三井ダイレクト損保 自動車保険を比較・評価

三井ダイレクト損保
オススメ度:
2
保険会社:
三井ダイレクト損保
名称:
自動車保険
免許の色:
割引あり
走行距離:
割引あり
オリコン:
11位 / 16社中
特徴:
自動車保険をもっとやさしく

三井ダイレクト損保はMS&ADグループ(三井住友海上・あいおいニッセイが軸)の一員です。2022年時点で大手の損保と収入保険料で20倍以上の差がありますが、通販型・ダイレクト型の自動車保険では4位(1位はソニー損保)の収入保険料があります。

自動車保険は販売を開始してから度々改定していますが、近々では長期無事故割引を新設しインターネット割引額の拡大をしています。保険料に関する改定が多いため保険料には期待が持てます。以下で補償内容・保険料・メリット・デメリット・評判等を解説し他社の自動車保険と比較していきます。

補償内容・特約

この保険では対人賠償・対物賠償・他車運転特約・無保険車傷害特約が自動セットとなり、人身傷害補償・搭乗者傷害保険・車両保険は付加するか自分で選べます。さらに弁護士費用等補償特約・ファミリー傷害特約・自転車賠償特約等の特約は任意で付加できます。

三井ダイレクトの補償内容(出典:三井ダイレクト損保 総合自動車保険商品パンフレット2021年7月1日以降始期契約用)

三井ダイレクトで特徴的なのはファミリー傷害特約でしょうか。保険に加入した本人と家族(夫婦型と家族型あり)が日常生活でケガをした場合に補償される特約です。入院すれば入院保険金、通院すれば通院保険金が日数に応じて受け取れます。アウトドアタイプとワイドタイプがあり、ワイドタイプなら自宅内での事故も補償されます。自宅で子供をかばってケガをした場合等に役に立ちます。

また、新車特約と自転車賠償特約が2019年の改定で追加されました。新車特約は事故で自動車が大破した場合に新車代分の保険金を受け取れる特約です。この特約があれば事故で車が大破しても保険で新車が購入できます。自転車賠償特約は自転車事故を補償し、対人での事故なら金額は無制限で補償されます。自転車事故は1億円近い賠償額になるケースも出てきたため無制限だと安心感があります。

三井ダイレクトの新車特約・新車割引・自転車賠償特約の改定内容補償内容(出典:三井ダイレクト損保 公式HP 自動車保険の商品改定に関するお知らせ20190924)

特約を付加すると補償が増加するため心強いのですが、その分だけ保険料が上昇します。前述したファミリー傷害特約は医療保険、自転車賠償特約は火災保険・クレジットカード等にある個人賠償責任特約でもカバーできます。重複して無駄に保険料を支払うことがないよう注意が必要です。

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保険料を他社と比較

この保険の保険料は免許証の色・年間走行距離で計算され各種の割引が条件次第で適用されます。インターネット割引や新車割引等は他社の自動車保険にもありますが、20等級を長期で無事故で継続した人に対する割引が手厚いです。20等級の1年目こそ長期無事故割引だけですが、2年目からは継続割引と長期無事故割引プラスが適用されます。

三井ダイレクトの保険料の長期無事故割引と長期無事故割引プラスの改定内容(出典:三井ダイレクト損保 公式HP 自動車保険の商品改定に関するお知らせ20190924)

3つの割引が適用されると、2年目は4%割引、3年目は5%割引、4年目以降は6%割引になります。事故で20等級から下がると継続割引だけになりますが、他社では20等級になってからは継続割引のみ適用される保険もあります。その意味では他社よりも無事故の人に有利な保険料といえます。

それでは具体的に保険料は何円で他社より安いのか否か確認していきます。まず初めて自動車保険に加入するケースですが、保険料はノンフリート等級が6等級で計算されます。6等級からスタートして無事故なら等級が上昇して保険料が下落します。6等級・トヨタのヤリス・人身傷害3000万円・車両保険なし・走行距離9000キロ未満等の同条件で、23歳のみブルー免許で30歳・40歳はゴールド免許でシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。

6等級で初めて加入する人の23歳・30歳・40歳の保険料の比較一覧表(ソニー損保・アクサダイレクト・三井ダイレクト・チューリッヒ・イーデザイン損保・セゾン自動車火災・SBI損保・東京海上日動火災・損保ジャパン・三井住友海上・共栄火災海上・セコム損保・JA共済・全労済・楽天損保・あいおいニッセイ同和・au損保)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

三井ダイレクトの年間保険料を他社と比較すると、比較的安い部類に入る金額なのが分かります。30歳を例にとると、他社の多くで保険料は3万円台か4万円台なのに対して、この保険は2万円台後半のため悪くありません。ただ、アクサダイレクト・チューリッヒ・SBI損保よりも高いのは確かです。

次に他社の自動車保険から乗り換える場合ですが、この場合は乗り換え前のノンフリート等級が引き継がれます。30歳は23歳の新社会人から無事故だと仮定して13等級、40歳・50歳は最も高い20等級で保険料を比較しました。車種はトヨタヤリスで免許証の色は全てゴールドでシミュレーションして、保険料を一覧表で比較しました。

13等級か20等級で他社からの乗り換えで加入する人の30歳・40歳・50歳の保険料の比較一覧表(ソニー損保・アクサダイレクト・三井ダイレクト・チューリッヒ・イーデザイン損保・セゾン自動車火災・SBI損保・東京海上日動火災・損保ジャパン・三井住友海上・共栄火災海上・セコム損保・JA共済・全労済・楽天損保・あいおいニッセイ同和・au損保)※各社の公式HPを元に当社が独自に作成

この場合の三井ダイレクトの保険料を他社と比べると、40歳・50歳なら最安値に近い保険料であることが分かります。セコム・チューリッヒよりも高いとはいえ1000円程度の差額です。前述した無事故割引を加えても差額は逆転できませんが、保険料が安いのは間違いありません。ただ、30歳(13等級)だと最安値との差は大きくアクサ等よりも高いのが分かります。

以上を踏まえると、初めて自動車保険に加入する人にとっても三井ダイレクトの保険料は安めですが、乗り換え(切り替え)をする人の方が保険料の安さを感じられます。特に20等級を維持している人からすると、保険料面では三井ダイレクトは有力な乗り換え先候補になるでしょう。

メリット

この保険のメリットは、まずは40~50歳代で20等級なら保険料が安い点が挙げられます。40歳で車両保険なしで年間1万円程度の保険料のため、車両保険200万円を付加しても年間2万円で済みます。他社では車両保険なしで2万円超の保険もあるため、三井ダイレクトなら車両保険ありで他社と同額か以下の保険料に抑えられます。

東京海上等の代理店型の自動車保険だと、40歳車両保険なしで2.5万円のため車両保険以外の特約を付けても同額程度に収まります。前述したファミリー傷害特約・新車特約の他に、事故の示談等を弁護士に任せられる弁護士費用補償特約や事故で身の回り品(キャンプ道具・サーフボード・ゴルフクラブ等)が壊れた場合に補償される身の回り品補償特約も付けられます。

三井ダイレクトの弁護士費用特約の補償内容(出典:三井ダイレクト損保 公式HP)

地味ですが、補償面では人身傷害保険の保険金額が無制限に設定できるのもメリットかもしれません。人身傷害保険は自分が自動車に搭乗中の事故でも補償されますが、家族が歩行中に自動車事故に巻き込まれた場合にも補償されます。子供の心配な場合などは心強い補償といえます。示談交渉の結果を経ずに保険金が受け取れるため、スピーディーに治療費等に充てられるのもポイントです。

デメリット・注意点

この保険のデメリットには、まずは初めて自動車保険に加入する人だと保険料が高い点が挙げられます。前述したように最安値の保険との差額は1万円以上の開きがあります。6等級であっても2年目以降は継続割引等が適用されますが、それだけでは如何ともし難い差があります。

乗り換えする人には安いとはいえ、最安値ではない点も見逃せません。40・50歳なら1~2000円の差ですが、30歳だと差額は6000円で小さくはありません。それでも代理店型の自動車保険より保険料は安いため、その差額の保険料の分だけ特約を追加するといっても、本当に必要な特約があるのか疑問があります。

ファミリー傷害特約・自転車賠償特約・新車特約等は付加すれば心強いですが、必要不可欠ではありません。ケガが心配ならファミリー傷害特約ではなく医療保険にすれば、手術等の費用に加えて病気でも補償されます。自転車賠償特約は火災保険やクレジットカードの個人賠償責任保険でカバーできます。新車特約も適用されるほど大破するのか、車両保険で十分という考えもあります。そもそも他の自動車保険にもある特約で目新しい特約ではありません。

また、細かい点ではロードサービスのレッカー移動サービスは、自分が指定した修理工場だと50キロまでです。他社では100kmまで補償する自動車保険もあります。ガス欠給油(10L・保険期間中1回)が利用できるのも契約2年目からです。他社では1年目から利用できる自動車保険が大半です。

評判・苦情

三井ダイレクト損保の2021年度(2021年4月~2022年3月)の決算資料によると、保険会社における収入を示す正味収入保険料は前年度の364億円から354億円に3%ほど減少していました。自動車保険も359億円から349億円に3%ほど減少し不調気味です。他社では5~6%ほど伸びているケースもあるため、契約数からすると評判はイマイチです。

次に日本損害保険協会の苦情数のデータですが、三井ダイレクト損保全体に寄せられた苦情数は1995件(2020年度累計)です。同社とシェアが近いイーデザイン損保が2553件でSBI損保が8494件のため、苦情の絶対数は他社よりも少ないです。直近の四半期の苦情では、447件のうち保険金に関する苦情が50.8%と最も高い比率を占めましたが、他社も50%近いことが多いため珍しくありません。そのため苦情面からは評判は良さそうです。

三井ダイレクトの直近四半期の苦情数(出典:日本損害保険協会公式HP 会員会社にいただいたお客様の声2022年1月~3月)

次に1.3万人を調査対象としたオリコンの自動車保険 総合ランキング2022ですが、三井ダイレクトは16社中で11位と下位にあります。この調査では加入更新手続き・商品内容・保険料等が評価項目にありますが、加入更新手続き・保険料以外の項目は平均点をクリアしていません。

評価が高めの加入更新手続き・保険料も6位・7位でトップ5に入りません。その他の項目では事故対応がギリギリ10位で、それ以外は10位以下です。商品内容の充実度・ロードサービスが低評価なのは、デメリットの箇所で既述したことが当てはまったように見えます。

三井ダイレクトのオリコン自動車保険総合ランキング2022の順位と各項目の評判(出典:オリコン公式HP「三井ダイレクト損害保険 自動車保険の評判・口コミ」)

その一方で第三者機関で調査会社のJ.D.パワーの「2021年 自動車保険契約満足度調査(ダイレクト系保険会社)」では、三井ダイレクト損保は8社中で4位と中間の位置にあります。かろうじて平均値を上回るため顧客満足度は悪くはありません。ただ、事故対応満足度調査では12社中で10位と下位にあり、オリコンと同様の結果が出ています。

JDパワー 2021年 自動車保険契約満足度調査ダイレクト系保険会社(出典:JDパワー公式HP) JDパワー 2021年 自動車保険事故対応満足度調査(出典:JDパワー公式HP)

以上のデータから考えると、三井ダイレクトの評判は良くはありません。特に各調査から考えて気がかりなのは事故対応です。オリコンでもJDパワーでも共通して低評価で、担当者によって左右される面はあるとはいえ期待は持てそうにありません。担当者の知識不足・示談での交渉力の弱さ等が背景にあるのかもしれません。

総合評価・おすすめか?

結論としては、三井ダイレクトの自動車保険はイマイチな保険です。乗り換えを検討している人には保険料面で魅力がありますが、補償面では平凡で事故対応についても不安を抱えています。「安かろう悪かろう」という可能性を否定し切れません。

そのため自動車保険の乗り換えを検討中の人は三井ダイレクト以外の保険も検討した方が賢明です。保険料は少し高いものの顧客満足度の高いソニー損保、ソニー損保よりは保険料は安くバランスの良いセゾン自動車火災(おとなの自動車保険)が候補になります。保険料度外視なら最大手で顧客満足度も高めの東京海上のトータルアシストも候補に入るでしょう。