約ではありませんが、&eへ切り替えると前述の特約は付加できません。
保険料を他社と比較
この保険の保険料は年齢・免許証の色・年間走行距離・使用目的で計算され、さらにインターネット割引・早割・無事故割引等があります。当然ながら各種割引が適用されるほど保険料は安くなります。それが&eでは新車割引・ASV割引(自動ブレーキ割引)・セカンドカー割引を残して廃止され、紹介割引だけが新設されました。
その結果、後述するように同じ条件でイーデザイン損保の従来の自動車保険より、新しく販売開始した&eの方が保険が高いです。もちろん割引項目が減っただけではなく、IT化に必要な設備やドライバーに貸与するセンサーも関係しているのかもしれません。
それでは具体的に保険料は何円で他社より安いのか否か確認していきます。まず初めて自動車保険に加入するケースですが、保険料はノンフリート等級が6等級で計算されます。6等級からスタートして無事故なら等級が上昇して保険料が下落します。6等級・トヨタのヤリス・人身傷害3000万円・車両保険なし・走行距離9000キロ未満等の同条件で、23歳のみブルー免許で30歳・40歳はゴールド免許でシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
イーデザイン損保の従来の自動車保険の年間保険料は、&eよりも4~5000円ほど安くなっています。そのため保険料なら従来型といいたいところですが、他社と比較すると保険料の安さでは7番手です。それも30歳・40歳の場合であって、23歳だと保険料は他社よりも圧倒的に高いです。イーデザイン損保より高いのは共栄火災・全労済ぐらいのものです。
次に他社の自動車保険から乗り換える場合ですが、初めて加入する場合と異なり乗り換え前のノンフリート等級が引き継がれます。30歳は23歳の新社会人から無事故だと仮定して13等級、40歳・50歳は最も高い20等級で保険料を比較しました。車種はトヨタヤリスで免許証の色は全てゴールドでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。
この場合のイーデザイン損保(従来型)の保険料を他社と比べると、40歳・50歳だと中間の位置にあり高くも安くもありません。ただ、30歳(13等級・ゴールド)だとチューリッヒ・SBI損保・セコムに次いで保険料は安いです。チューリッヒとは5000円以上の差額がありますが、その他とは3000円程度の差です。
以上を踏まえると、保険料面からは初めて自動車保険に加入する人には高い保険といえます。その一方で他社からの乗り換えの場合、30歳~30代後半なら保険料は安めと考えられます。安めとはいえ最安値ではありませんが、後述するメリット・デメリット・評判次第ではイーデザイン損保にしても良いかもしれません。
メリット
この保険のメリットは、30代で自動車保険の乗り換えをする人には保険料が安めである点が挙げられます。30代で結婚・子育てとなると、自動車の買い換えをしたり自動車関連の出費が膨らみます。それに対して自動車保険を乗り換えて出費を抑えられます。夫婦で自動車保険を一本化することでも保険料は節約でき、この保険が継続する側の保険になる可能性があります。
&eとは異なり補償金額を細かく設定できるのもメリットかもしれません。対物賠償を無制限ではなく1億円や5000万円にすれば保険料を抑えられます。対物賠償で1億円を超える賠償事例ではトラック関連(トラックが店舗に突っ込む等)が多く、乗用車だと踏み切り事故があるくらいです。乗用車での事例では高額でも数千万円の事例が多く無制限まの補償は過剰とも考えられます。
&eでは廃止される女性のお顔手術費用特約・育英費用特約もメリットかもしれません。おそらく需要が無いから&eでは廃止したのでしょうが、それゆえに希少性があります。他社の自動車保険を見渡しても類似の特約は無い(もしくは既に廃止済み)であることが多いです。どちらも必須の特約ではありませんが、魅力的だと思う人には価値があります。
また、ロードサービスでは自分が指定した修理工場までのレッカー移動は100キロまで無料、燃料切れ時のガソリン配達サービスが無料(保険期間中1回)である点もメリットです。他社では50キロまで無料、ガソリン配達は契約から1年目は有料というケースがあります。
デメリット・注意点
この保険のデメリットには、初めて自動車保険に加入する人には保険料が高い点が挙げられます。保険料が高いといっても前掲の図では、イーデザイン損保より保険料が高い自動車保険は10以上あります。ただ、1円でも安い保険料を求める人には不向きです。
また、30・40歳では相対的に安い保険料でも、23歳(ブルー免許)では保険料はワーストに近い高さになります。この点を踏まえるとゴールド免許からブルー免許になるだけで、年齢と関係なく保険料が他社よりも大幅に上昇する可能性も考えられます。
また、&eと比較して選択肢が多いのが良いとも言い切れません。人身傷害保険が3000万円から1000万円刻みで設定できますが、大抵の人は3000万円にすべきか4000万円にすべきか決める明確な道標はありません。せいぜい家族3人だから3000万円で1人1000万円ずつにするか、6000万円で1人2000万円ずつにするかという程度です。選択肢が絞れば加入時の迷い・手続きの面倒さが軽減されます。
特約も&eで廃止される特約を除いて、概ね他社にもある特約で目ぼしいものはありません。この点は必ずしもデメリットではありませんが、少なくとも他社ではなくイーデザイン損保にする決定打は補償面では無いといえます。
評判・苦情
イーデザイン損保の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社の収入を示す正味収入保険料は前年度の316億円から331億円に4.7%ほど増加していました。自動車保険以外の保険は募集していないため、この数字が実質的に自動車の業績です。他社でも5~6%ほど伸びているケースが多いため、契約数からすると評判は悪くありません。
次に日本損害保険協会の苦情数のデータですが、イーデザイン損保全体に寄せられた苦情数は2553件(2020年度累計)です。同程度の業績である三井ダイレクトが1995件で、SBI損保が8494件のため苦情の絶対数は少なめです。直近の四半期の苦情では、645件のうち契約の管理等に関する苦情が45%と最も高い比率を占めていました。これは契約後の契約内容の変更手続き等への苦情が多いことを示しています。保険金に関する苦情が最も高い比率の保険会社もあるため、苦情面からも評判は悪くありません。
次に1.3万人を調査対象としたオリコンの自動車保険 総合ランキング2022ですが、イーデザイン損保は16社中4位と上位にあります。この調査では加入更新手続き・商品内容・保険料等が評価項目にありますが、いずれの項目でも平均点をクリアしています。
特に評価が高いのは加入更新手続き・商品内容の充実度で、全体順位と同様に4位と高評価を受けています。加入更新手続きは苦情数と相反する結果ですが、加入時は良くて更新時は悪いと考えられます。また、事故対応・調査認定結果は7位で、ロードサービスに至っては8位と評価を大きく落としています。ロードサービスの内容は良く見えても、実際の現場対応はイマイチという可能性がありそうです。
調査会社のJ.D.パワーの「2021年 自動車保険契約満足度調査(ダイレクト系保険会社)」でも、イーデザイン損保は8社中3位と上位で顧客満足度は高めです。ただ、事故対応満足度調査では12社中8位と順位を下げています。事故対応満足度についてはオリコンと同様のため、信憑性が高まる結果といえるでしょう。
以上のデータから考えると、イーデザイン損保の評判は総じて良さそうです。ただ、事故対応については全体の評判ほど良くはありません。担当者の知識不足・示談での交渉力の弱さ等が原因かもしれません。また、ロードサービスの評価が低いことから、公式HP上のスペック(レッカー移動の距離等)は良くても故障時の現場対応がもたついて評判を落としている可能性があります。
総合評価・おすすめか?
結論としては、イーデザイン損保の自動車保険は総合的には悪くない保険です。そつのない補償が安めの保険料で得られ、総じて評判も悪くないからです。突き抜けた内容はありませんが、総合的に考えればバランスの取れた自動車保険といえます。
その一方で他社には突き抜けた保険料の安さを誇るチューリッヒ・セコム損保があります。保険料は高いものの顧客満足度の高いソニー損保、ソニー損保よりは保険料は安くバランスの良いセゾン自動車火災(おとなの自動車保険)もあります。保険料度外視なら最大手で顧客満足度も高めの東京海上のトータルアシストも検討しても良いかもしれません。